「Fallout 4:Wasteland Workshop」レビュー

Wasteland Workshop

デスクローやヤオグアイを捕獲してペットに!?
クリーチャー捕獲などクラフト要素が大幅アップデート

ジャンル:
  • DLC
  • RPG
発売元:
  • ベセスダ・ソフトワークス
開発元:
  • Bethesda Game Studios
プラットフォーム:
  • PS4
  • Xbox One
  • WIN
価格:
600円(税別)
(PS4 / PS4 / Xbox One / Xbox One / WIN / WIN)
1,200円(税別)
(WIN)
発売日:
2016年4月19日
(PS4 / PS4 / Xbox One / Xbox One)
2016年4月6日
(WIN)
2016年4月12日
(WIN / WIN)

 「Fallout 4」のDLC第2弾「Wasteland Workshop(ウェイストランドワークショップ)」が4月19日にリリースされた。この「Fallout 4」の大きな魅力、「クラフト」の楽しさを膨らましてくれる。制作可能な装置や小物が大幅に追加されたのだ。

 特に敵クリーチャーを捕獲できる「檻」が追加されたことで、これまでと全く異なる街造りが可能になっている点は見逃せない。クリーチャーを捕獲して拠点の住民たちと戦わせたり、住民同士を戦わせるアリーナの設立など、今までと違う楽しみ方ができるようになる。

 シナリオ要素はないものの600円(税別)という低価格も魅力だ。「Wasteland Workshop」の追加で街がどう変わるのか、実際に色々試してみてわかったことなどをレビューしていこう。

【「Fallout 4」、アリーナを作ってバトルロイヤル!】
「Wasteland Workshop」を導入すると、こんな大怪獣バトルが可能に!

巨大なトラップ付の檻でデスクローを手なずけよう

 「Fallout 4」に「Wasteland Workshop」を導入すると、新たに拠点に配置可能な小物や装置が大量に増える。導入するだけで利用できるようになるので、これまで進めてきたストーリーなどは気にせずに利用できるのもうれしいところ。追加になったアイテムは、コンクリートの壁や手すり類、街灯、ランプ、ネオン管などの電灯類、他にもキャンプファイアや電動ドア、融合炉、RAD除染装置などの役に立つ装置類や、檻、アリーナ用設置物など、かなり多岐にわたっている。

肉が足らないと、檻が作成できない。鉄やギアなどの素材は今までにもため込んできたが、肉は今まであまり必要がなかっただけに集めるのには苦労した
「ガンナーの檻」には「CAPS」、「AMMO」、「GUNS」などの甘い罠が文字で書かれており、実際に檻の作成には餌の代わりに500キャップが必要となる。設置したら割とあっという間に捕獲されていた……ガンナーはもう少し賢いイメージだったので意外な扱いだ
檻が閉じた状態が捕獲成功の目印だ。設置場所と捕獲成功率はあまり関係ない感じで、周囲を封鎖されたエリアでも、気が付くとクリーチャーは捕獲されているので安心だ

 本作で追加になったクラフト要素の中でも、一際異彩を放っているのが、敵クリーチャーを生きたまま捕獲できる「檻」のカテゴリーだ。この檻は罠として機能し、目的のクリーチャーが引っかかると、扉が閉じられることで生きたまま捕獲できる檻になるわけだ。

 敵クリーチャーを捕獲するための檻は種類ごとに用意されており、デスクローを捕獲したければ「デスクローの檻」、「マイアラーククイーン」を捕獲したければ「マイアラークの檻」を設置するだけ。檻を設置したらあとは捕まるのを待つだけと、やることは非常にシンプルだ。「チーズを入れたねずみ取りの罠」の様な感覚で仕掛けられる。この罠で、ガンナーや、レイダーのような人間すら捕まえられてしまうのが面白い。彼らの知能はもうケモノのレベルまで低下してしまったのだろうか?

 檻の作成に必要なのは、鉄などこれまでにもお馴染みの部材のほか、釣り餌となる「肉」が必要になる。デスクローにはヤオグアイの肉、ヤオグアイはラッドスタッグの肉という感じで、クリーチャーの種類によって必要な肉の種類や量も異なるのが面白い。この肉がないと檻が作れないという、食料がクラフトの一部になることは、今までのクラフトにはなかったので、肉を大量に保管してなかった人は餌になるクリーチャーの狩りが必要だ。また、檻は電動で動作するので、別途電源も必要になる。

 檻の中に捕獲できたかどうかの判断は、檻が閉じているかどうかで行なう。檻の中の獲物を確認することができないのはちょっと残念なところだ。敵クリーチャーの捕獲にはそれなりに時間がかかる。ちょっとファストトラベルで飛んで戻ったらもう檻が閉じて捕獲成功している場合もあれば、ゲーム内時間で数日放置して再度戻ってきても一向にかかっていない場合もある。急いで捕まえたい場合は、ベッドで寝たり、椅子で休憩して時間を進めて引っかかるのを待とう。

 1週間くらい経っても捕まらない場合は、檻が正常に作動しているか、つまり電源が動作しているか、檻が故障してないかの確認をしてみるのも大事だ。筆者は実際に仕掛けた「ヤオグアイの檻」がいつまで待っても捕獲できないので、調べてみたところ、檻が故障しており、修理が必要な状態になっていた。そこで、修理して4日くらい待ったら無事捕獲に成功していた。

 今回は北の「サンクチュアリ・ヒルズ」、その近くの「スターライト・ドライブイン」そしてマップ南の「マーク・ウォーター建設現場」で罠を設置してみたが、どこに設置しても捕獲の割合はあまり変わらない印象だったので、好みに応じた場所に設置すればいいだろう。ちなみに罠はどこでも設置可能で、後述する“バトルアリーナ”のように、周囲を壁で囲ったような場所であっても、気が付くとクリーチャーが捕獲できている。

 捕獲できたクリーチャーは供給している電源が切れてしまうと解放されてしまうので注意が必要だ。檻にクリーチャーを入れて持ち運びはできなかった。クリーチャーはそのまま解放すると、敵対関係のままになっているため、住人に殺されてしまう場合がある。そこでこれら敵クリーチャーを手なずけるための装置、「ベータ波発生機」という怪しい名前の装置が役に立つのだ。稼働させると檻に捉えたクリーチャーが手なずけられる。発生機の謎の黄色いLEDが点滅するという怪しい演出がいい雰囲気を出している。

 このベータ波発生機を製造するためには、特殊なPERKが必要になる。CHA5で取得可能な「ANIMAL FRIEND」とCHA9で取得できる「WASTELAND WHISPER」だ。いずれもCHAが必要なPERKなので、筆者はCHAを6までしか上げていなかったため、ここでレベルを4つほど上げる必要に迫られ、かなり苦戦してしまった。

 クリーチャーは種類ごとに複数のタイプが存在するが、捕まられるのはその中の1つのみで選ぶことはできない。例えば頻繁にマイアラーククイーンが出没していた南の「マーク・ウォーター建設現場」の拠点にマイアラークの檻を設置しても、今回はマイアラーククイーンはゲットできなかった。ただ、デスクローなどは通常の物より凶暴な亜種が多く引っかかるなど、強いクリーチャーをゲットするのは運次第と感じた。

 ベータ波発生機で手懐けたクリーチャーを解放すると、居住地を自由に闊歩するようになる。居住地の住民も特におびえた様子もなく生活をともにする。しかも拠点を襲撃してくる敵がいれば、一緒に立ち向かう頼もしい居住地の守護神にもなってくれる。手懐けたデスクローが我先にとガンナーやレイダー相手に立ち向かっていくのは実に爽快な気分だ。

 なお、1度捕獲に成功した檻はそのままだと利用できないが、再度修理することで再び利用できるようになるので、大量のデスクローがうろつくデスクロータウンを作ったりしてみるのも面白そうだ。ちなみに、レイダーとガンナー、スーパーミュータントについては、ベータ波発生機が稼働しても、常に敵対関係になってしまうため注意が必要だ。

【檻で捕獲する!】
捕獲に成功したクリーチャーは「ベータ波発生機」があれば飼いならすことが可能。飼いならしたクリーチャーは他の居住者と生活を供にするようになる
檻を稼働させる電源が正常に稼働しているかどうかは、ライトを併設すれば一目で状態がわかるので、おススメだ。これをやっておくと、檻を稼働させたつもりで稼働せずに放置したままになってしまうのを防ぐことができる
電源をオフにすることで、捕獲されていたクリーチャーが解放される。デスクローは全種類凶悪な強さなので、飼いならして使うならかなりおススメだ。拠点内で放し飼いにしていると、敵の襲撃に対して一緒に戦ってくれるのも心強い

広い拠点にバトルアリーナを作ってクリーチャーを戦わせよう!

 檻の設置で捕獲したクリーチャーは、そのまま居住地で飼っていてもいいが、「バトルアリーナ」を作って他のクリーチャーと戦わせることもできる。バトルアリーナでは、居住者同士や、捕獲したクリーチャーと居住者との戦いも可能だ。居住者同士を戦わせるのに必要な設置アイテムは「アリーナ出場者・レッドチーム」と「アリーナ出場者・ブルーチーム」で、これを置いて居住者を配置することで、戦闘開始となる。戦闘を中断させるための「終了時間のサイレン」も用意されている。

居住者同士のバトルは素手の殴り合いだと見ていてもあまり盛り上がらない。ミニガンやヌカランチャーなどの凶悪な武器を持たせてやらせてみたら面白いかもしれない。ただし、居住者の不死属性は解除されてしまうため、1度死んだら帰ってこない
ガンナーやレイダー、スーパーミュータントは檻から出すとすぐに敵対になってしまい、観戦してるこちらに銃を撃ってくるので扱いが非常に面倒

 最低限必要なのはこれだけだが、闘技場らしく壁や木材などを使用してきちんと“バトルフィールド”を作るのをオススメしたい。大がかりなアリーナを建設したい場合、広い敷地が必要になるので、大きめの空き地がある「スターライト・ドライブイン」や、広大な島を巨大なバトルアリーナにできる「スペクタクル・アイランド」辺りがおススメ物件だ。

 居住者同士の戦いは、複数の人員を配置した大規模戦や重装備の居住者同士にした方が迫力があるだろう。今回普通の装備のまま1vs1で戦わせてみたが、アリーナに配置した居住者は不死属性がなくなるため、あっけなく死んでしまって何だか物足りない。しかもアリーナに興じすぎると、拠点に住む住民がどんどんいなくなり、拠点が機能しなくなってしまう。さらに居住者同士の戦いを実施すると満足度が下がるらしい、という話もあるので住民同士を戦わせるのはちょっとデメリットが大きい印象だ。

 クリーチャー同士の戦いは異なる種類のクリーチャー同士が遭遇した場合のみに発生する。前述のようにデスクローを複数体捕獲、手懐けた場合には戦闘は発生しなかった。そこで今回は、3体のデスクローがいるサンクチュアリ・ヒルズにて、新たにマイアラークキングを捕獲し、ベータ波発生機を設置して解放してみたところ、遭遇するまでは大人しかった両者が遭遇した途端に激しくぶつかりあい、戦闘を開始した。

 当初はデスクローが圧勝するものだと思って戦いの流れを追っていたが、どうにもデスクローの様子がおかしい。通常どんな敵にも真っ向から殴りかかる筈のデスクローが終始及び腰なのだ。マイアラークキングのステルス能力と、口から発する衝撃波がどうにもデスクローには苦手らしく、ひたすら逃げに走るデスクロー。これには驚いた。まさかのデスクローの天敵はマイアラークキングだったのだ! 最後にはマイアラークキングが圧勝でデスクローを仕留めてしまった。まさかの番狂わせだ。

 また、デスクロー対ラッドスコルピオンではどちらも体力が高いため、かなりの迫力だった。ラッドスコルピオンは強固な外殻があるので、デスクローの攻撃に対してもかなり耐えて善戦した。デスクローは攻撃が多彩だがその分隙も大きく、突き攻撃を繰り返すラッドスコルピオンの方が有利なのも面白かった。

 今回、筆者も実際にちょっとしたバトルアリーナを「スターライト・ドライブイン」に建設してみたが、このアリーナをシステマチックに運用していこうと考えた時に気になるポイントが何点かあった。まず一番の問題は「終了時間のサイレン」があるのに「開始のサイレン」がないことだ。配置した居住者同士が顔を合わせた途端に戦闘が始まってしまうため、見る側も準備が忙しかったり、そもそもアリーナに入る前に戦闘になってしまう場合などがあり、きちんと機能させるには必要な物が欠けている印象だ。

 そして、せっかく壁で囲った場所でも、前述のように捕獲しても敵対したままのレイダーやガンナーはプレーヤーだけでなく、居住地全体から敵対されてしまう。そのため、檻から出した途端に、タレットからの攻撃が飛んで来たり、他の居住者が攻撃したりで、アリーナ観戦というよりはバトルロイヤルみたいになってしまうのだ。この辺りは、居住者が手出しできないエリアを作れるようにする工夫がほしかったところだ。

 同様に、手懐けたクリーチャーについても、一度檻から出てしまうと、檻に戻すための手段がない。そのため、ある程度強固に作ったつもりのアリーナであっても一度檻から出したら、アリーナの中に留まってくれず、街中を闊歩して戻ってくれなくなってしまった。1度檻から出したクリーチャーたちのコントロールについてもう一工夫がほしかったところだ。

 この辺りのアリーナの問題点は、今後の改善を期待するとして、現状でも今回新たに追加になった「電動ドア」やアリーナの作りを工夫することで色々楽しめそうなのは間違いない。もっと色々作り込んでいきたいところだ。

【アリーナを作ってみた】
筆者の作ったバトルアリーナの最終形だ。ヤオグアイの餌用に捕獲しているラッドスタッグのほか、マイアラーク2体、ラッドスコルピオン、デスクロー、ヤオグアイのバトルロイヤルをやってみた。最後に残った1匹がチャンピオンとなる

これは超便利! RAD除染装置や核融合炉などお役立ち設置物も追加

 他にも追加になった設置アイテムとしては、スイッチを入れてくぐるだけで一気にRADが除去されるRAD除染装置の「除染アーチ」が超便利! 医者や薬に頼らず放射能が除去できる。「Fallout4」では放射能に侵されているエリアが多いため、かなり便利だ。

RAD除染装置の「除染アーチ」だ。電源が必要になるが、他に消費するものもなく、スイッチを入れれば常時除染してくれる便利な設置物だ
電源を100も確保できる核融合ジェネレータ。PERKの「SCIENCE!」のランク4が必要になるが、それだけでこんな手軽に核融合装置が作れてしまっていいのだろうか? という疑問も残るが、便利なのは間違いない
ネオン管でバトルアリーナに「SHOW TIME」の文字を貼ってみた。歪んだ壁の場合、貼る場所が悪いと文字がきちんと表示されなくなるので、文字の状態を確認しながら設置するといい感じで貼ることができる

 また、核融合で電源を100も確保できるジェネレータ「核融合」が追加になった。前述のように個別にスイッチをオフ/オンしたいような状況ならともかく、なるべく少ない設置物で多くの電源を確保したい時には、大いに役に立つ。

 そして、拠点を飾る多くの装飾アイテムが追加になっているが、その中でも、自由に文字を書ける「ネオン管」は、待ち望んていた人も多そうだ。筆者も試しに前述のバトルアリーナにネオン管による文字を設置してみたが、アルファベット毎にアイテムの設置が必要になるので、多くの文字を書くほど拠点内の容量を気にする必要がある。また、電源がいるので、設置した壁面に「電線管」を設置して、通電させてやるなど、少々手間がかかるが、こだわりたい人は多色のネオンを華麗に設置して楽しんでほしい。

 クラフト要素が充実するほど、厳しくなるのが資源の量だ。過去記事でも触れているが、CHA6で取得できるPERK「LOCAL LEADER」を取得しておくことで、各拠点間の資源を共用できるようになる。また、このPERKは取得するだけでは効果を発揮しない点には注意が必要だ。

 資源を共有するには、拠点にいる住民の1人に「供給ライン」の役割を与えて「プロビジョナー」として任命することで、その際に指定した拠点間のみ資源が共有できるという仕組みだ。わかってくると、新しい拠点を見つけたら、最初に拠点間の供給ラインを結ぶところから始まるようになるが、今まであまりクラフトをやっていなかった人には馴染みのないアクションなので、この機会に紹介しておく。

 追加シナリオのないDLC「Wasteland Workshop」だが、これまで紹介してきた通り、クラフトに興味のない人にも役に立つ設置アイテムが多く含まれている。RAD除染装置や核融合炉はわかりやすいが、個人的に檻については今回紹介した以外にも色んな使い道があると思っている。例えば、強力な武器の威力を確認するために、檻に捕獲しておいたデスクローを標的にして試すといった用途にも役立ちそうだ。このように自分なりの楽しみ方を模索することができるのも「Fallout 4」の魅力の1つと言える。

 そして次のDLCにはかなり大型アップデートの「Far Harbor」が控えている。現在レベル85までキャラクターを鍛え、頭の先まで連邦に浸っている筆者だが、まだまだ連邦から離れられそうにない。「Far Harbor」は謎めいたストーリーが楽しめると言うことで、とても楽しみだ。

【拠点供給のコツ】
「LOACL LEADER」を取得した状態で、ワークショップモードにして居住者を選択し、R1の「供給ライン」を押すと、現在の居住地と供給ラインを結びたい居住地の一覧が表示される。ここで選択した拠点と現在の居住地とで資源が共有できるようになる
居住地間の供給ラインの状態はマップの表示切替で確認できる。線が繋がれば、そことは資源の共有ができていることになる。全ての拠点を相互に繋ぐ必要はなく、数珠繋ぎで間接的に繋がっていれば、資源は共有される

【おまけ】
前回のDLC「Automatron」では実は「ホロテープ」のミニゲームも追加になっていたのをご存じだろうか? その名もズバリ「AUTOMATRON」。どうみてもBizarreの「Geometry Wars」(? )です。久しぶりにありがとう。筆者はXbox 360版の「Gemetry Wars:Retro Evolved」を購入して遊んでいたので印象深いシリーズだ。本作でもベースの良さはそのままに、登場キャラクターが「セントリーボット」や「アサルトロン」、「ロボブレイン」などのロボットたちに置き換わっているだけのシンプルなパロディに仕上がっている

(池紀彦)