インタビュー
全ての乙女たち(性別不問)へ捧げる――「THE KING OF FIGHTERS for GIRLS」その運命に迫るインタビュー
いにしえの乙女ゲーマーが「KOF」を選んだ理由とは?
2019年11月11日 00:00
- 11月8日 配信
- 基本プレイ無料(アイテム課金制)
JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントは、Android/iOS用運命を愛し抜く格闘×恋愛ADV「THE KING OF FIGHTERS for GIRLS(KOFG)」を11月8日に配信した。本作は、SNKの格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS(KOF)」に登場する男性キャラクターたちと、ゲームオリジナル主人公との友情や恋を描く、乙女向けイケメン格闘家育成アプリゲーム。ビクターエンタテインメント・ゲームズが制作する期待の第1弾作品となる。
「KOFG」では、異種格闘技選手権大会「ザ・キングオブファイターズ」に出場する格闘家たちのマネージャーとなり、苦楽を共にして互いに絆を深めていく。乙女ゲームとして本作の企画を通す際には、様々な苦労があったそうだ。原作キャラクターの恋人の存在や、おじさま層の既婚者問題、そして格闘家以外のスピンオフ作品を計画する社内との対立。開発メンバーは、多くの困難を乗り越えながら乙女ゲームに本気で向き合っている。
格闘ゲームを乙女向けアプリで展開する。一見異色の組み合わせに思える。しかし、乙女ゲームを愛してやまない女性スタッフたちが多く開発に携わり、決してイロモノ枠ではなく“すべての乙女たちへ捧げる”作品として精魂込めて制作しているアプリだという。そんな乙女ゲームに人生を捧げた、開発プロデューサーに話を聞くことができた。
【THE KING OF FIGHTERS for GIRLS 特集ページ】
【キャラクター紹介】
▼乙女たちを虜にした格ゲー「KOF」シリーズを知れば「KOF for Girls」がもっと楽しくなる
【レビュー】
▼......燃えたろ︖ スマホ用乙女ゲー「THE KING OF FIGHTERS for GIRLS」ファーストインプレッション
――本日は宜しくお願いします。まず、なぜ「KOF」を乙女ゲーにしようと思ったのかを教えてください。
Uプロデューサー:まず、社内で「KOF」のIPで何かアプリゲームを作らないかという話がありました。その話を聞いて「KOF」のキャラクターや物語を調べていくうちに、乙女ゲームにしたら面白そうだなと考えました。私自身、乙女ゲームが好きなのもあるのですが「KOF」の登場人物たちがなぜ格闘をするのか、戦う理由が気になったんです。乙女ゲームとして物語を紐解いていくには、相性がいいのではないかと感じました。
乙女ゲーム自体、主人公とキャラクターが出会って恋愛するという意味では、お互いの人生がハッキリしていないとわからない部分もあるので、私も彼らの人生を知りたいと思ったのがきっかけです。そしてこれはぜひ乙女ゲームにしたいタイトルだと企画書を提出しました。
――企画が通った決め手は何だったんですか?
Uプロデューサー:「KOF」の版元であるSNKさんが寛容に乙女ゲーム化の企画を聞いてくださったのも大きいと思います。最初に乙女ゲームを提案した時は、周囲で否定的な反応もありました。ですが恋愛をすることで、格闘以外の新たな一面を掘り下げることができるので、ユーザーにもいい影響を与えられ、キャラクターを愛でるコンテンツとして受け入れてもらえたのではないかと思います。
――「KOF」には総勢100人以上のキャラクターが登場しますが、その中から今回の攻略対象を選んだ理由をそれぞれ教えてもらえますか?
Uプロデューサー:本作は「KOF2002UM」に登場するキャラクターとのライセンス契約になっています。「KOF2002UM」はオールスターのような作品なので、その中からシナリオにした時にグッとくる人をイメージして13人選別しました。
――それぞれのシリーズにファンがいるような作品で、選別するのは苦労されたましたか?
Uプロデューサー:やはり乙女ゲームというところで、タイプが偏りすぎないようバランスには気を配りましたね。バリエーションを入れたかったので、ムキムキな体系が多い中に、かわいいタイプの包(パオ)を選んでみたり。またダンディーな雰囲気があるマキシマは、サイボーグでもあるので面白いシナリオになると感じましたね。
あとはメインどころの京や、庵、テリー、リョウといった原作でのメインキャラクターを選びつつ、その中で関係性が深いキャラクターも入れたいなと。「KOF」はキャラクター同士の関係性も非常に面白い作品だと思うので、原作のファンの方にも楽しんでもらえるよう選びました。
――ターゲットとして想定しているのは「KOF」シリーズの女性ファンですか?
Uプロデューサー:公式的なターゲットとして、「全ての乙女たち」というキーワードを使用していて、性別は関係なく“乙女の心”を持っている方でしたらみなさん是非楽しんでいただきたいです! あえて強調している理由としては、「KOF」シリーズのファンの方も大事にしつつ、乙女コンテンツが好きな方に「KOF」のキャラクターたちを紹介したいという思いを込めています。私も乙女ゲームが好きで、本作の企画から「KOF」を知って作品やキャラクターにとても魅力を感じたので、同じように原作のシリーズに触れたことがない人に知ってもらい、恋愛から格闘家を知るという提案をたかった気持ちもあります。
少し欲張りですが、原作のファンと「KOF」を知らないという方、両方に楽しんでもらいたい作品です。
――ギースやハイデルン、ゲーニッツなど“おじさん”キャラクターも人気がありそうですが、今回1人も登場していません。やはり乙女ゲームには出しにくいのですか?
Uプロデューサー:実はゲームを発表した後に、ユーザーの方々から要望として、そういったおじさまたちを出してほしいといった要望を多くいただいて。いわゆる“おじさまキャラクター”が一定の層に人気があることは知っていましたが、まさかこんなに強い要望があるとは、とプロジェクト内でも驚きました。
最初にあえて選ばなかったということではないのですが、やはり登場させる人数を少なめに想定していたことも大きいですね。あとおじさまたちは、やはり年齢の分抱えてる人生も大きいと言いますか、最初に主人公が向き合っていくにはちょっとハードルが高いかとも思いまして……。
なのでゲームの世界観を知ってもらい、登場人物たちの関係性などバックグラウンドもわかった上で登場させたいと思いました。でも既婚者はちょっと難しいかなとも思っているので、もし出るとしたら既婚者以外になると思います。
――そうすると今後、攻略キャラクターは増えていくのでしょうか?
Uプロデューサー:ファンの方々やプロジェクト内から、このキャラクターを出してほしいとの声もあるので、前向きに検討しています。増やしたい一方で追加する為にはそのキャラクターの人生に向き合っていく必要があるので、簡単にはできない作業でもあります。1人1人じっくり読み解いていく時間が必要だと思っています。
――アンディや京など、公式に恋人設定があるキャラクターはどういう設定になっているのですか?
Uプロデューサー:恋人設定があるキャラクターたちについてどうするかは、プロジェクトの最初の壁になりました。これは何回も話し合いを重ねて、例えば恋人がいる設定のキャラクターは恋愛しないとか。逆に何でもアリの設定にしてしまうなど、色々な線引きを検討した結果、既婚者は除いて恋人がいるといった設定自体をなくしました。今回完全に新規シナリオを作っているので、新たな世界観として楽しんでもらいたかったんです。
原作がある作品で、そのキャラクター性に魅力を感じて企画がスタートしたので、個性や設定を大事にしたいとは思っています。恋人設定を削除したことを発表した時にもやはり色々な反響がありましたし、とても悩んだ部分ではありました。ここが一番苦悩しましたね。
――「KOF」というすでに確立されているキャラクターで、乙女ゲームに展開していくことは難しかったですか?
Uプロデューサー:確立されているからこそ、乙女ゲームとしては面白いんじゃないかと思いました。原作の設定がとてもしっかりしていて、それぞれキャラクターが考えていること、格闘する意味やモチベーションなどがありますので。
初期の企画段階で、格闘家という部分について一部からは、現在のアイドルゲームの流行もあって、パロディじゃないですけどアイドルや学園物などにして作風を変えた方が、原作ファンの方々にとっても新しい見え方になって良いのではないかという意見もありました。ですがやはり格闘家としてのキャラクター性に一番の魅力を感じていたので、どうしても格闘家でやりたかったんです。なので、もう喋れなくなるのではと思ったほど、長いミーティングを経たのですが、原作通りの格闘家としての設定で制作することに決まりました。
――そういった苦労もされて、ミニゲームにも格闘ゲームらしさがよく表現されていますが、開発時に大変だった部分があれば教えてください。
Uプロデューサー:格闘ゲームらしさという部分では、どこに重きを置くかについてプロジェクト内で相談を重ねました。その中で、格闘ゲームを普段しない層と経験者が両方いたのですがそれぞれ考え方が全く違くて。「キャラクターを動かしてこその格ゲーで、コマンド入力が重要なんです」といった意見や、「画面上に体力ゲージと時間表示があるUIで格ゲーらしさが出せる」などの色々な意見があったなと。
そういった意味では、「KOFG」ではシナリオに重点を置きつつ、ファイターと関係性を深めていくことがテーマなので、システムや操作はできるだけ簡略化しようという流れになりました。その分画面に格ゲーらしさを出したかったので、デザイナーさんやエンジニアさんにお願いして、今のミニキャラクターが格闘するシーンをマネージャーとなったプレーヤーが応援するスタイルに落ち着きました。なので格ゲーに触れたことがない人でも簡単に楽しめる内容になっていると思います。
――乙女ゲームで重要なキャラクターのセリフは誰が考えているのですか?
Uプロデューサー:シナリオライターさんにお願いしてます。セリフを考えてもらう前に、テーマや方向性をお伝えしていたので、今はライターさんもキャラクターたちのことをよく理解してくれています。そこで仕上げてもらったセリフは、プロジェクトメンバーの乙女たちによる厳正な“乙女チェック”を入れてます。その上で、SNKさんにもキャラクター性の部分で、原作の監修をしっかり入れていただいて、乙女コンテンツとしての設定、原作での設定どちらもチェックできるようにしています。
――セリフやシナリオを考える時に、気をつけていることはありますか?
Uプロデューサー:やはり一番大事なのはキャラクター性だと思います。原作があるなしに関わらずキャラクターらしくないセリフを言われると、「そんなこと言う人じゃないのに急にどうしたの!?」といった違和感があるので。セリフの甘さよりも、キャラクター性を重視して作りました。
――庵など、恋愛が苦手そうなキャラクターのセリフを考えるのは大変そうですが、今回の攻略対象の中でシナリオに苦心したのはどのキャラクターですか?
Uプロデューサー:すごく甘いセリフを吐かれるよりも、キャラクターとプレーヤーが出会いお互いに影響しながら絆を芽生えさせるストーリーを「KOFG」では表現したいと思っていました。なので、恋愛が苦手そうなキャラクターが難しいといったことはなかったですね。それぞれ“好き”の伝え方も違うので、逆に恋愛しなさそうなキャラクターも個性が出て面白いかと思います。
ですがオリジナルキャラクターの2人については、設定を全てイチから考えて作らないといけないので、オリジナルと原作のキャラクターを絡ませていくことは大変でしたね。
――時間帯によってセリフが変化したりと、かなりのバリエーションがありますが、どのくらいのセリフがボイス付きで盛り込まれているのですか?
Uプロデューサー:収録ボイスは1人につき、150ワードほど収録しました。初回収録後に、マイページで流れるボイスなどをもっと追加したいという声があり、さらに追加で収録したらそのくらいのボリュームになりました。今後も色々なセリフを追加していけたらいいなと考えていて、いずれはフルボイス化が夢です。
――集めることができるカードもレアリティが上がるとボイスがついたり、絵柄が変化したりしていますが、他になにか特別なことはありますか?
Uプロデューサー:レアリティがSRとSSRにはカードシナリオが付属していて、⾃分とキャラクター1対1のストーリーを⾒ることができます。メインシナリオは主に、格闘家として彼らが世界の危機に立ち向かっていく内容となっていますが、カードシナリオでは格闘家としての彼ら以外にも新たな⼀⾯を知っていただける内容になっているかと思います。
――本作には女性キャラクターは出てこないのですか?
Uプロデューサー:こちらも相談を重ねましたが、今回は女性キャラクターの出演はほとんどありません。「KOF」シリーズは魅力的な女性が多くてもちろん⼈気もありますし、その中で格好いい女性もいるのですが、今回は乙女ゲームとしての世界観に浸ってほしいという気持ちが強かったのであえて出さないようにことにしました。
SNKさんから「ヒロインズ」という女体化したキャラクターや、女性だけが出演する作品が出ているので、こちらと同じようなイメージですね。男性キャラクターたちと自分という設定を楽しんでいただけたら。
――今後実装が予定されているコンテンツを可能な範囲で教えてください。
Uプロデューサー:キャラクターたちとの交流を深められるコンテンツを増やしていきたいと思っています。アプリ内の機能として、SNSでキャラクターと楽しめるチャットを制作しているのですが、それが結構面白いのでそこにも要素を加えていきたいと考えています。例えば、テレビ電話などでキャラクターが動いたり、推しキャラクターをより身近に感じられるようなコンテンツができたらいいなと考えています。
――開発陣のお気に入りキャラクターを教えてください。
Uプロデューサー:プロジェクトメンバーには女性が多いので、それぞれ“推しメン”が違うんですよね。なので今のところプロジェクト内でもケンカすることもなく(笑)、特定の人物が人気になることもなく、お気に入りは綺麗にバラけていますね。
本作は制作メンバーも“乙女ゲームが好き”という気持ちから開発しているので、作り手側の好きという気持ちも重要視しています。攻略キャラクターの15キャラ以外にも、キムや山崎といったサブキャラ推しのメンバーもいますね。
――そうなると逆にキャラクターへの愛が深すぎて、意見が出すぎてしまうこともあるのでは?
Uプロデューサー:確かにそういったこともありますね。キャラクターの態度などで、個⼈的には絶対に許せないということも、一方ではそこがいいんだといった真逆の意見が出て討論になったり。やはりストーリーで整合性がないといけないので、そういった時はそのキャラクターが好きなメンバーに話を聞きつつ、シナリオ内のキャラクター目線でブレの除去作業を重ねました。
――こんなシチュエーションもあるよというお楽しみを少しだけ教えてください。
Uプロデューサー:原作の「KOF」は、キャラクター同士の因縁だったり掛け合いなども面白い部分なので、そういった恋愛以外のシナリオも楽しんでもらえるのではないかと思います。あと「KOF」ファンの方にはもしかしたらお馴染みなのかもしれないのですが、「庵と猫」が描かれたイラストがあって、庵のようなタイプのキャラクターが子猫の面倒を見ているというギャップを感じる組み合わせが印象的で。今回も、庵と一緒に猫のお世話ができるストーリーを用意しているのでぜひ楽しみにしていてください。
――キャラクター同士の掛け合いが多いとなると、やはり新たなキャラクターを追加する時はかなり大変そうですね。
Uプロデューサー:そうですね。全く誰とも関係ないキャラクターが突然現われても、それはそれで面白いかと思うのですが、ストーリーとしては、既存のキャラクターたちと関連がある人物の方が一人一人の掘り下げにもつながるかなと思っています。
――オリジナルキャラクターの「ナギ」と「ヨミ」が登場しますが、作る上での苦労はありましたか?
Uプロデューサー:格闘スタイルを決めるのが割と大変だったかもしれないですね。設定する上でいわゆる格ゲーのセオリーってなんだろうといったことから、どうやって戦わせるか、技名なども他と被らないように考慮しながら考えていきました。
――最初に格闘スタイルを決めてから、キャラクターを考えたんですか?
Uプロデューサー:最初はキャラクターのイメージから作っていきました。主人公や物語に合ったバックグラウンドを決めていった結果、最後に格闘スタイルが残って、さてどうしよう? といった流れで考え始めました。
――格闘ゲーあるあるとして、出身地が格闘スタイルに繋がることが多いかと思いますが。
Uプロデューサー:タイといえばムエタイといった感じですかね? 今回は原作の格闘家が13人もいるので、逆に乙女ゲームっぽいキャラクターを2人入れようという話になりました。ナギとヨミはお互い正反対のキャラクターにしています。ナギは少し柔らかいイメージがあるので、格闘スタイルもそこからある程度イメージしていきました。ヨミも急に魔法を使ったりはせず、やはり拳で戦う物理的なスタイルが似合うだろうと。あとは格闘ゲームのキャラクターとして世に出すことを考え、空手の流派なども調べたりしました。
格闘スタイルについての設定も用意しているので、本作のオリジナルキャラクターが、本家の格闘ゲームに登場するといいなぁという夢はありますね(笑)。
――今回の企画で「KOF」キャラクターを乙女ゲームにして良かったと思った点は何ですか?
Uプロデューサー:やはり格闘家という部分です。格闘に命を削りながら取り組んでいる人に魅力を感じますし、自分と出会って格闘家以外の一面を見せてくれることで、新たな発見ができるといったストーリーを描けたことは制作してても面白かったですね。ストーリーを進めていくことで、それぞれ格闘に対しての想いなども、より深く掘り下げられるので「KOF」キャラクターの魅⼒を改めて感じることができる作品になれたらと思います。
――本作は「KOF」の乙女ゲーということで話題になっていますが、最近の乙女ゲーム市場の変化はどう感じますか?
Uプロデューサー:最近だと恋愛要素がない育成ゲームが増えてきているようにも感じています。私自身もキャラクター同士の物語を第3者視点で見ているのが楽しいなと思うこともあります。ですがやはり、乙女ゲームはキャラクターを見ているだけではなく、自分が主人公になってキャラクターの人生にぐいぐいと関わっていくことで、プレーヤー側の主観であったり自身の人生を変化させていくものとして、魅力を感じています。
実はプロジェクト内でも、どちらかというと恋愛要素のない育成ゲームが好きだという割合の方が多かったんです。どちらの要素があってもいいと思っていますし、私は昔から乙女ゲームをプレイしてきて、作品を通して勇気や元気をもらっていたので、そういった“経験”に魅力を感じて作品を制作しています。なので乙女ゲームというジャンルも廃れないで欲しいという想いもあり、本作も主人公とキャラクターが密接に関わり合えるように、育成と恋愛要素がある乙女ゲームとして企画しました。
「KOFG」はメインストーリーで友情や絆、サイドストーリーでは恋愛に近い要素とどちらの要素も楽しめるようにしているので、人それぞれの楽しみ方でプレイしていただきたいですね。
――最近の女性向けコンテンツは、2.5次元やライブなど様々なジャンルで展開される作品が多いですが、「KOFG」も今後ゲーム以外のコンテンツを予定していますか?
Uプロデューサー:ぜひやりたいですね。格闘要素を取り入れた舞台やライブなどはあまり他にないと思うので、格闘ならではの迫力や臨場感を伝えるステージは今後できたらいいなと考えています。炎を出せたりするキャラクターもいるので、舞台装置などで演出を工夫したいとも考えています。
――ビクターといえば、やはりCDであったりエンターテインメントとしてのノウハウもあるのでそのあたり何か期待できますか?
Uプロデューサー:そうですね、まずは11月20日にバトルソングアルバム「KING OF FIRE」をリリースできることになりました。バトルソングということで、キャラクターが「格闘」にかける思いや生き様、信念を感じられる楽曲になっています。個人的には、乙女ゲームのキャラクターソングに勇気をもらってきたので、次回は主人公への想いを歌う楽曲などがあっても良いと思っていますし、ゲームが軌道に乗れば、さらに色々と展開できるようになるかなと思いますので、沢山応援していただければ幸いです……!
――時代の流れとともに、乙女向けコンテンツに登場するキャラクターもかなり多様化しているのを感じるのですが、最近の流行りであったり、傾向は作品にも取り入れてますか?
Uプロデューサー:女性向けコンテンツの市場が拡大しているからこそ、多様化しているのではないかと喜ばしく思っています。世界的に見ても、個性の尊重やアイデンティティを大事にしている時代だと感じています。本作のキャッチコピーもそういった時代や思いを踏まえ「その運命を、愛し抜け」としていまして。キャラクターたちや主人公が課せられた運命を自分のものとして受け止めながら進み、チャレンジしていく物語でもあります。
そのチャレンジの中で変わる部分があったり、反対に変わらない部分も見えてきたり、新しい自分を認められたり、また相手のことも受け入れられるようになったりして、繋がりを深め、恋愛ができたら、という想いがあります。プロジェクトのメンバーたちにもその「繫がり」を大事にして制作して欲しいと伝えていて……ここはあまり喋りすぎると、長くなってしまいますが(笑)。
なので、そういった色々な要素を否定せずに一度受け入れてみることが多様性にも繋がっていくと思うので、シナリオ上でもキャラクターそれぞれの価値観を考え「一般的にこれはこうあるべきものだ」というイメージ像で価値を決めつけすぎないように気を付けました。そういった意味でも性別問わず“すべての乙女たちへ”捧げる作品としています。わかりやすく乙女ゲームというワードを使っているんですが、どんな人でも楽しめる内容になるよう心掛けています。
――好きにも色々な形があるということでしょうか?
Uプロデューサー:そうですね。昔ながらの乙女ゲームキャラクターは、王子様や御曹司などいわゆる王道が多かったですが、今はむしろそういったキャラクター以外を好きだと言って下さるファンの方が増えてきているので、“好き”に対する可能性の広がりは感じていますね。なので今後もっと女性向けコンテンツの市場は拡大していけると思っています。
今回の作品でもキャラクターの多様性は意識しているので、数が多い少ないというよりも色々なキャラクターがいて色々な人生があるからこそ、1人1人の個性にフォーカスして物語を作れるのだと感じます。
――キャラクターに個性がある反面、主人公であるプレーヤーの人格は揺るがないものだと思いますが、主人公の設定も難しいのではないですか?
Uプロデューサー:私自身プレーヤーとしても、乙女ゲームにおいて主人公は重要なポジションだと思っています。あくまでも作品の“主人公”として見るタイプと、自分に重ねるタイプなど様々な見方があると思うんですよね。かと言って、選択肢を全て自分の言葉で打ち込める自由度はないので、何もない空虚な主人公を作るのは難しい。
本作は主人公にストーリーの中で運命を与えているので、バックグラウンドや人格はしっかり作りつつ、その性格によってこんな行動を取るだろうという流れで、選択肢などストーリーを作っています。特別に主人公としての個性を立たせる訳ではないですが、触れ合うキャラクターによって影響される部分があり、最終的にはキャラクターごとに少し違った主人公になるのではないかと思います。
――「KOF」を知らないユーザーにはどのようにゲームを楽しんでもらいたいですか?
Uプロデューサー:原作がとても人気があるので、認知度が高いというアドバンテージがある分、原作のファンに向けてだけの作品という認識をされがちだと思います。もちろん原作のファンの方も大事ですが、「KOF」を知らない⼈にどうしたら興味を持ってもらえるんだろうといった課題はあります。
なので今は乙女ゲームらしいプロモーションを心掛けていて、原作があると新規でなかなか入りづらいといった心配をされるかと思うのですが、阻むものはありませんので少しでも格闘家としての強い男性に興味を持ってもらい、純粋に乙女コンテンツとして楽しんでもらえたら嬉しいです。
また、本作で「KOF」のキャラクターたちに興味を持っていただけたら、是非原作の格闘ゲームもプレイしてみるときっと世界が広がり楽しめると思います! 私もなかなか上達しませんがプロジェクトのメンバー等とプレイをして遊んでいます。技が決まるとすっきりします(笑)。
いずれ「KOFG」のイベントで、原作ゲームをみんなで対戦したりできたら嬉しいですね。格闘ゲームと乙女ゲームという新しい取り組みなので、ジャンルを越えた交流につながるきっかけを作りたいです。
――最後に、本作を楽しみにしているすべての乙女たちへメッセージをお願いします。
Uプロデューサー:性別関係なく、少しでも乙女な心を持っている方たちに楽しんでいただきたいです。原作のキャラクター性はもちろん、乙女ゲームとして楽しめる作品になっていますので、ぜひファイターたちに会いにきてください!
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