【特別企画】

「OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者」先行プレイインプレッション

モバイル版でも美しい“HD-2D”の世界は健在。Switch版にはない新たなバトルシステムも

2019年 配信予定

 スクウェア・エニックスが2019年に配信を予定しているAndroid/iOS用シングルプレイRPG「OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者」は、2018年7月にNintendo Switchでリリースされた「OCTOPATH TRAVELER(オクトパス トラベラー)」をベースにしたシングルプレイRPGだ。

 「OCTOPATH TRAVELER」の舞台であるオルステラ大陸の数年前を舞台に物語が展開する本作。2Dと3Dが融合した美しいグラフィックス、敵の弱点を探す戦略性が楽しいバトルといった魅力は引き継ぎつつ、スマートフォン向けにカスタマイズされた新しい冒険が楽しめる。

 3月26日からは先行体験版が配信され、当選者のみという形で新作の一端が披露された。筆者も主人公の1人「ハインツ」の物語を体験してみたので、Nintendo Switch版と何が同じで、何が違うのかを紹介していこう。

“富・権力・名声”に翻弄される主人公たちの物語

 冒頭で触れたとおり、本作はNintendo Switch版の数年前が舞台。プレーヤーが歩くフィールドや町並みは似ている部分があるものの、オルベリクやプリムロゼ、トレサといった8人の主人公がメインとして登場することはない。

 その代わり主人公として登場するのは、 “富・権力・名声”を極めし者たちに翻弄される3人。どの主人公で旅をするかはゲーム開始時に決めることになり、筆者は“名声”の象徴である「劇作家・アーギュスト」と対峙するハインツを選んでみた。

 冒険はハインツ1人で始まるが、程なくして酒場のマスターから「仲間はいないのか?」と尋ねられ、こちらの仲間を紹介することに。このとき行なう「導き」というのが本作におけるガチャで、さまざまなキャラクターを仲間として迎え入れられる。ちなみに筆者の仲間になってくれたのは、剣士のナンナ、神官のホセ、商人のコニーの3人。それぞれドット絵に加えてイラスト、登場時にはちょっとした会話も流れ、どんな性格をしているのかわかる仕組みになっていた。

 移動は画面をスライドさせるだけの簡単操作。道の分岐点などに辿り着くと自動で止まってくれるが、それまでは止まることなくまっすぐ歩く。また宝箱などにタップすると、そこまで迷うことなく歩いてもらうことも可能だ。マップはNintendo Switch版ほど複雑な構造ではなく、あてもなく冒険する感覚は薄らいでいる。その反面、スマートフォンならではの快適さを手に入れているのは間違いない。

 物語は画面右上に表示されるミニマップの中、メインクエストのアイコンを追いかけることで進行する。1章をクリアするのにかかった時間は1時間前後といったところ。これも章ごとで増減はあるだろうが、かなりコンパクトにまとまっている印象だ。

 ちなみに、ストーリー進行ではNintendo Switch版と異なり、主人公キャラクターが言葉を発しない。ジェスチャーで感情を表したり、プレーヤーが選択肢で意思を示すことはあるが、どんな性格かは人それぞれの想像力に委ねられている部分が多い。

「聞き出す」といったフィールドコマンドも健在。コマンドを利用すれば町の住人の言葉を聞けるだけでなく、アイテムを購入することも可能だ
冒険の中で手に入った素材アイテムを利用して、新たな武器を購入する。基本料無料の作品だが、シングルプレイRPGと同じ感覚で強化できる

バトルは弱点を探す戦略の幅がより広く

 本作のバトルもまた、Nintendo Switch版を踏襲している。コマンド選択式をベースに、さまざまな武器や属性魔法で攻撃して弱点を探る。そして敵ごとに設定されたシールドポイントの数だけ弱点を突けばブレイク状態となり、相手の防御力が著しくダウンする。いかに効率よく弱点を見つけ出し、ブレイク状態へ追い込むかが勝敗を分けるポイントだ。

 また味方はターンが経過するごとにブーストポイントが溜まり、これを消費することでより強力な攻撃を繰り出せる。通常攻撃は連続攻撃になり、魔法は1回で与えるダメージ量が増す。序盤から連続攻撃を行ないシールドポイントを削ってもいいし、ブーストポイントを溜めておいて、ブレイク状態にしてから一気に畳み掛けてもいい。どのタイミングで勝負を仕掛けるかの駆け引きも本作の魅力だ。

 ここまではNintendo Switch版とまったく同じだが、大きく違うところもある。最たる例が4人パーティから8人パーティへ、人数が増加している点だ。4人が前衛として直接戦闘を行ない、後衛の4人は徐々にヒットポイントが回復していく。バトル中の交代も自由に行なえるので、ピンチのときは積極的に入れ替えるといいだろう。また敵の弱点がなかなかわからないときも、キャラクターを交代して新たな攻撃方法を試すことが可能。攻守両方において、とても重要な戦略になっているのだ。

 本作はあくまでもシングルプレイRPGなので、レベル上げやアビリティの習得も敵を倒すだけでできる。特にボスを倒したときはレベルも一気に上がるので、少なくとも序盤に限っては「ガチャに頼らなければ勝てない」という感覚はなかった。コンシューマのRPGに慣れ、ソーシャルゲームになじみのない人には嬉しいバランスだろう。

アビリティはレベルが上ったときに入手できるJPを消費して行なう。ステータスアップや新しい攻撃方法の取得など、その種類は多岐にわたる

 最後に、本作を攻略する上で重要になりそうな「影響力」についても紹介しておく。影響力は“富”、“権力”、“名声”の3種類があり、それぞれのランクを上げることで新たなメインストーリーが解放されたり、キャラクターのステータスが上昇したり、特定ダンジョンに入れたりとさまざまな恩恵が得られる。影響力はシナリオを進めるほか、功績と呼ばれるミッションの数々をこなすことで上がっていく。ゲームの進行に行き詰まったら、功績をクリアして影響力を上げるサイクルが必要になりそうだ。

影響力が低いと、町中で「聞き出す」コマンドが使用できないことも。冒険を楽にするという意味でも影響力の数字には気を配りたい

 移動時の操作方法やマップの構造など簡略化された部分も垣間見えるが、グラフィックや世界観、バトルに関しては昨年多くのRPGファンが熱狂した「OCTOPATH TRAVELER」そのもの。これに加えて西木康智氏が手がける音楽も健在で、物語を引き立ててくれる。良いゲームに仕上がりそうだ。