【特別企画】
ファミコン版「グラディウスII」が35周年! 単なる移植にとどまらない、傑作シューティングゲームの魅力に改めて迫る
2023年12月16日 00:00
- 【グラディウスII(ファミコン版)】
- 1988年12月16日 発売
1988年12月16日にコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)から発売されたファミコン用ソフト「グラディウスII」が、本日で35周年を迎えた。
本作は、同年3月に稼働を開始したアーケード用横スクロールシューティングゲーム「グラディウスII GOFERの野望」の移植版にあたる。1985年に登場した元祖「グラディウス」に続く、当時の大ヒット作が早々とファミコンに移植された事実が、その人気の高さを如実に示していると言えるだろう。
以下、本稿ではアーケード版との違いにも触れつつ、ファミコン版ならではの「グラディウスII」の魅力を改めて振り返ってみることにする。
アーケード版にも見劣りしない迫力と面白さを再現
ファミコン版「グラディウスII」でまず目を引くのは、自機のビックバイパーがアーケード版と同様に4種類登場すること(※ただしバリアは、アーケード版ではシールドとフォースフィールドの2種類から選択できたが、ファミコン版はフォースフィールド1種類に統一された)。
メインショットはレーザーか、それともリップルレーザーやダブルにするのか、ミサイルはスプレッドボムやフォトントゥーピド、2ウェイにするのかなど、選択した機体によって攻撃性能がまったく異なり、かつ攻略法も変わる面白さをファミコン版でもきちんと再現している。
前作「グラディウス」のファミコン版は、自機と同じ性能を持つパワーアップの一種であるオプションがアーケード版では最大4個まで装着可能だったのに対し、2個までしか装着できなかった。また、画面のほぼ端から端まで伸びるのが特徴だったレーザーは、ファミコン版では画面内に2発ずつ発射する細切れ状のショットになっていた。だが本作では、アーケード版と同様にオプションが4個まで装着可能になり、加えてレーザーの長さも大幅にアップ。アーケード版に極めて近い性能を見事に再現した。
クリスタルコアやジャンボモアイなど、アーケード版と同じ巨大なボスキャラが登場する移植再現度の高さも特筆に値する。その他のザコキャラたちや、各ステージの背景、ギミック類のデザインも、今の目で見ても文句のつけようがないほどカッコよく、当時のコナミ開発陣の並外れた技術の高さがうかがえる。
筆者はアーケード版から本作が大のお気に入りであり、ファミコン専門誌で移植決定の報を知るやいなや、すぐさま地元のおもちゃ屋さんで予約し、発売日に購入した思い出がある(※ド田舎の町だったので、正確に言うと入荷したのが正式発売日から1日遅れていたのだが……)。
電源を入れた直後、アーケード版のタイトル画面と同じ構図の、ビックバイパーのカッコイイ絵が画面いっぱいに表示されるや否や、まだプレイする前から興奮しまくり。ファミコン版でもオプションが4個並び、しかもレーザーは想像以上に長尺になっていたので大いに感動したものだ。
ファミコン版オリジナルのステージ構成や演出も出色の出来
ファミコン版「グラディウスII」の面白さは、移植再現度の高さに加え、数々のオリジナル要素を絶妙に織り交ぜることで独自の面白さを生み出しているところにある。
ステージ構成は、アーケード版よりも1面少ない1周全7面となったが、アーケード版には存在しなかった、ファミコン版オリジナルのステージや演出が満載だ。1面の人口太陽ステージの後半には、1986年に登場した「沙羅曼蛇」の3面を彷彿とさせるプロミネンスが次々と吹き出すエリアが登場し、2面ではアーケード版のボスキャラだったビッグアイを倒した後に、もう1体のオリジナルのボスキャラ、ギーガが出現する。
3面の水晶ステージは、前半はアーケード版の4面にあたる逆火山、後半は3面にあたるクリスタル地帯になっていて、4面はアーケード版の5面とほぼ同じ構成のモアイステージが登場する。5面はアーケード版の7面にあたるボスラッシュステージで、6面の敵基地ステージは、前半がアーケード版の8面にあたる要塞、後半は高速スクロール地帯になっている。最終面の7面は、ファミコン版の完全オリジナルとなる不気味なビジュアルが特徴で、最終地点にはラスボスのゴーファーが待ち構えているといった具合だ。
BGMの素晴らしさも、本作を語るうえでは絶対に見逃せないポイントだ。前衛地帯や1面、4面の曲はアーケード版と同じだが、多くのステージではアーケード版には存在しなかったオリジナル曲が流れ、そのどれもがプレイヤーのテンションを大いに高める名曲ばかり。また、アーケード版からおなじみの演出である、ビックバイパーをパワーアップさせたときに流れる「スピードアップ」、「ダブル」、「レーザー」などのボイスがちゃんと再現されていたのも、シリーズのファンにとってはたまらなく嬉しかった。
1986年に発売された元祖「グラディウス」と、1987年に発売された「沙羅曼蛇」の時点で、ファミコンではアーケード版の内容を完全に再現することは不可能だと、当時のプレイヤーの多くが子供なりに学んでいたことだろう。筆者も「グラディウスII」が移植されるにあたり、ファミコン向けにアレンジされることは、専門誌の紹介記事や広告を見るまでもなく、ある程度の想像はできていたが、いざプレイしてみたらファミコン版独自の面白さに瞬く間に魅了され、本当に「買ってよかった!」と素直に思える逸品であった。
本作は、2007年にWiiのバーチャルコンソールで配信されて以降、現在まで一度も移植されていない。アーケード版は、ハムスターの「アーケードアーカイブス」でNintendo SwitchとPS4向けに配信中なのとは対照的に、ファミコン版は気軽に遊べる環境が整っていないのが実に惜しまれる。大人気を博したアーケード版に匹敵するほどの傑作であるファミコン版も、現行のプラットフォームで配信され、再び日の目を見る機会がやって来ることを大いに期待したい。
■PS4版「アーケードアーカイブス グラディウスII GOFERの野望」のページ
■Switch版「アーケードアーカイブス グラディウスII GOFERの野望」のページ
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