インタビュー

「真・雀龍門」プレイレポート&インタビュー

“対アーケード麻雀”と“強さと楽しさの追及”という新たな方向性

1月15日 アップデート実施

 Windows用オンライン麻雀ゲーム「雀龍門」が、1月15日にリニューアルアップデートを行ない、「真・雀龍門」として再出発した。初代「雀龍門」から数えて4度目のメジャーアップデートとなる本作は、3Dグラフィックスに物理演算まで取り入れ、麻雀ゲーム界においては圧倒的にリアルなプレイを楽しめる点はそのままに、本作で大幅な方針転換を図っている。

 その方針転換がいったいどんなものなのかというところを、まずはプレイレポートとしてお届けしたい。また運営元のエヌシージャパンにお邪魔し、担当の有吉雅知氏にインタビューしているので、そちらも合わせてお伝えする。

サービス開始4年目にしてプレイ料金を有料化

プレイ料金を有料化。4年目にして大きな改変となった

 「真・雀龍門」について、どうしても最初に語らねばならないのが、プレイ料金の有料化だ。「雀龍門」シリーズは2009年12月のサービス開始以降、一部のゲームモードを除いて、ほとんどのゲームプレイは無料で提供してきた。ところが今回、対戦用のモードに関しては、全て有料で提供されている。

 料金はゲーム内通貨「場代」として販売されており、1場代は1円相当。東風戦は80場代、半荘戦は150場代、三人打ちとなる三麻半荘では100場代となっている。

 運営側の意図については後ほどインタビューでお伝えするが、この有料化のフォローとして、「雀龍門3」までに作られたアカウントに対しては、5,000場代が付与されている。また「真・雀龍門」以降に新規でアカウントを作成した場合には300場代が付与され、さらに2月26日までは追加で1,200場代がプレゼントされるキャンペーンが実施されている。

 クライアントは従来どおり無料でダウンロードできる。有料化はされたものの、ひとまず誰でも無料で体験できる環境は整えられている。

ゲームモードやルールを一部変更

基本となるゲームモードは4つ。主には公式戦と特荘戦をプレイすることになる

 ゲームモードは、メインとなる公式戦に加え、特殊ルールの対局となる特荘戦、知り合いと遊べる友人戦、練習用のAI戦の4つ。「雀龍門3」にあったリーグ戦は廃止されている。

 基本的なルールは、食いタン後付けや赤ドラありの「ありあり」ルールに一本化され、従来あった「なしなし」モードは廃止された。これにより、公式戦では「ありあり」ルールでの東風戦と半荘戦、三麻半荘の3つが残っている(三麻の東風も廃止)。これに、半荘戦では持ち時間が通常の5秒から3秒に短縮された高速モードが新たに加わり、合計4モードから選択できる。

 特荘戦は、最初からドラが3枚開いている「ドラドラ」、配牌がオープンになっている「配牌オープン」、割れ目に当たった人の得点・失点が倍増する「割れ目」の3ルールが用意されている。ルールは5日ごとにローテンションしており、3つのうちいずれかのルールで対局できる。

 友人戦では自由にルールを決めて、知り合いと対局できる。ただし友人戦でもプレイには場代が必要。料金は公式戦に準じたものになっている。AI戦は最初は無料だが、プレイして経験値を得てレベルが2に上がると、対局で入手できるゲーム内通貨「龍宝」を100消費する。

 プレイ感は特に変化がなく、マウス操作だけで直感的にプレイできる。演出面では、ドラを鳴いた時にズームアップしたり、得点計算画面で符計算が表示されるようになったりと、若干の強化がされている。

【スクリーンショット】
公式戦は基本的に従来どおり。好みのルールを選んでプレイするスタンダードなもの
新しく追加された特荘戦は、3つの特殊ルールがローテーションしている。筆者のオススメはこの「配牌オープン」

プレーヤーデータをリセットし、レートに一本化

強さの指標はレートのみ。メニュー画面で各ルールのランキングも見られる

 プレーヤーのデータは、「真・雀龍門」のアップデートのタイミングでいったんリセットされている。レートについて最初は未表示となっており「調整対局」と呼ばれる30戦を経た後に、30戦の戦績を算出してはじめて表示される。またリーグ戦の廃止に伴い、リーグランクはレートによって振り分けられるレートランクに変化。さらに段位も廃止され、代わりにプレイごとに経験値を得て上がっていくレベルが導入された。レベルが上がると、龍宝獲得量が増加する効果など、特典が得られる。

 プレーヤーの傾向を、攻・守・策の3つで示していたグラフも廃止。代わりに6角形のヘキサグラフ型データが導入され、より詳細なプレーヤー傾向を示すようになった。以前は上級者ならほぼ策に偏る状態だったため、そこが改めて見えやすくなるような仕組みだ。ヘキサグラフ型データは、30戦以上プレイしたモードで表示される。

 データは東風・半荘・三麻半荘で別になっている。レベルはプレイすれば上がっていくので、強さを示す指標はレートのみという形になった。なお「雀龍門3」までのデータは別枠で保存されており、自分の過去のデータも参照できる。

【スクリーンショット】
1つのモードを30戦すると、打ち筋を分析したヘキサグラフ型のデータが表示される
レートなどはリセットされたが、「雀龍門3」以前のデータも参照は可能

観戦モードがついに実装

ゲーム内で他のプレーヤーを観戦できる

 長らく実装が待たれていた観戦モードも追加された。プレーヤーのレート、人気(観戦者数)、開始順の3つでソートして、見たい対局を選べる。観戦はいずれも無料となっている。

 「雀龍門」には以前から録画機能やYouTubeへのアップロード機能は用意されていたが、特定の誰かの対局をほぼリアルタイムで見る機能はなかった。今後は上級者の対局を思う存分観戦できるので、また同じ対局を観戦している人同士であればチャットも可能(対局者には表示されない)なので、友人の対局をみんなで見ながら検討する、といったこともできる。

 単純に注目プレーヤーの実力を見たいという思いは、プレーヤーは誰しも持っているはず。また、ある程度麻雀に慣れてくると、上達するのに実力者の打ち筋がとても参考になる。腕を磨きたい人にとっては、見たい人の麻雀を好きなだけ見られるという、とてもありがたい環境が整った。高レート者同士の対局は緊張感があり、見ているだけでも面白い。有料化で二の足を踏んでいる人もぜひ1度は見てみてほしい。

有料アイテムを廃止

以前有料だったアイテムも、龍宝と交換可能になった

 アイテムに関しては、有料での販売品がなくなり、全て龍宝と交換できるようになった。有料販売されていた手やボイスも全て龍宝で交換できるので、今後はゲームプレイのみで入手できる(プレイ自体が有料ではあるが)。

 そのほか、牌譜は無制限に保存が可能、長考時間は対局ごとに自動付加される形になったため、リプレイを保存する「牌譜記録ディスク」と、待ち時間を延長する「長考時間+10秒」が廃止された。牌譜の無制限保存はプレーヤーにはかなり嬉しい機能だろう。

【スクリーンショット】
手やボイスも龍宝で交換可能。より個性的なプレーヤーを演出できる
牌譜も無制限に記録できるので、気になることがある対局は保存して見返したい

遊び場としては洗練された印象。やはりプレイ料金がネックか

麻雀ゲームとしてのクオリティは現在も間違いなく最高峰だが……

 「真・雀龍門」をプレイしてみて感じるのは、従来から変わらないリアルさと、よりシンプルになったシステムという2点だ。3Dグラフィックスで描かれた卓と牌は、サービス4年目の今でも他の追随を許さない美しさがある。サービス当初の頃は、安価なノートPCなど非力なマシンではプレイしづらいということもあったが、現在販売されているものであれば、ほぼ不自由なくプレイできるはずだ。

 ゲーム内容は以前よりもわかりやすくなった。以前あったリーグ戦は、段位を持つプレーヤーしか参加できなかった上、競技を意識した厳しいルールとなっていた。確かに緊張感のある対局を楽しめはしたが、敷居が高い、もっと気軽に遊びたいという人もいたのは事実。今回はそれを特荘戦という、よりゲーム的なルールに置き換えたおかげで、初心者も気軽に遊べる場が増えたと感じられる。

 特に、特荘戦の独特なルールは、麻雀ゲームのプレーヤーにとっては新鮮だ。「ドラドラ」や「割れ目」は、点数のやり取りが派手になる分、誰でも単純に楽しめる。「配牌オープン」は、見える情報が捨て牌と相手の配牌まで広がるため、情報量が激増する。ただ手作りするだけでなく、見えている牌をあえて残して駆け引きに使うなど、従来の麻雀にはない刺激がある。上級者ほど楽しめそうなルールだ。

 そのように遊び場としての完成度・自由度が高まった反面、場代による有料化が初心者お断りな空気を漂わせるのが気がかりなところ。先に述べたように、体験するだけなら問題ない環境は整えられているとはいえ、オンライン麻雀ゲームでプレイ料金を取るというだけで抵抗感を持つ人が多いのは間違いない。「いずれ有料になるなら、無理にやりたくない」と思われるのは、運営としても望まないところだろう。

 果たして運営側はその辺りをどう考えているのか……という辺りから、インタビューへと入っていきたい。

(石田賀津男)