ニュース

オ○ッコ体験も可能!? 「超体感シネマ『マジジュマンジ』」体験レポート

ソニー謹製の振動デバイス「ハプティックベスト」がもたらす新たな没入映画体験

3月29日~4月5日限定上映

鑑賞料金:通常鑑賞料金

会場:TOHOシネマズ日比谷

3月29日にオープンするTOHOシネマズ日比谷のこけら落としイベントとなる。TOHOシネマズ日比谷については姉妹誌AV Watchのレポートを参照いただきたい
シートにはこのような形でハプティックベストが1着ずつ置かれている
ドリンクホルダーにビルトインされたケーブル。ギョッとする
ベストを着て座るだけ

 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、ソニー、TOHOシネマズの3社は、3月29日より東京日比谷にオープンする複合施設 東京ミッドタウン日比谷内のTOHOシネマズ日比谷において、超体感シネマ「マジジュマンジ」の上映を行なう。上映期間は3月29日から4月5日までの8日間限定で、利用料金は通常鑑賞料金据え置き。今回、上映開始に先立ち、メディア向けの体験会が開催されたのでその模様をお届けしたい。

 超体感シネマ「マジジュマンジ」は、4月6日より全国ロードショーとなるソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのアクション映画「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」を、ソニーが研究中の「ハプティック技術」を用いたベスト「ハプティックベスト」を着用して楽しめる期間限定の体感型アトラクション。

 ソニー・ピクチャーズの「ジュマンジ」と、ソニーの「ハプティック技術」、そして東宝グループのお膝元日比谷に新たにオープンする旗艦店「TOHOシネマズ日比谷」という3つの要素が噛み合ったことにより実現した今回のプロジェクトは、TOHOシネマズ日比谷のオープン記念イベントとして、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」の全国ロードショーに先駆けてプレミアイベントとして実施される。

 キーとなるソニーの「ハプティック技術」は、“触覚提示技術”と訳され、ベストに付けられた10個の振動デバイスの振動により、映画シーンを“触覚”で体験できるというもの。同じ“触覚型”の4DXやMX4Dが、座席シートの振動や、その周囲に取り付けられた専用デバイスからの生み出される風雨や香りによってリアルに映画を体験できるのに対し、ハプティックベストは、より直接的で、パーソナルな体験が可能なところが最大の違いとなる。

 今回の体験会では、劇中でハプティックベストの効果を最大限に活かした5つのパートを約10分にわたって体験することができた。体験する前の準備は、ベストを着るだけ。ベストは、シート左袖のドリンクホルダーにケーブルで繋がっており、前のジッパーを開けて身につける。

 振動を正しく伝えるために体とベストを密着させる必要があり、両サイドの着脱式のマジックテープを使ってコルセットのように左右からギュギュッと体に密着させる。首飾りや胸ポケットにものを入れている場合、外すようにスタッフに指示される。なお、4DXやMX4Dと違って、シート自体は通常のものと変わらないため、カバンや所持品を預ける必要はなく、足元に置くことができるのが良いところだ。

【ハプティックベストで埋め尽くされたスクリーン3】
ズラリと並べられたハプティックベスト
左右に取り付けられたマジックテープで、体にベストを密着させる
正面(左)、背面(右)。装着感は思ったほど重くない。通常のベストよりは重量感があるが、ズシリと来る重量感はない

 それでは以下、インプレッションに入っていくが、登場人物をはじめとした固有名詞の説明は非常に冗長になってしまうので思い切って全部省くことにしたい。「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」そのものに関する情報については、先行上映レポートを参照いただければと思う。

 さて、今回体験したシーンは、オベロン教授(ジャック・ブラック)が後ろからサイに食われるシーン、街でのブレイブストーン博士(ドウェイン・ジョンソン)の格闘シーン、オベロン教授が立ちションをするシーン、ヘリコプターによる脱出シーン、フィンバー(ケヴィン・ハート)が大量のサイに襲われるシーンの5シーン。今回下記映像で紹介しているのはヘリ飛翔シーンだ。

【「マジジュマンジ」ハプティクス ヘリ動画】

 ベストを身につけながら「電気ショックみたいなのが来たらイヤだなあ……」と思っていたら、いざ始まってみたらそういう不愉快になるような衝撃は一切なく、ドンドンドンといった直接的な振動や、ズズズズズといったなぞるような振動など、振動の強弱と、10個の振動デバイスの個別動作によって、映画内のアクションを仮想体験できる。振動する位置は、胸からお腹にかけて左右に3カ所ずつ、背中に4カ所の計10カ所で、映画への没入を阻害するほど激しくないが、しっかり意識させられる程度には力強い。

 前提条件がかなり異なるため4DX/MX4Dとの直接の比較はできないが、4DX/MX4Dのシートは構造上、乗り物の演出は優れているが、キャラクターが感得する触感の表現は薄く、総じて環境の再現に重きを置いた体感アトラクションといった感じなのに対してハプティックベストは、あくまで“特定の個体”の衝撃や振動をターゲットにしており、ヘリに搭乗して全身が揺さぶられる感じ、サイに後ろからかぶりつかれたり、押しつぶされる感じ、ドウェイン・ジョンソンもといブレイブストーン博士にぶん殴られた感じ、悪漢を吹っ飛ばす感じなどが、文字通りバーーンとダイレクトに来る。常にその場面でもっとも衝撃を受ける対象の衝撃がやってくる感じで、ややせわしないが、常に当事者気分が味わえて楽しい。

 今回の体験でもっともユニークなのは、インスタ少女のベサニーが、デブオヤジであるオベロン教授を通じて人生初の“立ちション”に挑戦するシーンだろう。狙いを付けてようやく出てきたオシッコが、岩を右往左往する感触がベストを通じて伝わってくる。つまり、このとき、体験者はオシッコを引っかけられている“岩”になれるわけだ。未だかつてないディテールでの没入感、これがハプティックベストの魅力と言える。

【「ジュマンジ」のアクションシーン】

体験会後取材に応じる3社の担当者。中央がソニーの大原氏

 取材に応じていただいたソニーの大原弘嗣氏は、「触覚技術を通じて誰かの気持ちに感情移入できる」と語る。ただ、今回はあくまでTOHOシネマズ日比谷のこけら落としイベント限定の特別イベントで、実用化は前提としていない。映画「ジュマンジ」が本公開となる4月6日以降は一斉に取り払われ、再公開は予定されていないという。

 気になるのは、今後、ソニー・ピクチャーズのフラッグシップである「スパイダーマン」の新作で採用されるのか、あるいはプレイステーション 4向け新デバイスとして登場するのか、はたまたユニバーサル・スタジオと任天堂のようにどこかと業務提携して、テーマパークのアトラクションに採用されるのかというところだろう。

 大原氏は「技術的にはすべて可能」としつつも、実用化についてはニーズがあるかどうか、つまり今回の「マジジュマンジ」でどの程度ポジティブな反応が得られるかによるという。また、現時点ではエンターテインメント用途の利用が中心だが、技術的にはエンターテインメントに限らず、教育、医療、ビジネス等のあらゆる分野での可能性を模索しながら研究開発を続けていきたいという。

 「超体感シネマ『マジジュマンジ』」は、TOHOシネマズのオンラインサイトvitで上映日の2日前から予約販売を行なう。この原稿を書いている3月28日18時現在で、初日の3月29日は残念ながら完売で、30日も残席わずかとなっている。TOHOシネマズ日比谷、3月29日から4月5日までの8日間限定のアトラクションとなっているため、4DX/MX4Dのような体感型の映画視聴が大好きな人は、ぜひ押さえておきたい新感覚の次世代エンターテインメントだ。