インタビュー

ついに山岡晃氏の新曲が公開! 「WoT」Music 2.0プロジェクトインタビュー

作曲家 山岡晃氏、SABATON Parさん、仕掛人オザン・コチョール氏に話を聞いた

9月21日~24日開催

会場:幕張メッセ

 東京ゲームショウのレポートでもお伝えしたように、現在「World of Tanks」では、マップのHD化プロジェクトが進められている。サービス開始から7年が経過し、経年劣化してきたグラフィックス周りを現行水準まで一気に引き上げるプロジェクトだ。その詳細については記事を参照いただきたいが、グラフィックスに合わせて同時進行で行なわれているのが、ミュージック方面のアップデート、「Music 2.0」と呼ばれているプロジェクトだ。

 既報のように「Music 2.0」プロジェクトの一環として「Tank Factor」を発表。楽曲の提供のみならず、コン鉄との審査員や、プライズとして山岡晃氏を起用し続けることを発表した。それに合わせて、山岡晃氏の新曲も公開されるなど、「WoT」は東京ゲームショウで、グラフィックスとサウンド両面で話題を提供してくれた。本稿では、発表会後に行なわれたインタビューの模様をお届けしたい。

山岡氏「こんなに新曲の発表を盛り上げてくれて嬉しい」

左からSABATONメンバーのParさん、山岡晃氏、ウォーゲーミングジャパンのオザン・コチョール氏
初来日したParさん
gamescomでは山岡氏とコラボした(参考記事
TGSではParさん自らSABATONを紹介

――インタビューの前に、SABATONのメンバーであるParさんがこの場にいることに驚いています(笑)。gamescomでの2度のコンサートで役割は終わりと語っていたので。今回、東京ゲームショウに参加した理由を教えて下さい。

Par:Music 2.0でコラボしたSABATONのアピールのためです。日本ではまだ活動したことがないので、SABATONを代表する形で来ました。さらに「Tank Factor」というコンテストがスタートしましたが、我々はそのサポートもします。

――「Tank Factor」でSABATONとの共演も行なわれるということですか?

オザン・コチョール氏:いえ。もともと「Tank Factor」は山岡さんのプロジェクトです。SABATONも山岡さんほどではないですけど、「Tank Factor」に協力していただきます。具体的には賞品として特別なギターを作って貰っています。

――SABATONデザインのギターをプレゼントするわけですか?

オザン氏:そうです。Parさんデザインではなくて別のギタリストの方です。追って発表しますが、そのオリジナルギターにはストーリーがありますので発表を楽しみにしていて下さい。

Par:実は我々も、この夏にフランスで同じようなことをやっていました。ファンスクールの中で一番うまい人にステージに上がってもらって一緒に歌うということをやったんです。8万人くらいのコンサートだったんですが、巧いファンをステージに呼んで一緒にプレイしました。

――それは凄いですね。「Tank Factor」のプライズとして、山岡さんとの共演権が用意されていますが、ParさんらSABATONは一緒に演奏はしないのですか?

Par:それは残念ですができないんです。したかったのですが、前日にはインドにいるのでどうしても間に合わないですね。「WG Fest」は12月23日で固定されているイベントなので、残念ながらバッティングしているので参加できません。

――その代わり、コンテスト入賞者にギターを贈るということですね。

オザン氏:はい、そうですね。

――さて、昨日の発表会についてですが、7月のミンスクでの発表から2カ月以上待たされている私としては、やっと山岡さんの曲を聴くことができて感無量です(笑)。

オザン・コチョール氏:すいません(笑)。ただ、タイミングが大事じゃないですか。東京ゲームショウのためにキープしたかったというのが本音です。やはり日本のプレーヤーのためですから、TGSで発表したかったんです。

【Akira Yamaoka & Andrius Klimka — Battle in Japan】

――この「Battle in Japan」は非常に和のテイストが強い曲ですが、ただそれだけではなく「WoT」らしい旋律も出てきて、最後に大団円を迎えるというか、綺麗に「WoT」らしいクライマックスを迎える感じがとても良くて、非常に良い曲だなと思いました。

オザン氏:ありがとうございます。

山岡晃氏:ありがとうございます。

――まずは曲をようやく公開できたその感想から聞かせてください。

山岡氏:すごく大団円的な盛り上げ方をウォーゲーミングさんにやっていただけたというのが、個人的にはすごく驚いていて、すごく嬉しいです。作り手としては、単に「はい、コラボレーションしました」というだけではなく、作って、レコーディングして、プロモーションで発表して、徐々に盛り上げていって、今回やっと発表できて、ユーザーさんにこんな曲が今度新しくゲームに入るんだぞという期待感も多く与えられたかなというのが、嬉しいですね。

――1曲のプロモーションを、ここまで盛大にやったプロジェクトってないですよね。

山岡氏:ないですよね。しかも、「WoT」は別に音楽ゲームではないですし、音楽に何か特化したゲームでもないのに。ただ、ゲームの音楽というものをとても大事にしていて、SABATONとのコラボも含め、こういういろいろなコラボレーションで何か今までとは違うことをやろうということで、一緒に力を貸せて、準備して、それをやっとみんなに言えたという嬉しさですね。

――改めて、「Battle in Japan」のコンセプトを聞かせていただけますか?

山岡氏:日本のマップに使われるということで、最初は日本の音楽をベースに、でもただジャパニーズ、ジャパニーズした感じで、和楽器が行きすぎちゃってもダメですし、でも「WoT」というゲームに合わせた音楽性に和のエッセンスみたいなものを入れて作ろうということは最初からありました。

オザン氏:ミックスですね。「WoT」の音楽の魂を守りながら、和風な気持ちもあげて、ドラマティックというか、オーケストラ的にも感動があるところも見せたかったのですね。切ないという言葉までは言えないですが、割と悲しいメロディーですね。それは山岡さんが今までに作った音楽の中にもそういうものが多いし、後半で少しオーケストラを強くしたのはいい混ぜ方だと思います。

――そしてストーリー性も感じましたが、曲の中でどんなストーリーが展開されているんでしょうか?

|山岡氏:「WoT」はアクションだけのゲームではないと思っていて、やはり戦略や戦術、ゲームをしながら頭の中でいろいろ考えるということがすごくポイントになってくるゲームだと思うんですね。そこを考えて、ユーザーの邪魔にならず、かつ戦略としていろいろ考えていることを後押しできるような音楽というのを意識はしてました。

――新曲公開のトレーラーでは、オーケストラの収録の模様も流れていましたが、あれに和楽器が出ていませんでしたが、別録りですか?

山岡氏:別録りです。和楽器は日本です。だから、本当にただ単にスタジオに篭もって録音して、以上、終わり! ではなくて、オーディオチームともデータをやり取りして、こっちの方がいいよね、もうちょっとこんな風にしよう、どっちがいいとずっとやり取りしていました。

【オーケストラ】
山岡氏同席のもとで行なわれたプラハでのオーケストラパートの収録。和楽器パートは日本で別撮録りという手間のかかる方法で行なわれている

オザン氏:結構時間がかかったのも、そういうやりとりをしていたからですね。色々なやり取りをして、もう1回録り直しまではいかないですが、ほぼそれに近いぐらい、大きく変えたところもありました。

山岡氏:1回曲を作ってレコーディングまでしたけれど、その後、レコーディングした人が「こっちがすごく良い!」ということになって、もう1回こっちを変えて、というやり取りを何度かやっていました。

――和楽器に関しては、琴、三味線あたりはクッキリ目立っていますが、ほかにどのような楽器を使っているんですか?

山岡氏:和楽器は基本的に琴と三味線だけですね。あと若干、笛と和太鼓も入れています。

――それは何人態勢くらいで?

山岡氏:何人だろう? 関わった人は結構いますね。

――打ち込みではなくて生音ですか?

山岡氏:打ち込みも入ってますし、生音も入っています。

――オーケストラはミンスクですか?

オザン氏:オーケストラはプラハです。

――山岡さんとミンスクでお話しした際に、「これからプラハです」と仰っていたので、「なんでプラハ? 観光かな」と思っていたんですが、そういうことだったんですね。

オザン氏:中村さんにはそこはちょっとナイショだったんです(笑)。ミンスクで出会った後に、僕たちはそのままプラハに行ってオーケストラを収録してました。3日間くらいプラハにいて、そこで何度かやり直しをして。向こうにもとてもプロフェッショナルなプロデューサーさんがいて、その人と長く話をして作って行きました。

 ご覧になった映像は、みんな真剣な表情をしていると思います。これをこうしたほうがいいとか、これは変えたほうがいいとか、私はミュージシャンではないですが、音楽は好きでずっとやっていますが、すごくいい経験になったし、プロの仕事を間近で見ることができてすごく感動しました。

――Parさんに質問なんですが、山岡さんの曲を聞かれて、どんな感想を持ちましたか?

Par:とてもフィットするトラックだなと思っています。和風とゲームの内容のヒロイックなところをとてもよく合わせて、ゲームにはとてもフィットしていると思います。基本的に、2つの全く違う要素を混ぜるのは簡単ではないと思っていますが、今回は非常によくできたと思っています。

――この曲はいつ、どのマップに使うんでしょうか?

オザン氏:まずは「WoT」のオリジナルサウンドトラックに入れます。WEBページで聞けるようになります。

――それはいつですか?

オザン氏:サウンドトラックは9月中だったと思います。ゲーム内に関しては、正直な所で申し上げますと来年になると思います。

――え、ちょっと遠くないですか?

オザン氏:遠いですが、それは単純にマップの実装に合わせたいからです。その日本マップが正式にいつ入るのか開発側で完全に決まっていないのです。すでに日本のマップはあるのですが、新しいマップを作りたいんですよね。

――日本のマップって「隠れ里」ですよね。あれをHD化したものではなく、新規で作る?

オザン氏:そうです。なぜ実装に時間が掛かるかというと、隠れ里は正直レベルデザイン的にそれほどいいマップではないので、完全に新しいものを作るのか、隠れ里のマップデザインを全面的に変えるしかないと考えているからです。

 どちらを選択しても作業的には重いので、「だったらもう新しいマップを作ったほうがいいんじゃないですか?」と、いま開発側と議論しているところですね。私個人的には新しいマップをプッシュしています。なるべく新しいマップを日本のオフィス、日本の皆さんと一緒に協力して、最高の日本マップを作りたいです。

――いつからこのBGMで日本マップが遊べるかを聞きたかったんですが、現時点では明言できないのは残念ですね。

オザン氏:残念は残念ですが、マップの開発は時間が掛かるものですし、作るからには良くしたいんですね。せっかく良い音楽を作っているし、それを今の隠れ里に入れる決断をしたら、逆に残念だと私は思います。隠れ里はみんなあまり楽しんでいなかったので。楽しんでいないマップに、良い音楽を入れても、音楽のためだけにそのマップを選んでも楽しくはないと思いますよ。ですからトータルで良いものを提供したいので、時間をくださいということです。

――確かにそうですね。ただ、7月にミンスクで発表して、8月のgamescomでコラボコンサート、9月のTGSで新曲披露というロードマップを敷いているのに、10月実装! ではなく来年以降と間が空いてしまうのは残念ですよね。

オザン氏:そうですね。それは正直僕らも同じ気持ちです。ただ、開発側にはいろいろプライオリティもありますし、幅広く色々なことをやっているので。「WoT」の方では。だから特に改善事項とか、HDマップも結構作業が重いし、HD戦車とかもやっているので、永遠にリソースを伸ばせることはできないので、今はちょっと時間を取らなければならない時期になっています。

――山岡さんの曲はこの1曲で終わりなんですか? それとも2曲目、3曲目と続いていくんですか?

山岡氏:まだやりたいですね(笑)。

オザン氏:私としてはもっとやりたいですが、実はもう1つプランがあります。

――といいますと?

山岡氏:リメイクですね。

オザン氏:はい。現在「WoT」で使われている音楽を、中でも有名なトラックのリメイクを山岡さんにお願いしたいなと思っています。

――OSTを公開しているWEBサイトで30曲以上公開されていますが、この全部をリメイクするんですか?

オザン氏:山岡さんが一番好きな1曲だけを山岡さんらしくという計画です。それはジャンルを変えてもいい、というようなことをしたいなと。

――それはどの曲かというのは決まっているんですか?

オザン氏:まだ決まっていないですね。

山岡氏:まだ決めていないですが、一番有名なテーマ曲とかをやってみたいですね。みんながなんとなくもう耳になじんでいるような音楽はやってみたいです。

オザン氏:テーマ曲はこれからは競争激しくなりますよ。「Tank Factor」でみんなテーマ曲をカバーするから(笑)。

アレンジコンテスト「Tank Factor」
アレンジはギターに限定していない。バイオリンでの応募も可能

――その「Tank Factor」についてですが、もともとの企画経緯というか、なぜサウンドクリエイターを発掘しようと思ったのか。例えばジングルを作るとか、キャラクターのイラストを描いてくださいとか、そういうコンテストは過去に記憶にあるのですが、こういった形のコンテストは聞いたことがないので驚きましたね。

オザン氏:なかったからやりたかったんですよ(笑)。さっき山岡さんも言っていましたが、1曲作って終わりというのは本当にもったいないので、私が色々考えて決めた企画です。コミュニティのために何かしたいと私はずっと思っていたのですね。タンカーからタンカーへというようなことをやりたくて、本当に本気でコミュニティに何かしてあげたかったのですね。

 色々考えて私が思ったのは、音楽に関わるコンテストがあまりないことです。じゃあやってみようかと。それでミンスクのチームとも色々話し合って、ブラッシュアップをして、あとはもちろんグローバルコンテストになっているので、他の地域とかどうやってそれをもっとよりよくできるのか色々話して、それで「Tank Factor」になりました。

――7月のミンスクで山岡さんとのコラボを発表した時には、もうこの構想は固まっていたんですか?

オザン氏:ちょうどイリーナさんというプロジェクトに関わっている女性の方がいるのですが、イリーナさんとブレインストーミングして、「何かしたいんですよね」という話をしていました。プレーヤーさんにオーディションみたいなことをやって、音楽を作ってもらうというのは最初からアイデアとしてあったんですよ。それでさらに山岡さんと一緒にライブをすれば面白いと思ったんです。

 実は今回の最高プライズである「WG Festでの山岡さんとの共演」は最初から頭にあったんですね。なぜかというと、山岡さんがずっと人と交流したい、アーティストとコラボレーションしたいと私に言ってたんですよ。だからベラルーシのアーティストとも何かしたかったし、SABATONとコラボしたときもとても喜んでいたんです。「だったらプレーヤーさんとも何かすれば凄くない?」と私が思って、それでじゃあ、でもランダムに人を引っ張るのもおかしいから、ある程度のクオリティが大事だと思うので、それでコンテストを開こうということになりました。

――「WG Fest」はどのぐらいの規模で開催されるイベントなのですか?

オザン氏:どのくらいくるのかまだ決まっていません。昨年が初めてだったので、今年は会場含めて全体の規模はまだ検討段階だと思います。ただ、去年はとても盛り上がりました。

――そうなんですね。

オザン氏:チケット制にして、事前に販売しましたが、SOLDOUTだったんですね。今年も同じような形になる予定です。昨年は現地のアーティストによるパフォーマンスがいくつかあったんですが、今回は、山岡さんをはじめ、別の地域からアーティストを呼ぶ計画になっています。ロシアでも山岡さんは有名ですし、ファンベースも結構あるので、ちょうどいいなと思いました。

――それで、何を弾くんですか?

山岡氏:それはこれから決めます(笑)。

――1位に選ばれた方が作ったメインテーマのアレンジバージョンを一緒に弾くのではなく、全然別の曲を弾くのですか?

オザン氏:そうなるかもしれませんし、変わるかもしれません。いずれにしても1曲だけでは終わらずに、もう少しコンサート的なことにしたいなと思っています。

――何分ぐらいのコンサートですか?

オザン氏:それはまだ決まっていません。正直な所、優勝者の人のレベル、内容によって変わってくると思います。例えば、その人がバイオリン弾きだったら、色々変えざるを得ないですよね。今回はギタリストではないかもしれないので。

――確かに。どういう人でも共演する?

オザン氏:もちろんします。それは我々がこれから頑張らなくてはならないところですね。

――山岡さんは「Tank Factor」の審査員でもあり、プライズの“景品”でもありますが、どのような共演にしたいと考えていますか? 逆にこういう人にぜひ応募してほしいというのが何かあれば教えて下さい。

山岡氏:これは僕がずっと最近思っていることですが、僕は一応クリエイターとして、ゲーム音楽に作家性はいらなくて、ゲームが面白ければいいんだよと思っているんですが、ただ、多くの皆さんは、ゲーム音楽に作家性を求めているんだなと感じています。

 そういうユーザーさんが増えている中で、僕の作家性というものに価値を見いだしている人と「WG Fest」で一緒に演奏することで、自分とその人と「WoT」という色々なキーワードがあると思うんですが、そこに何か違う新しい意味を持たせることができるものができたらいいなと思っています。

――募集は9月21日から始まっていますが、もう応募はきているんでしょうか?

オザン氏:まだ見ていないのでわかりませんが、グローバルで実施するイベントなので、色々気を遣わなければいけません。たとえば、送られてくる映像に、ヒトラーが使われていたり、差別用語が入っているとか、そういう禁止事項のチェックは気をつけなければならないところですね。

 しっかりチェックして問題ないものをアップして、それをユーザーの皆さんがパブリックで投票ができるようになる。それがフェーズ1ですね。パブリック投票でうまくいった人の中から、そのあと山岡さんと、ミンスクのオーディオチームが一緒に議論して、2人を決めていきます。

【Tank Factor Contest: Get Involved】

――「Tank Factor」で作られたアレンジは、「WG Fest」で弾いて終わりなのですか? それとも、何かその先があるんですか? 例えばゲームに採用されるとか?

オザン氏:その先は正直考えていないですね。繰り返しになりますが、誰が、どんな人が選ばれるかで変わってきます、例えばその人がもしかしたらとんでもないクリエイターかもしれないですよね。そうなったら私がもっといいストーリーを作って、その人がゲーム内の音楽を1曲作るとか、そういう形につなげたいですね。

 おそらく「WG Fest」では、山岡さんとその人の共演がメインイベントになりますが、パフォーマンスのためにもしかしたらもう少しミュージシャンが必要かもしれないので、それは組み合わせたいところもありますし、私は結構長いスパンで考えるタイプなので、話が上手くいけば、いろんなことに繋がられるのが、コンテストの面白いところだと思います。

――「Music 2.0」について、オザンさんは発表会で“ミュージックアダプテーションエンジン”を作っていると語っていましたが、それは一体なんですか?

オザン氏:これは凄いですよ。山岡さんも向こうでは見ましたよね。これは、例えば戦場で戦っていて、ゲーム内の状況によって音楽が変わります。例えば自分が攻撃していたら、もう少しいろいろアクション性が高い音楽に自動的に変えたり。逆に、自分が守っている時にはもう少しプレッシャーを受けるテンポに変えたり、それに合った楽器を追加したり、この間ミンスクで初めてみたんですが、結構凄いなと。

――それはテンポやピッチが変わるのではなくて、曲自体が別のものに差し替わるんですか?

オザン氏:基本的には同じ曲で、ゲームの状況に応じて自動的にバリエーションが変化して、別の楽器が追加されたりとか、いろいろなことになるんですよ。さらにピッチもバランスもリズムもテンポも変わったりします。

――ほー。それはいつ実装されるんですか?

オザン氏:まだ決定していないです。どうして決定していないかというと、結構難しい技術だからです。自動的にサーバー側でメロディを変えるのは難しいのですが、その技術が凄いんです。サーバーと連動してちゃんとメロディを変えられるところは、たぶんウチだけだと思います。

――つまり、その変化した曲を、すべてのメンバー全員が聞く形になるわけですね。

オザン氏:そうですね。だから、まだいろいろいま考えているところなのですが、ゲームに悪いインパクトがないことが大前提です。逆効果があれば、それはもうダメですから、プレーヤーさんにもちゃんと受け入れられるものにしたいので、色々テスティングが必要ですね。それには時間がかかるんですね。

――いつから聞けるようになりますか?

オザン氏:決まってません。トレーラーもまだ作っていません。まだエンジン自体を作っている途中ですから。

――ゲームへの実装時期はいつぐらいですか?

オザン氏:年内ではないです。2018年になると思います。

――楽しみにしています。最後に日本のゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

Par:また日本に来られてとてもうれしいです。人のふれあいや思いやりがとてもよくて、すごくパワフルな良いエネルギーを感じています。実は数週間後にまた来て、ラウドパークというイベントでステージに立ちます。その時にまた日本のファンの皆さんに会えることを楽しみにしています。

山岡氏:「WoT」というゲームに自分が1ユーザーとして関っていたら、クリエイターとしても関われるという、両方で関われるというこんなにも幸せなことはないです。この後も何かしら一緒にやれるということで、その作品に自分が関わったならではのゲームの中の音楽であったり、そこで日本のユーザーの人も楽しんでもらえるような物作りができればいいなと。昨日曲を発表しましたけれど、あれ以上のものをまたやれればいいなと思っています。

オザン氏:私はこのプロジェクトに参加できてとても嬉しく思っています。特に日本ではプレーヤーさんもみんな音楽を絶対に好きだと思いますし、ゲーム音楽はとても大事なところだと思います。「Tank Factor」はかなりユニークな企画ですが、オープンマインドでいろいろ考えて参加していただければ嬉しいです。個人的にはウォーゲーミングジャパン発の企画として、日本の誰かを「WG Fest」に送ることができれば嬉しいなと思います。

――ありがとうございました。