【特別企画】
「ソニックフロンティア」レビュー
オープンワールド風のアクションと、おなじみのハイスピードアクションを両立させる事に成功した大傑作
2022年11月7日 23:00
- 【ソニックフロンティア】
- 発売元:セガ
- 開発元:セガ
- ジャンル:新境地アクションアドベンチャー
- プラットフォーム:PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Steam)
- 発売日:11月8日
- 価格:
- 通常版 6,589円(税込)
- デジタルデラックス版 7,689円(税込)
- CEROレーティング:A(全年齢対象)
広大な島を自由に走り回り、ジャンプ台で飛んだり、レールを疾走し、縦横無尽に島をかけぬけるオープンワールド的な遊び方と、これまでの「ソニック」シリーズにあったような超高速でステージを走り抜ける王道のソニックアクションを楽しめる遊び方。それをミックスさせたのが本作「ソニックフロンティア」だ。
本作は「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズを開発してきたソニックチームが、野心的なチャレンジをした作品。これまでの「ソニック」といえば2Dの横スクロールアクションの時代から、最近の3Dのアクションまで、例外はあるものの、基本的には「超高速でステージを走り抜ける爽快感」というところにゲームの楽しさがあった。
だが今回はオープンワールド的な要素として、ステージ選択時に使用されていたワールドマップ自体に遊びを拡張した遊べるワールドマップ「オープンゾーン」をゲームの中心に持ってきている。そのチャレンジは勇気のいることだったと思うし、多くの困難があったのだと思う。だが本作をプレイした筆者はそのチャレンジは本当に大成功だったと思っている。
「ソニック」らしい爽快感があるアクションが楽しめるのはもちろん、ただのオープンワールド的な遊びでなく、ソニックのアクションを使ったオープンゾーンの遊びが楽しめる。それでは詳細について語っていきたい。
探索する喜び。ソニック×オープンゾーンの遊び
「ソニックフロンティア」は、高速アクションがウリの「王道のソニックアクション」と、オープンゾーンの探索、謎解き、キャラクター強化ができる「新感覚のソニックアクション」が合わさった作品だ。
冒険する舞台となるのは誰からも忘れられた島「スターフォール諸島」。スターフォール諸島はいくつかの島に分かれており、今回はプレイ時間の都合で最初の島「クロノス島」の探検だったが、この島だけでもかなりのボリュームがあるように感じた。
オープンゾーンの要素として、広大な島の中を自由に探索できるところにある。島の中には様々なオブジェクトが配置してあり、「ソニック」らしい複数台のジャンプ台を使って遠くの足場へ行ったり、足場から足場に乗り移ったり、レールを疾走することもできる。
島には、従来のクリア型のステージを遊べる「電脳空間」へつながる「ポータル」や、謎解きをする「ギミック」、ストーリーの進行に影響する「エメラルドデバイス」という建造物があり、これらを探したり、アイテムを集めていくのがオープンゾーン部分の基本的な遊び方だ。
島には収集アイテムが散らばっており、スキルを覚えるのに必要なポイントを得られるもの、NPCに持っていけばソニックの攻撃力が上がるもの、防御力が上がるもの、ソニックの最高速度やリング取得の最大個数を上げるものなど様々である。
一部のアイテムは隠されていたりするが、ジャンプ台に乗ってみたり、建物の影を見てみるなど、色々試してみるとアイテムが見つかりやすいだろう。
「ソニックに防御力?」と思われた読者もいらっしゃると思う。攻撃力は読んで字のごとくして、ピンと来ないのが防御力だ。これまでのソニックは、敵に接触したりすると、所持しているリングをすべてばら撒いてしまい、所持しているリングが0枚のときにもう一度敵に当たるとミスになるという仕組みだった。
「ソニックフロンティア」でも基本は一緒で、敵に当たったりダメージを受けると周囲にリングをばら撒いてしまう。だが違うのは、ばらまいてしまうのは所持しているリングの一部ということだ。
1度ダメージを受けても所持リングは一定数残る、そのため所持しているリングの枚数によっては複数回の攻撃に耐えられるのだ。
防御力はこのときのバラ撒いてしまうリングの個数に影響する。具体的には防御力が高い時はばらまかれるリングの数が少なめになるのだ。
これはソニックの成長要素を、ソニックならではの敵からダメージを受けるとリングをばら撒いてしまうというシステムと融合させる非常にいいアイデアだと感じた。
成長要素は他にもある。ソニックがスキルを獲得し、新しいアクションができるようになるというものだ。スキルポイントを獲得するには、敵を倒すことや、島に隠されている、スキルピースというスキルポイントのかけらのようなものを入手していけば集められる。
入手はかなり容易なので、わざわざ狙って集めなくても島を探索していれば自然に獲得できるだろう。
スキルには敵にダメージを与えるアクションもあれば、直接ダメージを与えるものではないが、冒険が便利になるものもある。
スキルはツリー型になっているので、どこからスキルをアンロックしていくかも楽しみの1つだ。
超巨大ボスとの戦闘はインパクト抜群。それぞれのボスごとに戦い方も異なる!
序盤にできる攻撃は、ボタンを連打しているだけでコンボが発生するという比較的簡単なものだ。とは言っても敵の攻撃を回避しなければコンボはキャンセルされるし、リングをばら撒いてしまう。簡単だが何も考えずにプレイできるわけではない。
そして近くの敵に視点をあわせてホーミングするアクションはこれまでの作品同様に用意されていて、敵を倒すだけでなく、遠くへ移動する時や高いところに移動するときに使用するテクニックは健在だ。
また、スキルを覚えると遠くから「ソニックブーム」を連発して攻撃するアクションも覚える。接するとダメージを与えてくる敵が序盤に出現するのだが、少し離れたところから攻撃できるのでノーダメージで倒せるようになる。
アクションとスキルの組み合わせで戦い方に幅があるのが本作のオープンゾーン部分の遊び方だ。
そしてフィールドには巨大なボス(守護神)も出現する。今回のプレイでは3体のボスと出会ったのだが本当に巨大で、ソニックと比較するとソニックが驚くほど小さく見える。
筆者が度肝を抜かれたのはASURAという超巨大なボスだ。見上げると高層ビルにも相当しそうなほどの巨大さだった。そして弱点はそのボスの最上部にある。
いくらのソニックでもさすがに地上から最上部までジャンプすることはできない。
ではどうするか。それはボスの側面を駆け上るのである。今回のソニックは直角に近い壁をよじ登ったり、壁走りで登ることができる。
このボスは攻撃のタイミングで腕を振り下ろす、これが攻撃のタイミングだ。勇気を出してボスの腕に向かっていくとほぼ直角のその腕の部分をいっきに登っていける、落ちることなく走りきればそこはボスの頭上、そのまま弱点をめがけて攻撃をしかければダメージを与えられるという仕組みだ。
ほかの巨大ボスも一筋縄では行かない曲者揃いで、オープンゾーン部分のバトルという遊びの魅力がより増していると感じた。
ちなみに巨大ボスや雑魚は出会ったら必ずしも戦わなければいけないわけではない。リングが少ないから一度集めてきて再度挑戦する、ということも可能だ。これもまた今までの「ソニック」にはない感覚だろう。
もちろんおなじみのソニックアクションは健在。期待通りハイスピードパートが楽しめる
ここまでオープンワールド的な遊び方について詳細を語ってきたが、本作にはもちろんこれまでの「ソニック」にもあったような、“ソニックアクション”的なステージもある。
これはオープンゾーン部分にある「ポータル」という建物が入り口になる。巨大ボスなどを倒すと、ポータルギアと呼ばれる歯車のようなアイテムが手に入り、それを一定数集めるとポータルの中に入り「電脳空間」、要するに従来のようなアクションステージに飛び込めるというわけだ。
そしてこのアクションステージをクリアするとエメラルドキーが手に入る。これもオープンワールド部分と密接につながっている。ここで集めたエメラルドキーはストーリーの進行に影響する、「エメラルドデバイス」の解放に使用するからだ。
そして1つのステージでは最大5個のエメラルドキーが入手できる。各ステージごとにミッションが表示されており、このミッションを1つ達成すればエメラルドキーが1つ入手できるという具合だ。
ミッションの例を挙げると「ステージをクリアする」というものや、「リングを一定個数以上持ってゴールする」、「設定されているタイム以下でゴールする」などがある。
とりあえずゴールすれば1個は確実に入手できるし、まったくの初見プレイでも2個程度、複数回繰り返せば3個くらいまでは入手できる印象だ。
だが完全にコンプリートするとなると、それなりの回数を練習しなければいけないくらいの難易度に感じた。それならば複数のステージをプレイして、簡単なミッションを攻略して、エメラルドキーを集める方がゲームの進行は簡単だろう。
こういった自由度もまたオープンワールド的な遊び方の良さだと感じた。
このオープンゾーン部分の遊び方がとにかく面白く印象に残ったのが本作のプレイ後の感想だ。ソニックらしさは損なわず、オープンワールド的な遊びとミックスさせて両立している。これは新時代のソニックと読んでも過言ではないと思う。もちろん従来にもあったような3Dアクション部分は期待を裏切らない出来で、そのスピードの速さから意識が画面に吸い込まれるようにプレイしてしまった。とにかくそのくらい面白くすべてのアクションゲームファンを納得させる出来になっている。
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