★DSゲームレビュー★
タッチペンでプレイする、DSならではのアイディアが詰まったシリーズ最新作 「ゼルダの伝説 大地の汽笛」 |
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「風のタクト」、「夢幻の砂時計」の続編ともいえる本作。これらのタイトルをプレイした人なら、絵柄を見れば一目でわかるだろう |
2009年12月23日、任天堂株式会社からペンアクションアドベンチャー「ゼルダの伝説 大地の汽笛」が発売された。
物語は、モヨリ村で暮らす少年リンクが機関士の任命式のため、お城へ向かうところから始まる。同シリーズの「風のタクト」、「夢幻の砂時計」の未来の話になっているため、これらのタイトルをプレイしていればニヤリとする場面がいくつも登場する。もちろん、プレイしていなくても十分楽しめる。
ペンアクションアドベンチャー第2弾となる本作は、前作「夢幻の砂時計」と比べて、より遊びやすくなっている。操作で主に使用するのはタッチペンとマイク。十字ボタンとボタンはあくまで補助として機能するもので、タッチペンとマイクであらゆる操作ができるように作られている。
早速、本作の魅力を紹介していこう。
■ 単なる移動手段ではない! ストーリーや謎解きに関わる「汽車」
「大地の汽笛」というサブタイトルがついているように、本作では汽車がストーリー的にもシステム的にも重要な役割を担っている。ここでは汽車の操作感や発生するイベントについて紹介していく。
汽車で移動する場合、まず最初に目的地までのルートをタッチペンで路線図に書く。書いたルートを無視して進むこともできるが、事前に設定しておくことで、線路に分岐があっても設定したルート通りに進んでくれるので操作が楽になる。このルート設定はいつでも変更が可能だ。
汽車での移動中には様々な操作が要求される。基本となるのが前進、後退など移動に関わるものだ。これらの移動は下画面のギアボックスを操作して行なう。ギアボックスで操作できるのは、加速、発進、ブレーキ、バック(急停止)の4種。加速に入れておけば徐々に加速していき最高速度に到達する。高速で走っている場合、惰性で前進してしまうため、ブレーキをかけてもすぐには停止しない。狙った位置に停止するにはバック(急停止)が役に立つ。ブレーキをかけ、必要に応じてバックを挟んでスピードを調整してやると狙った位置に停めやすい。
汽車は線路上を走るため、速度の調整さえしてやれば進んでくれるが、線路は1本道ではない。分岐ポイントに近づくと分岐パネルが画面下部に表示される。左右どちらかにレバーを切り替えて進行方向を決定する。この時、現在選択中の方向が上画面のマップで確認できるので参考にするとわかりやすいだろう。
タッチペンでルートを設定。設定しておくと汽車の操作が少し楽になる | バックも織り交ぜると狙った位置に停車しやすい | 分岐ポイント付近ではどちらに進むかを決める分岐パネルが出てくる |
さて、ルートを設定して、ギアを加速にいれて待っていれば、目的地に着けるかというとそんなことはない。走行中には多くのイベントが発生するため、移動中も常に画面から目が離せない。
警戒しなければないのが敵の存在だ。頭を投げてくる雪だるま、イノシシ、海賊船などの敵が汽車に襲いかかってくる。この時、BGMが変わり、上画面のマップにドクロマークのアイコンが表示される。よく注意しておこう。
戦闘では汽車の砲台を使って戦う。撃ちたい場所をタッチすれば弾を発射するので敵の行動を見極めて攻撃しよう。また、敵の攻撃は飛び道具であることが多い。スピードもさほど速くないので落ち着いて敵の攻撃を打ち落として無効化し、被ダメージを無くしていきたい。
敵の攻撃を受けると汽車のハートが減ってしまう。ハートがなくなってしまうとゲームオーバーだ。貨車に荷物を積んでいる場合に攻撃を受けると、ハートが減るだけではなく、荷物が減ってしまうので落ち着いて敵に対処しよう。
敵の中で特にやっかいなのが暴走列車。攻撃すれば足止めできるが倒すことはできない。暴走列車の位置、進路は上画面のマップに表示されるので、よく確認して暴走列車を避けながら目的地を目指そう。ぶつかってしまうと即ゲームオーバーだ。
砲台で岩などを破壊するとハートやお金がゲットできることがある。見つけたら手当たりしだい撃ち壊すといいだろう。また、稀にウサギが隠れていることがあり、隠れている場所を撃つとウサギ捕獲が始まる。画面をタッチして飛び跳ねるウサギを制限時間以内に捕らえるシンプルなゲームだ。制限時間のプレッシャーに負けず、冷静にウサギの動きを見極めて捕らえよう。ウサギを捕らえればウサギランドという場所でご褒美がもらえる。
汽笛の存在も忘れてはならない。敵とのバトル、ワープポイントの起動、標識に合わせて鳴らすことで乗客の機嫌が回復するなど様々な場面で活躍する。ゲームを進める上で必要なわけではないが、汽笛を鳴らすと汽車を運転している雰囲気が出るので、筆者は暇があればポッポーっと鳴らして楽しんでいた。そのおかげで思わぬ発見をすることもあった。
特定のイベントでは汽車に乗客を乗せることがある。この場合、乱暴な運転は禁物だ。標識に従わなかったり、急ブレーキをかけると乗客の機嫌を損ねてしまう。さらに何度もミスを繰り返していると乗客が怒って降りてしまう。普段はとにかく早く目的地に着くことを意識して運転するが、この時ばかりはいつもと違う。制約があるだけに緊張感のある運転が楽しめる。
汽車を構成する各車両を入れ替えてカスタマイズできる。こちらについては後述させていただく。
本項の最後に参考として「新人機関士の心得」を紹介しておこう。
1.周囲の安全に気をつけるべし!
2.暴走列車からは逃げるべし!
3.乗客と貨物を大切にするべし!
4.車両を自由に取り替えるべし!
■ 必要な情報はとにかくメモれ! 便利なマップへの書き込み機能
村、路線図、ダンジョンのマップには自由にメモができる。メモをする場面ではマップが下画面に移動する |
■ 解いていくのが気持ちいい! 「ゼルダ」シリーズらしいアクションや謎解きの数々
もちろんリンクのアクションも全てタッチペンで行なう。ボタンを使わず、タッチペンオンリーの操作に不安を感じる人もいるかもしれないが、慣れてしまえば誰でも違和感なくプレイできるようになるだろう。なお、操作に関するコンフィグは利き手の設定のみである。
進ませたい場所にタッチすればリンクはその方向に走りだす。人と話したかったり、物を調べたり、持ち上げたりしたければ、その対象をタッチするだけでいい。
攻撃の軸となる剣での攻撃も実に簡単。敵を直接タッチすれば、敵に向かって剣を振って攻撃する「ロックオン斬り」が、斬りたい方向に素早くスライドさせればその場で剣を振る「スライド斬り」が、リンクの周りに円を描けば回転しながら剣を振る「回転斬り」が出る。回転斬りは連続して出すと目を回して一定時間行動不能になってしまうので注意が必要だ。
本シリーズに欠かせない謎解き。本作ではリンク1人での謎解きに加え、ゼルダ姫との協力して謎を解く場面がある。まずは、謎解きに欠かせないブーメランなどの装備アイテムについて紹介したい。
ゲームを進めていくと出てくる弓矢やブーメランなどの装備アイテムは、タッチペンやマイクなどDSならではの機能を使って操作する。「疾風のプロペラ」は、マイクに息を吹きかけるとリンクが向いている方向に風が吹く。リンクの向きはタッチペンで指定する。「ブーメラン」は投げる軌道をスライドして描く。途中で障害物にぶつからない限り、描いた軌道通りに飛んでいく。他にも多くの装備アイテムが用意されていて、どのアイテムも特徴があり、使っていて楽しいものばかりだ。もちろん、これらの装備アイテムは謎解きだけでなく、攻撃や移動手段としても活躍してくれる。
2回すばやくタッチすると前転する。連続して前転するとリンクが目を回してしまい、一定時間行動不能になるので注意しよう | 装備中のアイテムを使うにはL/Rボタンが便利。画面に表示されているアイコンをタッチするより素早く操作できる | 「ブーメラン」は投げる軌道を事前に描いてから投げる。こんな軌道を描いてもその通りに飛んでくれる |
大地の笛というアイテムも謎解き、ストーリー進行に欠かせない重要アイテム。5つのメロディがあり、それぞれ異なる効果を持つ。石像の近くで「目覚めの唄」を演奏すれば、石像が眠りから覚めて情報をくれるといった具合だ。タッチペンで大地の笛をスライドさせて音を決め、実際に笛を吹くようにマイクに息を吹きかけてメロディを演奏する。それほど厳密で正確な演奏は要求されないが、ある程度きちんと順番通りに正確な音を出す必要はある。マイクの位置を確認して、正確に演奏できるように練習しよう。1度獲得したメロディはメニューの「コレクト」でいつでも確認できる。
習得したメロディはコレクト画面を見ればいつでも確認できる | 大地の笛をスライドさせながら、DSに息を吹きかけて演奏する | うまく演奏できれば「○○の唄を かなでた」と表示される |
神の塔と呼ばれるステージではゼルダ姫との連携プレーが必須となる。ここにはファントムという攻撃の効かない敵がいる。当面の間は光の雫を一定量集め、背後から攻撃することでのみファントムを気絶させられる。気絶させたファントムにはゼルダ姫の魂が入り込める。こうすることで強敵だったファントムが味方になり、操作できるようになるのだ。
ファントムは頑丈で、針の床や炎の中をものともせずに移動できる。リンクが通れない場所をファントムに移動させ、スイッチを押してもらうなんてことも可能になるわけだ。ファントムの移動ルートはタッチペンで書く。ただし、ルートを指示しなければ、リンクの後ろを自動的についてくるので、常に移動ルートを設定しなければならないということはない。また、ファントム同士では会話ができるため、ヒントとなる情報がもらえることもある。
光の雫を集めて剣に聖なる力を宿したら、ファントムを背後から攻撃。成功すればファントムが気絶させられる。気絶したファントムをタッチすれば、ゼルダ姫の魂がファントムに入り込み、ファントムを操作できるようになる。こうしてリンクはファントムに入った姫と協力しながら難関を突破していく |
全体的に謎解きの難易度は低く、あまり悩むことはなく、サクサク進められたというのがクリアまでプレイした印象だ。各所にヒントが用意されていることもあるが、タッチペンでの操作を前提としているため、複雑な操作が要求されないのも一因なのではないだろうか。
■ 冒険を手助けしてくれたり、ミニゲームが楽しめる多くの施設
アイテムを販売するショップ、「ラインバック紹介」、ミニゲームが遊べるものなど、多くの施設があるのでいくつか紹介したい。
まずは大事に貯めたお金の使い道であるショップだ。ショップは町にあるものと、各地を気球で飛びまわっている「テリーの店」がある。爆弾などの消耗品だけでなく、アイテムの最大所持数が増えるものやハートの器といった重要なアイテムを売っているショップもある。これらのアイテムは冒険の手助けとなるので、お金を貯めて購入しておきたい。
テリーは気球で各地を飛びまわっている。近くで汽笛を鳴らすと、こちらに気付いて降りてきてくれる。買えば買うほどポイントが貯まり、一定以上になると景品がもらえるサービスも | 店によって品揃えは異なる。当然ながら重要なアイテムは値段が高い |
「ラインバック商会」では、汽車の車両の入手、お宝を売ることができる。ただし、車両を入手するには、ショップのようにお金を支払うのではなく、指定された種類・数のお宝を渡す必要がある。車両を変更すると見た目が変わるだけでなく汽車のハートが増えるといったメリットがあるのでお宝に余裕があれば交換するといいだろう。また、リンクの師匠である機関士シロク二の家では車両を編成できる。
ラインバック商会では指定された種類・数のお宝と車両が交換できる。お宝を買い取ってもらうことも可能だ |
車両を編成できる機関士シロク二の家。ズーム・カメラを変えて車両を鑑賞することもできる。車両の組み合わせによってはユニークな外観になる |
汽車で進みながら砲台で的を狙う「ゴロンのまとうち場」、多くの敵と戦う「エネミーアタック」、ムチを使っての移動しながらクリアタイムを競う「ムチレース」など、ミニゲームが楽しめる施設も数多くある。報酬にはハートの器など貴重なものが用意されているので、高得点を獲得して入手しておきたい。
他にもスタンプラリーや新ダンジョンが遊べるようになるイベントなど、クリア後でも楽しめる要素が多く用意されている。
ミニゲームや新ダンジョンなど、クリア後でも長く楽しめる要素が豊富なのは嬉しいところ |
■ ワイヤレス通信を使った対戦やすれ違い通信でのアイテム交換
ニンテンドーWi-Fiコネクションには対応していないものの、ワイヤレス通信で遊べる機能は充実している。
「対戦する」では対戦専用のゲームが2~4人でプレイできる。参加者全員でフォースを奪い合い、制限時間までに最も多くフォースを獲得したプレーヤーが勝利となる。シンプルなルールながら熱い駆け引きが楽しめる。この対戦は、DSダウンロードプレイに対応しているため、人数分の本体と本作1枚があれば、みんなで楽しめる。
「すれちがい」ではお宝が交換できる。手順は簡単で、交換したいお宝を1~3つ選んでボックスに入れるだけ。すれ違い通信の相手が見つかれば自動的に通信が行なわれ、お宝が交換される。
ステージの仕掛けを駆使して対戦相手を妨害することも重要だ | 滑る床、互いの姿が見えない特殊なステージなどもある | どんなお宝と交換されるのか楽しみなすれ違い通信 |
■ 最後に
主な操作はタッチペン+マイク。ペンアクションアドベンチャーというジャンルなので当然といえば当然だろう。筆者はDSタイトルだからといって無理にタッチペンでの操作を強いるゲームは好まないが、タッチペンでの操作を前提にきっちりデザインされているため、タッチペンで遊ぶのが自然と感じられた。プレイ当初は違和感を感じる人が多いかもしれないが、すぐに慣れるだろう。
ミニゲーム、車両の購入、スタンプラリー、特別なイベントをこなすことで汽車の行動範囲が広がり新ダンジョンに挑めるなど、クリア後でも楽しめる要素が多く用意されており、長く楽しめるのは嬉しいところ。
タッチペンでの操作に加え、息を吹きかける操作が多いため、電車など移動中のプレイには多少難がある。特定のイベント時はともかく、コレクト画面で確認できる習得済みメロディについては、タッチするだけで自動演奏でもよかったのではなかろうか。
DSならではの遊びやアイディアがたくさん詰まっている上に、セリフの漢字部分をタッチすると読み仮名が表示されるなど、細かいところにまで嬉しい配慮が感じられる本作。買っておいて損はないだろう。シリーズのファンにもちろんだが、タッチペンのみで遊ぶアクションアドベンチャーに興味のある人にオススメしたい。
(C) 2009 Nintendo
http://www.nintendo.co.jp/
□ゼルダの伝説 大地の汽笛のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/ds/bkij/index.html
(2010年1月14日)
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