【特別企画】

Switch版「ニーア オートマタ」インプレッション。Switch版でも滑らかな手触りはほぼ変わらず!

持ち歩きたい人にも、これからプレイしたい人にもオススメの1本に

【NieR:Automata The End of YoRHa Edition】

10月6日 発売予定

価格:5,280円(税込)

 10月6日発売予定の「NieR:Automata The End of YoRHa Edition」(以下、「オートマタEOY」)は、全世界で大ヒットとなったアクションRPG「NieR:Automata」の Nintendo Switch版で、開発会社はVirtuosとなっている。

 基本的なゲーム内容に変更点はないものの、Switch版限定の無料DLC「6C2P4A118680823」が付属しており、6種類のコスチュームと4種類のアクセサリーのほか、Android/iOS用RPG「NieR Re[in]carnation」に登場したキャラクターのポッドスキンも2種類追加される。

 本稿では、Switch版ならではの見どころについて紹介しよう。

【NieR:Automata The End of YoRHa Edition / #ニーアオートマタ ジ エンド オブ ヨルハ エディション: #TGS2022 トレーラー】

まずはSwitch版ならではの部分を紹介

 まずグラフィックスだが、Switch版の解像度はTVモードで1920x1080(テーブルモード/携帯モードは1280x720)と、PS4 Pro版などと比較しても遜色のないものとなっている。

これは実際の画面だが、特に気になる部分もないはずだ

 もちろん、全く変わらないかというとそうではないのだが、Switch版として非常に見やすく最適化されている、というのが正しい表現だろう(なお今回はSwitch版のTVモード、テーブルモードでそれぞれプレイしている)。

 テレビモードで大画面などでプレイしていると若干ざらつきのようなものは感じるものの、それも大して気になるほどではない。テーブルモードの場合であれば全く気にならないと言っても過言ではない。

PS4版とほぼ変わりない出来栄えには感動する

 フレームレートも60fpsから30fpsになっているとのことだったが、筆者の場合は回避だけオートモードに頼るようなEASYでのプレイのため、こちらも全く気にならなかった。むしろこのゲームを、よくここまでカクつくことなくSwitchで動かせたなという、驚嘆の声が漏れるほどだ。

 もちろん、VERY HARDでやり込むような猛者の場合、やはり30fpsになっていることへのジレンマもあるだろうと思うが、「いつでもどこでも持ち歩きたいほどプレイしたいか、アクションの快適性を選ぶか」については個人の自由である。

 これについては個人の主義と主義との戦いになる部分だが、筆者の見解としては、どうしてもアクションゲームとして1フレームを重要視するようなプレーヤーであれば他ハードでプレイすればいいし、もう少しライトに割り切れるのであれば本作をプレイしてみればいいだろうというところである。

オートを全てオフにしてのプレイもチャレンジしたが、難易度HARDくらいまでは特に大きな変わりもなくプレイできるのではないだろうか

 強いて挙げるならば、若干落ちているアイテムなどが遠くから見えにくくなったような気もするが、元々草むらなどに落ちているアイテムは遠くからではわかりにくかったため、気のせいだと言われればその程度のものだ。

 個人的な主観ではあるが、グラフィックス問題なし、バトル問題なし、音楽はもちろんそのままなので最高、というのが本作を触ってみた印象である。

シューティングパートももちろん問題なし。非常に快適に遊ぶことができた

Switch版で初めてプレイするという人に

 さて、本作で初めて「オートマタ」の世界に触れてみる、という人もいるだろう。改めて、「NieR:Automata」の魅力について少しだけだが語っていきたい。

 本作は西暦11945年の地球が舞台で、人間とエイリアンの間で地球を巡っての機械戦争を描く作品だ。とは言っても、実際に人とエイリアンが戦うのではない。主人公の2Bや9Sたちは月に疎開した人間によって作られたアンドロイドで、エイリアンたちは機械生命体を産み出し、アンドロイドVS機械生命体という構図で戦争が行なわれている。つまり我々プレーヤーは、人間のキャラクターではなくアンドロイドである2Bらを操作し、そして機械生命体を打ち破るのが目的だ。

 2Bらがアンドロイドであるということによって一番“不自然”ではなくなるのは、彼らのアクロバティックな動きである。例えば、空中でくるっと回転してジャンプするところ、そしてジャンプの高さなどはもちろん、バトルでの武器の振り、回避、ダッシュといった、人間からは大きく外れた身体能力の高さは全て「アンドロイドだから」で解決することができる。むしろ彼らがアンドロイドだからこそ、自然とかっこいい動きができて、そしてそれを受け入れられるプレーヤーがいるのだ。

 そんな、アクションがかっこいい本作だが、それだけでは世界的な大ヒットにはならないだろう。では本作の何がウケたのか? それはドラマチックな物語にもある。物語についてはほぼ全てがネタバレになってしまい、そのネタバレが本作を台無しにしてしまいかねないため、詳細は語れない。だが、全世界の人を虜にした理由のひとつに本作のストーリーは切っても切り離せない。

「楽しいんです」という9Sに、2Bは無感情に「感情を持つことは禁止されている」と返すが……

 2Bと9Sの物語がどう進んでいくのか、それをここで語ることはできない。だが、抽象的な言葉で述べるならば、”美しい”の一言に尽きる。ただ、これが何を指して美しいと言っているのかは、どうか自身の手でプレイしてみてほしい。アンドロイドという生き物が美しいのか。洗練された所作が美しいのか。世界が美しいのか。はたまたもっと違う美しさがあるのか。あるいはそれら全てが美しいのか。ご自身の目で確かめてみてほしい。

「オート」モードが充実しているので誰でも遊べる

 こちらも今さらの紹介になるが、本作は「EASY」モードでスタートすると、最初から様々なオート機能が搭載された状態でプレイすることができる。

 攻撃から何から何までオートでやってくれ、かつボタン入力をすればこちらの好きなようにも動かせるという、アクションゲームが苦手でも快適に遊べるモードなのだが、中でも特筆すべきは、やはり「オート回避」だ。

 オート回避はその名の通り、回避行動をオートでしてくれるというもので、アクションゲームが不慣れな人でも誰でもクリアまで導いてくれるという非常に優秀な機能となっている。筆者も半分はこのオート回避のおかげで、トロコン(PS4版)まで辿り着けたようなものだ。

 「アクションゲームは苦手なんだけどストーリーは知りたい」という人こそ、オートモードを活用してほしい。オートモードはZLボタンで簡単にオンオフできるため、「慣れてきたから少しオートモードを切ってみよう」、「切ったらやっぱり難しかったのでオンにしよう」というような切替もすぐにできる。

オート回避にしておくと、ほぼダメージを受けないので、回復薬が節約できるのもいい。とはいえ、オート回避も万能ではないため、全くのノーダメで進むことはできない

 もちろんアクションに自信のある人は、NORMAL以上の難易度でチャレンジしてほしい。Switch版の移植には関わっていないものの、「オートマタ」はアクションゲームに非常に定評のあるプラチナゲームズが制作したゲームのため、アクション好きな人も納得のバトルを味わうことができるはずだ。

一方であえてオートではない部分も……

 今時にしては珍しく、本作はセーブはセーブポイントでしか行なえない。最初にわざわざ「オートセーブには対応していない」と注意書きが現われ、またセーブ方法については自身で探してほしい、との旨まで書かれている。

 オート機能が非常に充実しているかと思いきや、いきなり時代に逆行したかのようなシステムが飛び込んでくるため、戸惑いも大きいだろう。

 セーブ方法についてもここでは語れないものの、無意味にそうしているのではないのだということは、きっとゲームを進めていくうちに理解するはずだ。

ゲームらしい丁寧さと、ゲームらしい不自由さが融合している

 本作を改めてプレイして感じたのは、オートモードの充実のような”ゲームらしい丁寧さ”と、一方で手作業でなければならない”ゲームらしい不自由さ”の融合だ。

 オートモードに限らず、アンドロイドの能力を大きく引き上げる「チップ」に至っても、「バランス優先」、「攻撃優先」などを選べば自動でセットしてくれるような便利機能も搭載されている。だが、便利機能ばかりに頼ってゲームが進められるかというと、そうではない。むしろ本作はバトル以外の部分の大半が少々厄介だったりするのだが、それこそが「自分でゲームをしている」と感じさせられる部分であり、いいバランス感なのだ。

もちろん、バトルをオートモードに頼らなければ、より一層ゲームが楽しめるのは間違いない。アクション上級者よ、来たれ!

 言ってしまえば、5年前、筆者が「オートマタ」を初めてプレイした時、本作がここまで多くの人に受け入れられるとは思っていなかった。それは丁寧さと不自由さの混在がもっと人を選ぶゲームだと思っていたからに他ならない。だが、世界はそう受け取らなかったのだ。それこそが、本作への解の全てと言えるだろう。

 筆者が本作に惹かれた理由は、まだまだ山のようにある。その中でも最も重要なストーリーについては語ることができなくて残念だが、ストーリーこそプレーヤー自身の手で紡いでほしいものである。

 手の間をすり抜けて落ちてゆく砂を留めることはできないように、プレーヤーは零れる涙を押し留められない瞬間がきっとくるだろう。その瞬間が、どこだかはわからない。恐らく、いくつもある。それが悲しいからなのか、嬉しいからなのか、あるいは寂しさなのか、感動なのか、人によって涙の瞬間も意味も違えば、全ての涙を流す人もいるだろう。実は、そうあってほしいと願う、筆者のエゴなのかもしれない。

 このゲームが5年間愛されてきた理由を知るためにも、まだ「オートマタ」をプレイしたことがないという人にはぜひ本作を手に取ってみてほしい。もちろん、本作を深く深く愛しているファンも、納得の一品である。

通称「イクラ」とも呼ばれている弾幕が、美しい。

 本稿では極力”ネタバレに触れない”というポリシーで書いているため、DLCについてもあまり深く触れていないが、様々な着せ替え衣装なども「ニーア」シリーズのファンには垂涎ものだ。

「ソウルキャリバーVI」、「FINAL FANTASY XIV」など様々なタイトルに登場した色違い衣装の2Pと9P
ポッドの姿が「NieR Re[in]carnation」に登場するママと運送屋の姿に変身
無料DLC「6C2P4A118680823」追加コスチューム

・複製サレタ2Pノ義体(2B)
・複製サレタ9Pノ義体(9S)
・複製サレタP2ノ義体(A2)
・ヨルハ制式装束・壱(2B)
・ヨルハ制式装束・弐(9S)
・ヨルハ制式装束・試作(A2)
・白狐の面
・黒狐の面
・月下の花飾り
・残英の花飾り
・ママ(ポッド042用)
・運送屋(ポッド153用)

 DLCの画像すらネタバレになりかねないのが、本作である。可能であれば、本作で初「オートマタ」を考えている人は、DLCとはいえどこれ以上の画像は見ないほうがいいだろう。

 それこそ5年前にプレイしたきり、という人にとっても本作は思い出を振り返るにちょうどいい。ぜひ、改めて「オートマタ」の世界に触れてみてほしい。