【特別企画】

「私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES」アーケード版が26周年。青春をテーマにした学園モノの格闘ゲーム

【私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES】

1997年12月 稼働開始

 カプコンの格闘ゲーム「私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES」(以下、ジャス学)がアーケードで1997年12月に稼働を開始してから、26年が経過する。

 1997年当時の思い出といえば、やはりSNKがリリースしていた格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS」(以下、KOF)のストーリーがクライマックスを迎えた年であることである。正史エンディングともいえる三種の神器チームのエンディングを観たときは「あぁ、これで人気格闘ゲームが1つ終わってしまう」と嘆いたものだ(翌年にはパラレル時空の「THE KING OF FIGHTERS '98」がリリースされ、筆者はシリーズが続くことに驚くことにはなるのだが)。その喪失感はあったものの、幸いまだまだ当時のアーケードでの格闘ゲーム人気自体は安定して高かったし、1年あたりにリリースされるタイトルの数も多かったため、格闘ゲームブームが終わる、といった類の悩みはなかった。

 また当時は、「バーチャファイター」(1993年稼働開始)によって始まった3D格闘ゲームの衝撃、影響力が大きく、「鉄拳」、「DEAD OR ALIVE」のような完全新規の3D格闘ゲームだけでなく、既存の2D格闘ゲームを3D化してリリースした「侍魂~SAMURAI SPRITS~」、「ストリートファイターEX」のような格闘ゲームも登場した。

 そんな中、2D格闘ゲームの祖と言ってもいいカプコンが、完全新作IPとして打ち出してきたのが「ジャス学」である。

 本稿では、そんな「ジャス学」の26周年を記念し、本作を振り返っていこう。

青春モノらしい王道の熱血ストーリーが楽しめるCPU戦

 「ジャス学」は、かなりCPU戦でのストーリーに力を入れているタイトルだ。199X年、日本で学生の連続失踪事件が発生し、その謎を解き明かすため、各キャラクターが動き出すというのがこのゲームのメインストーリーとなる。主人公・一文字伐(いちもんじばつ、以下バツ)も、この連続失踪事件に機を同じくして行方をくらました母親の手がかりを求めて、太陽学園へと転校生としてやってくる。

 ゲームを始めると、まず5つの高校から1つを選ぶことになる。一部学校を除き、そのうちの3キャラクターのうち2キャラを選択。後に学校の縛りがなくなり、好きな2キャラを選べるようになったが、同じ学校のキャラクターで構成した場合は、その学校をテーマにしたストーリーがCPU戦で展開される。

 特徴的なのはストーリーデモの演出である。CPU戦の合間には、毎回会話デモがあり、キャラクターの立場や事件の内容がステージを進めるごとに明らかになっていく。そして1キャラクターのエンディング、1つの学校のストーリーだけではこの事件の全貌は明らかにはならない。特に事件の中心人物が所属するジャスティス学園のストーリーをプレイしなければ、なぜこの様な事件が発生したのかの真相は理解できないだろう。なお、このゲームは幸いにも当時の格闘ゲームとしてはCPU戦の難易度は控えめだったため、気軽にストーリーを楽しめた。

 そして、「ジャス学」のストーリーは後にタイムリリースという形でキャラクターが追加されることで真相が明らかになった。タイムリリースというのは当時の隠しキャラの追加方法としてよく行われていたもので、筐体の稼働時間が一定時間に到達すると、新たなキャラクターが参戦するというものだ。当時としては「鉄拳2」での採用が印象的なシステムだった。これにより物語の黒幕となる人物が使用可能になり、新たなストーリーが解禁された。

 本作は、"王道の少年漫画"のようなストーリーになっているのも特徴だ。例えば、主人公格の太陽学園のストーリー。ストーリー中盤には、通常のキャラクターよりも超強化された中ボスと闘うイベントがある。特に強化された点は防御力で、勝利するのはかなり難しい。これはまるで少年漫画で新たな強敵がお披露目され、主人公側が一方的に打ちのめされるシーンのようである。

 この後、中ボスに太陽学園のキャラクターの1人がさらわれ、洗脳されてしまう。ストーリー終盤には中ボスと洗脳されたキャラクターのチームと戦うことになるのだ。ここで超必殺技のような大技で倒すことができれば、友情の力で洗脳が解かれてグッドエンドルートへの道が拓ける。まるで王道のバトル漫画のようで、演出のベタさも面白い。

 また、太陽学園のストーリーは謎の失踪を遂げた母の行方を追う主人公バツが中心人物に思えるが、同学園の学級委員長である鑑恭介(かがみきょうすけ)は黒幕との因縁という意味では最もストーリーに深く関わっている人物だ。彼は黒幕の双子の弟であり兄を尊敬しているため、兄の行動を止められずに居た。

 だが、バツと共に行動をするに連れ、己の過ちを悟り、兄を改心させるために行動するという変化が現れる。友人と呼べる人物を持ち、共に行動することで己の行動のスタンスを変えるというのも、少年漫画的な展開である。

これはプレイステーション版で追加されたオリジナルモード「熱血青春日記」のスクリーンショット。高校に入学して自分のキャラを育てられるモードとなっており、キャラクターの掘り下げがアーケードよりさらに深まっている

システムも暑苦しい名前。だがわかり易いものばかり

 高校生の熱血青春ストーリーがウリのゲームだからか、格闘ゲームのシステムにも少年漫画のような命名がされている。

 カプコンの他タイトルで使われる「チェーンコンボ」や、アークシステムワークスの格闘ゲームで「ガトリングアタック」と呼ばれる通常攻撃から通常攻撃に連係するシステムは「熱血コンボ」、ガードキャンセルと呼ばれる、ガード中に反撃行動をする行動は「根性カウンター」、ゲージを使った超必殺技は「完全燃焼アタック」と言うふうに、兎に角名前が暑苦しい。

 そして、2vs2のチームゲーであることを活かしたシステムが「愛と友情のツープラトン」である。これは画面左下のゲージが2本以上ある時にコマンドを入力すると、長時間の無敵時間からの攻撃を行い、ヒットすると戦闘に参加していない控えキャラクターが乱入し、2人で同時攻撃を行う、というもの。攻撃内容は控えキャラクターによって異なり、シンプルに2人で同時攻撃を行うものから、体力ゲージを回復させるために整体マッサージやキスを行う、大ダメージを与える代わりに、プレイヤーキャラクターにもダメージを与えるという本当に協力攻撃か? という非情なものも存在する。

2ゲージを使って合体攻撃を行う愛と友情のツープラトン。得られる効果が違うため、オリジナルチームを組めるようになってからは対人戦の戦術性が広がるようになった

 また本作は、初代プレイステーションで発売された家庭用版により、大きく変化した。作品でもある。ストーリーのボイスつきデモの追加、新たなキャタクターの追加、家庭用オリジナルモードの追加により、さらに「青春」を駆け抜ける熱いゲームへと進化した。

 いま家庭用版をプレイしようと思うと、PS3/PS Vitaでのゲームアーカイブス版が現実的なところだ。しかし、「ストリートファイターV」では、「私立ジャスティス学園」のキャラクター「風間あきら」が参戦したこともあり、「ジャス学」イズムは受け継がれているように思う。本シリーズのリメイクや移植を期待したい。

家庭用オリジナルモードの人気を反映して、後に家庭用専売の続編が発売された。未だに語り継がれる名作ゲーム「私立ジャスティス学園 熱血青春日記2」である。続編の「燃えろ!ジャスティス学園」にもこのゲームのエッセンスが含まれている
「ストリートファイターV」に登場した「風間あきら」。一部の技で兄「風間醍醐」も登場する