2017年8月30日 14:53
バンダイは8月末に追加パーツ「DX超合金 Sv-262Hs ドラケンIII(キース・エアロ・ウィンダミア機)用リル・ドラケン&ミサイルポッド」を発売した。弊誌でも取り上げた「DX超合金 Sv-262Hs ドラケンIII(キース・エアロ・ウィンダミア機)」に装着するパーツセットである。
「DX超合金マクロス」シリーズの追加パーツでは宇宙用の「スーパーパーツ」が定番だが、今回発売されたものはミサイルポッドと、支援戦闘機リル・ドラケンがメインとなる。これらの装備は、アニメ「マクロスΔ」の1話からドラケンIIIが装着していた“標準装備”といえる武装であり、劇中でパージする描写はあるものの、登場する時には装備していることが多かった。
言わば今回の追加装備で、ようやくアニメで活躍するドラケンIIIの姿が再現できる、ともいえる。さらにディテールアップパーツであるシールド、そしてアニメ最終話で突如その存在が明らかになった剣・アサルトソードも同梱している。本稿では写真と共にこれらのパーツで広がる遊びの楽しさを紹介していきたい。
ギッシリ詰まったマイクロミサイル! 戦闘能力を拡大するミサイルポッド!
今回追加された装備は大別すると「ミサイルポッド」、「リル・ドラケン」、「シールド(固定タイプ)」、「アサルトソード DAS-03k」となる。各アイテムを紹介していきたい。ミサイルポッドは、ドラケンIIIのエンジンブロックの上下、バトロイド時の“足”の両脇に装備する計4つのウェポンコンテナで形成されている。
スーパーパーツは宇宙用の推進装置と武装、追加装甲といったもので機体と色が違う装備だったが、このミサイルポッドは機体と同じ成型色に金のラインで、ぱっと見装着しても「どこが追加されたのかな?」と違和感のないデザインだ。むしろなかったときの方が違和感があったと言えるかもしれない。
ミサイルポッドは足の両脇にぴたりとはまる。ただし接続はかなり厳密で形が似ていても、カバー内のマークを確認し、「これは右上、このパーツは左下」といった風にどこのパーツかきちんと確認しなければならない。
ミサイルポッドは上部のハッチが観音開きで開く。前のカバーもスライドさせると、みっしり詰まっているマイクロミサイルがあらわになる。4つのポッド全てを開いた姿は壮観だ。アニメではドラケンIIIは強固な敵の防空圏内に高速で侵入、ミサイルをばらまき破壊を行なっていたが、この多数のマイクロミサイルはかなりの攻撃力を感じさせる。
このミサイルポッドは、さらなる追加装備を想像させる。デザインがほとんど同じで活動時間を増やす追加の推進剤が入るコンフォーマルタンクはありそうだし、マイクロミサイルの代わりにドッグファイト用の大型のハイマニューバ ミサイルも積むというのもありそうだ。様々な任務に合わせた装備を想像するのは楽しい。
支援戦闘機であり、サブエンジンとしても使用できるリル・ドラケン
リル・ドラケンは、ドラケンIIIの支援戦闘機で、半自立型AIで制御される。デザイン的に「マクロス」シリーズに登場するAI制御戦闘機「ゴースト」シリーズからの進化を色濃く感じさせるところがファンにとって楽しいところだ。
リル・ドラケンはドラケンIIIと合体することで、追加のブースターとしても活用できる。ドラケンIIIは推進剤の容量が少ないため、燃料が必要となる宇宙空間では(マクロスの可変戦闘機は大気中は無限に飛べるのだ)増槽としての役割も持つ。他にもジャミングで分身したように敵のセンサーを欺瞞するなど、リル・ドラケンは様々な機能を持っており、劇中で印象的な使われ方をしている。
特にアニメの10話、本機を駆るキースと、主人公側であるデルタ小隊のエースであるメッサーと最後の対決をしたときは、キースはリル・ドラケンを“盾”として活用、メッサーの攻撃をリル・ドラケンで防いで、すれ違いざまのレーザーでメッサーを葬った。この時のリル・ドラケンの使い方は“AI戦闘機との連携”のお手本ともいえる見事な運用法であり、2人の対決シーンをより劇的に演出した。
今回のセットではリル・ドラケンを精密に立体化し、そのデザインをたっぷり楽しむだけでなく、様々な活躍をイメージした遊び方を可能としている。ドラケンIIIとの合体はもちろん、長いアームのついた台座も付属しており、機体の周りに飛行をイメージしたディスプレイができる。
まず合体時には、ジョイント基部が回転できるので、ドラケンIIIと合体したまま向きを変えられる。合体時のドラケンIIIは両翼にもエンジンを積んだような姿になる。この姿から「マクロス」ファンは、両翼にサブエンジンを搭載したVF-27やVF-29、トルネードパックを装備したVF-25を思い出すだろう。ドラケンIIIの合体形態は、こういったサブエンジンを積んだ機体のデータが反映されているのだろう、と考えるのも面白い。
そしてディスプレイには5個も関節が用意された長いアームを使用したディスプレイベースが用意されている。しかもリル・ドラケンと接続するジョイントの基部はボールジョイントなので微妙に機体を傾けたり、細かい表情付けが可能だ。リル・ドラケンを分離させ戦闘補助に活用するシーンをイメージして飾ることができる。リル・ドラケンを置くことでドラケンIIIにさらなるドラマ性を追加させることが可能なのだ。
最終決戦で登場した剣と、ディテールアップの盾も同梱
他の追加装備、シールド(固定タイプ)と、アサルトソードも見ていこう。本来のシールドは、ドラケンIIIの尾翼が開いて盾となる。超合金には変形する盾がきちんと付属しており、そこには騎士の紋章も細かい塗装で再現されているのだが、変形との兼ね合いで中央に目立つ線があるし、可動部分の構造で紋章の一部が欠けてしまっている。固定タイプのシールドは、変形機構を削ることで、紋章を美しく描画しているのだ。
ドラケンIIIは現用戦闘機風のデザインが多い「マクロス」の可変戦闘機の中で異質なデザインであり、まるで中世ファンタジーの鎧のような派手で華麗な装飾が施されている。シールドはその中でも特に“ファンタジー色”が強い。美しい紋章をカイトシールド風の盾に描いているところに、“白騎士”であるキースが駆るドラケンIIIのキャラクター性が強く込められている。
「DX 超合金マクロス」シリーズはその繊細で緻密な変形機構がウリだが、変形が複雑な分、一度変形させたらあとはお気に入りの形態でディスプレイしておくという人も多い。固定タイプの盾は、ガウォーク形態や、バトロイド形態で飾っておくのにぴったりのパーツだ。
そしてアサルトソードである。アニメの最終回に、突如キースが足のウェポンベイから取り出したこの装備に視聴者は度肝を抜かれた。これまでの設定書には全く描かれていない新武器なのだ。アニメではこういった“ノリ”はよくあることだが、筆者はこのシリーズの担当者にインタビューしているだけに、担当者の大変さがわかった。
商品は開発・生産に非常に長く時間がかかる。複雑な変形システムを持つ「DX 超合金マクロス」シリーズならなおさらだ。アニメ終了後、半年あまりで発売された「DX超合金 Sv-262Hs ドラケンIII(キース・エアロ・ウィンダミア機)」にアサルトソードがついていないことに不満を持った人もいたとは思うが、間に合うわけがないのだ。
最終回に突如出現したこの新武器をきちんと形にするには、企画を通した上で版元にちゃんとした設定書を要求、それを元にデザインを決め、製品化するための仕様を決定し、原型師が商品原型を作成、版元の許可を取ってから、生産するための機器をセッティングする……これだけの追加行程が、いきなり差し込まれるのだ。今回の追加パーツに、それらの追加行程を経て、盛り込んでくれたことも期間を考えればすごいことなのである。素直に感謝したいところだ。
「アサルトソードってこんな形してるのか」。筆者は最終回で1度見ただけなので今回初めてそのデザインを確認できた。そしてドラケンIIIに構えさせると……ファンタジー色がさらに増してカッコイイ。他の「DX 超合金マクロス」商品と並べると世界観が大きく異なるような感じになるのが面白い。
ライバルであるVF-31ジークフリートがアサルトナイフ2本でこのソードに立ち向かう、という構図も想像してしまった。固定タイプのシールドと、アサルトソード、この2つでドラケンIIIのバトロイド形態のポーズ付けの楽しさは大きく広がる。チャンバライメージもありだし、見得を切らせるのもいい。ロボットに剣は、やっぱり良い。
「DX超合金 Sv-262Hs ドラケンIII(キース・エアロ・ウィンダミア機)」も今回改めて触ってみて、そのカッコ良さ、変形機構の面白さを再確認できた。今回の追加パーツでさらに魅力が増した。筆者は今、どういう風に飾ろうか思案中である。
今回の追加パーツはプレミアムバンダイ専売であり、残念ながら本記事で興味を持っても、入手はちょっと難しい。ただ、「マクロスΔ」は劇場版制作が決定し、再び盛り上がる気運を見せている。ぜひ「DX 超合金マクロス」の商品化も盛んになり、ドラケンIIIのボーグ機や、追加パーツの発売も期待したいところだ。個人的に、今後も熱心に注目していきたいシリーズである。
(C)2015 ビックウエスト