インタビュー
「新生FFXIV」、「パッチ2.4 氷結の幻想」実装直前吉田Pインタビュー
「大迷宮バハムート」入場制限緩和の仕様はすでにできている
(2014/10/27 12:00)
「大迷宮バハムート」入場制限緩和の仕様はすでにできている
――完結編となる「大迷宮バハムート:真成編」についてですが、ギミックはやはり難しくなるのでしょうか?
吉田氏: 「侵攻編」の1層2層はやり過ぎを若干反省しているところがありまして、少々ギミック中心にしすぎたかもしれないと話をしています。ですから「真成編」の1層と2層のギミック自体は、侵攻編に慣れた方であれば十分に楽しんで頂けるかと思います。ただし、要求されるDPS量は少し高めです。皆さん「侵攻編」の3層で自身のDPSをかなり意識され、今まで何となく回していたローテーションを最適化し、かなりダメージをたたき出していらっしゃいます。実は「邂逅編」の4層もDPSチェッカーの役割を果たしており、あちらはウェーブ型。「侵攻編」3層は決められた時間の中で、どれだけDPSが出せるかがコンセプト。ここを突破された皆さんは、かなり平均DPSが上昇しています。
ですので「真成編」では1層、2層でも要求されるDPS量は、今までに比べるとやや高めです。最上級のアイテムレベルでなくてもクリアできるような設定にはしていますが、そのアイテムレベルでクリアしたいのであればDPSをきっちり出す必要があります。ただ3層と4層はラストですので、今までの経験をフルに活かしていただくものになっています。その分ついにラストだという印象を持っていただけるだけの敵を用意したつもりです。
――今後、各種ギミックを使ったエンドコンテンツがどんどん難しくなり、内容が先鋭化していって、初心者が参入しづらくなるという心配はありませんか?
吉田氏: 「邂逅編」に越える力がかかる前にも、それはすごく言われていました。しかし越える力がついた今では、当時クリアされた方にとっては「なんだこのヌルゲーは!」という感じになっていると思います。僕は今の「邂逅編」も好きなので、パーティ募集を見かけたり、時間があればCFで参加するのですが、ギミック無視が半端じゃないですね。
「侵攻編」の超える力もパワーアップだけではなく、ある程度はギミックも調整します。僕の周りでも、早く超える力来ないかなと言ってる人はたくさんいますし、そういう人たちは「バハは超える力が付いてからでいいよ」と思っていらっしゃいます。ですので、先行した方が「この難易度じゃ後続はついてこれないんじゃないの?」という感覚は、後続からすれば「余計なお世話」なのかもしれません。
――ギリギリの戦いで勝利した経験があると、このギリギリ感が楽しいわけで、それを味わえないともったいないと思ってしまいますね。これも余計なお世話なんでしょうか(笑)。
吉田氏: 「ギリギリの戦い、精神を削られる戦い」なんておもしろくも何ともない。RPGなんだから、強くなってボスすらボコボコにしてクリアしたい! という方からすれば、余計なお世話になるかもしれません。望んでいない感覚だと思いますので。
クリア方法がわからない、みんなで頭をひねって考える。少しずつクリアするための方法がわかってきても、誰かがミスをして失敗する。自分が失敗すれば、悔しくて仕方ないし、申し訳なさでいっぱいになる。励まし合って、話し合って、一生懸命に仲間と共に頑張る。だからこそ、クリアできたときにものすごい喜びを感じるし、8人で一糸乱れぬ動きができたからこそ勝利したという、何にも得がたい達成感が味わえる。僕個人としてこのスポーツライクな遊びは、とても好きですし、多くの方に味わって貰いたいとは思います。
プレーヤーの方が初めてそのコンテンツをクリアした瞬間の動画を見ていて、クリアした瞬間の叫び声を聞いていると、自分まで嬉しくなります。でも、それは好き/嫌いの問題であり、誰かに強要されるものではありません。アスリート的な感覚は、アスリートタイプの方が望まれる興奮です。
超える力を使い、かつアイテムレベルの高い装備で、圧倒的回復力や攻撃力でボスを撃破するのも、「こんなに強くなったぜ!」という楽しみ方ですし、どちらが正しいとか、間違っているとか、もったいないというお話ではないと思っています。多少ギミックは調整されていますが、越える力のバフを外せば、一応実装当時に近い状態で戦うことは可能です。あとはもう、皆さんの選択で思い思いに楽しんで頂きたいと思っています。それが「FFXIV」の目指すゲームイメージでもあります。ただ、「越える力を全員つけずにクリアした」というアチーブメントでもあると、もしかするとチャレンジするきっかけにはなるかもしれないですね。
――今「邂逅編」はネクサスの関係でかなり人が多いですね。
吉田氏: 「邂逅編」を最先端でやっていた人たちと、そうでない人たちがCFで混じるので、良い効果があると思います。パーティ内で話を聞いて、これだけ強くなったんだから「侵攻編」とやらにいってみようかなと思う方も出てくるかもしれませんし、2.4で「侵攻編」に超える力がかかる前にやってみようかなと思う方もいらっしゃると思います。徐々に混ざり合ってくださるのが理想ではあります。
――簡単になったら噂の「侵攻編」2層の“石化テロ”を見てみようかなという人もいるかもしれないですね。
吉田氏: パッチ2.4では「侵攻編」が8人でどこからでも挑めるようになります。その2週間後くらいから本格的な越える力が入りますし、石化周りは少し効果も調整しようと考えています。石化テロはCFでのソロマッチングでは、かなりしんどいと思いますし。
――一瞬で崩壊しますからね。
吉田氏: ちょっとやりすぎたかなと……、ちょっと反省しています。
――「真成編」でも入場の週制限がかかると思うのですが、そのために進行の遅れている友達を手伝うことができない状態が続いています。改善できないのでしょうか?
吉田氏: このご質問は、2.0の直後からいただいています。やらないわけではなく、ずっと検討を続けている項目です。実は仕様も何パターンか用意して検討を続けてきました。ただ我々は運営として、先行プレーヤーのモチベーションとアイテムレベルの価値をコントロールしなければなりません。アイテムレベルの価値が下がってしまうと、アイテムレベルを中心にコンテンツデザインをしている以上、すべてのバランスが崩れてしまうからです。
ずっと慎重に考えているのは、強い人たちに手伝って貰うことで、本来はまだそのアイテムが取れないレベルのプレーヤーまで装備を手に入れて強くなってしまうことです。いくらスキル回しのローテーションが悪くても、アイテムレベルによって想定以上のDPSが出てしまう。そうなるとコンテンツの難易度が身の丈に合わなくなってしまい、結果、パーティのバランスが崩れたり、皆さんのモチベーションバランスが崩れてしまいます。
もちろんプレーヤーの方からの「練習すらできないのは辛い」、というお話は、僕らも公開サーバーで遊んでいるのでとてもよくわかります。僕らの場合は固定の1人でも来られない時には、その週はレイドに行かず、好きなことで遊ぶという感じでプレイしていますが、そはそれで人によってストレスですよね。仕様も詰まってきましたし、2.45か2.5では週制限に関する施策を公開できればと考えています。
イベントなどで世界中のお客様に会うと、アイテムはいらないから同じFCのやつを助けてやりたいんだとか、練習させてやりたいから何とかしてくれという意見が多いです。だkらやるとすれば、クリア済みの人が何人いるかでアイテムのドロップレートが変わるという仕様を入れることで、4人以上クリアしている人がいるのであれば、宝箱は出しませんというくらいの割り切りになると思います。後は入れるとしても実装直後ではなく、トップの方のモチベーションを優先しつつ、1カ月後ぐらいに導入……という感じになると思います。あとは、3.0からは複数難易度のレイドを同時実装したいね、という話もしていますが、これはもうコストと期間次第なので、ギリギリまで粘ってみたいと思っています。
“3.0”こと「蒼天のイシュガルド」では、今よりもゴシックファンタジー風の世界観に
――パッチ2.0シリーズでは、見た目が同じ定食のように、ずっと同じ定型パターンでコンテンツが実装されています。吉田さんがおっしゃったように、「新生FFXIV」がどういうものかわかってきたと同時に、またこれかという飽きも出てくるのではないかと思うのですが。このパターンは今後どう変化していくのでしょうか?
吉田氏: 確かにそう言う意見もそろそろネットで見かけています。しかし、毎回メインディッシュは違います。僕らはインスタンスダンジョンをメインディッシュだとは思っていなくて、ここは決まったパターンの通常実装。メインシナリオの進展があり、2.3では大規模PvPの「フロントライン」があって「モブハント」というそれまでにはない新しい価値観の遊びも出てきていて、どちらかというとこちらがメインです。
それ以外のものは確かに既定路線ですが、それらはある意味「お約束」であって、2.4のメインディッシュは新クラス/新ジョブです。単純に新ジョブが入ると、これまでのものも新鮮に味わって頂けると思っています。例えばレリックを作るために、しばらく通ってなかった真タイタンにいきますよね。ああ、懐かしいな、忍者で行くとまた新鮮だな、と。ただ先ほどもいいましたように、この路線は2.3までで綺麗に1周回ったので、2.4、2.5で2.0シリーズのフィナーレを迎え、また違った大きな発展をしていきます。3.0はそういう位置づけのためのものです。
――パッチ2.5まではもう1回、定型のパターンで来るけれど、3.0からはまったく変わるということですか?
吉田氏: いえ、そんなことはありません。お客様は追加に慣れていらっしゃるので、例えばどんなに「またかよ!」と批判されていても、「新規3ダンジョンは最低3つ」、「レイドは必ず追加」はもう必須項目だと思います。その上で、2.0シリーズとは違った新しいものを追加していく、というのが3.0の意義ということになります。
――パターンだろうが、定食だろうが、なければないで文句が出るということですね。
吉田氏: 今までやってきたんだから、それぐらいはあって当たり前だろ!と(笑)。それも踏まえてパッチ2.5や3.0からは、「FF」だったり、「新生FFXIV」にしかできない、見たことのないコンテンツをやっていこうと思っています。
――2.5からですか?
吉田氏: 「ゴールドソーサー」も他のMMOにはないものなので、そこからですね。3.0は3.0でまた新しいコンテンツを考えています。
――3.0について話せる範囲で教えてください。
吉田氏: 北米/欧州のファンフェスティバルで拡張パックとなる「蒼天のイシュガルド」について、まとめてプレゼンテーションさせて頂きました。物語の舞台はイシュガルドになります。大幅な数の新規フィールドの追加、フィールド1つ辺りの広さは、今のエオルゼアにあるフィールドのだいたい1.2倍から1.5倍くらいと広いです。ストーリーは今の三国エオルゼアを離れて、イシュガルド地方側に寄りかかった完全新規のストーリーになります。すべてのクラス/ジョブのレベルキャップが50から60に上がり、複数の新しいジョブが実装されます。それからプレーヤーの皆さんが使える、新種族も追加されます。かなりの数のダンジョンがスタート時から入ります。そして、新しいレイドや、飛空艇を使ったコンテンツがあり、フライングマウントでフィールド上の空が飛べるようになります。後は2種類の新しい蛮族と新しい蛮神。蛮神のうち1種は「新生FFXIV」オリジナルになります。全体としてはかなりゴシックファンタジー寄りになり、今よりももっとハードな展開になります。絵作りも、今のエオルゼアはそれでもまだ明るくて色彩豊かですが、もっと渋い方へいきます。
――少し欧米風のテイストが強くなるんでしょうか。
吉田氏: 絵のクオリティやデザインの方向性は、もちろん「FF」を意識していきます。ですが、質感だったり陰影の表現は、もう一段大人な方へいこうと思っています。ストーリーはドラゴンと人間が千年争っているというのが中心になり、光の戦士達である皆さんがその渦中に飛び込むことになります。なかなか一筋縄ではいかないお話になると思います。パッチ2.0シリーズはパッチ2.5で終了します。なぜ物語の舞台がイシュガルドに移ることになるのか、ストーリーにぜひ注目していただきつつパッチ2.4をプレイし、そして、パッチ2.5と「蒼天のイシュガルド」の情報をお待ちいただけたらなと思います。
――前のダラガブの話のように、今回も少しずつ拡張に向かって話が進んで行くのですね。
吉田氏: 2.4からかなり舵を切っています。「旧FFXIV」からプレイしてくださっている方は、「ようやくイシュガルドか」、「イシュガルドは既定路線」と思われて当然ですが、なぜイシュガルドにいくことになるのかというところには、ぜひ注目していただきたいです。
――これまでずっと閉ざされていた門がやっと開くのですね。
吉田氏: どのように門が開くのかにもご注目ください。すんなり予定調和的ではなく、「FF」らしい驚きを提供したいと思っていますので、盛り上がっていただけるように開発一同頑張ります。
――最後に2.4を待ちわびている読者へのメッセージをお願いします。
吉田氏: 2.4はもしかすると、いつも以上に「定食がきちんと出てくるパッチ」かもしれません。新しいハイエンドのレイドがあり、3ダンジョンあって……という。しかし、目玉として「忍者」と「双剣士」があります。ぜひ新たな感覚でエオルゼアの世界をお楽しみくださると嬉しく思います。
また拡張版である「蒼天のイシュガルド」に繋がっていく世界観も見えてくるので、果たしてこの世界が次のパッチ2.5を経てどう進んでいくんだろうという、まさに2.0シリーズが総まとめに入っているパッチ第1弾です。僕らが1年かけて積んできた経験を生かした、まさに定番として出せるのが今回の2.4だと思っていますので、隅々までぜひ楽しみください!
――ありがとうございました!
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