ニュース
「World of Tanks」、第三次PCメーカー対抗トーナメントが開催
“老人戦車隊”またしても参戦! 参戦ライターがメーカー同士のガチバトルに密着
2017年9月26日 13:37
今年も東京ゲームショウでWargaming.netの人気オンラインゲーム「World of Tanks」の「第三次メーカー対抗トーナメント」が開催された。
このトーナメントは「World of Tanks」推奨PCを販売しているメーカーから7人編成のチームを出してトーナメント戦を勝ち抜くというものだ。
今回参戦を表明したメーカーは50音順にALIENWARE(デル)、OMEN(日本HP)、GALLERIA(サードウェーブデジノス)、G-GEAR(ツクモ)、G-Tune(マウスコンピューター)、Predetor(日本エイサー)、LEVEL∞(ユニットコム)の7つ。
トーナメントを制したメーカーは第一次および第二次を連覇しているチームGALLERIAへの挑戦権が与えられ、さらにそのバトルの勝者はWargaming.netのCEO率いる「Wargaming All-Stars」への挑戦権が与えられる。「World of Tanks」推奨PCを出しているメーカーにとっては、ぜひとも勝ち取りたい栄誉と言えるだろう。
今年のレギュレーションを解説しておこう。3ゲーム中2本先取が勝者(同数の場合はHP差で判断)となるが、「World of Tanks」の対戦ルールは“攻撃防衛戦”が採用された。普通のオンライン対戦だと攻める(守る)べき拠点は1カ所だが、攻撃防衛戦では拠点が2つ。同一チーム内での車両被りが禁じられているため、自ずと車両の特性を引き出すような戦術が必要になってくる。
・試合形式:攻撃防衛戦(2勝先取)
・使用車両:Tier 10
・車両制限:軽・中・重・駆逐戦車を必ず1両ずつ入れる
・車両制限:同一チームで車両の重複は不可
・装備制限:迷彩以外は全て可能。課金弾の使用も自由
・使用マップ
第1回戦:鉱山(Mines)で攻撃と防衛
第2回戦:ルインベルク(Ruinberg)
決勝戦:崖(Cliff)
GALLERIAやWargaming All-Starsとの対戦時は、挑戦者が任意のマップを選択可能
※タイブレークはいずれもゴーストタウン(Ghost Town)
そして筆者であるライターKTUこと加藤勝明は、昨年と同じくLevel∞の一員として参加。昨年は醜態を晒してしまったが、今年の俺は去年とは違う。尿路結石で鍛え上げられた鉄のメンタルを武器に、なんとか勝ち進んでいきたいところ。「また第1試合で終わるだろうから取材をお願いします」という担当編集の全てを見透かしたような依頼にイラッときながら、Wargaming.netのメインステージへ向かったのであった。
第1回戦・第1試合 LEVEL∞ 対 Predetor
シード権のない我がチームLEVEL∞は第1回戦から勝ち上がらなければならない。LEVEL∞の助っ人は筆者のほかに“TSY”こと高橋敏也氏に、“Kaz”ことNVIDIAの高橋一則氏の3名。2人はPC業界の著名人だがどう見てもイロモノだ。我がチームの目標は当然優勝だが、昨年、我々は2戦ストレートで敗退していたこともあり、とりあえず1勝はしようと一致団結。頼もしい限りである。今回“物理的”に重量級のプレイヤーが2人揃ったので、いざとなれば彼らを突撃し、ゲームではなく物理で勝つというプランBも準備した。
対するPredetorは昨年とほぼ同じメンツ。練習時間が限られているとはいえ、1年間の積み重ねという点では我がチームと同じ。これは負けられない。
試合はLEVEL∞の先攻でスタート。第1試合は遮蔽物越しのにらみ合いで時間を消耗し、痺れを切らした攻撃側が突撃してから崩され、あっさり敗退。やばい……このパターンは去年と同じだ……。
しかし2戦目は、先ほどの内容をそのまま逆にした展開に。拠点に侵入されても落ち着いて命中弾を当ててCAPタイマーを戻す! 昨年と違いボイスチャットがちゃんと機能するのも幸いし見事勝利!
だがタイブレークの舞台である“ゴーストタウン”は我々LEVEL∞は完全ノーマーク……。なんとかチームワークで乗り切ろうとしたが結果は我々の負け。だが1試合獲ったことに確かな進歩を感じた。来年はあらゆる手段を使いPredetorと再戦したい。そしてどちらが真の捕食者(Predetor)になるか教えてやろうと誓ったのだった。
第1回戦・第2試合 G-Tune 対 OMEN
昨年は不参加だったG-Tuneは今年見事に戦線復帰。それ自体喜ばしいのだが観客を沸かせたのは助っ人にグラビアアイドルの倉持由香さんと吉田早希さんを加えてきたことだ! ショボくれたオッサン中心のLEVEL∞と、まばゆいばかりのオーラ(と若さ)を放つG-Tune、どこでどう差が付いたのだろうか……。対するOMENは1名を除きメンバーを総入れ替えという“実力重視”の布陣となった。
試合はG-Tuneが重戦車を重視した装甲と火力で戦線をゆっくりと押し上げる構成に対し、OMENは機動力を重視した編成で激突。マップ“鉱山”には中央部分に高い丘があるが、そこを機動力で確保しにいくOMENを、G-Tune側の超重量級Maus・E100・IS-7の3枚が壁のように立ちふさがるナイスな連携を見せる。良いポジションを確保しに行く間に3枚の重戦車に削られ戦力差が開き、そのまま終了。次戦は攻守逆転したものの、これもまた中央の丘を巡る戦いに発展。ここでも堅さを上手く生かせたG-Tuneが勝利を収め、見事第2回戦へと進出した。
第2回戦・第1試合 ALIENWARE 対 Predetor
第1回戦で勝ち残ったチームとシード権を獲得したチームが戦う第2回戦。第1試合は“エイリアン vs プレデター”というカードとなった。開戦前のコメントでPredetorのリーダーは「この日を1年待った」とコメントしたが、昨年の同カードではALIENWAREが勝利している。ガチゲーマーが多いと言われるALIENWAREにPredetorがどう食らいつくかに注目が集まった。
第2回戦は“ルインベルク”での戦いとなる。特にこのカードでは軽戦車の動きが観客を沸かせた。1戦目では攻撃側が防御側の軽戦車に釣られ、攻撃チームのMausが良いように削られるなど手に汗握る展開。続く2戦目は攻撃側Predetorのリーダーが操る軽戦車が一気に南を回り、防御側の配置を一気にスポットするなど大胆な動きを見せたが、どちらのバトルでもALIENWAREが着実に撃破を重ね勝利。チームPredetorが雪辱を晴らすのはまた来年となった。
第2回戦・第2試合 G-Tune 対 G-Gear
第2回戦に進んだG-Tuneを待っていたのは昨年の準優勝チームであるG-Gearだ。声優の山下まみさんを紅一点としている点も去年と同じ。一見イロモノのように見えるが、実はガチ(高橋敏也氏談)なチームなのだ。
前試合に続き超重量級で固めるG-Tuneに対し、G-Gear側はB-C 25 t等のオートローダー搭載車両を多めに配置した機動性と投射火力を重視した構成。1戦目はG-Gearが装甲の厚いIS-7を囮に機動力の高い2両をG-Tune防衛ラインの裏に回そうと画策したがIS-7が先に沈む。裏に回ろうとしたG-Gear側の2台にG-Tuneが襲いかかり作戦失敗……と思いきや、その裏でG-Gearは拠点確保ゲージを稼ぐ。2段階の囮という鮮やかな作戦展開が決まり、G-Gearが見事1本先取。
続く2戦目はG-Tune側の勝利となり、続くタイブレークでもG-Tuneが粘り勝ちしたが、3戦目途中でG-Gear側のマシントラブルがあったことからタイブレーク戦が仕切り直しに。これが今回のトーナメントの流れを大きく変化させることになる。
再戦ではG-Gear側が攻撃側。G-Gearは大胆にも両方の拠点へ攻め込んだ中央は重量級3両で手堅く防衛しつつも、北側の拠点のゲージに素早く入り込まれ、占領ゲージを着実に積み上げられてしまう。G-Tuneは必死の反撃を試みるものの、ゲージを押し返すことができずG-Gearが見事な完封勝利をおさめた。マシントラブルという不運が劇的な逆転劇へと繋がった訳だ。
決勝戦 ALIENWARE 対 G-Gear
2連覇を達成したチームGALLERIAとの対戦権を獲得するための決勝戦はALIENWARE対G-Gearというカードとなった。ここで決勝にあたりG-Gearが、今回のトーナメントに対する意気込みと秘策を発表。それはA4十数枚にまとめられた「World of Tanks」の作戦計画書だった。この計画書を全員で徹底的に学習することで、ここまで勝ち残ってきたという。もちろんALIENWAREの連携も負けてはいない。
決勝戦のマップは“崖”に代わり、G-Gearが先攻を選択。1両落としてもまた落とし返されるという一進一退の攻防が続き、あわや時間切れかという所から、残り1分でG-Gearの4両が一気に拠点占拠に動き一気に勝負を決めた。ALIENWARE側の防御の手薄な部分を突いて一気に攻め込む見事な連携だった。
2戦目は逆にALIENWARE側が車両数差をつけて勝利。G-Gearの要であるB-C 25 tが落ちたのが決定的といえた。
そして迎えたタイブレーク。G-Gearががら空きの拠点に電撃戦を仕掛け、これに呼応したALIENWAREとの激しい砲撃戦が展開。ALIENWAREも次々とゲージ減らしに戦力を投入するも、G-Gearが上手くそれらを各個撃破し勝利。「(G-Gearは)メチャメチャ強かった。でも(プレイ台は)ウチのPCで勝ったので、ウチのPC(ALIENWARE)が世界最強」と凄まじい負け惜しみも飛び出した
チャレンジカップ1回戦 G-Gear 対 GALLERIA
第三次PCメーカー対抗トーナメントを制したチームG-Gearは、2連覇王者であるチームGALLERIAとの挑戦権を獲得した。
昨年のチームGALLERIAは声優である吉岡麻耶さんを助っ人に、さらにコスプレ応援団まで用意したうらやま……いや豪華なメンツだったが、今年はさらに本気を見せてきた。助っ人に同社がサポート契約をしているプロゲーマーAki00v選手、moudame選手、xenlon選手(いずれもプロゲーミングチーム「Caten Tiger」所属)を起用。吉岡麻耶さんは同じく声優の森島亜梨紗さん、藤本彩花さんとともに試合には参加せず応援団となった。
陣容からすれば明らかにGALLERIAが優勢だが、1つ前の決勝戦で逆転劇を決めたG-Gearは勝ちの流れに乗っている。勝負はどちらに転ぶか分からない。
そしてこの戦いからは挑戦者がマップを選べる。G-Gearは前の戦いで勝ちをもぎ取った“ゴーストタウン”を選択。どちらも機動力重視の車両構成だったが、1戦目は市街地での殴り合いの隙をつき、がら空きの北側拠点へ堅い車両を滑り込ませた攻撃側GALLERIAの勝利。2戦目も最初の2分はGALLERIA優勢で進んでいたが、G-GearがGALLERIAの戦力のほんの少しのほころびを突いて拠点を占拠、これで1勝1敗。安定かと思いきや突然戦況が激変する白熱した戦いが展開された。
タイブレークもゴーストタウン。序盤はほぼ一方的にHPを削られたG-Gearに対し攻撃側のGALLERIAはほぼ無傷。G-Gearの動きを察知し攻めにはいったGALLERIAを待っていたのが裏に回ったG-Gearの操るB-C 25 t。オートローダー機の強みを活かし背後から主力を次々と撃破。この瞬間勝利は確定した。後はG-Gearが終始GALLERIAを圧倒し勝利を決めた。
この戦いを決めた要素は2つ。ひとつはチームGALLERIAは3戦目でフォーメーションチェンジに失敗したこと。もうひとつはチームGALLERIAは“プロゲーマー3人が十分にゴーストタウンでの練習ができなかった(練習用マッププールに入っていなかった)”ことだった。もちろんチームとしてのGALLERIAの動きはよく訓練されたものだったが、使用するマップを研究し尽くし、その場その場でベストな動きを引き出せたG-Gearの執念が勝利を呼び込んだ。勝負の流れをモノにできたG-Gearの勝ちだ。
最終戦 G-Gear vs Wargaming All-Stars
PCメーカー日本一に輝いたG-Gearへのご褒美といえるのが、Wargaming.netのCEO、Victor Kislyi氏率いるオールスターチームとの対戦。同社の4つのリージョン(ヨーロッパ、ロシア、アジア、アメリカ)内で1vs1バトルの選抜を行い、その優勝者を選抜メンバーとしてチームに加えたドリームチームだ(ただし、ロシアリージョン代表は残念ながら不参加となった)。大戦前からCEOが「(G-Gearを見て)彼らはもう負けている」とにこやかに挑発するなど、完全に舐めプモード。
だがCEOの発言は決して舐めているわけではなかった。あの日本最強チームのG-Gearが赤子の手を捻るように翻弄される。アッという間に2本をWargaming All-Starsが取り、G-Gear敗退となった。ちなみに、翌日に行なわれたWargaming All-StarsとCaren Tigerの1戦は、Caren Tigerが見事勝利し、上には上がいるということを教えてくれた。
第三次PCメーカー対抗トーナメントは素晴らしい見応えのある試合の連続だった。オフラインイベントの熱気と流れを見事に掴んだG-Gearが見事ディフェンディングチャンピオンGALLERIAを撃破。来年は本気になったGALLERIAがどう出るか? そして他のチームもどのようにチームを強化するか? 来年の第四次トーナメントに向けてこれから鍛錬せねばと決めた筆者であった。