インタビュー

本日発売! 稲船敬二氏「ReCore」の核心を語る

初期コンセプトは「マッドマックス」&「天空の城ラピュタ」!?

9月15日発売



価格:5,850円

 いよいよ本日発売となる日本マイクロソフトが放つXbox One/Windows 10タイトル「ReCore」。日本のゲームクリエイター稲船敬二氏が構想段階からプロジェクトに携わり、稲船氏が「メトロイドプライム」の開発元として知られるAmature Studiosとタッグを組み3年がかりで完成させたタイトルとなる。

 稲船氏には、初めてプレイアブルが公開されたE3 2016と、gamescom 2016と2度に渡ってインタビュー取材を行なってきた。今回はマスターアップを迎え、発売直前のインタビューということで、基本的な話はすべて飛ばして、ゲームの核心に迫るような質問を重ねてみた。

 インタビューの前に実施された発表会Xbox Showcaseでは、稲船氏の登壇の後に、稲船氏が生み出したフランチャイズ「Dead Rising」シリーズの最新作「Dead Rising 4」が紹介され、元部下がプロデューサーとして登壇するなど、奇縁を感じさせる内容だった。インタビューではそのあたりから話を始めてみた。

【ReCore Launch Trailer】

「ReCore」は「マッドマックス」大好きの稲船氏によるアダムとイブの物語

comcept代表の稲船敬二氏

――先ほど「Dead Rising 4」プロデューサーのジョンさんに稲船さんの話を振ったら、「かつてのボスに会えて嬉しい」という話をされていました。「Dead Rising 4」は、稲船さんがカプコン時代に関わられていた初代「Dead Rising」のフランクが主人公としてカムバックする物語です。偶然が2つ重なっていますよね。そのあたり稲船さんどのように感じているのか聞かせて下さい。

稲船敬二氏:嬉しいですよ。ここで会えて。「Dead Rising」をジョンとずっと一緒に作ってきたので、まだジョンが担当してくれているのも嬉しいし、フランクを使ってくれているのも嬉しいですよね。どのようなゲームになっているのかは、僕はちょっとわからないですけど、素直に嬉しいですね。自分が作ったタイトルがまだカプコンに残っているというのも嬉しいじゃないですか。なかなか残っていないからね(笑)。そういう意味ではうれしいですよね。

――今でも元部下の相談に乗ったり、アドバイスをあげたりしているのですか?

稲船氏: いやいや、しないですよ。

――そうなんですね。それは稲船さんの中で何かポリシーがあるわけですか。

稲船氏: ないですよ。カプコンから正式に頼まれたらやるべきですけど、頼まれていないものをやっちゃうと、よくないじゃないですか。僕が口を出してしまうと、変な話、その意見を聞いちゃうじゃないですか。

――そうですよね。

稲船氏: それってそのアドバイスがもし正しくても、ある種、他社さんの作品の邪魔をすることになってしますので、それはできないですよね。だからなるべく触らないようにしようとしています。要は発売までは触らないでおこう。発売したものはいいじゃないですか。だから発売前のものにはあまり触らないようにしようとしています。

――ただ作りの一人として未だにシリーズが続いていることを喜んではいるんですね。

稲船氏: はい、喜んでいます。

――わかりました。では「ReCore」のインタビュー始めさせていただきます。8月にgamescomでインタビューさせていただいた際は、まだマスターアップしていなくて、本来なら来るべきディレクターが来られなくなったというお話でした。

稲船氏: gamescomの時は、マスターは出していたんですけど、デイワンパッチ(発売日当日に当たるパッチ)用にやらなきゃいけないところがあって、彼が来れなかったんですけど、gamescomの最中にマスターアップできました。

――ゲームが完成までこぎ着けた感想は?

稲船氏: いや、うれしいのと、逆によく完成したなと。人ごとなんですけど、僕らがプログラミングしてるのではなくて、テキサスでプログラミングしてるんで、テキサスの頑張りでしかないのですよ。「普通に考えるとこれ、間に合わないんじゃないの?」というスケジューリングでやっていたので、間に合わせたところがこいつら、すごいなと。

――バグとかは大丈夫ですか?

稲船氏: 多少はあるんじゃないですか(笑)。割と、多少はあってもファンキーなバグで済んでるんじゃないかなと思うんですがね。

――今回開発で最も難しかったところは、どのあたりですか?

稲船氏: 作る上では、最初の、これで行こうと承認を得られるまではすごく難しかったですよ。最初にマイクロソフトにAmature Studiosと一緒に考えたゲームを持って行って時は、その時点で「あーこれいいね」、「やりたいね」とすんなり行ったのですが、でも実際に承認が下りるまでに、ここをああしてこうしてという部分をクリアしていかなきゃいけないわけですよ。

――Microsoftがあれこれ要望を出すわけですね。

稲船氏: はい。それが、何をやってもいいわけではなくて、これくらいのバジェットに収めてとか、こういう方向性で作ってとか、こういうメッセージを入れてとか、結構あるんですよ。それを、ちゃんと自分たちのやりたいものでクリアしていくところは、時間がかかりましたね。それをクリアした後は、そんなに難しくなかったです。あと何か難しかったかというと、とにかく時間がないんです。要はMicrosoftが決めたスケジュールがあまり短かかったので、そこが1番苦労したんじゃないんですかね。

――構想開始は3年前ということですが、実質開発期間はどれくらいだったのですか。

稲船氏: 実質の開発期間って言いづらいんですが、ズバッとここがスタートというのはなくて、ちょこちょこスタートしていくんで、でも実稼働は2年くらいですね。1年くらいは、やっぱりなんだかんだで準備に時間を使ったと思うんですよね。

――その間は、comceptさんのほうでプリプロダクションを始めていたわけですか?

稲船氏: もちろんです。Amatureと話し合って、「こういうストーリーでいきましょう」とか、「こういうアートスタイルでいきましょう」とか、「こういう主人公やロボットでいきましょう」とか、色々決めていました。でも最初の頃とは変わっているので、そこを合わせていくのに時間がかかったのと、これで行こうと決まってからは2年くらしかかかってないと思います。

――その3年前の構想の段階のお話を伺いたいんですが、稲船さんが作りたいゲームってなんだったのでしょうか。

稲船氏: 僕はね、世界が崩壊、絶滅してしまった後の世界を作りたかったんですよ。ほぼ絶滅している状態で、っていう世界観のゲームを作りたかった。

――それはなぜですか。

稲船氏: そういう世界観が好きだから、というのがあってですね。僕は「マッドマックス」が大好きなんですよね。じゃあ「マッドマックス」の版権を取って作ろうではなくて、「マッドマックス」のようなゲームを作ろう。

 でも、僕自身は昔からそういう考え方を持っているのですが、新しい「マッドマックス」の公開に合わせて、ゲームも作り初めていたので、「マッドマックス」の世界を作ったとしても似たようなものしか作れないし、パクリになってします。じゃあ、「マッドマックス」という世界観という、核戦争の後のような話ですけど、そういう中で違ったものにしていくっていうところで、そこにわりとアニメ的なアプローチ、たとえばロボットであるとか、こう言う女の子が活躍するであったりとか、そういうものをわりと入れ込んでいきました。「ReCore」の最初のイメージって「マッドマックス」プラス「天空の城ラピュタ」ですよね。

稲船氏は「マッドマックス」が大好きなのだという。映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」より

――「ラピュタ」ですか。「マッドマックス」はなんとなくわかりますが「ラピュタ」は想像が付きませんでしたね(笑)。

稲船氏: 「ラピュタ」ですよ。「マッドマックス」の世界で「ラピュタ」したい。

――「ラピュタ」をしたいという意味は何ですか? ストーリー展開的な意味ですか?

稲船氏: なんだろうな。実は「ReCore」は謎の女の子がいて、それを助ける男の子がいる話なんですよ、謎の女の子で、それを助ける男の子がいるんですよ。

主人公ジュール

――そういえばトレーラーにも一瞬、謎の青年が映ってますよね。

稲船氏: はい、その彼の話なんですよ。

――おお! では途中でプレーヤーキャラクターが彼に入れ替わる?

稲船氏: 入れ替わりません(笑)。

――あれ、では操作するのはジュールだけですか?

稲船氏: そうです。そういう話なんですけど、構想はもっと大きくて違っていたのです。初期構想のままだったら、途中で主人公が入れ替わったかもしれないし、選べたかもしれないし、男の子から始まったかもしれない。でも最終的には、ジュールという女の子が男の子と出会って、という話になりました。基本アダムとイブなんです。崩壊した後に、男の子と女の子が出会うという話をしたかった。そしてもう1回、地球を創生するっていう、これ地球じゃないですけど、そういう思想もいれつつ、それをアニメ的なアプローチというか、自分の好きな世界、「マッドマックス」のような砂漠しかないような世界でやるという。「ReCore」は好きなことしか入れてないんです。それってなかなかゲーム作りではできないですよ。好きなことをやらせてくださいと言ってやらせてくれる会社がないし、好きなことをやるために努力したゲームです。

――なるほど、「ReCore」で凄く特徴的なのはロボットの存在ですよね。稲船さんのロボットに対するこだわりは、「ロックマン」の時からずっと続いているわけですけど、なぜそんなに好きなんでしょうか?

稲船氏: 何だろうな、僕は子供の頃に、自分に埋め込まれた部分がすべてロボットでしたね。

――「鉄人28号」あたりですか?

稲船氏: いや、「鉄人28号」まではいかないですよ。僕は、永井豪さんですよね。やっぱり「マジンガーZ」とか、ああいうところから育っているんで、もっとちっちゃい頃で言ったら、「マグマ大使」とか、

――描かれるロボットは「鉄腕アトム」のようなサイズが多いですが、好きなのはどちらかと言うとデカイほうなんですね。

稲船氏: はい、デカイ方のロボットです。もちろんアトムの影響も受けていますよ。自分の中でそういう未来とか、夢とかを語る上で、ロボットが出て来ない物語はないんです。子供の頃から妄想して物語を考えるのが好きだったので、そこには必ずロボットが登場する、という染み込んだものがあってですね、何か新しいアイデアを考えるときに、ロボットというのは出てきやすい要素になりますね。

――「ReCore」のロボットで面白いのは、コアの中にパーソナリティが宿るという設定です。フレームには宿らない、これはすごく面白いと思ったのですが、これはどのあたりの発想からきているのでしょうか?

稲船氏: それはもちろんロボットの特徴を出したいというところから見せ方のテクニックとしてきているところもあるんですが、根本的には、人間って良い人に見えるからと言って、良い人とは限らないじゃないですか。

――そうですね。

稲船氏: 怖い人に見えるからと言って怖い人ではない可能性もあるじゃないですか。それって社会に出るとイヤというほど思い知らされるところですけど、やはりコアって心の部分ですよね。その心の部分と、外っかわっていうのは、フレームの部分は大きく違う部分で、そのコアが自分が愛すべきものなんだっていう、ところにもっていけるといいし、コア自体にも謎というか、意味を持たせている部分がある。

 というのは、コアはロボットではないのです。コアに入っている記憶であったりとか、心であったりというのは全部人間なのです。外側は全部ロボットで、だからカスタマイズをしっかりできてという形でやっているのです。ロボットと一緒にパートナーシップをもって戦っていきますけれど、実際に戦っているのは人間と一緒に戦っているという。それは人類の代表なのか、人類なのかというところも入っているのがこのゲームです。

――そのコアの性格付けというのはどれぐらいストーリーに入れ込んでいるんですか?

稲船氏: ストーリーの中には多分そんなに入ってはいないです。最初の構想からは変わっていて、シンプルにしちゃってるので、そこまで入っていないのです。最初の構想だとかなり入ってます。性格付けというか、このコアが誰なのかというところまで実際には入っているのですが、でもこれが例えば好調で続編作ったりしていくと、そういう膨らまし方っていうのはできるかなあと思います。

――例えばタイトル画面の左側にいる飛んでいるロボット、彼に関する情報は一切出てきていませんが、どういった性格付けで、どういったキャラクターなんでしょうか?

稲船氏: これはフレームだけです。コアは3つしかないんです。このフレームに、マックのコアを付けることで、空を飛ぶロボットにすることができます。

――なるほど、少なくともキャラクターというかフレームの分だけコアがあるのかと思っていました。

稲船氏: 3つだけです。だからこれ、実際には絶対ありえない絵なんですね。要はマックっていう青いコアを、飛ぶキャラクターもつけてるし、タンクのキャラクターもつけてるじゃないですか、マックのコアは1つしかないから、これはないんですよね。

「ReCore」のタイトルイメージ。実はこの絵はありえない絵だった!

――コアをはめ込めるフレームは何種類ぐらいあるんですか?

稲船氏: フレームは、ここにあるだけあります。5フレームあって、そこにカスタマイズしていくんで、違ったビジュアルに変えることができます。

――それにしてもフレームとコアの数を変えたのは、何故なんですか? コアとフレームが1対1で存在していて、その上で入れ替えの楽しさを堪能するものだと思っていました。

稲船氏: 1対1だと入れ替えなくていいじゃないですか。足りないから入れ替えるんですね。だから入れ替えさせるっていう要素にもなるわけですね。新しいフレームを手に入れた、じゃあ誰のコアで行く? っていう。新しいフレームが手に入った、こいつのコアがここについてるってなったらもう入れ替えなくていいですよね。

1番の魅力は“クラシカルなアクション部分”

――「ReCore」の1番の魅力は何だと思いますか?

稲船氏: そうですね。やっぱり、世界観と、世界観に合ったゲーム性と、あとそのゲーム性もただ単に敵をシューティングするっていうだけじゃなくて、割といろいろチャレンジしていく。飛んだり跳ねたりして、向こうに行かなきゃいけないんだけど、どうやって行ったらいいのとか。テクニックを駆使しながら行くという、割とクラシカルなアクション部分が、このゲームの魅力かなと思うんです。

 僕らが作り始めた頃って、リアルを追求できないから、ゲームの楽しさって、ジャンプして乗り越えてみたいな。「ロックマン」とか「マリオ」とか、ああいう部分じゃないですか。ここからここまでの、飛び移らなきゃいけなくて、敵が行く手を塞いでいてってところじゃないですか。でも、「Gears of War」には、そんなのないですよね。「Forza Motorsport」にもないですよね。要はリアルの追求。

 「ReCore」はファンタジーの世界かもしれないけれど、リアルの追求をしていて、アメリカのゲームになりがちなのを、そこに日本的なクラシカルな要素、たとえば飛び移るのが楽しいとか、落ちないようにどうしようかっていうところを、割としっかり入れているゲームなのです。それにシューティングであったりとか、ロボット達のカスタマイズであったりとか、彼らからどうやって助けてもらいつつ危機を乗り越えていくかっていうのが入って世界観と合致してる部分だと思うので、その部分が僕的には魅力で、ゲームファンにはちょっと懐かしいと思ってもらえるんじゃないかなあって思いますね。

【ReCore Gamescom Gameplay Trailer】
「ReCore」のアクション要素がよくわかるトレーラー

――「ロックマン」の時代と現在で、何が1番違うかというと、難易度だと思います。当時は突き放したゲームデザインが可能でした。「魔界村」にしても「ロックマン」にしても、全員がクリアできるように作っていないし、クリアできる奴は賞賛される。そういうゲームバランスが許容されていた時代でしたよね。

 でも今は基本的に遊ぶ人全員がクリアできるというデザインに変わってきていると思うんです。そうした中で「ReCore」は、稲船さんが仰るように、クラシックな要素を結構入れているので、実際にプレイしてみて、「結構難しいな、これみんなクリアできるのかな?」という印象を持ちました。仮にちょっと私には難しいなと感じた場合は、難易度を調整できたり、ヘルプが出たり、ここは飛ばしますか? みたいな機能があったりするのですか?

稲船氏: いや、そこまで親切にはしてないです。「ロックマン」の時代だったらもっと不親切だった部分は親切にしていますけど。いくら死んでもやり直せるとか。難易度については、“頑張ったらできる”、“頑張れそう”って思えるぐらいにしているつもりです。「魔界村」なんか頑張れそうって思えませんよね?(笑)。そういう部分で言うと、「ReCore」はだいぶ優しいゲームなのかなと思いますが、今の基準で言うと、難しいと捉える人もいるかなとは僕も感じますね。

 でも、その一方で、そのくらいでないとゲームはいけないとは思ってます。ゲームとしては、僕も、Amatureののディレクターのマークも、割と日本の昔のゲームが好きですから。何て言われるかは別にして、結構批判はされるかもしれませんが、そのチャレンジしたくなるかどうかっていうところが、結局難しいか難しくないかっていう判断じゃないですか。同じものでも、もうチャレンジしたくないってやつは、難しいゲームなんですよ。でも、チャレンジしたくなれば、それは乗り越えようとするんで、ある種簡単なゲームになっていくんじゃないですか。そういう風な作りにはできたかなあとは思っています。

――このゲームにはマルチプレイモードがありませんが、それは何故ですか?

稲船氏: 割り切りました。バジェットで割り切りましたね。お金がない。だって「このバジェットで作ってくれ」から始まりましたから。僕らには持っていた構想があって、バジェットの枠内で構想を切り取ってここに持ってきたんで。

――稲船さんの初期構想の中にマルチプレイがあったのですか?

稲船氏: マルチプレイでも作れるようには考えていましたけど、最初からマルチプレイでやらなければ面白くないゲームというふうには考えていませんでした。

――これだけ壮大な世界観があって、コアボットのようなユニークな要素もあるのに、シングルプレイだけで終わらせるのはもったいないなと感じたのですが、DLCでさりげなく追加されたりすることはないのですか?

稲船氏: いや、やらないですね。マルチはやらないです。やるんだったら、もっと大きく作る時ですね。DLCの追加ぐらいではできないです。リスクがデカ過ぎますね。

――「ReCore 2」を作るとか?

稲船氏: そうですね、続編を作るとしてどれだけバジェットになるかにもよりますが……。お金の話をするのはあまり良くないですけど、でも、相当安く作ってますからね、これ。だから安く売れてるんですね。

――確かに安いですよね「ReCore」。

稲船氏: これフルプライスではないですからね。アメリカでは、40ドルですから。60ドルがフルプライスで、40ドルなんで、それでマルチついてたらどうやって儲けるんだって話になっちゃうんで(笑)。

――じゃあ、このゲームのビジネスモデルは単純にパッケージを売るだけですか?

稲船氏: それだけではないと思いますけどね。

――それはダウンロードコンテンツっていう形で?

稲船氏: それはまだ今はいえませんけど、可能性はあるんじゃないですか?

――今何かお話できることありますか?ダウンロードコンテンツで。

稲船氏: いやないです、今はないです。いろんなもので繋げていきたいっていう気持ちはありますけど、まだそこまで公表できる状況ではないので。

――わかりました。先ほどの話に戻りますけど。トレーラーに謎の男が出てきますよね。彼との関わりってどういう形になるんでしょうか?

稲船氏: これはまず、ゲームを楽しんで欲しいです。

――彼は操作できない?

稲船氏: 操作でき……そんな尋問みたいになってますよね(笑)。操作しないですよ。

――同じような感じなので、途中で入れ変わったり、なり替わったりするのかななんて。

稲船氏: なり替わらないですね。

――バディを組んで一緒に進んだりとか?

稲船氏: まあストーリーのキーのキャラクターにはなりますよね。基本的にジュールと、コンパニオンって呼んでますけど、このキャラクターたちで遊ぶゲームなんで、それが変化することはないです。

――わかりました。gamecomでデモをみせていただいて、完全なオープンワールドではないがかなり自由度が高いゲームになっているというお話でしたが、例えば武器はレアアイテムみたいなのがあったりするんですか?

稲船氏: レアっていうのは、パーツでもやっぱり用意はしてますよね。見つけにくいとか。それはいまSNSとかそういう時代なんで、いろんな情報をツイッターで出し合ったりもらったりとかするっていうところは入ってますね。

――ランダム要素ってあるんでしょうか? 稀にこの宝箱やボスからレアアイテムが手に入るような?

稲船氏: ランダム性は入れてないと思いますけど、宝箱のランダム性は最後まで迷ってたみたいです。今はランダムではないと僕は聞いてますけど、どうだろうな。ランダムの部分がもしかすると少しはあるのかもしれないです。ランダム要素がすごく重要とはなってないと思います。

フィールド上には意外な場所に宝箱が配置されている

ゲームのボリュームは40時間超。不満点は「日本語ローカライズ」

日本語ローカライズは、吹き替えなしの点も含めて不満だという

――このゲームは10時間以上遊べるってことですが、2周目、3周目という遊び方はできるんですか?

稲船氏: 2周目、3周目というよりは、自分に制限をかけて遊ぶという昔ながらの遊び方はできると思います。僕は10時間ぐらいと言いましたけど、実際、全部繋がっているロムをうちのディレクターがこの間しっかりと遊んでましたけど、結構いってましたね。40時間ぐらい。

――ええ? 全然違うじゃないですか。

稲船氏: それはどんだけコアを探しに行くかによって大きく変わってきます。

――コアは3つしかないというお話でしたよね?

稲船氏: いえいえいえ。虹色コアがあったじゃないですか? 虹色コアが進んでいく鍵みたいなものです。コアを見つけないと進んでいけないところが山ほどあります。コアと一言で言っても、性格のあるコアと、鍵となるコアは違います。この世界の中にはコアが山ほどあります。それを色々なダンジョンで見つけて先に進みますが、そのダンジョンでどんだけ見つけるかとか、何に使うかによってプレイ時間が変わります。

――メインストーリーを進めていくためには様々なコアが必要になるわけですね?

稲船氏: 必要です。最低限必要なコアの数があります。それをさらに見つけることによって、いろんなパーツ手に入れたりとか、広げることができる。それをやっていくと30時間、40時間遊べますよっていう。

――そういうことなんですね。例えばコアを丁寧に集めていく人に対する、一種の報酬の武器だったり、パーツ、フレームっていうのも存在するんですか?

稲船氏: そうですね。全部のサブダンジョンに入って、中を探索した人たちには、それなりの報酬があります。

――でもそれを例えば協力プレイで見せ合いっこできないっていうのはちょっと残念ですね。

稲船氏: 残念ですよねって言われてもないものはないです(笑)。

――gamescomのインタビューでは、イヌ型のマックが、帽子を被ったり羽を生やしたりしてカスタマイズできることをデモしていただきましたが、カスタマイズしたお気に入りのロボットをみんなで見せ合えたら、おもしろかったと思うんです。

稲船氏: それはTwitterでぜひ! 俺こんなの手に入れたよっていうのは、SNSで流してもらったらいいと思います。

――今回コラボのようなものは考えていますか?

稲船氏: それは、日本のソーシャルゲームのコラボみたいな、キン肉マンとコラボみたいな?

――はい、「Dead Rising」では、カプコンのゲームとコラボしていますよね。

稲船氏: 考えてないですね。今後これがちゃんとしたIPとして育てば、マイクロソフトのタイトルとのコラボはあるんじゃないですかね。

――「ReCore」は東洋と西洋のゲームの融合ということをテーマとして掲げていますが、このテーマの次のは何か考えていますか?

稲船氏: 次のステップ? 「ReCore」では東洋と西洋の融合はまだ完成していないので、ずっと考え続けますよ。

――「ReCore」ではたどり着けませんでしたか?

稲船氏: たどり着けなかったっていうか、まだ、満足いくものではないですね。

――やり残したのはどのあたりなんですか?

稲船氏: やり残したっていうか、単純にもっと構想がデカかったんです。その構想を一緒に作っていきたいなっていう風に思っているのと、1番残念なところは、日本語ローカライズがヒドいんですよ。西洋と東洋の融合とか言っておきながら、日本語ボイスもないですし、日本語ローカライズがひどいんですね。僕らは時間がなくてローカライズのところまで関われなかったんで、ここについては本当残念ですね。

――ヒドいというのはよっぽどですが、どのあたりが納得いかないんですか?

稲船氏: 言葉が間違ってるわけじゃないんですけど、表現がちょっといただけない。順番が違ってたり、直さなくていいところを日本語に直したり、ちょっと古臭い言い方があったりとか、その日本語あんまり使わないねっていう。たとえば、コアを抜く時の表現が「抽出せよ」ってなっているんです。「抽出」って言い方しないですよね。コアを抜くって言いますが、抽出とは言わないですよね。「せよ」って何だよ。まあ命令形は「せよ」だけどって。そんなんが多いです。そういうのもまだ、融合ができていない。次ではやりたいなと思っています。

――仮に「ReCore 2」があったらやってみたいことは?

稲船氏: 日本語ボイス入れたいです。日本ではたくさん売れないので、日本語ボイスまで入れるっていうのはなかなか難しいのですが、ただ、「Dead Rising 4」が日本語ボイス入れたっていうのを聞いてちょっとうらやましくって。なんでこっちは入れてくれないんだよって(笑)。

――「ReCore 2」でやってみたい要素って何ですか? マルチプレイですか?

稲船氏: いえいえ、別にマルチはやるかもしれないですけど、それほどやってみたい要素ではないです。もう少し完成度を上げたいです。世界観を広げたりとか

――稲船さんは、あまりマルチプレイに対してこだわりみたいなものはない感じですね。

稲船氏: いや、マルチプレイも好きですよ。好きですけど、別にこのゲームにマルチプレイがそんなに向いてるのかなと。キャラクター1人しかいないのにマルチプレイって言われても。

――キャラがどうこうというより、バトル中に属性を切り替えて弱点を攻めたり、ジャンプアクションを駆使して敵の弾を避けながら攻撃するような要素って、オンラインシューターとしてかなり面白いんじゃないかなって思ったのですが。

稲船氏: シューターではもっと面白いのは山ほどあるんで、そんなんじゃ勝てないです。そこで対抗したって無理です。「ReCore」はそこで勝負していないです。

――わかりました。最後に日本のゲームファンに一言メッセージをお願いします。

稲船氏: 「ReCore」は日本ではまだあまり知らない人も多いと思います。すごく意外性があるゲームだと思っていますので、「意外とおもしろいね」と言って欲しいです。だからぜひ触って見て欲しいです。

――ありがとうございました!

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