【特集】
実は意外と歴史あるジャンル!? 乙女ゲーの歴史から「KOF for Girls」の魅力を検証
2019年12月3日 12:00
- 正式サービス中
オリジナルストーリーを楽しみつつ、「ザ・キング・オブ・ファイターズ」シリーズのヒーローたちとのドキドキの恋愛も経験できるAndroid/iOS用恋愛ゲーム「THE KING OF FIGHTERS for GIRLS(以下、KOFG)」の正式サービスが、11月8日にスタートした。
GAME Watchの読者層は男性が多いので、乙女ゲー経験は少ないと思われるが、「KOF」シリーズは好きで本作に興味を持つ人もいるだろう。乙女ごころを味わいつつ、普段とは違った視点から「KOF」を体験してみるのもいいのではないだろうか。
実は乙女ゲーには、男性の恋愛シミュレーションに負けない長い歴史がある。今回はそんな歴史を紐解いて、乙女ゲーとはなんぞやという理解の助けにしつつ、「KOFG」の乙女ゲー的要素や楽しみ方を解説してみたい。
【THE KING OF FIGHTERS for GIRLS 特集ページ】
【キャラクター紹介】
▼乙女たちを虜にした格ゲー「KOF」シリーズを知れば「KOF for Girls」がもっと楽しくなる
【インタビュー】
▼全ての乙女たち(性別不問)へ捧げる――「THE KING OF FIGHTERS forGIRLS」その運命に迫るインタビュー
【レビュー】
▼......燃えたろ︖ スマホ用乙女ゲー「THE KING OF FIGHTERS for GIRLS」ファーストインプレッション
乙女ゲームの基本は多人数相手のハーレクインロマンス
乙女ゲームの基本は、ハーレクインロマンスだ。知らない人のために説明しておくと、ハーレクインロマンスとは、カナダの出版社ハーレクイン社が出版しているラブロマンス専門の書籍群だ。基本は、どこにでもいそうな普通の女性が、大金持ちでエリートで傲慢でクールな男性と恋に落ち、ひどい目に遭ったりもするが、最後には彼女の優しさに気付いた男性と幸せになるという、女性が考える王道シンデレラストーリーだ。
「KOFG」にはこの王道パターンにも当てはまるキャラクターがたくさん登場している。1800年の歴史を持つ旧家の後継者、草薙京。大富豪の御曹司、二階堂紅丸。イタリア名家の御曹司、ロバート・ガルシア。ゴージャスでリッチで、見たことのない世界を見せてくれる男性たちとの恋愛は、いつの時代も乙女の夢だ。
それだけではない、庵やK'ら心に傷を負いクールさで覆った殻に閉じこもっている男性が、彼女の優しさに安らぎを見出し、自分にだけ弱気な部分を見せて頼ってくれるというシチュエーションも、それはそれで乙女的に素敵なシチュエーションだ。乙女ゲームにはそんなシチュエーションがたっぷり詰まっている。
乙女ゲー、実は20年余の歴史があるなかなか息の長いジャンル
乙女ゲーの始祖と言える作品は、1994年に当時のコーエーの女性スタッフが中心となって開発したスーパーファミコン用女性向け恋愛ゲーム「アンジェリーク」だろう。女王候補に選ばれたアンジェリークが、守護聖と呼ばれる9人の男性の力を借りて、女王試験の課題を乗り切っていくというストーリーで、使命を取るか恋愛を取るかという、仕事か結婚かという女性にとって究極の二択がテーマとなっているのが、当時の空気を感じさせる。
「アンジェリーク」は大ヒットし、このシリーズはその後ネオロマンスシリーズとして「遥かなる時空の中で」、「金色のコルダ」、「ネオアンジェリーク」など多くのシリーズが発売され、脈々と現在まで続いている。
実はこの「アンジェリーク」が発売された1994年は、「KOF」シリーズの第一作「ザ・キング・オブ・ファイターズ '94」が発売された年でもあり、さらにコナミの伝説的な恋愛シミュレーション「ときめきメモリアル」もこの年に発売されている。いろいろな意味で、1994年はゲーム業界にとっても「KOFG」にとっても記念すべき年と言えるだろう。
PS2からPSP、PS VitaそしてNintendo Switchとスマホへ
乙女ゲーの歴史には、マイルストーンとなるいくつかの作品が存在している。「ときメモ」のスピンオフ作品「ときめきメモリアル Girl's Side(以下、Girl's Side)」もそんな作品の1つだ。は2002年に発売された女性向け恋愛ゲーム「Girl's Side」は、「ときメモ」の基本システムを踏襲しつつ、パラメータやインターフェイスが女性向けに変更されており、現在へと続く乙女ゲームの基礎を作った1本と言えるだろう。現在は3シリーズが発売されており、現在「Girl's Side 4th Heart」が開発されている。
2000年代に入ると、アイデアファクトリーの乙女ゲーブランドであるオトメイトから2006年に発売されたPS2用AVG「緋色の欠片」、2008年発売のPS2用AVG「薄桜鬼」の大ヒットが伝奇もの乙女ゲーの火付け役となった。この流れは、PSPやPS Vitaなどポータブル機へと引き継がれ、しばらくはポータブル機が乙女ゲーのメインプラットフォームとして君臨していた。現在は、主戦場がNintendo Switchとスマートフォンに移り、多くの乙女ゲーがモバイル機に向けてサービスされている。
「KOFG」がスマートフォンゲームとして提供されているのも、この流れを受けてのことだ。仕事に家事に、育児に忙しくなかなか自分の時間が取れない女性にとっては、じっくり腰を据えて遊ぶ据え置き機よりも、スキマ時間を有効活用できるモバイルのほうが遊ぶやすいのだろう。もちろん外でも遊びやすいように音声のオンオフや、WiFi環境がない場合のために音声データのダウンロードの可否を決めることができるようになっており、場所を選ばず遊ぶことができる。
乙女ゲーではないが、乙女要素満載のゲームたち
乙女ゲーではないが、多くの女性または男性ファンに支持されてきたゲームもある。戦う男性のカッコよさに魅了されるのは男性だけではなく、アクションゲームにも女性ファンは多い。例えば戦国武将が数多く登場する無双ゲームの元祖「戦国無双」や「戦国BASARA」、海外のゲームでいえば「アサシンクリード」シリーズなど、主人公がイケメンなシリーズは女性から絶大な支持を得ている。
また、「艦隊これくしょん -艦これ-」のヒットから生まれたDMMのブラウザゲーム「刀剣乱舞」のように、恋愛要素はなくともハーレム状態でキャラクターを愛でるゲームも複数存在している。「刀剣乱舞」は日本刀を擬人化した刀剣男子と、主人公である審神者(さにわ)が協力し、過去へ干渉して歴史改変をもくろむ歴史修正主義者と戦うというストーリーだ。
戦闘以外に「内番」というコマンドがあり、刀剣男子たちに馬当番や畑当番、手合わせなど拠点での仕事を割り振ることができる。この内番の最中には、「KOFG」のトレーニング同様、ジャージ姿の刀剣男子を見ることができる。このジャージ姿は、普段は敷居が高いと思っている人がちらりと見せる弱みであり、女子にとってはキャラクターを身近に感じる重要なファクターなのだ。
現実に飛び出してくるキャラクターたちを熱く応援
音楽やステージも、乙女ゲーと切っても切れない関係にある。ブロッコリーの「うたの☆プリンスさまっ♪(以下、うたプリ)」やバンダイナムコの「アイドリッシュセブン」などアイドル系の乙女ゲーでは、出演声優が歌うキャラクターソングが多数発売され、ライブやステージも開催されている。
また、作品の世界をそのまま舞台化する2.5次元ミュージカルでは、「薄桜鬼」や「刀剣乱舞」など乙女ゲーのタイトルが原作の舞台も上演されている。もともと宝塚や四季など、ミュージカルは女性に人気のあるジャンルだ。自分たちのいる世界に現れたキャラクターたちと、同じ空間と時間を共有することができる2.5次元ミュージカルは、まさに乙女の夢を詰め込んだ至高の場所と言えるだろう。
もちろん「KOFG」からも、京や庵たちが歌うキャラクターソングを収録したバトルソングアルバム「KING OF FIRE」が11月20日に発売された。ゲーム内でも、オープニングや重要な試合のBGMとして流れている曲など全8曲が収録されている。
「KOFG」には素敵な時間がたっぷり詰まっている!
時代は違えど、素敵な男性と恋をしたいという夢に変わりはない。乙女ゲーは、そんな夢をひと時だけでも叶えてくれる。本作は男女問わずファンがいる人気格闘ゲーム「KOF」を題材としているので、「KOFG」が気になっている男性ユーザーも多いのではないだろうか。性別問わず“全ての乙女たちへ捧げる”作品として作られている本作だからこそ、乙女ゲーの歴史やバックグラウンドを知ることで、より深くゲームを楽しめるはずだ。
「KOFG」にはそんな乙女心を持っている人を喜ばせる要素が丁寧に入っている。メインストーリーを楽しむだけでなく、ゲームの中に盛り込まれた様々な夢とロマンをたっぷりと味わって欲しい。
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