【特別企画】
ボルテージは最高潮! 「RAGE VALORANT 2022 Spring」イベントレポート
総来場者数1万3千人超え、熱気に包まれた2日間
2022年5月11日 00:00
- 【RAGE VALORANT 2022 Spring】
- 5月7日、8日 開催
eスポーツ関連イベントが、コロナ禍の沈黙を経てパワーアップして帰ってきた!
5月7日~8日の2日間、大型オフラインイベント「RAGE VALORANT 2022 Spring」が、東京ガーデンシアターという約7,000席規模の会場で開催された。チケットの発売からわずか1時間でアリーナ完売という情報は耳にしていたものの、百聞は一見に如かずとはよく言ったもので、実際に目の当たりにしなければ実感できないような、壮大な景色がそこには広がっていた。
本稿では、本イベントの雰囲気を読者の皆様にわかりやすくお伝えするため、時系列順で記していくが、個人的にはDAY2が大変印象深かった。というのも、女性ライターである筆者にとって非常に居心地のいい場所となっていたからである。女の子たちが応援ボード片手に身だしなみを整え、ドキドキしながらプロゲーマーとのグリーティングの順番を待つ姿は、まさに15年前に韓国で筆者が体験してどハマりしたeスポーツ文化そのものであった。日本もようやくここまで来たか、と感激を胸に、思わず目頭が熱くなる。
なお、今回のイベント「RAGE VALORANT」は、ライアットゲームズが開発・運営する5対5のタクティカルFPS「VALORANT」に関連するストリーマーやプロゲーマーが出演するオフラインイベントで、「RAGE」(CyberZ、エイベックス・エンタテインメン、テレビ朝日の3社協業)が主催している。弊誌では、事前に「RAGE」総合プロデューサー・大友真吾氏のインタビューも実施。イベントのコンセプトなどが気になった方は、そちらもあわせてご覧いただけるとより理解が深まるだろう。
DAY1「ストリーマーオールスター」人気配信者10名による夢のオフライン集結!
まずはロビーの様子から。入口正面には今回のイベントに出演するストリーマーの看板があり、フォトスポットとなっていた。向かい側にはRAGEオリジナルグッズの販売所を設置。「RAGE VALORANT」オリジナルグッズとあって長蛇の列ができていた。IO DETAのゲーミングモニター「GigaCrysta」のブースではGALLERIAのPCを使用しての「VALORANT」プレイ体験を実施。レッドブルも特設ブースにてエナジードリンクの配布を行なっていた。
DAY1のステージには「VALORANT」配信で人気を博している10名のストリーマーが登場。普段は配信を主戦場とするメンバーがオフラインで一堂に会する光景は、まさにお祭りといった雰囲気である。
最初に行なわれたのは「レプリケーションマッチ」。同じチームの5名が同じエージェントを使用する特殊なモードである。ただでさえカオスな戦いが予想されるなか、ヨルのデコイが大量発生したりキルジョイのロックダウンが連続発動したりと、ストリーマーらによる面白プレイに会場は大盛り上がりだった。
続いて「来場者参加型ミックスマッチ」が行なわれた。抽選で選ばれたラッキーな来場者がストリーマーらとチームを組んで一緒にプレイできる、まさに夢の企画である。今回は10名のストリーマーが3名ずつに分かれ、2名の来場者と同じチームに。MOTHER3さんだけが4名の来場者とチームを組むこれまたカオスな展開だったが、実力を発揮し見事チームをキャリーした。また、この大舞台でACEをとった強心臓の来場者も。試合後のインタビューで「言葉に表せないぐらい嬉しかった」と笑顔を見せていた。
最後は今回の目玉とも言える「オールスターエキシビション」。チーム分け抽選では最上位ランク「レディアント」のJasperさん、SurugaMonkeyさん、MOTHER3さんがチームBLUEになってしまったものの、ハンデをつけてそのままのチームで試合を敢行。しかし結局ハンデをものともせず、チームREDを圧倒して勝利した。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、そろそろお別れの時間。ストリーマーたちは異口同音にオフラインイベントの良さを語りつつ、会場を訪れた観客に向けて感謝を述べた。観客も、コロナ禍で控えざるを得ない声援の代わりにスティックバルーンや応援ボードでストリーマーへの想いを表現していた。
配信終了後、会場ではサプライズでストリーマーによるお見送りを実施。DAY1はブースでの交流がなかったのもあり、ストリーマーを間近に見て感激している人たちも多かった様子だ。立ち止まれないのでほんの一瞬なのだが、それでも精一杯の「大好き」を伝える姿にストリーマーたちも懸命に応えていた。
DAY2「VCTオールスター」国内トッププロゲーマーが魅せるハイレベルなプレイ
DAY2はプロゲーミングチームによる特設ブースが設置された。ブース内での活動内容はチームによって異なる。今回一番の目玉はやはり、世界大会3位の偉業を成し遂げたZETA DIVISION(以下、ZETA)のブースである。2階フロアに単独で設置されたZETAブースでは物販のみ実施されたが、先着順の整理券を手にするために会場には朝から長蛇の列ができていた。
1階ロビーに特設ブースが設けられたのはCrazy Raccoon、REIGNITE、FAV gaming、IGZIST、REJECTの5チーム。グリーティングのみ実施したチームもあれば、物販も同時に行なったチームもあった。サインを書いてくれるチームもあれば、差し入れや手紙を渡せるチームもあり、貴重なチャンスとあってブースは大いに賑わった。
DAY2のステージは「ZETA DIVISIONトークセッション」からスタート。アイスランドから帰国後、初めて公の場にそろって姿を現わすということで注目が集まった。MCの進行にしたがって「一番思い出に残っている試合」や「戦ってみてズバ抜けていた選手」などの質問に丁寧に回答。さらには食事の問題や「VALORANT Champions Tour(以下VCT)」の裏話まで披露した。最後に一人ずつ応援してくれたファンへの感謝の気持ちを述べて、コーナーは締めくくられた。
続いて行なわれたのは「来場者参加型ミックスマッチ」。DAY1同様、抽選で選ばれた来場者がプロゲーマーとチームを組んで一緒にプレイできる夢の企画である。今回はTeam AからTeam Dまでの4チームに分かれて実施。参加者たちは「緊張したけど楽しかった」、「グータッチできて嬉しかった」などの感想を口々に述べていた。なかにはプロゲーマーから直々に「レディアントに行けるんじゃないか」とのお墨付きをもらった参加者も。
最後に注目の「オールスターエキシビション」が行なわれた。15名のプロゲーマーが抽選によって3チームに分けられ、総当たりで対戦。多少のお遊びマッチもあるのかと思いきや、プロならではのガチマッチが展開された。それでも元チームメイトで組むことになったり、現チームメイトを相手に戦ったりする姿はオールスターならではと言えるだろう。ネオンやフェイドなどの新しいエージェントもピックされ、今後の「VCT」への期待感も高まるような内容だった。
実は今回、急きょウォッチパーティが実施され、k4senさんと鈴木ノリアキさんが現地で配信を行なっていたのだが、インターバルにサプライズで登場し会場を沸かせていた。
3チームの総当たりを終え、とうとう今回のイベントも終わりの時間である。選手たちはそれぞれ思い思いに感想を述べた。そしてこの日も観客席からは応援ボードでアピールしている人たちがたくさんいた。ほんの一部ではあるが、誌面でも紹介しておきたい。
最後に、「RAGE」総合プロデューサーの大友真吾氏が登壇した。来場者へのお礼を述べるとともに、なんと「RAGE VALORANT」の今秋開催決定を発表。またこのオフラインイベントが体験できるのだ。そんな次回への期待に胸を膨らませつつ、今回のイベントは幕を閉じた。
新時代到来の予感……!スターダムにのし上がったストリーマーとプロゲーマー
国内における大型eスポーツ関連イベントは過去にも複数回の開催実績があるが、今回の「RAGE VALORANT」は、日本のeスポーツにおける有料イベント史上最多の動員観客数を達成したという。
しかしそれ以上に今回特筆すべきことは、観客の熱量にあると言いたい。先着順の物販の整理券を求め朝早くから列に並ぶ人、ステージ上から見てもらいたい一心で目立つ応援ボードを事前に制作し掲げる人、目の前の憧れの存在を自分の端末に収めようと夢中でスマホを操作する人、自分の思いをつづった手紙を添えてプレゼントを手渡しする人。これは熱心な一部の層の話ではない。こういった行動に出ていた人が珍しくないというのは、現地にいれば一目瞭然であった。
また、これまで女性の間ではストリーマー人気が高かった印象だったが、今回はっきりとプロゲーマー人気が高まっていることが体感できた。筆者がそれをはっきりと感じたのが女子トイレ。DAY1では比較的ゆったりと快適に使えていたトイレが、DAY2ではメイク中の女性たちでごった返していたからである、という女性ライターにしか書けない証言をあえて書き残しておこうと思う。
ストリーマー人気からスタートした日本のゲーム配信文化だが、その人気はそのままに、eスポーツ観戦の楽しさも徐々に人々に伝わっていた。「VALORANT」に関して言えば、人気ストリーマーが「VCT」のミラー配信で、視聴者にeスポーツの楽しさを伝えたことも大きいのではないだろうか。今回のイベントはエンタメ要素の強いものであったが、この調子であれば「VCT」のオフライン大会実施なども可能性が見えてきた。日本でのオフライン大会が大成功を収めれば、国際大会の誘致などもいよいよ現実味を帯びてくる。日本のeスポーツの新たな可能性を期待せずにはいられない。
© RAGE