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「WoWS」、台湾でも「蒼き鋼のアルペジオ」コラボが大人気!

プロデューサー柳沼氏にコラボやアジアサービスの今後を聞く

1月29日~2月2日 開催



会場:台北世貿一館

 Wargaming.netは、Taipei Game Show 2016にWindows用オンライン海戦ストラテジー「World of Warships」(以下、「WoWS」)を出展した。

 ブースでは、グローバルでのコレボレーションが決まったアニメ「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」の声優によるステージイベントや、「World of Warships」アジアプロデューサーの柳沼恒史氏によるゲーム紹介のイベントが開催された。会期中に、柳沼氏からアジアサービスについて話を聞くことができた。台湾のメディアとの合同インタビューだったので、日台の両側からイベントの様子と共に紹介したい。

【「World of Warships JOIN FORCES 蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐」コラボ記念トレイラー】

Wargaming.netのブースには、記念撮影用の戦艦大和が鎮座していた

 「WoWS」のステージイベントには「アルペジオ」でイオナを演じている、声優の渕上舞さんや、ミョウコウ役の福原綾香さんが来台してトークを披露した。台湾での声優人気はすさまじいものがあるが、「アルペジオ」の人気は世界共通らしく、日本から始まったコラボレーションは世界からの要望に応えてグローバルサーバー全体でスタートしている。

 さらに「艦これ」人気も手伝ってか、柳沼氏のトークショーでは「利根」や「北上」を入れて欲しいと日本の船艇へのリクエストが圧倒的だった。「利根」については、「砲がすべて船の前方についている非常に面白い船なのですが、調整で難航しています。本来なら去年の12月には出したかったのですが、まだ調整中です。3月か4月には出したいです」(柳沼氏)。

 「北上を販売する可能性がありますか?」という質問については「北上はクローズドβテストでは使えた船です。非常にたくさんの魚雷が打てるのですが、仲間の近くで使うと仲間にも当たってしまうのです。ゲームになれていない方が使うと仲間を沈めてしまうので、販売を一部の方に制限するか、もしくは違う形で提供するかを考えています」(柳沼氏)ということだった。

 ドイツの「ティルピッツ」を販売する可能性がありますかという質問には、「そういう声を聞いたら販売するしかないですね」と近々の対応を約束していた。

【イベントの様子】
「WoWS」のステージイベントでは、最新のアップデートが紹介された
アップデートで実装になる台湾の艦艇「洛陽」の話では拍手が沸いていた
チーム戦は、ムービーで様子を紹介
大砲の砲撃音がより迫力のあるリアルな音に刷新される。サウンドディレクターArtur Tohtash氏からのメッセージも紹介された

「アルペジオ」コラボレーションは全世界に波及

「World of Warships」アジアプロデューサーの柳沼恒史氏

――アジア地域で台湾はどの程度の割合を占めているのですか?

柳沼氏: アジア全体の3割程度を占めています。私がゲームをする時にも、チャット欄に台湾の言葉がよく並んでいます。非常に成功していると考えています。

――台湾には「WoWS」時代には海軍がありませんが、台湾のプレーヤーに向けた戦艦はあるのですか?

柳沼氏: 台北ゲームショウが始まる前の週に、中華民国の海軍船艇「DD-14 洛陽(Lo Yang)」が実装されました。洛陽はアメリカから譲渡された駆逐艦ベンソンを台湾向けに改装した船です。実装をアナウンスさせていただいた後、台湾オフィスの同僚からも、ユーザーさんからも非常によいフィードバックをいただいています。

――現在日本で、「World of Warships join forces 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」が開催されていますが、アジアサーバー全体で展開されるのですか?

柳沼氏: 「アルペジオ」とのコラボレーションは当初アジアのみの予定でした。「アルペジオ」は台湾でも劇場版が公開していますし、アジアは日本のアニメが浸透していますから。ところが、それ以外のリージョン、EUやアメリカ、ロシアからも、こちらでも「アルペジオ」のコラボで手に入る艦を使いたいという要望があり、それらの地域でも日本と同時にコラボキャンペーンが始まりました。

――なぜ「アルペジオ」とコラボしたのですか?

柳沼氏: 「World of Tanks」が先にアニメとコラボをしていて、各国からいいフィードバックを得られましたので、我々も同じようなコラボをしたいと思いました。「アルペジオ」に出てくる「金剛」などは、すでに「WoWS」に存在する艦艇なので、まったくのゼロから作らなくてもコラボが可能です。キャラクターもかわいく、非常によいアニメ作品です。

――今回のコラボについて、版元さんの反応はいかがですか?

柳沼氏: こんなにしっかりとした3Dモデルを作れて、それがゲーム内で動いているのはうらやましいといわれました。ゲームを実際にプレイされた方がいて、クオリティが素晴らしいですねという声もいただきました。

――コラボで難しかった部分はどこですか?

柳沼氏: コラボとして「横須賀港」が実装されていますが、アニメの中では360度の全景が出るわけではないのです。そこでいただいた資料をもとに、想像力を膨らませて地図を作りました。

【「アルペジオ」コラボ】
横須賀港
「コンゴウ」
「キリシマ」
「ハルナ」

――原作アニメはフル3Dで、ゲームとの相性がよさそうですが、原作のように艦艇の上にメンタルモデルを立たせたりはできないのですか?

柳沼氏: もともとキャラクターが出てくるというコンセプトが考えられていませんからね。キャラクターを再現したいという思いはありますが、テクニカルな障害が大きそうです。コマンダーとして画面右上に登場していますので、今のところはそれで勘弁してください(笑)。

――コラボ用の船艇は日本で開発しているのですか?

柳沼氏: 日本のアニメ会社と連携しつつ、日本で設定を作り、開発自体や最終的な実装はロシアで行なっています。

――ロシアの開発スタッフに「アルペジオ」が何かを説明するのは大変そうですね。

柳沼氏: そうなのです。まずは「アルペジオ」を知ってもらうためにDVDを送って観てもらいました。実装していくうえで、原作とは違うキャラを出さないように、コンセプトについてしっかりとプレゼンテーションをしたりと大変でした。でもうまく情報を伝えれば、きっと好きになってもらえるとわかっていたので、入念にやりました。

――好きになってもらえましたか?

柳沼氏: こちらの準備が終わらないうちから、開発から準備はできているから早く実装してくれとせかされました(笑)。版元さんがNGを出さないように、ゆっくりと正確に進めていただきました。

――「霧の艦隊」は現代の軍隊をせん滅してしまうほど強力ですが、ファンが納得する強さでゲーム内に実装しようとおもったら、バランス調整が大変そうですね。

柳沼氏: アニメに登場する船艇やキャラクター、演出をできるだけそのまま再現したいと思っていますが、原作通りに再現すると「大和」でも一瞬で沈んでしまうくらい強くなってしまうので、基本的には「WoWS」のバランスを損なわないレベルで展開できればと考えています。

――「アルペジオ」の主人公は潜水艦ですが、将来潜水艦も入るのでしょうか?

柳沼氏: よく聞かれる質問です。現在は空母、駆逐艦、巡洋艦、戦艦という4つのクラスがあります。史実通りにいくと潜水艦もあるので可能性はゼロではありません。私たちは、ゲームの面白さや深みを増すために、何らかのプラス要素を入れようと思っています。新しい艦艇タイプを将来的に検討していく可能性は十分にありますが、まだまだ検討が必要です。

――台湾はいま4隻の潜水艦を所有しています。そのうち1隻は、第二次世界大戦の時代から使われているものです。それがゲーム内に入る可能性はありますか?

柳沼氏: もし潜水艦を実装することになったら、ぜひご意見を活用させていただきたいと思います。台湾の船には、潜水艦以外にも日本から譲渡された「雪風」を改装した「丹陽」もありますし、台湾のユーザーさんたちに喜んでもらえればと思っています。

――「雪風」は幸運な船なので、あれが入ると嬉しいですね。台湾の船艇には、第二次大戦からの船も多いので、それらが入れば台湾のユーザーも喜ぶと思います。

柳沼氏: ユーザーさんからのフィードバックだけではなく、そういったメディアさんからのフィードバックや台湾の同僚のフィードバックも考慮して行きたいと思っています。

――今回の「アルペジオ」とのコラボでは「コンゴウ」と「ミョウコウ」が手に入りますが、今後はどんなものが実装されるのでしょうか?

柳沼氏: 今後も新しい艦艇がゲーム内に登場していきます。また、艦艇以外にも、声優さんの声が魅力的なので、ゲーム内に登場するキャラクターの声を追加していきたいと思っています。今はイオナの声が実装されていますが、ほかのメンタルモデルの声も実装していければと思っています。

【中華民国の海軍船艇「DD-14 洛陽(Lo Yang)」】
横須賀港
「コンゴウ」

――アジア地域での今後のイベント予定などがあれば教えてください。

柳沼氏: 直近では旧正月のイベントを行います。何らかのギフトアイテムもあるかもしれません。

――今回PS4版の「World of Tanks」も出展されていますが、「WoWS」ではコンソールなどへの展開はどうなるのでしょうか?

柳沼氏: 「WoWS」は2015年にローンチしたばかりのまだ新しいタイトルです。まだまだゲーム内で充実していかなければならないコンテンツがあるので、しばらくはPC版で内容を充実させて、満足を得る結果を残したいと思っています。そのため、現時点ではまだはっきりとコンソール版をやりますとは言えません。

――まずはPC版を安定軌道に乗せてから、次の展開としてコンソールを考えていくということですか。同時展開はしないのですか?

柳沼氏: PC版とコンソールではユーザー層がまったく違うのです。スピード感やプレイ時間、操作性など、そのプラットフォームにあったゲームのバランスがあります。それを考慮しなくてはならないので、まずはPC版でコンセプトが確立してからですね。

――「WoWS」は必要スペックがかなり高めですが、コンソールへの移植で障害にはならないのでしょうか?

柳沼氏: 今出ているコンソールなら大丈夫ではないかと思います。まあやってみるとテクニカルな問題が出る可能性はありますが。1つ難しいのは、ゲームを操作するためのユーザーインターフェイスです。キーボード&マウスで相手の照準を狙うのと、ゲームパッドでは全く違いますから。

――今後は「WoT」のようにeスポーツとしての展開もあるのでしょうか?

柳沼氏: 弊社としてはeスポーツという言葉は1つのターゲットになっています。今後はそこに向かっていくための機能を追加していきたいです。次回のアップデートでチーム戦が入ります。自分の好きな仲間と最大10人でチームを組んで、そのうち7人が出撃する7対7のバトルです。戦いにはレーティングがあって、勝ち負けで上下します。将来的にはリーグや世界的な大会まで持っていければという展望はあります。

――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

柳沼氏: 日本のプレーヤーさんは、アジアの中で3~4割を占めています。私自身いつもプレイしているコアユーザーだと自負していますが、日本のプレーヤーさんは連携が非常に上手です。チーム戦が実装されたら、日本プレーヤー独特の連携の上手さを生かして高いレートを維持していただければと思います。また「WoWS」の中でお会いしましょう。

――ありがとうございました!

(石井聡)