インタビュー

「World of Tanks」、マップのHD化プロジェクトがいよいよ佳境に

新グラフィックスエンジンが遂に完成! 2017年末に30のHDマップを一気に実装か

9月21日~24日開催

会場:幕張メッセ

 サービス開始から7年が経過した「World of Tanks」だが、密かに「2.0」プロジェクトが進行しているのをご存じだろうか。グラフィックスとミュージックの両面で、時代の進化に取り残されないように、むしろ一歩先を行くための技術的なアップデートが計画中で、少しずつ情報が公開されつつある。

【「World of Tanks」HDマップ】

「WoT」マーケティングディレクターのMax Chuvalov氏(左)と、「WoT」APACディレクターのAlexander de Giorgio氏

 グラフィックス面では、グラフィックスエンジンを刷新し、既存マップのHD化を進めている。このマップのHD化、HDマッププロジェクトは、2016年12月にモスクワで行なわれた「WG Fest」で発表され、発表当時は1つのみだったが、対外的な発表がある度に少しずつHD化マップが増え、gamescomでは9つ、東京ゲームショウでは10まで来た。

 ただ、「World of Tanks」のプレーヤーなら誰でも知っているように、このHDマップはまだ1つも実装されていない。HDマップのトレーラーばかりが増えている状態で、まだテストサーバーですら試すことができない。トレーラーで見せたコンテンツを10カ月以上も実装しないのはWargaming.netとしては非常に珍しいことだ。

 HDマップが依然として我々の手に届かない理由は単純で、現行のマップとHDマップは両立できないためだ。HDマップの導入は、グラフィックスエンジンの差し替え、すなわちゲームクライアントの完全入れ替えを意味するため、全マップのHD化がすべて完成するまで実装することができないのだ。

 しかし、2018年完成に向けてフルスクラッチで開発を進められているグラフィックスエンジンが完成の目処が付いたため、10月末から11月頭から、サンドボックス(テストサーバー)に、開発中のグラフィックスエンジンを搭載した新規クライアントをインストールすることで、HDマップを体験できるようになる。収録マップは、最低でもヒメルズドルフからサンドリバーまで10のマップを収録し、順次増やして行く方針。

 サンドボックスでテストする内容は3つ。1つは、HDマップを実現しているグラフィックスエンジンそのものの機能チェック。DirectX 11への対応に伴う、テッセレーションやバーチャルテクスチャ、グローバルイルミネーションといった新たなレンダリングテクニックが正常に機能しているかどうか。もう1つは、マップのHD化によってプレーヤーエクスペリエンスが変わっていないかどうかのユーザー視点での検証。3点目はグラフィックスエンジンの最適化となる。

 最後のグラフィックスエンジンの最適化は、かなり時間が掛かる見込みで、Wargamingの目標としては、今「World of Tanks」が遊べているPCなら、新エンジンでも遊べるようにしたいと考えているという。WargamingのホームグラウンドであるロシアやAPACでは、比較的低スペックのPCで「WoT」が遊ばれており、これらのユーザーが、新クライアントで遊べなくなることは避けたい考えだ。

 まさに課題は山盛りであり、「2018年にホントに入るの?」という気もしてくるが、グラフィックスエンジンの完成目処が付いたこと、水面下で、全マップのHD化を進めていることから、今後HDマッププロジェクトの進捗はどんどん加速していくという。

 現時点では、現行で利用されている全30マップを対象にHD化を進めているというが、この30マップを一気にHD化する形で、実装を検討しているという。実装時期についてはサンドボックスでのテスト結果次第ということだが、早ければ2017年の実装も検討しているという。

 気になるのはバランスなどの問題ですでに削除されてしまっているマップが、今後HD化されて復活することはあるのかどうかだ。特に珠江や隠れ里、竜の峠など、アジアをモチーフにしたマップが軒並み削除となっているため、この機会に復活して欲しいという声は少なくないはずだ。

 Chuvalov氏は、「将来的にHD化して入れる可能性はある」と否定はしなかったものの、「実はもう1年間新しいマップを入れていない。30マップの次に実装するのは、新しいマップかもしれない」と新マップも同時平行して開発していることを予告した。

【「World of Tanks」HDマップ解説】

 HDマップ以外にもいくつか質問してみた。まず実装されたばかりのグランドバトルについては、今後マップバリエーションを増やしていく計画で、マッチングしにくいという問題については、対象Tierを8や9まで下げるなどの対策を検討中だという。

 ゲームモードは、しばらくはランダムバトルと、今年実装したランクバトル、グランドバトルの3本柱で走って行くという。過去に実装したランページやヒストリカルモードと比較すると、これらの新モードはポジティブな反応が返ってきており、随時アップデートしながらコンテンツを拡充していく方針だ。

 また、他のリージョンではすでに実装しているブートキャンプも、10月13日のアップデートで実装される。ボリュームとしては1時間ほどで、ベーシックなゲームプレイが人取りマスターでき、クリアすることでビギナーにはありがたいフリー経験値もたっぷり獲得できるという。この新モードを通じて新規ユーザーを獲得していきたいという。