【特別企画】
”もうちょっと”が止まらないアクションパズル 「バルダーダッシュデラックス」先行プレイレポート
懐かしさのあまり約40年前の88版「バルダーダッシュ」も引っ張り出して遊ぶ
2021年9月9日 00:00
- 【バルダーダッシュデラックス】
- 9月9日 発売
- 価格:1,520円~(税込)
ワーカービーとBBG Entertainment GmbHは、Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/PC用アクションパズルゲーム「バルダーダッシュデラックス」を9月9日に発売する。価格は各ストアにて1,520円~(税込)。
本作はプレーヤーが主人公のロックフォードを操作し、洞窟内を掘り進みながらジェムをゲットして出口を目指すという、1984年に発売された「バルダ-ダッシュ」を現代風にリメイクした作品だ。今回は本作のPC版を一足早くプレイする機会を得たので、そのレビューと同時に、当時国産機に移植されたバージョンの「バルダーダッシュ」を合わせて紹介していこう。
1984年当時、130万ドルもの契約金が動いた!
オリジナル版の「バルダーダッシュ」が登場したのは、1984年のこと。当時ATARI社から発売されていた8ビットパソコン・ATARI800向けタイトルとして、アメリカのFIRST STAR SOFTWAREからリリースされている。これに対して、アメリカのMicro FunがApple Computerのパソコン・Apple IIなどへの移植権利料として130万ドルの契約金を提示。この時、国内で販売された国産機版「バルダーダッシュ」のパッケージ裏面に「史上最大の巨額なライセンス料支払いで全米の話題を集めた」と記されていたことから、アメリカでも旋風を巻き起こしたタイトルだったのがわかる。現在のレートとして1ドル=110円で換算すると、日本円で約1億4,300万円となるのだから、そのビッグスケールが伺えるというものだ。
この後、“Apple II用にリリースされていた良質なアクションゲームを国産パソコンに移植する”ソフトハウスとして誕生したコンプティークにより、Apple II版をNECやシャープ、富士通などが販売していたパソコン向けに発売したのが国産機版の「バルダーダッシュ」となる。
その「バルダーダッシュ」が、基本ルールは同じながらも、各種要素を追加して現代に蘇ったのが「バルダーダッシュデラックス」だ。プレーヤーは主人公のロックフォードを操作し、洞窟内を掘り進みながら時には落ちてくる岩石をかわして、また追いかけてくる敵に捕まらないようにしながら、ジェムを決められた数以上回収の後に出口に到達すればステージクリアとなる。基本的には、ロックフォードに敵を攻撃する手段はないため、倒したい場合は落下してくる岩石やジェムを利用する必要があるのだ。
筆者は、1985年にNECのパソコン・PC-8801で「バルダーダッシュ」を遊んで以来のプレイとなるため、ルールなどは綺麗さっぱり忘れている。何となく覚えていたのは、上から落下してくる岩石に潰されるとロックフォードが死んでしまうことくらい。そんなわけで、新鮮な気持ちでプレイを始めてみた。
起動後の初プレイでは遊べるステージは限られているので、まずは唯一選択可能なマクマルヌア海をセレクト。各ステージには20のレベルが用意されており、最初からロックが解除されているのはそのうちの1-3まで。それらレベルを1つクリアするごとに、4レベル以降がアンロックされていく仕組みだ。
早速レベル1を選ぶと、全景の表示と共に説明が入る。ステージには重力の法則が働いていて、岩石やジェムは下を掘ると落ちてくるとのこと。画面上部には各種情報が並んでいて、そのうち重要なのが集めるべきジェムの数を示している部分と残りタイムだ。レベル1では0/5とあるので、残りタイムが0になる前にジェムを5つ以上集めて出口に入ればクリアとなる。
残りタイムが0になったり敵に接触、岩石に潰されるとミスとなり、レベルの最初からやり直すか、ゴールドバーを消費して時間を60秒追加し継続するかを選ぶことに。手間のかかる広大なレベルだったりシビアな操作を要求される場合、やり直しでは心が折れてしまうこともあるため、続けられるシステムが用意されているのはありがたい。
ゲームをプレイしていて驚いたのが、ロックフォードの動きのスムーズさ。曲がりたい場所のほんの少し手前でその方向のキーを入力すれば、そちらへと滑らかに移動してくれる。そのため、岩石が落ちてきて焦っているときなどでも、“ひらり”という感じで上手にかわせるのだ。アクションパズルゲームなので操作性が非常に重要になるわけだが、「バルダーダッシュデラックス」においては、その点は十分合格点に達していると断言できる。
また、これまでにない敵が登場する場合は、そのレベルの最初に必ず説明文が表示される。きちんと目を通しておけば敵の性格などを把握できるため、攻略するのに困ることはない。敵は岩石やジェムなどを落下させてぶつけることで倒すことができ、そこを中心に3×3のマス目が爆発して消滅する。これを利用して、岩石に囲まれたジェムを回収するようなレベルデザインなども存在するのだ。なお、登場する敵の種類は15で、オリジナル版の5倍にも及ぶ。
そんなプレーヤーを手助けしてくれるのが、洞窟を掘っていると時々発見することができる宝箱だ。これはノーマル/レア/ウルトラレア/レジェンダリーの4種類あり、それぞれ報酬が1/2/3/10個獲得できる。ゲットできるのは、新たなステージをアンロックするためのレアなお宝(チャーム)や、プレイを有利に進めるための強化アイテム、さまざまな場面で使えるゴールドバーなどだ。
掘れば掘るほど見つけられる宝箱だが、それを探すための“掘る”行為自体が気持ち良いのも特徴だろう。引っかかることなく、土中であればどこまでもサクサクと掘り続けられるため、時間の許す限りフィールドをついつい掘削しまくってしまうほど。まるで、柔らかいクッキーをサクサク食べているような感じだった。
道中、操作ミスなどにより岩石に囲まれて動けなくなってしまったり、敵が多くて先へ進みづらいシーンも登場する。思考を働かせて正攻法でクリアするのもいいが、オリジナル版とは違い「バルダーダッシュデラックス」には強化アイテムが登場するので、それを利用するのも手だ。用意されているのは4種類で、スコアを2倍にしてくれるアイテム以外は、力業でレベルをクリアするのに役立つものばかりとなっている。
プレイを続けて中盤レベル以降になると、移動できる範囲が非常に広くなる。すると、移動先がどのようになっているのかがわからないため、どう行動すれば良いのかで毎回悩んでしまう。当時の「バルダーダッシュ」の場合、何度もプレイを繰り返してフィールドを暗記し、トライ&エラーの積み重ねでクリアしていった。
しかし「バルダーダッシュデラックス」には強化アイテムがあるので、スパイレンズを利用してあらかじめ作戦を立てたり、ダイナマイトで行く手を阻む岩石を強引に爆破して先へ進むなど、それらのお世話になってガンガン進行できるのも気持ち良い点だ。もちろん、昔と同じくトライ&エラーでクリアできれば気分も最高である。
当時の国産機バージョンを見てみれば、「バルダーダッシュデラックス」の進化っぷりに驚くこと間違いなし!
こうして各レベルをクリアしていくと、それぞれランクに応じて☆1~3までの評価が得られる。後のステージをアンロックするためには、この☆を一定数以上集めなければならないが、最初のマクマルヌア海とTHE BOULDERING COMP、そしてもう一つの目玉「クラシック版」はいつでもプレイ可能だ。
このクラシック版はオリジナル版から20のレベルを実装しており、一部レベルのレイアウトは当時頭を悩ませていた人にとって懐かしいものとなっている。実際にプレイしたところ、「バルダーダッシュデラックス」のシステムで「バルダーダッシュ」をプレイできるため、メチャクチャ快適に遊べるのだ。当時の国産機版は操作性がそれほど良くなかったのだが、本作に導入されたクラシック版は移動がスムースな上に画面表示は当時っぽいということで、“見た目はオリジナル版だが、今の快適な操作性でもクリアするのに苦労するよう作ってあるので解いてみろ!”感が伝わってくるのはベリーグッド。残念ながら、当時クリアできなかったレベルはクラシック版でも解くことができなかったが……。
こうしてクラシック版をレベル10までクリアしたところで、国産機版を久しぶりに遊びたくなってしまったため、実機と実ソフトを引っ張り出して諸々比較してみることにした。最初に記載したようにオリジナル版はATARI800用だが、今回用意したのは1984年に発売されたPC-8801シリーズ版だ(以下88版)。
5インチのフロッピーディスクをドライブにセットし電源をオンにすると、青地にシンプルな赤文字でタイトル画面が表示されるので、洞窟とレベルを選択してゲームスタート。「バルダーダッシュデラックス」のクラシック版レベル1と同じシーンをプレイしてみたが、88版での見える範囲が狭いことがわかるだろう。しかも“ガタッ、ガタッ”とキャラクター単位でしか移動できないため、スムースに操作するのはかなりの慣れを要するのだ。実際にどうなっているのか気になる人もいると思うので、実機でのプレイを録画したものを掲載してみた。とはいえ、これでも当時は夢中になって挑戦したもので、なかなかクリアできずに机を叩いて八つ当たりするなど、それはもう大変だった(笑)。
全180レベルクリアまで、つい黙々と遊んでしまう中毒性にご注意!
「バルダーダッシュデラックス」は少々のアクション要素は必要とされるが、操作性の良さがその部分をカバーしてくれるため、慣れてしまえば気にはならないだろう。アクションが若干苦手、というパズルゲーマーでも問題なく楽しめるはずだ。さらに、思考面で行き詰まったとしても強化アイテムを使えばハマりを打開できるため、「行き詰まったから飽きた。やーめた」という事態に陥ることがないのも嬉しい。
特に後半レベルの場合、思考通りにロックフォードを動かし、それが決まってジェムを回収しゴールに到着できた時の快感が、思った以上にクセになった。その体験をもう一度……という感じでズルズルと遊んでしまうため、自ら区切りを付けないと180レベルクリアまで延々とプレイし続ける危険性がある点には注意したいところ。実際筆者も“撮影のためにちょっと”と思って始めたのに、気づけばそれを忘れてステージクリアまで進んでいたということが何度もあったほど。これからの夜が長くなる時期、時間を忘れて朝まで夢中になって遊べる1作と言えるだろう。
©Boulder Dash(R) is a trademark of BBG Entertainment GmbH, registered in the US, the European Union and other countries. Boulder Dash(R) Deluxe(TM), the names and likenesses of Rockford(TM), Crystal(TM) and Goldford(TM) are trademarks of BBG Entertainment GmbH. Boulder Dash(R) Deluxe(TM) Copyright (C) 1984-2021 BBG Entertainment GmbH. All rights reserved. The original Boulder Dash(R) was created by Peter Liepa with Chris Gray.