インタビュー

【ネタバレ注意!】「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」ジェイク・カスダン監督インタビュー

なぜ「ジュマンジ」はボードゲームからビデオゲームに進化したのか!?

4月6日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

 「スパイダーマン」全作品を抜いて、ソニー・ピクチャーズ歴代興行収入1位となる大ヒットを記録したハリウッド映画「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」が、日本でもいよいよ本日より全国ロードショーがスタートする。

 GAME Watchでは、試写会のレポートや、昨日まで実施されていた「超体感シネマ『マジジュマンジ』」の体験レポートを通じて、その魅力、とりわけゲームと非常に親和性の高いハリウッド映画であることをお伝えしてきたが、その締めくくりとして映画公開に先駆けて実施されたジェイク・カスダン監督へのインタビューをお届けしたい。なお、話が盛り上がりすぎて、ストーリーの核心に迫る重度のネタバレをしてしまっているので、映画を見てから一読することを強くオススメしておきたい。

ゲーマーに「わかってるなあ」と思って貰えるように気を遣った

インタビューに応じるジェイク・カスダン監督

――1人のゲームファンとして素晴らしい映画を作ってくれたことを感謝したい。ビデオゲームに対する理解とリスペクトが感じられ、最初から最後まで楽しく観ることができた。

カスダン監督: 嬉しい言葉をありがとう。僕たちにとっても、本当のゲーマーがこれを見たときに「ああ、わかってるなあ」と思って貰えるようにするために凄く気を遣って作ったつもりで、大切にしていたところを評価して貰えて嬉しいよ。

――カスダン監督は、どちらかといえばコメディを得意とする映画監督だと認識しているが、前作「ジュマンジ」は随所にコメディ要素は散りばめつつも、基本的にはパニックホラー映画だったが、その続編のメガホンを取ると決まったとき、どのような気持ちになったか?

カスダン監督: 我々もオリジナルの「ジュマンジ」を愛している。多くの映画ファンにとって大切な意味を持つこの映画に対して最大限の敬意を払いつつ、「ジュマンジ」の名前を冠する以上、みんなの期待に応えたいと思った。ただ、前作と同じ事を繰り返すことは敬意を払うことにはならないと考えたんだ。むしろ、素晴らしい前作とは別の表現で新しい形を作り上げることが最大のリスペクトになると考えた。そこでオリジナルの「ジュマンジ」とは逆に、現代の人間がジュマンジの世界に吸い込まれ、しかもその世界のアバターになってしまう。このアイデアは、他の作品とは異なるし、フレッシュで、とてもこの企画に惹かれるものを感じたんだ。

前作との最大の違いは「ジュマンジ」がビデオゲームに進化しているところ
現代を生きる少年少女4人が
ゲーム内のジャングルで別のアバターとなって冒険する
インスタ少女ベサニーは、デブオヤジに変わってしまう
胸を押すとステータスがポップアップ表示される
カスダン監督が“ミッシングピース”として挙げたアレックス

――どうしても聞きたかった質問だが、もともとの「ジュマンジ」はボードゲームだが、なぜビデオゲームにしたのか?

カスダン監督:いくつか理由がある。まず1つは「ジュマンジ」というゲームは、人びとに「プレイしてみたい」と思わせる吸引力を備えたゲームなんだ。人びとをプレーヤーにしてしまう魅力を備えている。それが当時はボードゲームだったが、今のキッズが夢中になるゲームといえば、ビデオゲームでなければならない。ゲーム自体が変容していったように、「ジュマンジ」自体も変容していったという解釈だ。

 そして最大の理由は「現代のキッズ達が、大人の体になって冒険する」という映画のコンセプトにビデオゲームがマッチしたからだ。キッズが大人になることでコメディの可能性が広がるし、同時に感動や色んなテーマを盛り込むことができる。子供が大人になるという青春物語でもあり、ただし、体はアバターの体、といったときに、一番しっくりくる設定がビデオゲームだったんだ。

――ポイントなのは、映画の時代設定は、インスタ映えを気にする少女が登場するような現代であるにも関わらず、そこに登場するビデオゲームは、PS4やXbox Oneではなく、セガマスターシステム世代のクラシックゲームというところだと思う。なぜこういうややこしい設定にしたのか?

カスダン監督: そういうストーリー設定だからだ(笑)。舞台は現代だが、ゲームコンソールは20年前のものだ。ある青年が砂浜で見つけた「ジュマンジ」のボードゲームを家に持ち帰り、ゲームカートリッジに変わった「ジュマンジ」をプレイして、その世界に吸い込まれアレックスとなってしまう。現代のスペンサーがプレイするゲームコンソールは20年前のビンテージものだ。

――映画では、キャラクターのスキルを確認するのに、ダイアログがポップアップ表示されたり、ブレイブストーン博士が「これはNPCだ」と吐き捨てる場面があったりするが、映画のキーとなる要素に、ゲームネタを取り入れたのはどういう理由からか?

カスダン監督: いくつか理由があるが、一番大きいのはメインの脚本を書いたクリス・マッケナが、人生を通してのヘビーゲーマーだったことだと思う。ゲームのそう言うネタを盛り込むことを楽しみながら脚本に盛り込んでくれて、僕もそれをとてもいいなと思った。というのも、観客の方が、ゲームの中に閉じ込められているんだということを表現するためには、ゲーム的なディテールを追求する必要があると考えたんだ。

――中でも感心したのはライフ制の概念だ。ただ、私はゲーマーなのですぐピンときたが、ノンゲーマーが観てもよくわからないのではないかと少し心配になった。ライフ制が理解できないと、なぜアレックスが途中で冒険を諦めたのかがわからないし、途中のライフのやりとりも意味不明なものになる。米国での反応はどのようなものだったか? 

カスダン監督: なるほど(笑)。まったくゲームしたことがないという人も確かにいるので、そういう人でも本筋がわかるように所々で説明を入れるようにしている。ただ、逆に、説明がくどすぎて、もう良いよという意見もあったぐらいだ(笑)。

――物語が進んで世界が広がっていくと、この映画は果たしてどのような結末を迎えるのか気になったが、最終的にはゲームをクリアし、そして「ジュマンジ」らしいハッピーエンディングとなり、前作に勝るとも劣らない良い終わり方だと思った。作品の締めくくり方についてこだわりがあれば教えて欲しい。

カスダン監督: その質問に答えるとネタバレになってしまうが(笑)、この映画の大きなコンセプトとなっているのは、この世界の謎を解いて現実世界に戻ることだが、メインクエストとなるのは、かつてこの世界に吸い込まれ、プレイすることになり、その過程で現実世界に戻ることを諦めた人を救いに行くことだ。

 実は彼は、キッズ達が必要としている“ミッシングピース”であり、彼をいかにこの世界から救い出すかということがクエストになっている。これはまさにオリジナル版の筋書きと同じだ。それから「ジュマンジ」のもうひとつのコンセプトは、「ジュマンジ」をプレイする事で成長するということだと思う。それを組み合わせることに腐心したよ。

撮影中のカスダン監督

――ゲームファンが喜びそうな撮影中のエピソードがあれば教えて欲しい。

カスダン監督: ゲームファンが喜ぶこと……。 ちょっと待ってくれ、今考える。そうだ、思い付いた(笑)。今回はとても撮影が楽しかったんだ。ほとんどをハワイのジャングルで撮影したんだが、サイの集団に追いかけられるヘリのシーンだけはスタジオで撮影したんだ。ヘリは本物を使ったけど、当然、周囲にあるべきものが何もないから、役者がヘリに乗り込んで撮影がはじまったら、僕が「はい、右に寄って~」、「次は左だ~」、「振り返って~」と声を掛けて、それに役者達が反応するという撮り方をしたんだ。撮りながら「ゲーム世界に入って操作されたらこんな感じになるのかな」と役者と言い合っていたよ(笑)。

――オリジナル、そして今回の「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」を観て感じるのは、「ジュマンジ」そのものの存在感の大きさだ。カスダン監督は、この得体の知れない「ジュマンジ」という存在をどのように解釈しているか?

カスダン監督: おもしろい質問だね(笑)。「ジュマンジ」は神秘的なゲームで、超自然的な力を持っていて、自らが必要としていると気づいていない人をゲームに引き込み、人生を一変させてしまう。そういう力を持ったゲームだ。撮影中にジャック・ブラック(シェリー・オベロン教授役)がいつも冗談で言っていたよ、「世界でもっとも危険なゲーム」だと。

――日本のゲームファンにメッセージを。

カスダン監督: 「ジュマンジ」は、ゲームファンにとっては、パワフルなストーリーを持った偉大なゲームだと思うよ(笑)。ゲームファンにも響く映画になっていると思うので、ぜひ楽しんで欲しい。