【特別企画】

まさにゲーミングPCのための新筐体。フルモデルチェンジした新生「GALLERIA」

24時間連続ゲーミングも乗り切る安定動作、足元でも使いやすい前面設計で使い勝手も抜群!

 7月3日、サードウェーブはゲーミングPC「GALLERIA」のフルモデルチェンジを発表した。新モデルの目玉となるのは、7年ぶりに刷新された筐体、すなわちPCケースだ。この新生GALLERIAの試作機をいち早くお借りすることができたので、使用感をお伝えしたい。なお、新生GALLERIAは7月10日発売予定で、価格は当日発表予定。

 さて、ゲーミングPCの大前提はゲームが快適に動くことであるが、現在のゲームシーンで求められているのはそれだけではない。

 サードウェーブ松原氏の言葉を借りれば、「エモーショナル」な価値が必要だ。これから“ゲームをガッツリプレイする”、“勝ちに行く”というモチベーションを高めてくれる要素だ。

 筆者がそのための要素のひとつとしてまず挙げたいのがルックス。PCがただの箱のようでは気分が盛り上がらない。そして、もっと重視したい点が組み込まれたPCパーツを長期間、安定して動かせる安心感とメンテナンス性だ。“頼れる相棒”、その安心感が技術的に体現されていてほしいのである。

 そう考えると、ゲーミングPCにおいて、PCケースがいかに重要なコンポーネントであるかお分かり頂けるだろう。

 そういった中で、今回のGALLERIA新ケースは、「使いやすさに配慮した45度角のフロントUSBポートやヘッドセットジャック」、「自分好みにカスタムできるRGB LED」、「物を置いても使えるメッシュフィルタ付きトップパネル」などを備えているのが特徴だ。

 特徴からも使い勝手への配慮が見て取れるが、はたしてケースにこだわったという新生GALLERIAは、どんな仕上がりなのだろうか?さらに掘り下げて見ていこう。

自作PCケースの最新トレンドを取り入れた現代的な設計

 GALLERIAの新ケースは、microATX対応のミニタワー「SKM」とATX対応のミドルタワー「SK」の2種で、販売モデルのグレードによって標準グレード向けのガンメタルカラー採用「Standard」と、上位グレード向けのアルミカラー採用「Premium」の2つのカラーバリエーションが用意されている。

 今回チェックしていくのは、ミニタワーでアルミカラーの「SKM-Premium」となる。

ガンメタルカラーの「SK-Standard」
アルミカラーの「SK-Premium」

デザイン性とゲーミングPCらしさを両立しつつ、使い勝手に配慮された設計

 まずは外観から検証していこう。

 ケース外装はブラックとシルバーの2トーンカラーとなっており、シルバー部にはアルミニウム素材を採用。ヘアライン加工も施されている。過度な装飾を抑えてシンプルかつ質感の高さを感じさせるデザインで、“イケイケのゲーミングマシン”というより、PC以外のインテリアとの調和も取れる、クリエイター向け製品にも通じるスタイリッシュさが印象に残るデザインだ。

 フロントパネル中央にはGALLERIAロゴが配置され、上部には5インチオープンベイを備える。フロント上部には電源ボタンとインターフェイスを配置。

ケースの外観

 フロントパネルを囲うようにLEDライティングを備えているのも特徴で、後日提供予定の専用ソフトウェアから点灯色などを調整できる。

 LEDについては同社に要望が多数寄せられていたとのことで、満を持して搭載される運びとなったが、ゲーミングらしい演出のためではなく、マシンを“パーソナライズ”するためのものとして、デザインに統一感を持たせた仕様になっている。これはヘッドセット、マウスなどのゲーミングデバイスと合わせて、プレイヤーの好みの色で統一したり、チームでカラーリングを統一したりするという意味だ。

 また、このフロントLEDのケーブルはマザーボードのLEDピンヘッダに接続されているため、UEFIからの設定で消灯や制御が可能だった。「光らせたくない」というユーザーや、スリープモード中の点灯は止めたいといったニーズにも対応できるのは嬉しい仕様だ。

LED消灯イメージ

 フロントインターフェイスはUSB 3.2 Gen1が4ポートと、3.5mミニ入出力。フロントとトップに対して45度角で配置されているため、足元に本体を設置してもプラグ類が抜き差ししやすくなるように使い勝手が考えられている。ヘッドセットなどを頻繁に抜き差しするユーザーには嬉しい工夫だ。

フロントインターフェイス
足元に置いても使いやすい設計

 本体左のサイドパネルにはクリアパネルを搭載し、ケース内部のパーツ類を見ることができる。完全な透明パネルではなくスモーク加工が施されており、パーツのメカらしさが主張されすぎることはない。この辺りにも抑えたクールさを感じる。

 フロント部の吸気口は左右サイドパネルにのみ用意されており、底面からは吸気しない設計。フロントメッシュでないケースとしては珍しい仕様だが、床のホコリを吸い込みにくいため、実使用に則した気の利いた配慮となっている。

 旧ケースでは120mmファン用のメッシュ吸気口がフロントパネルに用意されていたが、SKケースでは両サイドのメッシュとなったことで、吸気面積は3倍に拡大されているという。

 電源は下置きの設計で、重心が安定する配置だ。

サイドパネルにはスモーク加工の窓を装備
背面。電源は下置き

 搭載ケースファンはすべて140mmサイズで、従来の120mmファンから大型化。風量は30%増え、エアフローの大幅な改善に繋がっている。近年のハイエンドパーツは高性能化するCPUを中心に発熱が増加しているため、ベースの冷却能力を高めるケースファンの強化は理にかなっている。

 また、120mmファンと比べて同じ風量を得る際には回転数を抑えられるため、静音化にも寄与している。

 トップには140mmファン×2が設置できるメッシュパネルを配置。こちらは物が置かれることも考慮したフラットな設計で、物の落下を防ぐフィルターも配置されている。トップがメッシュ構造となっていることで放熱がスムーズに行えるほか、設計上280mmラジエータの簡易水冷クーラーも搭載できるため、発熱の大きい高性能CPUを組み込んでも十分に冷却できる。

 なおフィルターは磁石で固定されており、ネジ止めされているトップパネルを外せば取り外して清掃することが可能だ。“道具”と長く付き合っていくためには、定期的なメンテナンスは不可欠。それはPCでも同様だ。フィルタ掃除というもっとも基本的なメンテナンスに着目したこの仕様は、ユーザーの視点をしっかりと意識したものと言えるだろう。

トップパネルにはメッシュフィルターを装備
280mmの開口部を設けている

 底面には電源用の吸気口を設けており、後述するデュアルチャンバー構造によって、完全に他パーツと電源のエアフローが分離されている。近年の自作PC向けケースのトレンドを取り入れた設計だ。

 電源用のダストフィルタはツールレスで着脱が可能。地味な部分まで妥協なく作り込まれている。

ツールレスで着脱可能な電源用ダストフィルターを装備

内部のルックス、拡張性までとことんこだわる

 ここからはケースの内部を見ていきたい。

 ケース内のフレームはすべて黒色で統一。クリアサイドパネル搭載ということもあり、内部の見た目もしっかりと考慮されている。この内部塗装は、ルックス面でとくに強いこだわりを感じる部分だ。

 自作PCのユーザーでもなければ、滅多にPCケースを開けることはないだろう。しかし、あなたが数少ないパーツの増設やメンテナンスのときに、無骨なスチール素材むき出しのケースフレームとは違う、上質な黒塗りのフレームを目にするところを想像して欲しい。このマシンがほかとは違う、こだわりの逸品であることに満足感を得られることだろう。

 電源は完全にカバーで覆われており、パーツ群と空間が分離されたデュアルチャンバー構造を採用している。この設計がエアフローを乱すことのないスムーズな給排気を可能にしている。

本体内部は黒で統一

 逆サイドには、裏配線用のスペースをしっかり確保。余計なケーブルを隠しておくことで見た目も美しく、エアフローも阻害しない綺麗なケーブルマネジメントが可能だ。

裏配線用スペースも完備

 ドライブべイは光学ドライブの搭載を想定した5インチオープンベイと、3.5インチシャドウベイ×2、2.5インチシャドウベイ×2を搭載。

 最近のPCケースはドライブベイが省かれることが多いなか、本ケースでは十分なベイ数が確保されている。

電源カバー上の3.5インチベイ
マザーボード裏面の2.5インチベイ

 検証機はショート基板のビデオカードが搭載されていたが、大型のGeForce RTX 2080 Ti Founders Editionを装着してみたところ、空間には十分な余裕があった。

ショート基板ビデオカードの搭載時
大型ビデオカード搭載時のイメージ

 また、今回の検証機では搭載されていないが、ビデオカードの固定を補助する機能「リジッドカードサポート」も特徴だ。

 標準搭載ではなく、一部カード搭載時のみの機能となるが、頻繁にマシンを移動させるeスポーツやゲームイベントの現場を想定し、GPUの接触不良や脱落などの問題を解決するためにカードを固定するというもの。いわゆるビデオカード用のサポートステイで、BTOマシンのケースでこういった機能を備えているのは類を見ない。

 リジッドカードサポートについては、まずはイベント用の貸出機に先行して搭載し、ユーザー向けにはカスタマイズ選択が可能になる時期に追ってアナウンスされるとのことだ。

【リジッドカードサポート】
ビデオカードを上下で挟み込んで固定しているのがリジッドカードサポート

CPUもGPUも70℃台に抑え込む、優れたエアフロー設計

 BTOマシンのケースながら、自作PCケースの最新トレンドを取り入れた現代的なケース設計が光る「SK」ケースだが、果たして実際の冷却性能はどれほどのものか、ここからはゲームベンチマークなどを中心にその冷却性能を見ていきたい。

 検証機の仕様は以下の通りだが、本機の構成は実際に発売される製品とは異なる部分があることを予めお断りしておく。

製品名GALLERIA RM5C-G60S(デモ機)
OSWindows10 Home
CPUCore i5-10400 (6コア/12スレッド)
グラフィックスGeForce GTX 1660 SUPER (6GB GDDR6)
メモリーDDR4-2666 8GB×2
ストレージM.2 NVMe 512GB, WD 1TB SSD, Seagate 2TB HDD
光学ドライブなし
マザーボードIntel B460チップセット搭載microATXマザーボード
ネットワークGigabit Ethernet
フロントインターフェイスUSB 3.2 Gen1×4
バックパネルインターフェイスUSB 3.2 Gen1×2、USB 2.0×4、音声入出力
付属品電源ケーブル/マニュアル
ケースSKM-Premium ミニタワー
製品サイズW220×D440×H425mm
製品重量約14kg

 なお今回は冷却性能を検証するため、測定で得られたスコアそのものではなく温度変化を中心に見ていく。室温は24~27℃前後での計測だ。

定番ベンチマークでエアフロー設計を確認

 まずは定番総合ベンチマークソフトであるULの「3DMark」と「PCMark 10」から見ていこう。

 ゲーム負荷を想定したベンチマークソフトの3DMarkでは、DirectX 11ベースの高負荷テスト「Fire Strike Ultra」で総合スコア3,349をマークし、CPU温度が最大62℃、GPU温度が最大65℃を記録。DirectX 12ベースの高負荷テスト「Time Spy Extreme」では、総合スコア2,869をマークし、CPU温度が最大72℃、GPU温度が最大69℃を記録した。

 負荷の小さい「Night Raid」や「Sky Diver」テストでも、CPUとGPUともに最大で70℃前後に収まっており、長時間の負荷でも安定して動作する温度範囲に収まっている。

【3DMark】
Fire Strike Ultra
Time Spy Extreme
Night Raid
Sky Diver

 3Dレンダリングも含めたPCワークロード全般のテストを行うPCMark 10では、総合スコアで6,017をマークし、CPU温度が最大77℃、GPU温度が最大66℃を記録。最高温度に達したのは「Rendering & Visualization」の項目で、そのほかのWebブラウズや表計算ソフト、動画編集などの項目ではCPUが32~58℃前後、GPUが36~45℃前後と、アイドル時やゲーム以外の作業では、かなり低い温度で推移している。

【PCMark 10】

 CPU単体のテストとして、MAXONの3Dレンダリングソフト「Cinema 4D」のレンダリングエンジンをベースに、CPU性能を測定できる「Cinebench R20」も実施した。

 このベンチマークは非常に高い負荷を与えるためCPUの温度が上昇しやすいが、最高パッケージ温度は66℃と、70℃を切る優秀な結果となった。搭載されているCPUクーラーは決してハイエンドに類するものではないことを考えると、この結果はケース自体のエアフローが優れていることを裏付けている。

Cinebench R20
Multi-CoreとSingle-Coreの各結果
平均実効クロックとCPUパッケージ温度の推移

Apex LegendsとVALORANT、どちらも安定した温度でプレイが可能

 続いてはゲームベンチマークを使った測定だ。

 まずは「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」の測定結果だが、最高品質プリセットで15,151、高品質(デスクトップPC)プリセットで16,120を記録。

【ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク】
最高品質
高品質(デスクトップPC)

 さらに高負荷なテストとして、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」も実施したところ、高品質プリセットで6,465、標準品質で9,051、軽量品質で11,868を記録した。

【ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク】
高品質
標準品質
軽量品質

 実ゲームを使った測定として、「Apex Legends」および「VALORANT」にてフレームレートと温度の計測も実施。

 バトルロイヤルFPSタイトルのApex Legendsでは、射撃演習場にてキャラクター「ジブラルタル」で移動や射撃、アルティメットスキル(防衛爆撃)の発動などの操作を行なって測定した。

【Apex Legends】

 画質設定を全て最高に設定した場合では、最高(95パーセンタイル)で136.9fps、平均104.7fps、最低(1パーセンタイル)69.1fpsをマーク。このとき、CPUは最高64℃、GPUは最高74℃を記録した。

 フレームレートが示すとおりゲーム中の負荷は上下していたが、とくにGPU温度に関しては70℃前半で安定して推移しており、長時間のプレイでも安定した動作が望めるだろう。

最高画質フレームレート
最高画質CPU/GPU温度

 最低画質設定の結果も同様で、GPU温度は最大でも75℃に収まっている。フレームレートが大きく高まった影響で、CPUの負荷が上昇し温度が上昇しているが、こちらも最高70℃とまだまだ放熱に余裕のある温度となっている。

最低画質フレームレート
最低画質CPU/GPU温度

 チーム対戦FPSタイトルのVALORANTでは、Botを相手にした爆弾設置のチュートリアルを使って計測を実施した。

【VALORANT】

 描画負荷が低いタイトルのため画質設定は全て最高で計測したが、それでもフレームレートは最高(95パーセンタイル)で500fps、平均392.9fps、最低(1パーセンタイル)275.7fpsと非常に高い値をマーク。温度についてはCPUは最高63℃、GPUは最高69℃と、70℃未満に収まっている。

最高画質フレームレート
最高画質CPU/GPU温度

 あくまで主観的な評価になってしまうが、動作音についても述べておくと、非常に静かだった。

 シーンを通して静かなのだが、とくにアイドル時と高負荷時の差が小さく、ベンチマーク実行中に「本当に負荷が上がっているのか?」と思わずコア使用率を確認してしまったほど。動作温度の低下だけでなく、静音化の面でも140mmファン採用の効果がハッキリと現れている。

安定性はどうだ?「FF15ベンチ+YouTube再生」24時間稼働を完走!

 さて、ここまでの検証で、短時間の高負荷テストでは温度を抑えられることが確認できた。しかし、現実にはベンチマークテストのようにゲームを10分程度で止めることはない。ゲーマーが本当に求めているのは長時間の安定性だ。

 まずは、長時間CPUに高い負荷を与え続けてシステムの動作安定性を調べることができるツール「OCCT」で、25分間のロードテストを実施した。

 結果を見ると、CPUパッケージ温度は最大で76℃を記録した。基本的には70℃前後で推移しており、実際のゲームプレイ環境では、ここまで長時間連続してCPUに一定の高負荷がかかり続けることはないため、実ゲーム環境でも十分に安定した動作を期待できる冷却性能と言える。

OCCTでのロードテスト結果

 さらに、限界の耐久性を探るべく「24時間連続でゲームをプレイしても安定動作するのか」も検証してみた。

 早速実際にゲームを24時間ぶっ通しでプレイ……といきたいところだが、流石に24時間耐久プレイはハードワーク続きでクタクタになった筆者の体力的に厳しいため、ループで実行できる「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」と、ネットワーク負荷を想定したYouTubeの連続再生でオンラインゲームのプレイ環境を再現。このテストを24時間連続で実行させてみた。

 また、マシンの限界を探るべく、検証を行った部屋の空調をオフにするという過酷な条件で実施している。なお、検証日の最高気温は30.8℃だった。

検証風景イメージ

 結果は以下のグラフの通りで、室温が高く、CPUとGPUに相応の負荷がかかるテストということもあって、CPUで最大84℃、GPUで最大82℃と、今回の検証で初めて80℃超を記録した。

 ちなみに、グラフ終盤で温度が下がっているのは、テスト終盤になって入室した筆者が暑さに耐えかねて空調を入れたためだ。

24時間稼働における使用率とパッケージ温度の推移。
24時間稼働におけるGPU使用率とコア温度の推移

 実際にゲーマーが夏場の密室で24時間連続で、しかも空調もなしにゲームをプレイし続ける可能性は限りなく低いことを考えると、かなり過酷な条件ながらもCPU/GPUともに85℃を超えることなく推移していること、なんと言っても一度もエラーを出すことなくベンチマーク+YouTube再生を24時間完走したことは、新ケースの冷却性能とGALLERIAマシンの優れた動作安定性を示していると言って差し支えないだろう。

長時間のゲームでも安心な優れたエアフロー設計、BTOマシンの“常識”を打ち破る新ケース

 ここまで見てきたとおり、今回のGALLERIAは、デザインと安定性、使い勝手を高いレベルで実現したゲーミングギアだ。BTOマシンの無骨な強さから脱却した外観もさることながら、エアフローを含めた機能面の設計も現代のゲーミングマシンに相応しい仕様となっている。

 まさにBTOゲーミングPCの“常識を打ち破る”ものとなった新生GALLERIAは、快適なゲームライフの一助となってくれるはずだ。