【特別企画】
なぜ配信者たちは「スイカゲーム」に夢中なのか? 熱狂的ブームを呼ぶ落ち物パズルの"深すぎる"ゲーム性
2023年10月6日 10:43
- 【スイカゲーム】
- 2021年12月9日配信
- 価格:240円
2023年9月は「スイカゲーム」の月だった。ゲーム配信者たちがこぞって実況プレイを行い、ゲーマーたちのあいだで大流行を巻き起こすと、マイニンテンドーストアの「ダウンロードソフトランキング」1位にまで上り詰めたのだ。
同作は、かわいらしい顔が付いたフルーツをモチーフとした落ち物パズルの一種。2021年12月9日からNintendo Switchで配信されていたが、1年半以上の時が経った今になって、突如脚光を浴びている。一見すると子ども向けゲームに見えるものの、年齢を問わず多くのゲーマーが夢中になっており、ブームが過ぎ去る気配は一向にない。
なぜここまで人気が加速しているかといえば、それはひとえに、同作の完成度と中毒性があまりに高かったためだと言えるだろう。一体、何がそこまで人の心を捉えているのだろうか。
まさに「時間が溶けていく」恐ろしいゲーム性
「スイカゲーム」のメーカーは、家庭用プロジェクター「popIn Aladdin」を展開するAladdin X。元々はプロジェクター内蔵アプリだったが、ユーザーに好評だったことを受けて、Nintendo Switchでの配信を行ったという。
そんな同作が大ヒットするきっかけとなったのは、ゲーム配信者の界隈で熱狂的なブームが起きたからだ。OPENREC.tvの人気配信者「布団ちゃん」が人気に火をつけた後、さまざまな配信者が実況配信を行っていき、今やそのビッグウェーブは「にじさんじ」や「ホロライブ」の人気VTuberたちをも飲み込んでいる。
配信者たちが夢中になっている理由は、いくつも考えられるだろう。ゲームが苦手でも気軽に楽しめるシンプルさ。奥が深く、やり込めばやり込むほどハイスコアを狙えるゲーム性。耳に残るBGMやフルーツたちの豊かな表情もクセになってしまう。
「スイカゲーム」に触れたことがない人のために説明すると、同作は11種類のフルーツを組み合わせ、高得点を目指していくのが主な遊び方。そこでプレイヤーは「フルーツを落下させること」と「落下地点を決めること」、この2つの操作しか行う必要がない。しかしそれにもかかわらず、一度プレイすると止まらないほどに奥が深いから恐ろしいのだ。
基本的なルールから説明すると、フルーツはサイズがそれぞれ分かれており、同じものを2つ合体させると次の大きさへと進化を果たす。サクランボからイチゴ、ブドウと徐々に大きくなっていき、最終進化はスイカなのだが、途中で箱からフルーツがはみ出すとゲームオーバーとなる。
降ってくるフルーツの種類はランダムなので、上手く積み重ねていかないと、たちまち詰みを迎えることだろう。よくある詰みパターンとしては、底の方に進化しきれなかった小さなフルーツが溜まっていき、その上から大きなフルーツがフタをすることで、リカバリー不可能になってしまう現象がある。
さらに鬼門と言えるのが、挙動を予測しにくい物理演算だ。フルーツは進化する際に爆発的なエネルギーを発生させる…のかどうかは知らないが、隣り合っていたフルーツを勢いよく移動させたり、吹き飛ばしたりすることがある。とくに大きなフルーツの上は振動が伝わりやすいようで、気を抜けばすぐに大事故が起きてしまう。
人を夢中にさせるゲームは、思い通りにいく部分と、思い通りにいかない部分が絶妙なバランスを保っているものだが、「スイカゲーム」はその典型。次にどのフルーツを"ツモ"できるのかという運や偶然性の要素も絡んでくるため、ファンシーな見た目とは裏腹に、「麻雀」に似た面白さがあるとも言えそうだ。
「みんな」で作り上げるムーブメント
「スイカゲーム」は、ほかにもプレイヤーを虜にする要素を秘めている。それは一言でいえば、競技性の高さだ。
ゲーム内にはオンラインで記録された「スコアランキング」が用意されており、「本日」「月間」「総合」の上位スコアとランカーが表示される。そして「マイスコア」として自分のスコアも事細かに記録されているため、己との戦いに集中することも可能だ。
またゲームのなかで段階的な目標を見出せることも、競争心をかきたてる要因になっているのではないだろうか。あくまでプレイヤーが勝手に想像するハードルだが、最初は「メロンを完成させること」、次に「最終進化のスイカに到達すること」が疑似的な目標となり、その先には果てなきハイスコアへの挑戦が待ち受けている。
ハイスコアの基準としては、配信者とその視聴者たちのあいだで、「3000点」が1つの目安となっており、多くのプレイヤーがこの点数を超えることを目指しているようだ。これはスイカを1つ作るだけでは届かない点数だが、かといって初心者が到達不可能なほど難しいわけではなく、絶妙な難易度と言えるだろう。
攻略法の研究も日進月歩で進んでおり、「布団ちゃん」が提唱した「アップルシフト」のように、特殊な用語が出回ることも。ソロプレイのゲームでありながら、みんなで遊んでいるような感覚を味わえることが、大きな醍醐味となっている。ちなみに「アップルシフト」とは、フルーツの進化時に位置が微妙に変わることを利用し、任意の方向へと誘導するテクニックだ。
配信者のなかには、さっそく「スイカゲーム」の才能を開花させている人もいるので、上達を目指すうえで参考になるかもしれない。たとえばANYCOLORが運営するVTuberグループ「にじさんじ」に所属する不破湊さんは、9月26日に行った配信で、スイカを2個作るというチャレンジを実施していた。
当初の目標は惜しくも達成できなかったものの、"3000の壁"を大幅に超えた「3648」というスコアを叩き出すことに成功。これは配信が行われた時点で、当日付けの「スコアランキング」10位にランクインしたほどの好記録だ。
また、『ストリートファイター』シリーズで有名なプロゲーマー・マゴさんは、9月18日の配信で圧巻のゲームセンスを発揮。わずか3回目のチャレンジにして、「3063」という記録をマークしていた。
やって楽しい、見て楽しい「スイカゲーム」の底知れない魅力。240円(税込)と安価で購入できるので、ぜひともその中毒性を味わってみてほしい。
スイカゲーム ®