インタビュー

あの頃の「黎明の島」を今一度!「TERA」プロデューサーインタビュー

2013年5月15日当時の仕様そのままのクラシックサーバーがオープン

【クラシックサーバー】

8月8日 オープン

クラシックサーバーについて説明してくれた、ゲームオンの「TERA」プロデューサー廣田瞬一氏

 ゲームオンのPC用MMORPG「TERA :The Exiled Realm of Arborea(以下、TERA)」は今年で7周年を迎え、その記念イベントの一環として「クラシックサーバー」を8月8日にオープンする。あわせて、8月1日に専用クライアントの配信を開始した。

 「TERA」公式ページでは去る7月18日、時計が過去にグルグルと巻き戻っていく不思議なティザーサイトがオープンされており、7月25日には「TERA史上世界初プロジェクト」、「Back to 2013.05.15」という意味深な記述が追記されていた。

 本日8月1日に明かされたその正体は、2013年5月15日の環境で遊べる「TERA」のクラシックサーバーが「TERA」史上初、世界初の試みとして日本でオープンするというものであった。

 弊誌ではこのクラシックサーバーの詳細やその設置の意図についてゲームオンの「TERA」プロデューサー、廣田瞬一氏より話を伺うことができたので、こちらの内容をお伝えしたい。

時を遡ってたどり着いたのは2013年5月15日。クラシックサーバーは当時の仕様で楽しめる

2013年5月15日の環境で遊べる!「クラシックサーバー」

 新設されるクラシックサーバーは、2013年5月15日時点の「TERA」を完全再現した仕様でオープンされる。システムやコンテンツ、操作性やUIなども全てが当時のままとなっており、レベルキャップはもちろん60、現在は閉鎖されているダンジョンなども当時の仕様のままで遊ぶことができる。

 サーバーは9月27日までの稼働を予定しており、期間終了後には5年分のアップデートを一気に適用、現行のエリーヌサーバーと並ぶ新規サーバーとして運用される予定だ。ただし、クライアントだけは当時のパッチを完全に再現するため、新規に専用のものをダウンロードする必要がある。

 過去の仕様をクライアントごと完全に再現するという試みは世界初、かつ日本が初めての取り組みになるのだという。「やるからには完全再現」ということで、かつて月額制だった「TERA」が基本無料に移行し、当初指摘されていたコンテンツ不足も解消された時期のクライアントをそのまま使用するという方法でクラシックサーバーは運用される。

 また、クラシックサーバーは完全な新規サーバーとして設置されるので、プレーヤー全員が0からのスタートとなる。そのため、今では入手不可能な限定レコードや、取り合い必至の名前の新規取得なども可能となっており、今から「TERA」を始める、あるいは心機一転、再び「TERA」を始めるにはうってつけのチャンスと言えるだろう。

クラシックサーバーの詳細。専用のクライアントを用いてあの頃の「TERA」を完全再現する
クラシックサーバーと現行のエリーヌサーバーとの仕様比較。レベルキャップやクラスの数はもちろん、コンテンツ的にも大きな変遷を遂げていることがわかる

 「オンラインゲーム」というものは常にアップデートが行なわれ、コンテンツの拡充や調整、そして時には調整、削除によって日々新しい姿に生まれ変わり続けるものだ。もちろん「TERA」も例外ではなく、2011年のローンチ当初、そしてクラシックサーバーで遊べる2013年のバージョンから2018年の今に至るまで様々な変化を遂げてきた。

 その過程にはゲームをより遊びやすくなるよう装備や生産システムの刷新、スキルバランスやクエスト配置の見直しなどが行なわれたり、新たなクラスやダンジョンが追加されたりと、根底に流れるアクション要素の面白さはそのままに、その姿形を大きく変えてきた。

 クラシックサーバーではそんな「TERA」の、在りし日の"古き良き"姿を追体験することができる。中でも当時ゲームを開始したプレーヤーが最初に降り立つ島であった「黎明の島」もそのまま再現されるというのは古参プレーヤーにとっては感涙モノの懐かしさであると言えるだろう。

 黎明の島は現在高レベルモンスターが闊歩するフィールドとなっているが、当時は新規プレーヤーが初めて降り立つ島で、そこではチュートリアルを進めてゲームシステムを学びつつ、他のプレーヤーと初めて出会ったり、「TERA」の特色であるノンターゲッティングの戦闘を楽しんだり、初めて空飛ぶペガサスに乗ってそのグラフィックスの素晴らしさを空から眺めて堪能したり、という「TERA」の楽しみの第1歩となる美しい島だったのである。

 このかつての「黎明の島」は廣田氏もクラシックサーバーのなかでもイチオシのスポットだとのこと。自身が初めてプレーヤーとして「TERA」に降り立ったときはまだ黎明の島がスタート地点だったということで個人的な思い入れも深く、「黎明の島の美しさや懐かしさを堪能してほしい。期間限定なのでスクリーンショットなども撮りながら楽しんでいただければ」と語っていた。

廣田氏はじめ運営チームのイチオシポイント、昔懐かしい在りし日の「黎明の島」。左上は古参プレーヤーが必ず通ったスタート地点

 システム面でも、例えばたき火によるコンディション調整なども現在は削除され、常にコンディション最大の状態で遊べるようになっている。これもかつてはボス戦前などにたき火を囲んでコンディションやHPを回復しつつ、PTメンバー各々で護符を投げ込んでバフをつけたり、ボスの攻略方法を共有したり、雑談してフレンドを作ったりというコミュニケーションの場となっていたのである。

 ダンジョンでも当時中々クリア者が出なかったという最高難易度ダンジョン「シャンドラ・マナイア(上級)」や、レイドダンジョン「苛虐のケルサイクの聖域(上級)」なども復活しており、当時の苦しみ(?)を思い出しながら、あるいは現在は存在しないという意味で新鮮な高難易度コンテンツとしてチャレンジすることもできるだろう。

クラシックサーバーで入場できるダンジョン。今は存在しないかつての高難易度コンテンツに再び挑める
かつてはたき火によるコンディション管理が存在したり、装備や制作のシステムも今とは異なっていた

 今回の取り組みの面白いところは、現行サーバーとクラシックサーバーを同時に稼働することにより、今の「TERA」と昔の「TERA」を比較しながら遊ぶこともできるというところだ。"古いパッチのクラシックサーバー"というと、一見昔を知る古参プレーヤーに向けたものにも思えるが、こと「TERA」はコンテンツのいわゆる新陳代謝が活発に行なわれるため、一部コンテンツは削除、調整の対象となって現在では体験できないものになってしまっていたりする。

 そのため、特にダンジョンなどはプレイしたことのないプレーヤーにとって新規コンテンツ同然であり、クラシックと言えど新たな気持ちで楽しむことができるだろうし、もちろん、颯爽と舞い戻った古参プレーヤーは昔を懐かしんだり、自らの知るコンテンツをドヤ顔で解説したりするのもいいだろう。

 そういった意味でクラシックサーバーは新旧プレーヤー全員が参加できて、かつ「TERA」の歩みの歴史を振り返れるものであり、7周年の記念イベントとしてはうってつけの催しと言える。

 なお、8月15日にはクラシックサーバーのオープンに続いて、7周年記念の特設ページがオープン予定となっており、そこではエリーヌサーバーに向けた様々なイベントが用意されるという。懐かしくもある意味新鮮なクラシックサーバーのオープンが、今から楽しみだ。