【特別企画】

スマホと身の回りのアイテムだけで“良い感じのフィギュア写真”を撮ろう!

身近なモノを利用してフィギュアをいつもよりキレイに撮ってみる

 美少女フィギュアや、カッコイイロボットフィギュア、ナイスなフィギュアを購入して様々な角度で眺めたり、遊んで動かしていると、見ているだけではなく、「キレイに撮ってみたい」と考えたことはないだろうか。かつては高級なカメラがなくては綺麗に撮れなかった写真も、現在では、スマホがあり、「手軽に撮影できるよね」とトライするも、どうも自分がフォローしている写真の上手い人のようにキレイに撮影できない。

 「どうすれば上手く写真が撮れるだろうか?」と思って、ちょっと調べると様々な情報が出てくる。フィギュアの撮影にはキットレンズでも十分だが、一眼レフカメラだと色々凝れる。さらに「光源」が必要だ。スタンドのついたライト、フィギュアの周りを覆う撮影ボックス……「こんなの買うお金があったらフィギュアいっぱい買えちゃうんだけど?」となり、体育座りをした人も多いだろう。

 というわけで、本稿は身の回りにあるであろうものとスマホで、なるべく手軽に、それなりに綺麗にフィギュアの写真を撮るためのテクニックをご紹介したい。今回、必要なものはノートPCもしくはPCモニター、タブレットと白い紙、そしてスマホだ。また三脚があると、変化の確認が楽になるので、こちらも100円ショップなどでスマホ向けのミニ三脚を確保するといいだろう。

今回はノートPCとコピー用紙×5、スマホを使用した
ミニ三脚。ある程度、高さを調整できるタイプがオススメ

コピー用紙とノートPCでフィギュアに光を当てる

 本稿で使用するスマホはiPhone 11 Pro Maxで、光学2倍を搭載するスマホを想定している。またHDRのような機能はオフを推奨。これはオンにしておくと、勝手にシャドウ部が明るくなって、観察の意味がなくなるためだ。いわゆる標準カメラしかない場合でも距離を近づけてみるなどでOKなので、おおよその環境には対応しているハズ。良い写真にするためにはカメラアプリでの加工をするとよりキレイな写真になる。アプリと加工法は今後紹介する予定だ。

 今回目指すイメージとしては、だいたいフィギュア全体に光が回っている状態。写真がキレイに撮れる環境については、実はフィギュアイベントの会場展示が大いに参考になる。2月に開催された「ワンダーフェスティバル 2020冬」で、企業ディーラーの新作フィギュアの写真を多く撮った人は、「なんかキレイに撮れる」と感じたブースと遭遇しているのではないだろうか?

amiamiの展示がわかりやすかった。これと似た環境を作ればだいたいOKなのだが、準備が必要になるので、それになるべく近づけていく

 上記のamiamiのブースを見ると、4隅にLEDテープライトがあり、壁はすべて白色だ。直射と反射でキレイに光を回して、極端な影ができないようにしている。ここまでくるとカメラだとかストロボだとかはあまり関係なくなるので、最近のデバイスであれば、だれでもそれなりにキレイに撮影可能だ。

 とはいえ、この環境を家で用意するとなるとフィギュアが何体も……となるし、ライトの位置や全体のスペースなども試行錯誤が必要となるので、先ほど提示した、「ノートPC」と「コピー用紙」、「スマホ」でamiamiブースのような環境にどう近づけていくかをテーマとする。

撮影対象はBANDAI SPIRITSの「HI-METAL R ガバメントタイプ (ティンプ機)」頭部に丸みがあり、光を当てる対象としてわかりやすいというのが選別理由だ

 今回撮影対象としてチョイスしたのはBANDAI SPIRITSの「HI-METAL R ガバメントタイプ (ティンプ機)」。なぜロボなのか? 実は、この機体そのものに大きな思い入れはない。しかし、ちょっと丸みも帯びてるフォームが撮影対象としてフォルム的に作例としてわかりやすいというのが、もっともと大きな選択理由だ。

 このフィギュアを対象に写真を撮っていくのだが、まず最初にすることはノートPCを光源として運用するために、白い画像を作ることだ。Windowsの場合は、ペイントを開いて、そのまま保存を実行するだけ。その後、その画像を開き、フルスクリーン表示にして、画面の輝度を最大に。

 そして、部屋の照明を消して、ノートPCもしくはPCモニター、タブレットをメインの光源にする。今回、室内の照明をオフにしているのは環境依存度を下げるため。光源の位置がどこかは家屋次第だし、光源の性能についても同様だからだ。

 フィギュアの横にノートPCを置いて撮影してみると、がっつりシャドウが落ちる。メカの場合、この濃淡のある表現は、これだけでもとてもアリなのだが、上記しているように今回は光を回す狙いもあるため、白い紙をふたつ折りにして、ウォーカーマシンを挟むように配置していく。光源はひとつだが、簡易的に撮影用ボックスを作るイメージで進めてみよう。当然だが、机の広さも環境依存があるため、適宜アレンジしていってほしい。なおPCモニターの場合でも同様にやりやすいパターンとしている。

ノートPCを横においてみた状態
白い紙を周辺に立ててみた状態。光源を含む4方向から囲むように配置してみよう
配置を確定して撮影したもの

なぜ白い紙を周辺に立てるのかというと、メイン光源から広がる光を反射させるためだ。そうすることで、暗くなっていた部分が明るくなり、徐々に光が回っている風になっていく。

 上手く光を回すため、調整するためのポイントは直上で手持ちしている紙になる。軽く曲げて3次元的に動かしてみると、コックピット(顔)あたりだけに光が当たるのを確認できる。こうすることで対象にきちんと光が当たる状態になり、フィギュアにおいて重要な“顔”がはっきりとする。

これはロボットフィギュアはもちろん、美少女フィギュアの場合にはより有用と言える。どこに光を当てるかのコツをつかむことで、より正確に多くフィギュアに光を当てることができるようになるだろう。

露出補正も適宜していく。暗くなりがちなので、明るくしていこう

 このとき、スマホの画面を見ながら紙を配置していくと、追加ごとの変化がわかりやすいほか、フィギュアと紙の距離に応じて見え方が変化するので、よく観察しておこう。観察とそれにより得られた知見の積み重ねが、最終的な効率に直結する。ゲームと同じだ。ただゲームと異なる点は正解のパラメーター的なものが存在しないこと。繰り返しになるが、環境依存度が高いため、どうしてもアレンジが必要になってしまう。

メカの場合、左右対称であることが多い点、またシャドウになっていても想像しやすいため、個人的には影が多くてもOK派
配置。気持ち、左脚部を明るくしたかったので、紙を四つ折りにして配置した
ちなみにアップのときは、光源に思いっきり近づけてるのもアリ。いろいろな方法を試して知見を積み重ねていくことが、キレイな写真を撮る道になる

 上記はPCモニターであってもOKな方法だと記した。ノートPCやタブレットの場合は、PCモニター以上に、真正面から照らしやすく、より光を上手く当て、雰囲気の良さが増しやすい。ノートPCの場合、2in1がタブレットみたいにも使えるため都合がいいのだが、ゲーミングノートPCの大半はクラムシェルといわれる本体と一体型のため、自由に動かすには苦労する。本体部分をどうするかは考えなければいけない。

 ゲーム用にタブレットがあるもん! という場合は、タブレットの位置を上下左右に変更してみるとより楽しくなるハズだ。慣れてきたら、メイン光源の明るさを変更してみたり、スマホにある夜間撮影向け機能を使ってみたりしてもいいし、部屋の照明を付けてみたり、状況によって大きく変わる見え方に、どうすれば良いか、悶々してみるのもいいだろう。正解はない。試行錯誤することしか、自分が求める「キレイな写真」に到達する道はない。

 まとめとしては、まずは白い紙で囲んできて変化を知ろうになる。結局のところ、フィギュアごとに形状が異なるため、おおよそのテンプレートは存在しているが、そこから先はアレンジになる。その入口として、比較的変化をつかみやすいパターンを紹介してみた。上記しているが、製品写真と同じは大変苦労が多いので、自分から見て、「いつもよりキレイだぜ」を目指して遊んでほしい。

こちらは極端だが、頭部と胴体のアップの時にこうすれば光が強く当たる。挟まれている感じはネタ的でもあるが、ガバメントタイプの場合、コクピット周辺のアップを撮る場合に有効な方法と言えるだろう