【特別企画】
ご当地キャラは「ストV」で人類の壁を越えられるのか!?「こにゅうどうくんカップ」大会レポート
こにゅうどうくん、しんじょう君、イヌナキンによる「チーム伽羅」が参戦
2020年11月2日 15:04
- 10月31日開催
最近、ご当地キャラクターがeスポーツ大会に登場する機会がぐっと増えてきた。先日もご当地キャラクター限定のストリートファイターV(以下、ストV)大会が行なわれ、その実力の高さが話題になったのも記憶に新しい。筆者はその大会レポート記事を担当したわけだが、ほとぼりも冷めやらぬまま再びご当地キャラクターによる「ストV」大会が行なわれるということで、再度筆を取る運びとなった。
さて、今回レポートする大会は三重県四日市市の公式マスコットキャラクター・こにゅうどうくんの名を冠したその名も「CTY×JCこにゅうどうくんカップ~eスポーツの力で世界を救おう~」である。大会自体は3人1組で誰でも参加できるオンライン大会だが、そこへこにゅうどうくん率いるご当地キャラクターチームが参戦するというものだ。ここでは、その「チーム伽羅」を中心に大会をレポートしていきたい。
そもそも「こにゅどうくんカップ」とは?
今大会の主催は四日市青年会議所であり、ケーブルテレビ局CTYが協賛して開催された3on3のチャリティ大会で、三重大学とバイオコモ、アメリカのメディシノバ社が共同で進める新型コロナウイルスワクチン開発への寄付を目的としている。配信中に発表された配信開始前の寄付金総額はなんと736,880円。その後、配信中に85万円ぐらいまで増えたとの情報もある。ちなみに寄付は11月7日まで受け付けているそうなので、興味のある方は特設ページを訪問していただきたい。
さて、試合形式は先にも触れたとおり3人1組のチーム戦でシングルエリミネーションの勝ち抜きトーナメント。2ラウンド1戦先取となっており、12歳以上で且つ日本以外にも台湾、香港、韓国からであれば誰でも無料で参加することのできるカプコン公認大会である。
ご当地キャラクターだけじゃない!豪華な出演者と参戦者
配信の出演者も、格闘ゲーム界で名のある方々ばかりである。実況として試合を盛り上げてくれたのは、eスポーツキャスターのなない氏とササ氏。そしてゲームの詳細を伝える解説者には、FAV gaming所属のSako選手とCYCLOPS athlete gaming所属のどぐら選手という現役バリバリのプロゲーマーが登場した。
配信内でも触れられていたが、どぐら選手は第1回こにゅうどうくんカップの優勝者である。ちょうど1年前に四日市市で開催され、市長がこにゅうどうくんと「ストV」で対戦したことで話題になったのを覚えている人もいるかもしれない。このときにどぐら選手は、マゴ選手・八百一選手とチームを組んで参戦していたのだ。
今回も、名の知れたプロゲーマーらが参加者名簿に名を連ねている。配信内で言及されていたのはあきら選手・植村選手・YHC-餅選手の「山陰と山陽」、Shuto選手・ナウマン選手・竹内ジョン選手の「シューナウジョニィ」、そしてストーム久保選手・稲葉選手・じゃじぃ選手の「TEAM iXA」。どぐら選手には「何ちゃんと勝ちに来とんねん」と突っ込まれ、Sako選手も「盾もらいに来た」と追い打ちをかけ笑いを誘っていた。
「ストV」実力派ご当地キャラクターが集結した「チーム伽羅」
そして今大会の目玉とも言えるゲスト参戦・チーム伽羅の紹介をしていこう。中心となっているこにゅうどうくんは、先にも触れたように三重県四日市市の公式キャラクターだ。伸びる長い舌を触りながら「伸ばしたい」ことを願うとそれが叶うと言われている。2019年の「ご当地キャラクター感謝祭」でしんじょう君に負けてから、地道に「ストV」の練習を続けている。
そんなこにゅうどうくんの仲間としてチームを組んだのが、大阪府泉佐野市の公式キャラクター・イヌナキン。超自然的な力を得るために犬鳴山で一生犬鳴(イッショウケンメイ)修行をしている。今年2020年に行なわれた「Intel Presents. SFV LOCAL CHARACTER GP JAPAN」で初めて格闘ゲームの腕前を披露したが、実は「ストII」時代からのプレーヤーであるとのこと。
さらにチーム伽羅には、強力なメンバーが参戦。高知県須崎市の公式キャラクター・しんじょう君である。「ストV」界ではもはやおなじみとも言えるだろう。2018年の「こうちまんがフェスティバルまんさい」で「ストV」に目覚め、2019年「GAME CENTER’S GP」のエキシビショングランプリで優勝し、一躍話題となった。
ご当地キャラクターの前に立ちはだかる人類の壁
大会配信は、チーム伽羅vsパナし得の試合から始まった。まずはイヌナキンが先鋒で登場。使用キャラはベガである。対戦相手はアサイー選手のユリアンだ。実況解説陣からも褒められていたダブルニープレスなどで奮闘したイヌナキンだったが、惜しくも1-2で敗北となった。次は中堅しんじょう君。使用キャラはもちろんリュウだ。ギリギリの攻防を繰り広げ最初の1本は取ったのだが、次の1本を取り返されてしまう。迎えたファイナルラウンドでしんじょう君は最後までガードを続けて粘ったものの、しのぎ切れず敗北してしまった。
窮地に追い込まれたチーム伽羅。勝負は大将のこにゅうどうくんに託されたわけだが、豪鬼からいぶきにキャラクター変更して練習してきた実力を見せつけ、見事アサイー選手を倒して社員H選手を引きずり出すことに成功した。本番で難しい連携を上手に決めるこにゅうどうくんに、実況解説陣もビックリした様子。非常に良い勝負をしたのだが、最後は社員H選手の影ナル者のコンボに耐え切れず負けてしまった。というわけで、残念ながらチーム伽羅は初戦敗退。人類の壁は厚かった。
試合終了後、こにゅうどうくんは自身のツイッターを通じて「まさかの初戦敗退だったけど一緒のチームとして戦えて楽しかった」とコメント。修行の成果も出せてそこそこ満足しているようだ。イヌナキンもツイッターで「運営の方の熱意が伝わる素晴らしい大会だったぜ!」とスタッフをねぎらう優しさを見せた。一方、しんじょう君は自身のYouTubeチャンネルに「泣きながらラウンジで大暴れ!?」と題した振り返り動画を投稿。相当悔しかったようである。
総勢77チームが参戦!計8グループの予選開催
説明が遅れたが、予選の前半(グループA~D)はなない氏とSako選手が配信を担当。試合は同時進行なので、適宜ランダムにピックアップしてかいつまんで配信していく形式だ。先ほどのチーム伽羅はゲスト参戦のため、グループAに配置して最初にフル配信が行われた模様である。とはいえ、様々なプレイヤーの色々なキャラクターを使用した試合が見られるのも、予選ならでは。前半はなない氏の落ち着いた実況とSako選手の柔らかい語り口でサクサクと進行した。
予選の後半(グループE~H)は、ササ氏とどぐら選手が配信を担当。前半とはまた違ってだいぶ賑やかな雰囲気だ。ベガ使いコンビでもあり、最初の試合からベガが登場して非常に楽しそうである。試合解説のみならず、よく知ったプレーヤーが出てくるとちょっとしたエピソードを披露したりもした。エドモンド本田vsファンのマッチアップがいまいちわからなかった2人のヘルプとして、Sako選手が飛び入り解説するシーンも。
チーム伽羅によるご当地キャラクターオンライン対戦会!
一方まさかの1回戦負けを喫し、暇になってしまったチーム伽羅。そこで急遽、14時から1時間にわたって対戦会を開催することに。こちらはCTYアプリでのみの配信となった。15分交代でこにゅうどうくん、イヌナキン、しんじょう君、そしてふたたびこにゅうどうくんの順に進行。実況等はなかったものの、ご当地キャラクターたちが楽しそうにストⅤをプレイする姿を見ることができ、癒された人も多いのではないだろうか。プレーヤーたちにとっても、ご当地キャラクターと対戦できる貴重な体験となったようだ。
出そろったベスト8から準決勝に進んだのは強豪ぞろい
ここからは実況解説陣が4名そろって、すべての試合を配信。ベスト8では先鋒の3タテや中堅までで終了する試合が続き、強いチームが頭角を現す形となった。しかしその後の準決勝の戦いは、どちらも大将同士の戦いまでもつれ込む拮抗した試合が繰り広げられた。
準決勝1組目は、シューナウジョニィvs山陰と山陽。先鋒戦は竹内ジョン選手が植村選手を下してシューナウジョニィが一歩リードを見せる。しかし山陰と山陽の中堅として登場したあきら選手が2タテを決め、シューナウジョニィの大将Shuto選手を引きずり出すことに成功。その後大将戦となったが、最終的に山陰と山陽の大将YHC-餅選手が勝利し、決勝進出を果たした。
準決勝2組目は、Cランクvs吉祥寺のヴィンスカーター。先鋒戦で小次郎選手がぴぴん選手を倒し、Cランクが良いスタートを切る。しかし吉祥寺のヴィンスカーターが中堅のふじい選手で応戦したところ、見事勝利。それならばと今度はCランクの中堅キク選手が勝利し、一進一退の攻防を繰り広げる。後がなくなった吉祥寺のヴィンスカーターだったが、大将のもはめど選手がキク選手とダイキ選手を相手に勝利を収め、決勝進出となった。
待望の決勝戦、優勝するのはどちらのチームだ!?
決勝戦は山陰と山陽vs吉祥寺のヴィンスカーター。まずは先鋒戦、吉祥寺のヴィンスカーターのぴぴん選手がザンギエフのスクリューパイルドライバーを連続で決める活躍を見せ、植村選手のブランカを倒した。これを受け、山陰と山陽の中堅として登場したのはYHC-餅選手。ダルシムの長いリーチを上手く生かして、見事ぴぴん選手のザンギエフを下した。ここで吉祥寺のヴィンスカーターは中堅としてもはめど選手を送り出し、先鋒が苦戦した距離感をベガのヘルズワープなどで詰めていくのだが、返り討ちにあってしまう。
吉祥寺のヴィンスカーターに残されたのは、大将ふじい選手のリュウのみ。あまりの不利なマッチアップに実況解説陣も思わずリュウに肩入れしてしまう。その願いが通じたのか、見事YHC-餅選手のダルシムを倒し勝負は大将戦へ。最初の1本を取ったふじい選手のリュウがそのまま主人公になるかに見えたが、山陰と山陽の大将あきら選手がキャミィのクロススティンガーアサルトで1本を取り返すと、その勢いで最後の1本も取って勝利。これにより、優勝は山陰と山陽となった。
ご当地キャラクターとeスポーツの華やかな融合
新型コロナウイルス感染拡大に伴いさまざまなイベントが延期や中止を余儀なくされるなか、オンラインで実施できるeスポーツに目をつけワクチン開発のチャリティ大会という方向性で企画された今回の「こにゅうどうくんカップ」。最初は参加者集めに苦労していたものの、運営側が参加条件を軌道修正したのが功を奏し、最終的な今回の参加者内訳は人間228名、ご当地キャラ3体であった。
確かにeスポーツ大会はオンラインで実施可能だが、オフラインで大勢が見守る大会の雰囲気は独特の熱気があり、それを体感したことのある格闘ゲームファンも多いことだろう。また、ご当地キャラクターはそもそも画面の向こうの存在に思えるかもしれないが、オフラインで直接グリーティングしたときの感動や楽しさを知っているご当地キャラクターファンも多いはずだ。だからこそ、新型コロナウイルスのワクチンが早く完成して、ご当地キャラクターによるeスポーツ大会がオフラインで開かれる日が来ることを切に願っている。
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