インタビュー

「最終的に伝えたかったテーマは『相互理解』」。「The Last of Us Part II」インタビュー

エリーは”メインキャラクターのひとり”

 2013年にプレイステーション3向けのタイトルとして発売され、全世界で200以上のゲームアワードを獲得した「The Last of Us」から実に7年。いよいよ6月19日に続編となる「The Last of Us Part II」が発売される。

 本作では前作から5年後のシーンから物語は始まる。本作のメインキャラクターの1人は「エリー」であり、前作から時を経て大人びたエリーが辿る物語が描かれる。既に公開されている情報の通りエリーは復讐を求めて無慈悲な旅に出る。トレーラーからは、以前は人を殺めることに戸惑い、怯えていたエリーとは同一人物とは思えないほど、暴力的で残虐的に人を殺めていくシーンが多数見られる。

 それでは今作は“エリーの物語”と言い切って良いのだろうか。また前作では“愛”というテーマをプレーヤーに提示したが、今作を貫くテーマとは“憎しみ”なのだろうか? まだまだ謎多き本作だが、今回は開発元のNaughty Dogより本作のNarrative Leadを務めるHalley Gross氏から話を聞くことができた。ネタバレ回避ということで言葉を慎重に選んでいた印象だが、その中から興味深いワードが複数飛び出した。

Naughty Dog「The Last of Us Part II」Narrative LeadのHalley Gross氏
【『The Last of Us Part II』 (日本語版)ストーリートレーラー】
【『The Last of Us Part II』 - State of Play PS4】

本作で最終的に伝えたいテーマは「相互理解」

 「確実に言えるのは、エリーはメインキャラクターの1人だということです。エリーは前作から出ているキャラクターということでプレーヤーにとって身近に感じやすいし、正義を求めるために暴力を用いるということは、感情移入する上で大事だと考えます」とGross氏はエリーがメインキャラクターであることを明かしてくれた。前作からプレイしていたプレーヤーは、その言葉通り強く感情移入できることは間違いない。

前作から時を経てすっかり大人びたエリー。復讐を求めて旅に出る

 そして本作を貫くテーマとして「『暴力の連鎖』というキーワード、他のテーマとしては『暴力がもたらす結末』があります。ですが最終的に伝えたかったのは『相互理解』です」と話す。既に公開されている情報やトレーラーからも暴力や報復といったワードが本作のキーになりそうなことは伝わってきていた。だが“相互理解”とは何を指すのだろうか。

 「それは異なる人への理解です。『WLF(ワシントン解放戦線)』も『セラファイト』といった勢力も、最終的には彼らなりの決断によって動いているというのを理解していく。報復もテーマのひとつですが、そのために決断することは、果たして報われるのかどうか、そもそも善や悪は存在するのかなどを考えながら作りました」。

 「WLF」と「セラファイト」は5月28日に公開された「State of Play」で公開された2つの勢力だ。現時点ではWLF、セラファイト、そしてエリー。お互いがお互いを憎み争いあっているように見える。Gross氏が語る“相互理解”に向けてどんな物語が紡がれていくのか、本作の注目ポイントになりそうだ。

「WLF」と「セラファイト」、そしてエリー。相互理解に向けてどんな物語が描かれるのだろうか

 本作の魅力はストーリーもさることながら、極限の状況下におけるサバイバルアクションというゲームプレイにもある。

 戦闘に限っても、銃を使って遠距離から敵を倒すことも、音を立てずに近づいてナイフで急所を攻撃して仕留めるサイレントキルも可能だし、ビンを投げて音を立てておびき寄せたり、フィールドに落ちている素材からアイテムを作って戦いに活かすこともできるような戦い方の幅が魅力だ。

 Gross氏によると、今作でもその戦い方の幅は健在で「正面突破やステルスなど様々な手段を選ぶことができます」と話す。個人的なプレイスタイルを聞かれた氏は「個人的には正面突破です。数的不利でも突っ込んでいって、どうしようもなくなってからステルスに移行するので、いっぱい死にます(笑)」と話してくれた。

 「State of Play」ではフィールドの高低差を生かした戦い方も紹介されていたので、前作からさらに進化したサバイバルアクションが楽しめそうだ。

 最後に日本のファンに向けて「ぜひプレイして欲しいです。プレイした上で心が動かされたり、世界について疑問に思ってみたり、そういったことを考えるきっかけになって、最終的には楽しんでいただけるといいなと思います。」とメッセージを送ってくれた。

 意味深なワードが飛び出し、本作への期待がますます高まったインタビュー。6月19日の発売に向けて今後も動画などで情報が公開されていく予定だ。これらの情報をチェックしながら、発売日を心待ちにしたい。