【特別企画】

「信長の野望 出陣」正式リリース記念! 九州・四国の名城を訪問して「出陣」を遊んでみた

古の職人たちが粋を凝らした島原城。安土桃山の技術を結集した絢爛たる姿!

 明けて2日目。次なる目標は、島原の乱で有名な島原城(長崎県)である。有明海を望む長崎県の最東端・島原市にある城で、徳川の天下が揺るぎなきものになった太平の時代に築かれたため、華美壮麗な趣を持つ。

 明治維新によって一度は解体されたものの、島原に住む人たちは城の復活を切望。その思いが実り、1960年には西の櫓が、続いて1964年には天守閣が復元された。いまや築城400年の節目となる2024年を目前に控え、歴史ファン・お城ファンからも注目されている城である。

【島原城】

 さて、熊本から島原まで陸路では150キロ以上あるが、フェリーを使って有明海を渡れば、わずか40キロ足らず。1時間もかからないので、移動中は「出陣」をプレイして出陣の準備を整える。また、昨日の教訓を活かし、途中でスマートフォンの充電が尽きてもいいようにモバイルバッテリーを購入した。

ログインボーナスにて必ずSSR武将が出現する登用札を獲得した。さっそく使ってみると……
まだ配下にしていない馬場信春をゲット! 武田信虎、信玄、勝頼の三代にわたって武田家を支えてきた猛将だ

 そうこうしているうちに、早くもフェリーは対岸の島原港に到着。が、だからと言って即座に城に向かうのは早計であろう。まずは周囲の商人や農民を助け、野盗や敵武将を倒し、何より拠点を落とすべきなり。港がある下川尻町の拠点に攻め込み勝利を収めたら、いよいよ島原城へ出陣だ。

長崎の地に上陸。周囲には敵武将や強者などが見える
味方部隊が敵部隊を全滅させ、合戦に勝利!
記念すべき長崎県で初となる領地獲得だ

 島原港周辺を平定した後、バスに乗り込んで島原城へ向かう。大手というバス停で下車して(現在、島原城に直通のバスはない)5分も歩けば島原の城郭が見えてきた。

 島原城は周囲を堀に囲まれた堅牢な作り。今でこそハスやアサザが群生して平和な雰囲気が漂っているが、攻城戦ともなければ堀を突破して城を落とすのはかなり困難だったのではないだろうか。

夏の青空のもと、松の梢越しに垣間見える島原城。堀にはハスや希少植物のアサザが生い茂っている

 入り口に近づくと、はつほが名城の近くに来たことを知らせてくれる。城をタップして名城図鑑に登録し、報酬の称号と小判をゲットした。

 ちなみに筆者がプレイしたバージョンでは未収録だったが、城を攻める攻城戦も近日中に公開されるとのこと。どのような戦いが展開されるのか、今から楽しみでならない。

報酬として獲得した称号は、プレイヤー情報からいつでも変更可能だ
城をタップすると、こんなメッセージが。島原城の攻城戦はどのように表現されるのであろうか

 城への道は平坦ではなく、カーブのかかった坂道になっている。熊本城の連続枡形などもそうだが、これは大軍が一気に攻めてこられないようにするためらしい。鋭角な曲がり角の多い連続枡形は突進の勢いを鈍らせ、島原城の坂道は兵たちの体力と士気を殺いだのだろう。

 そんな坂道を登っていくと、城のすぐそばに拠点を発見。さっそく合戦を挑み、城の周辺地域を自軍の領地とする。

こちらはSSR武将を中心に部隊を編成しているので、拠点の攻略戦は危なげなく勝利
偶然かもしれないが、城内に踏み入ると強者や敵武将、商人・農民などが増えた印象を受けた

 城周辺を領地に加えたら、いよいよ天守閣に登城。熊本城と同じく、島原城も入り口は地下になっていた。外観で言うと石垣になっている部分である。

 ここで面白いものを見つけた。記念メダルの販売機と刻印機なのだが、何ともレトロな趣がある。80年代のゲームセンターを知る者にとっては、ノスタルジーを感じずにはいられない。

どことなく80年代前半の大型筐体や両替機を偲ばせる風情が漂うメダル販売機
刻印機のモニターに浮かぶドット文字は、80年代のアーケードゲームさながらだ

 記念メダル販売機と刻印機へ別れを惜しみつつ1階へ向かうと、そこは多数のキリシタン資料が展示されていた。もともと島原城は、城主の松倉重政がキリシタンを弾圧したり、それに反発したキリシタンたちが城下町を焼き払ったりなど、キリシタンとの関連性が深い。キリシタンが信仰の対象としたクルス(十字架)や当時のマリア像などを見ることができた。

1階は思いのほか広く、貴重な資料が入ったショーケースが並んでいる
これは有名な踏み絵。領民にこれを踏ませてキリシタンかどうかを判断していた

 2階は、1階とは打って変わって武器や防具が展示された郷土史料展になっている。武具のほかにも貴重な書物、百人一首や貝合わせといった遊び道具、当時使われていた食器や酒杯などが並んでいた。また、島原城と城下町の様子が分かるジオラマ模型も設置されている。

島原藩の家老であった板倉家の甲冑。手前に見える棒状のものは、参勤の際に使う槍である
周囲にぐるりと堀を巡らせた島原城の様子が見て取れる

 3階は、当時の庶民たちが生活するための道具を集めた民俗展。それ以外にも十手や鎖鎌や火縄銃など、やや近代的な武器も数多く見られた。

 そして4階は島原の特産品と、兄弟都市・姉妹都市に関する紹介がメイン。展示物に加えて、簡単な物販コーナーもある。

時代劇などで岡っ引きや下っ引きが使う十手。武器にするだけでなく、警察手帳的な身分証明の役割も兼ねていた
火縄銃は思っていたよりも銃身が長い。短筒(当時のピストルのようなもの)でも約30センチ前後ありそうだ

 最上階の5階は言うまでもなく展望所。島原の市街地はもちろんのこと、雲仙普賢岳の近くにある眉山、さらには海を越えて熊本の山々まで望むことができる。

最上階からの眺めは、熊本城に負けず劣らず素晴らしい

 こうして1時間余り天守閣をめぐって外に出ると、時刻は正午過ぎ。ゲームでは、遠征に出ていた武将が帰還していた。

 遠征は、離れた位置にある拠点を攻略できる便利な機能。たとえば、10キロも20キロも離れた位置にある拠点へ徒歩で進軍するのはさすがに時間が掛かる。そんなとき、この機能を使えば一定時間後に遠征した武将が目標の拠点に到達。以降は、いつでもその拠点に合戦を仕掛けられるようになるのだ。

 その後は、城の敷地内を散策。歴史上の偉人を象ったアルミやブロンズの像あり、2段構造になったのどかな梅苑あり、籠城戦が偲ばれる当時の瓶や石の水道管ありと、天守閣以外にも見どころが多い。また、巽の櫓(西望記念館)には文化勲章を受章した彫刻家・北村西望の作品が、丑寅の櫓(民具資料館)には明治から大正にかけての庶民の道具が展示されていた。

300本近くの梅の木が並ぶ古野梅苑。梅を見ると「梅酸渇を医す」の故事を思い出すのは筆者だけではあるまい
天守閣から南西に位置する西の櫓では、全国各地の城の絵やコケシが展示されていた

 城内を一通り巡り、ゲーム内でも周辺の平定を終えたので、城をあとにして宿泊先へ向かう。島原城から宿泊先までは500メートル足らず。ゲームをさらに進めるためにも、もちろん徒歩で移動する。

城を出たところで豪商を発見。タップすると、金銭や資材に加えて指南書も手に入る
委任モードにして歩いていると、いつの間にかミッション達成の報酬が大量に溜まっていた
宿泊先である今川町の拠点を制圧。領地を広げるとプレイヤーレベルが上がり、便利な機能が解放されていく
夕餉を取りに町へ出ると、そこにはライトアップされた島原城が! 写真では伝わりにくいが、これを見るためだけに島原に来てもいいほど美しい