【特別企画】

100型超+240Hz表示!BenQの新型“ゲーミングプロジェクター”を試してみた

4Kで没入感全開の「MSFS」、240Hzの恩恵が「Apex Legends」で生きる

 本機が4K/HDR対応プロジェクターということで、話題の4K/HDR対応の新世代ゲーム機、PS5と接続して、「Marvel’s Spider-Man: Miles Morales」(開発:Insomniac Games、MARVEL Games、The Walt Disney Company)をプレイしてみた。

検証環境には100型スクリーンを用意。身長約160cmの編集部員と比較するとその大きさがよく分かる

 疑似4K投射とはいえ、実際に4K分のピクセルが描画されるXPR技術はなかなかのもので、高層ビルの屋上に降り立てば、遙か遠方のビルの窓などの一つ一つまでが見える。PS5は、ゲームのユーザーインターフェース周りも4K前提で作り込まれているのだが、その細かい文字表現やゲージ表現などもくっきりと見えていて4K感は存分に味わえた。

 高層ビルの屋上から飛び降りて、スパイダーマンならではの、スピード感溢れるスイングアクションを行ってみたが、後ろに流れゆく背景は、かなりスムーズに流れて見える。米粒程度の小ささだった遠方のビルの窓の一つ一つが、スイングして近づいていけば段々と大きくなっていく実感がたまらない。「見えている景色のあそこに実際に行けるんだ」というこのゲーム特有の感動が、迫力ある大画面で増強される印象だ。

 一方HDR表現は、この作品からは、それほど目立った感動はなし。おそらく、過剰なHDR感は抑えられているのだろう。

HDRオン。インパクトは大きくないが暗部の情報量が増えていることは確認できる
HDRオフ

大画面でHDR表現が引き立つ「Cyberpunk 2077」

 続いて、ド派手なHDR感を楽しみたくてPC版「Cyberpunk 2077」(開発:CD Projekt RED)をプレイして見た。このゲームは、街のあらゆるところにネオンサインやら近未来的な原色発光するディスプレイ装置やらAR的な表現がオーバーラップするので、それこそ「HDRらしいHDR感」が味わえる。

 この作品は、超精密な3Dモデリングと、レイトレーシング対応の卓越したライティング表現が満載で、普通にゲーム世界を歩いているだけで密度の濃い(≒情報量の多い)ビジュアルが楽しめるので、このあたりも、本機がもたらす4K描写力と大画面感との相性がよい。

4K映像で空を自由に飛んでいるような美しさの「Microsoft Flight Simulator」

 さらに「情報量の多さ」を楽しもう、ということで「Microsoft Flight Simulator」(開発:Microsoft)もプレイしてみた。

 この作品も「上空から街を見下ろす」という点においては、スパイダーマンと似ているが、題材が航空機なだけあって行動高度がさらに上空となる。なので、スパイダーマン以上に、広大でパノラマチックな景色が描かれるため、4Kの解像力が活きることとなる。

 大都市上空を飛べば、無数の建物が立ち並んだ景色が目の前に広がるし、熱帯のジャングル地帯を低空で飛べば無数の植物が緻密に描かれる。まさに、4Kの描写力テストを行っているかのような飛行体験が楽しめた。

 それと、意外なことに本作は、HDR表現も素晴らしかった。たとえば朝焼けや夕焼けの時間帯を飛んだとき、視界に太陽を入れれば、その直接光の眩しさをHDRならではの高輝度描写で表現してくれるが、それだけに留まらず、陽光が照らした水面の反射光、建物の鉄骨の照り返し光、飛行機の翼に映り込んだ太陽までがリアルにHDRらしい眩しさで見せてくれる。「ハイコントラスト表現が美しい」というよりは「画面に描かれている材質がリアルに見える」という方向性でHDRの効果を実感できたのが面白かった。

高フレームレート+大画面はeスポーツにも強い。「Apex Legends」を試す

 本機の240fpsハイフレームレート表示対応能力を試すためにPC版「Apex Legends」(開発:Respawn Entertainment)をフルHD/240fpsでプレイ。

 一人称シューティングゲームの醍醐味といえば、視点を動かした時に、低遅延に自在に視界を動かせることなワケだが、本機はたしかにプロジェクターとしては、異質なほどに機敏に画面がウニウニヌルヌルとスムーズに動く。

 本機の映像は、一人称シューティングゲームのeスポーツイベントなどにおけるパブリックビューイング用のディスプレイ装置としても引き合いが強まるかもしれない。

 それにしても、100インチ近い大画面でのこのウニウニ感は新鮮で、これだけ大きい画面が240fpsでウニウニ動くと「遠方の敵にも気が付きやすくなる」とか「遠方の敵を移動しながら狙いやすくなる」とか、新しいプレイ戦略を誕生させる可能性すら感じさせる。

「FIFA 21」でSportモードを検証~まるで⾃分がフィールドに!

 本機のSportモードを使用して、サッカーゲームの「EA SPORTS FIFA 21」(開発:EA SPORTS)をプレイしてみた。実は、サッカーゲームは、4K大画面と相性がいい。

 サッカーゲームは、ボールを画面中心に捉えたドローン的な俯瞰視点で進行するので、20インチ程度のゲーミングディスプレイ製品では選手が2cm程度にまで小さく描かれてしまい、細かい選手のアクションが見えない。しかし、4K大画面だと選手は大きく描かれるし、その姿も緻密に描かれるので、選手の向きや姿勢が見やすいため、プレイがしやすくなるのだ。

 それと会場満員の観客の動き、ゴールネットの動きなども、4Kならではの1ピクセル単位の緻密さで細かく描かれるため、MPEGHノイズにまみれたテレビ中継の品質を超えていると感じた。また、ゴールキックなどの三人称視点に切り替わったときには、プロジェクターの大画面だと、まるで自分がフィールドに立っているかのような没入感が得られるのも新発見だった。

 なお、Picture ModeをSportsモードにするとGameモードの低遅延モードは選べなくなるので、結果、33.9msの遅延でプレイすることとなる。また、プレイ画面をHDR映像に設定してしまうと、Sportモードは選べなくなってしまう。というわけで「無理にゲームをSportモードでプレイすることはないかな」というのが筆者の見解だが、CPU相手の対戦や友達とのんびりプレイするのであれば、細かいことは気にしないでもいいのかもしれない。

映画もGood!テレビ代わりにも検討できるオススメのプロジェクター⼊⾨機

 「映画をプロジェクターで楽しむ」というのは、ホームシアターブームもあって認知度はそれなりに上がってきていたが、「ゲームをプロジェクターで楽しむ」というのは、もともとプロジェクターがゲームのようなリアルタイムインタラクティブコンテンツを想定していなかったために「ありそうでなかった」エンターテインメントだった。それが、今回、BenQから登場した「TK700STi」で変わってくるかもしれない。

 ゲーミングディスプレイもいいが、大画面にこだわりたいならば「TK700STi」は面白い選択だ。本機では、Android TV規格に対応したビデオ配信サービス機能もHDMIドングルの形態で提供されており、インターネット接続環境があれば、YouTube、Amazon Prime Video、Huluといったネット配信系映像コンテンツを楽しむことも出来る。ゲームを楽しむだけでなく、映像コンテンツも楽しめるので、それこそ、ホームシアタープロジェクターとしても使うことができる。

付属のAndroid TV用HDMIドングル
本体背面の専用マウントに接続することでAndroid TVに対応した映像コンテンツを楽しめる

 「プロジェクターによる大画面体験、興味はあったけど、どの製品がいいのかわからない」という人で、ゲーム好きの属性が強いのであれば、本機をプロジェクター入門機として選択するのはありだと思う。