PSPゲームレビュー

新たに3種類のゲームモードを引っ提げて、
横スクロールシューティングの名作シリーズが久々に登場!

「ダライアスバースト」

  • ジャンル:シューティング
  • 発売元:株式会社タイトー
  • 開発元:株式会社ピラミッド
  • 価格:5,040円(UMD版)
       4,000円(ダウンロード版)
  • プラットフォーム:PSP
  • 発売日:発売中(2009年12月24日)
  • プレイ人数:1人
  • CEROレーティング:A(全年齢対象)


 「ダライアスバースト」は、1987年に第1作目が登場して以来、現在でも根強いファンの多い横スクロールシューティングゲーム「ダライアス」シリーズの最新作。元々は大型体感筐体を使用したアーケードゲームとして人気を博した作品で、近年では家庭用でのリリースが中心となっているが、PSP用ソフトとして新作タイトルが発売されるのは今回が初めてとなる。

 なお、本作品ではUMD(パッケージ)版とダウンロード版との2種類が販売されているが、本記事では主にUMD版を使用したうえで執筆している。なお、UMD版とダウンロード版に大きな違いはない。



■ 基本システムおよび世界観は従来の内容を継承。新システムのバーストの使用法が攻略のカギ

  基本となる操作方法は、従来の「ダライアス」シリーズと同様に方向キーおよびアナログパッド で自機の移動、○か△か□ボタンを押すとショットおよびボムを発射する。ショットとボムにはオート連射機能がついているので、ずっとボタンを押したままプレイしていてもまったく問題はない。過去のシリーズ作品を遊んだ経験があるプレーヤーはもちろん、初心者でもこれらの操作で戸惑うことはまずないだろう。

 通常の敵とは色の異なる敵を倒すとアイテムが出現する。赤色の敵が持つ赤いアイテムを取るとショット、緑色の敵が持つアイテムを取ればボムの性能がどんどんアップし、さらに青色の敵が持つアイテムを取ると自機にアーム(バリア)が装着されるシステムも以前のシリーズとほぼ同じだ。ショットは初期状態ではミサイルを装備しており、アイテムを取ることでショットの幅が徐々に広がっていく。赤色のアイテムを合計6個集めると、ミサイルに代わって敵を貫通するレーザーが装着され、さらに6個取ると敵や地形を貫通するウェーブへと換装される。ボムは初期装備から順に、地上に向かって投下するシングルボム、上下2方向へ同時に発射するツインボム、ななめ方向に4発ずつ撃てるマルチボムへと、緑色のアイテムを取ることでパワーアップするようになっている。アームも青いアイテムを5つ取れば同様に1段階ずつパワーアップし、ノーマル→スーパー→ハイパーと強化される。ハイパーアームになると、地形に触れても耐久弾数の分だけ自機を防御してくれる効果も追加される。

自機はアイテムを取ることでパワーアップする。昔からの「ダライアス」ファンであれば、どの装備でも使い方のコツはすぐにつかめるハズ

  本作品で新たに登場したのは、×ボタンを押すと「バースト」と呼ばれる強力なビーム砲が撃てるシステム。バーストは敵を倒すなどしてバーストゲージをアップさせ、ゲージが一定量以上たまった状態になればいつでも使うことが可能。バースト使用中はゲージが徐々に減少し、残量がゼロになると自然消滅する。ショットやボムよりもはるかに威力が高く、敵のザコ編隊などを一瞬にして倒せるのはもちろん、特に対ボス戦では絶大な威力を発揮するので、いつどのタイミングでバーストを使うパターンを作るのかが、本作品においては最大の攻略ポイントとなる。なお、バーストには敵弾を打ち消し、敵を貫通する効果もあるが地形は貫通しない。

  バーストには、×ボタンを押し続けて自機の正面に向けて撃つ「通常発射」と、ボタンを素早く2回押すことでバーストパーツをその場に設置してビームを放つ、「設置発射」の2種類の使用方法がある。「通常発射」時は絶大な攻撃力を発揮するものの自機の正面方向にしか撃てず、さらにショットやボムの同時発射が不可能となる。

  「設置発射」は「通常発射」よりも攻撃力は若干落ちるが、ショットやボムを併用できるので、自機を移動させてバーストの攻撃範囲外にいる敵を同時に攻撃することができるメリットがある。さらにショットボタンを離した状態で方向キーを動かすと、パーツを回転させてバーストを撃つ向きを自由に変えることもできるので、地形の入り組んだステージや後方から出現する敵に対して特に有効だ。また、「設置発射」中は敵または敵弾を消すことでゲージを回復させることが可能なので、敵や敵弾が大量に出現するような場面では、「設置発射」で敵および敵弾を防ぎつつゲージを稼ぐことで長時間バーストを撃ち続け、攻撃面のみでなく防御面でも活用できるシステムになっている。なお、ゲージを消費するスピードは「通常発射」のほうが「設置発射」よりも速くなっている。

  本作品では性能の異なる複数の機体が登場する。初期状態で使用できるのは「レジェンド」1機のみだが、特定の条件を満たすことで新たに「ネクスト」と「オリジン」の2機が追加される。「ネクスト」のショット性能は「レジェンド」と同じだが、ボムには敵を自動的に追尾するいわゆるホーミングの機能がついているという違いがある。「オリジン」はバースト攻撃が一切使えないため、上級者向け限定の機体であるといえるだろう。なお「レジェンド」と「ネクスト」では、バーストのパーツを設置した場合の回転する方向が異なるので、初プレイ時には気をつけたい。

新システムのバースト攻撃。そのまま正面に撃つ「通常発射」と、パーツを分離して攻撃する「設置発射」の2種類の使い方がある。分離時はバーストパーツの向きを変えて攻撃ができるのも面白いところだ
新機体の「ネクスト」は、ボムにホーミング機能がついている
「オリジン」はバーストが使えないエキスパート向けの機体だ


■ 携帯機向けの3つのモードで違ったプレイ感

  ゲームモードは、初期状態から遊べる「アーケード」の他に「ミッション」、「バースト」の合計3種類が搭載されている。

・ 「アーケード」

「アーケード」は全11ゾーンで構成され、3面以降は歴代「ダライアス」シリーズではおなじみの、ルートが上下ふたつに分岐するシステムになっている。難易度は上側のルートに進むほど簡単になり、逆に下に進めば難しくなる。

  ステージの道中では、敵の編隊を全滅させるとボーナス得点が入ったり、特定の地点を撃つと隠しアイテム(※注)が出現する仕様も従来どおり。そして各ステージの最後では、これもシリーズ作品のお約束となっている海洋生物をモチーフとした巨大戦艦と戦い、これを倒すことでステージクリアとなる。

  1ルート(合計5ゾーン分)をクリアすると各ゾーンごとに異なるエンディングシーンが流れ、以後メニュー画面で「ビュー」モードを選択すればいつでもエンディングのデモが見られるようになる。また、ゲームオーバー後はコンティニューかタイトル画面に戻るかのいずれかを選択(コンティニューの回数は無制限)し、コンティニューしない場合はリプレイデータを保存する機能も搭載されているので、攻略パターンを研究する際には大いに役立つ。

※注:隠しアイテムは、画面内の敵を全滅させる金、ボーナス得点がランダムで加算される銀、および1UPの3種類がある。

  筆者が最初に「アーケード」モードをプレイして気づいたのは、各ステージのマップが今までのシリーズ作品に比べてかなり短くなっていること。とくに低難易度の上ルート~中ルートに関しては、スタートしてから1分半~2分程度で、すぐにボス戦までたどり着くようになっている。ただし、終盤のステージに登場するボスは耐久力がとても高いので、ここでは道中よりも必然的に長期戦となる。 新システムであるバーストの攻撃力が非常に高く、しかも敵弾を消し去ってくれる効果もあるので、特に対ボス戦でうまく使えば攻略がかなり楽になる。対ボス戦の苦手な攻撃パターンが始まったらバーストを発射して弱点を撃ちつつ、敵弾をかわすようにして戦うといいだろう。バースト使用時とそうでないときではボス戦に要する時間が全然違ってくるので、特に得点稼ぎを意識しないようであれば、ゲージがたまったらどんどん使ってしまうのがおすすめだ。

  自機の基本的な性能差については、「レジェンド」と「ネクスト」とでは実戦において大きな差はない、というのが筆者の個人的な印象。ボムにホーミング機能がある分、「ネクスト」のほうが対ボス戦では(無駄撃ちが少なくなるので)気持ち楽になるかなという程度で、どちらか一方が圧倒的に有利あるいは不利になるといった顕著な差はみられなかった。

  筆者が特に評価したいのは、途中で自機がやられてしまってもその場で即ゲームが再開され、なおかつショットとボムのパワーアップが維持されること(※コンティニュー時も同様だが、難易度設定によって仕様が変化)。以前のシリーズでは復活時にパワーダウンするのが通例となっていたが、これによってプレーヤーが途中でミスをしてもモチベーションを大きく落とさずにすむようになっている。腕に自信のあるプレーヤーにとっては必要のない配慮かもしれないが、筆者としては大いに歓迎したいところである。ただし、途中でショットレベルを下げることができなくなった分、ルートによってはショットのパワーアップをわざと取らずにスルーしたほうが攻略が楽になる場面もある。

  ただ残念だったのは、ボスの出現を知らせる警告音が鳴った瞬間に、画面内に残っていたパワーアップアイテムがいきなり消滅してしまうこと。本モードでは1番最後に出現する敵編隊がアイテムを持っているケースが多いため、あらかじめ警告音が鳴るタイミングを知っておかないとアイテムを取り逃しやすい。もしかしたら、ボス戦開始時にデータロードの時間が必要なせいでこのような仕様になったのかもしれないが、せめて「WARNNING!」と表示されて警告音が完全に鳴り終わるまでの間は、アイテムを回収するために数秒間の「猶予期間」を設けてもよかったように思われる。

  もうひとつ、操作面で気になったのがバーストを「設置発射」したときのパーツの操作方法。マニュアルには、「機体を移動させると、ビームの発射方向を調節できます」としか書いていないので、これを読んだだけでは具体的にどうやって角度を変えるのかが全然理解できない。実際には、「レジェンド」のときは常にバーストパーツが自機と反対の方向に射撃しようと動き、逆に「ネクスト」使用時は自機のいる方に向かって動くようになっているが、攻略上とても重要なテクニックだけに、これらのやや複雑な操作システムについてはあらかじめ詳しい説明がほしかったところだ。

各ステージの最後にはお約束の巨大戦艦が登場。毎度のことながら、シーラカンスやクジラなどをモチーフにしたボスのデザインは本当にカッコイイ
「アーケード」モードでは2面クリア後からルートが分岐する。ただし、対ボス戦では3面にあたるCとD、および4面のE~Gゾーンでは同じ敵が出現し、最終面は各ゾーンごとに異なるボスが登場する

・ 「ミッション」

  「ミッション」モードにはレベル1~8まで全8段階の難易度レベルがあり、各レベルごとに7ミッション(ステージ)ずつ用意されている(最終レベルは1ミッション)。「アーケード」モードとの相違点は、あらかじめプレイするゾーンとボスキャラの出現パターン、および使用する機体は各ステージごとに決められていることと、ゲーム開始時の自機の装備がそれぞれ異なっていること。またステージ構成もレベルによってまったく異なり、たとえばレベル1ではボス1体だけと戦うステージが中心だが、レベルが上がるにつれて1度に4体のボスと戦ったり、5つの道中を連続で戦うステージなども登場する。さらに本モードでは自機のストックが必ずゼロの状態で始まり、コンティニューが一切できないのが大きな特徴だ。しかも敵を倒してもパワーアップアイテムが一切出現しない(※代わりにボーナス得点が入る銀アイテムが出現)ため、「アーケード」に比べてかなりのスリル感がある。

  このモードの最も面白いところは、決められた範囲内でいかに高得点を稼げるか、プレーヤーがハイスコアを意識しながら攻略パターンを工夫して遊べることにある。また、ボスキャラしか登場ないステージを利用すれば、「アーケード」モードでまだ倒せずにいるボス戦の練習にもとても役立つ。「アーケード」に比べてステージ構成が短めなので、ちょっとした空き時間でも楽しめる手軽さも大きなメリットのひとつだ。ただし、前述したようにパワーアップアイテムが出ない状態で複数の道中およびボスを戦う必要があり、なおかつ難易度設定の変更もできないので、初心者にとってはちょっとハードルが高いゲームモードだろう。

  改善してほしかったのは、アームの耐久弾数の表示方法。開始時点での装備がステージごとにバラバラで、しかもアームの形を見ただけでは一切耐久力がわからない(※注2)ので、プレーヤー視点で見ればやや不親切な印象。たとえばゲーム開始前のデータロード中の時間を利用して、あらかじめ耐久弾数を画面内に明示するようにすればよかったのではないだろうか。また、1度選択したミッションをプレイし終えると、毎回カーソルが「ミッション1」の位置に戻ってしまうのもちょっと気になるところ。プレーヤーがクリアに失敗したステージを続けて遊びたくなる心理を考えれば、カーソルは直前にプレイしたステージのまま固定しておくほうがよかったように思われる。

※注2:アームは耐久力が残り1発分になったときに限りサイズが少し小さくなる仕様があるが、2発以上のときは形状がまったく同じなので、ただ形を見ただけでは識別が不可能。なお、ひとつのゾーンをクリアするたびに表示されるリザルト画面の「アームボーナス」を見れば、その時点での耐久弾数がわかるようにはなっている

各ステージごとに決められたノルマをクリアしていく「ミッション」モード。途中でパワーアップおよびコンティニューができないスリルを満喫できる


・ 「バースト」

  「バースト」モードは基本のステージ構成こそ「アーケード」と同じだが、敵の攻撃力がより強化され、さらに「アーケード」では登場しなかった敵キャラクターも数多く追加されているので、難易度が大幅にアップしている。自機のストックは「ミッション」と同じくゼロの状態で、敵を倒してもパワーアップアイテムが一切登場しない。その代わり、自機の装備はスタート時点からショットおよびボムが最強状態で、なおかつかなりの耐久弾数を持ったアームも装着した状態になっている。

  本モードの1番の特徴は、LまたはRボタンを押すことで自機のショットの装備をいつでも自由に変えられること。スタート時点ではミサイルの状態になっているが、この状態からRボタンを押すとレーザー→ウェーブへと装備が順に変わり、Lボタンを押すとウェーブ→レーザーの順にチェンジすることができる。筆者は当初、「攻撃範囲の広いウェーブさえあれば、いちいちショットをチェンジする必要などないのでは?」と思っていたのだが、しばらくプレイしているうちにそれは大きな間違いであることに気がついた。 その最大の理由は、ミサイルおよびレーザーが持つ「弾消し効果」の存在にある。ミサイル装備時は敵が撃つ赤い針状の弾を、レーザー装備中は黄色の敵弾を撃って消すことができるため、状況によって臨機応変に装備を変更することで攻略が楽になったり、得点が稼ぎやすくなっているからだ。ただ出てきた敵を闇雲に撃つだけでなく、その場に応じて最適な武器を選択するという戦略性の存在が、本モードをさらに面白くしているのは間違いないだろう。ちなみにこのテクニックは他のモードでも非常に有効で、たとえば「アーケード」のKゾーンにいる最強のボス「グレートシング(クジラ)」も、ミサイルの最強状態でわざと寸止めして赤弾を消せるようにすることで難易度が大幅に下がるのだ。

  さらに本モードでは、敵を倒さなくても一定時間が過ぎるとバーストゲージが自動的にチャージされるため、バーストを思う存分撃ちまくれるので爽快感がとても高い。事実、筆者は難易度が高めなのにもかかわらず、遊んでいて素直に1番面白いと思ったのが本モードであった。敵の攻撃やバーストの操作に慣れるまでは多少苦しむかもしれないが、本モードならではのバーストを撃ちまくれる爽快感は、シリーズ初心者にもぜひ1度味わってほしいところである。

難易度は高いが、バーストをどんどん使用できるのが楽しい「バースト」モード。腕に自信のない人もぜひトライすべし!

  なお、筆者が試したところでは、「ミッション」モードは「アーケード」のいずれか2カ所のゾーンをエンディングまで到達すると遊べるようになり、同じく「バースト」モードは3カ所の最終ゾーンをクリアした後にプレイ可能となった。いずれのモードとも、途中でコンティニューをしてクリアした場合でも発動するようなので、プレイする時間さえあれば誰でも容易に出現させることができるハズだ。



■ 本作品独自のゲームシステムについての考察

  ここでは、敵を倒したときに加算される得点倍率である「スコアレート」と、敵の撃つバーストをバーストで撃ち返すと発生する「バーストカウンター」の両システムについてを考察していこう。

  「スコアレート」は、多くの敵を短時間の間に連続で倒し続けることでアップする。倍率は最高で16倍までアップし、逆に自機がやられたりアームにダメージをうけるとダウンする。より高いスコアを獲得するためには、ステージの道中ではいかに効率よく敵を倒して最高倍率にまで早くアップさせて多くの敵を倒せるか、 あるいは16倍をキープした状態でどれだけの敵を倒し続けられるかが大きなポイントとなる。対ボス戦ではパワーアップアイテムが一切出現しないため、ボス戦以降ではアームを極力削られないように敵の攻撃を避けるテクニックやパターンの構築が要求される。ただし「ミッション」モードに限り、ひとつのゾーンをクリアするたびに倍率が自動的にリセットされるようになっている。

  「アーケード」の1面にあたるAゾーンを例にあげると、このステージではただ闇雲に敵を倒すだけでは、対ボス戦まで進んだ段階でもせいぜい10倍ぐらいまでしか倍率が上がらない。これを16倍まで上げるためには、敵の出現場所を正確に覚えて速攻で倒し、なおかつバーストを使う位置およびタイミングもかなり工夫したパターンを作ることが必要だ。このように、たとえ1度クリアしたステージであっても「スコアレート」を上げるパターンを考えながらプレイすれば、さらにゲームの楽しさが増すのも本作品のいいところである。

スコアレートを高めるためには、バーストなどをうまく利用して効率よく敵を倒せるパターンを作ることが必要。対ボス戦はいかにアームを削らずに粘れるかが勝負だ

  主に対ボス戦において、敵が使用するバースト攻撃に対して自機のバーストを(「通常攻撃」で)タイミングよく撃ち込むと「バーストカウンター」が成立し、さらに強力なビーム砲を撃つことができる。カウンターが成功すると、敵のバーストをそのまま押し返して無効化させると同時に、他の敵や敵弾も根こそぎ破壊しながらボス本体に大ダメージを与えることが可能。失敗するとアームを削られたりミスにつながるリスクが高まるが、アームとゲージに余裕がある場合はぜひとも狙いたいところだ。さらに「バーストカウンター」でボスにトドメを刺すと、通常の4倍のボーナスが加算される。つまり、スコアレートが16倍のときにカウンターで倒せば、16×4で64倍もの高得点が得られる計算になるので、ハイスコアを狙うためにはマスター必須のテクニックとなる。

  「バーストカウンター」を1度成功させれば、カウンター発動中は敵の攻撃をほぼ無力化できるので圧倒的に有利に戦えるのは確かだが、問題は成功させるためのコツをつかむのが非常に難しいこと。敵のバーストが自機にヒットする直前でバーストを発動させるとカウンターになるが、タイミングはシビアで、意外に難しい。また、敵のバーストの先端部分を自機に軽く触れるぐらいの位置まで引きつける必要もあるので、もし失敗した場合はアームを削られるリスクが非常に大きくなる。そうかと思えば、バーストをナナメ方向に撃つボスの場合はコア部分からかなりずれた位置で撃ってもカウンターが成功したり、あるいは敵がバーストを発射中に強引に割り込むようにして撃ってもカウンターにすることもできるので、要練習ということになるだろう。

  この仕組みだが、たとえば、かつての「Gダライアス」のように、敵がビームを発射中であればどのタイミングで自機のビームを当ててもカウンターで撃ち返せるようにするなどして、プレーヤーがもっとわかりやすいルールにしたほうがよかったようにも思う。

超がつくほど強力な「バーストカウンター」。成功すると実に爽快だが、敵ごとに撃つタイミングや角度が異なったりするので、マスターするにはかなりの練習量が必要となるだろう


■ シューティング好きなら、ぜひとも遊んでおきたい1本

  今回、久しぶりに新作がリリースされた「ダライアス」シリーズ。個人的には敵の数や攻撃のバリエーション、およびステージマップとボスキャラをもっと増やしてほしかったところだが、携帯ゲーム機で手軽に遊べるコンセプトを実現するためにコンパクトな内容にしたと考えれば十分に許容できる。その分、「ダライアスバースト」ではゲームモードを増やすという今までとは違ったアプローチで遊びの幅を広げており、「携帯ゲーム機向けのシューティングはこうあるべきではないか?」という、(まだ完成形とは断言できないが)ひとつの方向性を示してくれたと筆者は思っている。

  また、今回採用されたオート連射機能についても、筆者はどちらかといえば自力で連射するタイプのゲームが好みなのだが、昔のようにシューティングに人気が集まりにくい昨今、初心者へのハードルを下げる意味でも連射機能をつけて遊びやすくしたのは極めて妥当な判断であろう。ただ、機体ごとに設置バーストの操作が違っていたり、「バーストカウンター」の条件がわかりにくい仕様になっていたのはちょっと残念。

  数々の新システムが導入される一方、これまでのシリーズ作品で培われたよい伝統がきちんと継承されているのは大きなプラス材料だ。「ダライアス」ならではの醍醐味である、ボスの巨大戦艦が目前に迫ってきたときのスリルおよび威圧感は、PSPの小さなモニタでも筆者は充分堪能することができた。スコアシステムにおいても、ボスのパーツを破壊することでより得点が稼げるという「お約束」も健在。あちこちにショットやボムを撃ってどのパーツが壊せるのかを探しつつ、敵の猛攻をかいくぐりながら破壊するパターンを考えてプレイするのがとにかく面白い。この遊び方さえ知っていれば、すでに楽勝で倒せるようになったボスであっても、新たにパターンを作り変えることでさらに楽しくプレイできる。

  ただUMD版に限って言えば、データのロード時間が全体的に長いのがちょっと気になるところ(PSP-2000以降ならキャッシュが働くため、ロードが多少早くなることもある)。特に各モードのゲーム開始時のロード時間がかなり長く感じられたので、たとえばイラストや簡単なアニメーションをゲームが始まるまで流したり、あるいは攻略のヒントを表示するなどしてプレーヤーをイライラさせないような配慮があればなおよかったかもしれない。また発売前に公開されたムービーも、迫力のあるCGムービーはもちろんゲームのプレイ映像まであったのだが、本編には一切入っていない。初心者にはいろいろと攻略の参考になるので合わせて収録しておいてもよかったように思われる。

  冒頭では触れなかったが、どのステージも宇宙空間を描いた背景がとても美しく、タイトーの名物サウンド制作チーム「ZUNTATA」プロデュースによるBGMも実に個性的で、他の作品ではまずお目にかかれない魅力にあふれている。また、「ミッション」モードで「オリジン」の機体を使用するステージでは、BGMが初代「ダライアス」の原曲になるという粋な演出もあったりするので、筆者のようにシリーズ第1作目から知るオールドファンであれば、これをモチベーションとしてゲームを楽しむのも一興。古い曲でありながら音質は極めて高く、聞いているだけでも実に楽しい。

  いろいろと突っ込ませていただいたが、「ダライアス」シリーズのファンならずとも、長らくシューティングゲームに飢えていたプレーヤー諸氏は、買っておいて損はない作品といえるだろう。

(C)TAITO CORPORATION 1986,2009 ALL RIGHTS RESERVED.

(2010年1月15日)

[Reported by 鴫原盛之 ]