【特別企画】

100型超+240Hz表示!BenQの新型“ゲーミングプロジェクター”を試してみた

高速描画と映像美の両立。「TK700STi」性能検証

 投射レンズは一般的なホームシアタープロジェクターと比較するとかなり短焦点設計になっており、100インチ(16:9)の大画面を約2.0mで投射できる。一般的なホームシアター機が約3.0m前後なので、結構小さめな部屋でも大画面が楽しめる算段だ。

 投射映像を平行移動するレンズシフトには未対応だが、投射映像が台形に歪んだときにはデジタル画像処理で補正する歪み補正機能が搭載されている。ただ、この機能、画像変形によって実現されるため、利用すると映像パネル全域に映像が表示されなくなるため、画質は落ちてしまう。非常時に使うと捉え、画質重視で運用したい人はできるだけ利用しない方がいい。

 投射レンズは、1.2倍のズームに対応。投射迎角はやや上向き。光軸延長線上の約10%程度上に映像下辺が来るイメージだ。色域はRec.709色空間カバー率96%とのことで、実際に白色のスペクラムを計測して見たところ、下図のようになった。

Picture Mode「Bright」モード
Picture Mode「Living Room」モード
Picture Mode「Game」モード
Picture Mode「Sports」モード
Picture Mode「Cinema」モード

 赤が弱く、青と緑のスペクトラム強度が強いのは超高圧水銀ランプの光源の特性だ。この光源からのエネルギーを全て活用するのがBrightモードになる。このモードは色再現性よりも輝度を優先しており、実際、青緑感が強く赤が弱い。明るい部屋で利用するための専用モードという印象。

 Living Roomモードは輝度優先にしつつも、色再現性をバランスしたモードで、赤がそれなりに出るようになる。完全暗室にできない状況下では汎用性が高い。緑や青を絞り色再現性を重視してチューニングされているのがCinemaモードになる。

 Sportsモードは、高輝度表現の階調再現性にこだわったモードで、スポーツイベントに適しているモードのようだ。実際、緑色の再現性がよかった。Gameモードは、まさに本製品の看板機能で、このモードになったときにだけ、ウリの低遅延機能が有効にできる。発色傾向はLiving Roomに近い。

 実際に遅延も計測して見た。使用したのは僚誌AV Watchで連載の「大画面マニア」でお馴染みLeo Bodnar Electronics製「4K Lag Tester」だ。

 Gameモード以外では、入力遅延は33.9msとなった。解像度は4K/60HzもフルHD/60Hzでも計測値は同じだった。

 対して、Gameモードでは、入力遅延は16.9msまで短縮する。こちらも4K/60Hz、フルHD/60Hzで計測値は同じだった。この計測値、メーカー公称値の16msに近く、筆者の計測でもその正しさが実証された格好だ。

Gameモード以外の入力遅延は33.9ms
Gameモードでの入力遅延は16.9ms
Picture Modeを「Game」にすると低遅延が実現される「高速モード=高」設定が選べるようになる。
フルHD/120Hz(「4K Lag Tester」で計測可能な上限)時には遅延は8.8msにまで短縮される。おそらく、本機は1フレーム分の遅延で設計されているので、60Hz時は1/60秒=16.67msに近い値の16.9ms、120Hz時は1/120=8.33ms秒に近い8.8msとなっているのだろう

 本機は、プロジェクター製品としては珍しく、リフレッシュレート240Hzに対応しており、すなわち240fpsのゲーム映像の表示に対応できるように作られている。「4K Lag Tester」の仕様上入力遅延の検証はできなかったが、公称値で入力遅延は4.16ms。240Hz表示はフルHD解像度入力時にのみ限定される機能になるのだが、いずれにせよ、他に類を見ない機能である。

フルHD解像度でリフレッシュレート240Hzに対応
4K解像度ではリフレッシュレート60Hzが最大
OSDメニューからコンテンツに合わせたプリセット切り替えなど各種設定ができる
映像の歪み補正機能