インタビュー
「真・雀龍門」プレイレポート&インタビュー
インタビュー:オンライン麻雀の最高峰から、対アーケードゲームへの戦略転換
(2013/2/12 00:00)
インタビューでは、「真・雀龍門」を担当する有吉雅知氏にお答えいただいた。有吉氏は同社のMMORPG「リネージュ2」にGM(現在はFunSupport)として入社し、FSクロロクという名前でプレーヤーにも知られている。現在は「真・雀龍門」において、日本側のプロデューサー的な立ち位置で、開発元である韓国NCSOFTと日々やりとりしている。
オンライン麻雀の最高峰から、対アーケードゲームへの戦略転換
――まず最初に伺いたいのは、プレイ料金の全面的な有料化についてです。こうなった経緯を教えてください。
有吉氏: ここは本当に社内で何度も何度も協議された上での決断でした。「雀龍門」シリーズは、オンライン麻雀ゲームの中では後発となる2009年12月にオープンし、2012年1月に会員数100万人を突破しました。これは相当急激な伸び率だと思います。プレーヤー数という部分においては、社内的な目標として当時から立てていた、「オンライン麻雀ゲームで最高峰のタイトルになる」というものがあったのですが、これは達成できたと考えています。
ただビジネス視点で見た時、マネタイズが難しいジャンルでもありました。そこで、ある程度ビジネスとして確立しているアーケード市場をターゲットに置いた、というのが今回の形です。ゲームセンターは風営法で24時間営業ができませんが、オンラインゲームは24時間365日フルで稼働しています。遊びたい時にいつでもすぐできるというオンラインゲームの良さや元々「雀龍門」が持っている高いクオリティに、100円入れたら遊べるというアーケードゲームの仕組みを組み合わせ、その対価として都度課金の導入に踏み切りました。
――競合とするターゲットを、オンラインゲームからアーケードゲームにシフトしたわけですね。
有吉氏: 「雀龍門」の未来を考えた結果、そのようにいたしました。この突然の変化で、多くのお客様の混乱を招いてしまいました。私たちは必ず公式掲示板やお問い合わせのメールには目を通しています。
そこに寄せられる、今まで「雀龍門」を支えてくださったお客様たちが発する厳しいメッセージを真摯に受け止めています。ひとりでも多くのお客様に生まれ変わった「真・雀龍門」をまずはプレイしていただこうという思いから、これまでに1度でもプレイした方には、5,000円分の場代をお贈りすることにいたしました。有料にはなりましたが、どのようなゲームになったのかをお客様に判断していただき、そこから生まれるご意見を形にしていくことが大切だと思っています。
ただし観戦モードは無料としました。観戦中は対局者の手を見ながら、みんなでワイワイ言い合えるという部分を楽しんでいただきたいと思っています。さらに、現在1つの対局を5分以上観戦していると場代をプレゼントするというイベントも行なっており、無料で場代を獲得できるチャンスを設けています。
――今後はアーケードのプレーヤーを引き込んでいきたいということですか?
有吉氏: そうですね。元「アイドリング!!!」1号のアイドル、加藤沙耶香さんを起用して、「本性全開」というプロモーションを行なっています。自宅をゲーセン化、という方向のものです。アイドルは清潔感みたいなものをウリにしていますよね。加藤さんは実際に麻雀を打てるのですが、いつもは可愛いのに、家に帰ると「いらねーよ、この牌!」と本性を出してしまうほど面白いのが「真・雀龍門」です……というプロモーションをやっています。
アーケードだと外なので無表情でやらなければいけないですが、家なら好きなように騒げる、といったところで差別化としてプロモーションをかけています。ゲームセンターで遊ぶのもいいけれど、「真・雀龍門」もいかがですかという感じです。
――場代を無料で手に入れる方法はありますか?
有吉氏: 現時点で行なっているのは、観戦イベントという形です。1回の対局を5分以上観戦すると、毎日場代がもらえます。また、20人以上の観戦者を集めた対局者全員も場代を獲得できます。あとイベントで対局してランクインすると、1位に3,000円分の場代がプレゼントされるなどもあります。
場代に関しては、掲示板などでも非常に話題になっていますし、私たちもそれには目を通しています。中でも「運営が何を考えているのかわからない」という声が痛烈に胸に刺さりました。何事も全ての答えはお客様の声にあると私は思っています。お客様の声を受け止め、私たちにできることを考えていきます。
――例えば、公式戦は有料、友人戦は無料という切り分けはありえますか?
有吉氏: その辺りもかなり議論しました。やはりアーケードをターゲットにしていますから、プレイに関しては一律に有料という形になりました。アーケードは無料で遊べるゲームはないと思ってますから、そこと同じ土俵に乗るという感じです。
――場代に対して、プレーヤーの反応はいかがですか?
有吉氏: 正直に申しまして、数々の厳しいご意見をいただいています。当初は場代の獲得方法について色々と企画があがっていたのですが、麻雀という特性上、賭博行為のイメージが強く、法令遵守の立場から実施に踏み切れない部分がありました。場代の扱い方もその1つです。
――法律的に難しい課題があったということですか。
有吉氏: 題材が麻雀という時点で、法令遵守の観点から折り合わなければならない部分があります。いいアイデアだなと思っても、調べてみると実装が難しいことも多々あります。そういったことで、お客様のご意見を取り入れられないことが、1番心苦しいです。もっとお客様に楽しんでいただけるような内容を常に模索していきます。
レート特化で実力伯仲の対局を実現しつつ、特殊ルールでゲーム的な遊びも提供
――ゲーム内容も方向性が変わりましたね。この辺りの意図を教えてください。
有吉氏: まず主眼に置いているのは、楽しめる部分の強化です。今までの「雀龍門」では、麻雀に集中して楽しんでいただくという方向性だったのですが、友人戦ではリアルタイムにチャットができるようになったり、観戦モードを追加して観戦者同士のチャットができるようになりました。特荘戦という特殊なルールで遊べるものも、この楽しめるという方向性からきたものです。
もう1つは麻雀のスリルの部分に注目しました。麻雀は相手の思考を読んで、そこを打ち抜くのが最も楽しい瞬間だと思います。訳のわからない捨て牌であがってもつまらないですよね。それには拮抗したレベルの人同士で打つ必要があり、その楽しさを生み出すため、レートに特化しました。
――麻雀がうまい人はレートが上がり、自然と実力者と対戦できるという仕組みを作ったわけですね。
有吉氏: そうです。それと、強さを見た目でわかるようにしています。例えばレート2,100超えの人が入ってきたら、「Sクラス雀士登場!」といった演出が入るようになっています。ただレートでマッチングされやすくなっただけではなく、強い人をより目立たせるような感じです。
――そういった施策の裏で、「雀龍門3」までの成績がリセットされました。これはどういった理由でしょうか?
有吉氏: この内容も社内で何度も議論しました。「雀龍門3」までは、段位、リーグランク、レートという3つの強さの指標がありました。例えば、Sランクのレート1,500で二段の人と、Dランクのレート1,800で五段の人は、恥ずかしながらどちらが強いのかがわからなかったのです。そこで今回は、リーグをなくし、ルールをありありに限定して、強さの指標を東風と半荘、三麻半荘でそれぞれのレートを用意しました。強さの指標を統一するために、リセットをしたという形です。
――公式戦のなしなしは、個人的には割と好きだったので、少し残念ではあります。
有吉氏: なしなしは玄人派向けという形のものでしたが、悪く言えば一般的ではなかったと感じています。全国的な傾向として、ほとんどはありありルールで、どちらかと言えばインフレ麻雀になっている傾向です。1,000点、2,000点のひりつくような麻雀も楽しいのですが、跳満を食らったので倍満で返すといった派手な麻雀を好まれる方が多いと感じています。
実際に「雀龍門3」では、対局数をありありとなしなしで比べると、ありありの方が何十倍とありました。玄人派の方が好きで打っているのがなしなし、という感じでした。ルールが難しくてお客様から「この状況でなぜあがれないのか」とお問い合わせをいただいたりもしました。そういう難しいところから避けられていたのかなと思います。
――公式戦では、半荘に高速ルールが増えましたね。
有吉氏: 「雀龍門」はオンライン麻雀ゲームの中で、対局にかかる時間がかなり長かったのです。初心者の方でも楽しめるようにしていたのですが、逆に遅いというご意見も多くいただきました。そこでスピードアップを図ったというモードです。なお、高速ルールもレートは半荘モードのものになります。
――特荘戦はゲーム的にも新鮮ですね。特に「配牌オープン」はユニークだと思います。
有吉氏: 読み合い、心理戦がとても楽しいのですが、割と玄人向けなものですね。35と見えている状態で隠れている牌が4なのか、そうでないのかといった読み合いが楽しいんです。ただ慣れるまで難しいので、現段階では難易度が高いかなと思います。今のところの1番人気は「ドラドラドラ」ですね。シンプルでみんなにチャンスがあるというところが好評のようです。ちなみに特荘戦はレートに影響しません。龍宝と経験値は獲得できます。
――特荘戦は公式戦に比べると、そこで遊んで終わりという感じなわけですね。
有吉氏: そうですね。ゲーム的な意味で麻雀を楽しめる要素を入れたという感じです。あと特荘戦の観戦は見る分には楽しいようで人気があります。
――あとは友人戦ですね。これは何か変わりましたか?
有吉氏: 対局中にチャットができるようになったのと、人が集まらない場合にAIを入れて打てるようになりました。例えば4人で東風戦をしたい場合、4人目が見つからないという時、AIを入れて残り3人で打てます。
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