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日本ファルコム、「碧の軌跡Evolution」発売記念イベントを開催

「閃の軌跡II」初出映像など、深い関連性にも注目!

6月8日 開催

会場:会場:新宿ロフトプラスワン

早くも第3回目の開催。笑いが絶えないアットホームな雰囲気で進行

 日本ファルコムは6月8日、新宿ロフトプラスワンにおいて「Falcom jdk BAND Live & Talk Show Vol.3 ~碧の軌跡Evolution発売直前!近藤社長に聞く! 秘められた碧の軌跡と閃の軌跡IIの繋がり~」を開催した。ここでは、代表取締役社長の近藤季洋氏とFalcom jdk BANDリーダーでドラム担当の岡島俊治さんによるトークセッションの模様を中心にお届けする。

 本イベントは、PlayStation Vita用RPG「英雄伝説 碧の軌跡Evolution」の6月12日発売を記念して行なわれたもの。まずは、Falcom jdk BAND(岡島さん:ドラム、小寺可南子さん:ヴォーカル&ピアニカ、水谷美月さん:ヴァイオリン、宮崎大介さん:ギター、榎本敦さん:ベース)によるアコースティックライヴがスタート。冒頭では「飲まなきゃやってられない!」という小谷さんの声で、舞台上に5つのビールグラスが運び込まれる。初のアコースティックアレンジ曲など、インストを中心に全7曲を演奏。セットリストは以下のとおり。

【セットリスト】
1.The Azure Arbitrator(碧の軌跡)
2.クロスベルの午後(零の軌跡)
3.On the Green Road(零の軌跡)
4.Way of Life(零の軌跡)
5.セルリアンブルーの恋(零の軌跡Evolution)
6.MISS YOU(碧の軌跡)
7.碧い軌跡(碧の軌跡)

インスト中心の大人のステージングは貫禄を感じさせる内容となった。最後は「碧い軌跡」で熱く盛り上がった

「アオゼロ」と「碧の軌跡」の関連性 ~「閃の軌跡II」初出映像も~

 10分程度の休息時間の後、近藤社長と岡島さんによるトークセッション前半に突入。「レトロ(ネタ)禁止と念を押されている。まぁ、しゃべりますけどね!(岡島さん)」とギャグをはさみつつ披露されたのが、最初に社内用に提出されたという制作用資料。近藤社長みずから制作したという資料の表紙には「刑事、相棒風に並べた」とふたりのキャラクターが登場。ちなみに社内では、「英雄伝説」シリーズの「零の軌跡」と「碧の軌跡」をまとめて「ゼロアオ」と呼んでいるという。

 「『空の軌跡』を経て『零の軌跡』、『碧の軌跡』を作っており、(設定資料が)かわいげがないというか、スマート。ぶれがない。この時点でデザインなどが結構しっかり決まっている。『空の軌跡』の頃に比べるとスタッフも色々慣れてきていたのかな、と思う。『ゼロアオ』に関しては、スムーズに色々なことが決まったなという印象がある」と当時を振り返る近藤社長。

 運ばれてきたビールグラスを手に「人の世もかくあらん!(乾杯!)」と最前列のお客さんたちとグラスを合わせる近藤社長と岡島さん。スクリーンに投影されたのはキーアの設定イラスト。ここで近藤社長が「キーアが球体に閉じこもっているイラスト。あのイメージから『碧の軌跡』というタイトルが決まった。イラストの碧のイメージが綺麗。わりとキーアを中心にストーリーが進んでいくこともあり『碧色っていいよね』と。単なる青だと面白みがないので、なんとなく深みのある、色々な色にとれる青ってない? となり、みどりの“碧(あお)”があてられた」と説明。

 PS3/PS Vita「閃の軌跡」でのトヴァルの話題では「啄木鳥しんき先生が描く『英雄伝説 零の軌跡 プレストーリー 審判の指輪』があるじゃないですか。あそこでドン! と出てきた感じがあったんですが、あの原作って実は?」と問いかける岡島さんに「ボクが書きました」と答える近藤社長。これには会場から「えーっ!」と感嘆の声があがる。「ぼくひとりの力ではないです。確かにトヴァルというキャラクターを考え、エステル、ヨシュアが出てきて、舞台が帝国。こういう話だったらアリかな? というプロットを書いて啄木鳥さんに投げたら、ばっと膨らませてくれた。(たとえばカーネリアができた瞬間に、トヴァルというキャラクターはまだいなかったわけですよね?)後からでてきました。意外とそういうパターンは多いです」といい、元々は「ゼロアオ」以前、コミカライズの話が持ち上がった頃に考えたものだという。

 「『空の軌跡』の時点で、『閃の軌跡』にいたる複線がずっとはられ続けている。ここまでこうなるというのは、わかっていて作っているわけですか?」という岡島さんの問いに対し「わかっている部分と、あとから決まる部分がある。たとえば『閃の軌跡』であれば、軍人関係は『空の軌跡』を始めたときに決まっていたが、実際作ろうとすると『軍人だと動きにくい』となり、士官学院の生徒ということになった。今やっているタイトルに全力を注ぎつつ、次の次くらいまで考えている」と説明。

 ここで「次の次」という部分に大きく食いつく岡島さん。「(次の次で)そろそろやらなきゃいけない国、ありますもんね?」と水を向けると「でかいのもありますし、色々な勢力もまだまだ。減ったと思ったら補充された組織とか(会場笑)。社内でも『補充するんだ!?』ってみんなでいってる(笑)。選手層が厚すぎですよね」とコメント。「閃の軌跡」の展開も「空の軌跡」を考えたときにはおおまかに決まっていたといい“共和国”も「閃の軌跡」をやりつつ少しずつ形になってきている感触を得つつも、色々な文化圏がまざる共和国を魅力的に描くことは容易ではないとしている。

 続いて上映されたのは、本イベントが初出となる「閃の軌跡II」のゲーム映像。パーティを組むトヴァルとエリゼの姿に、会場から「おおっ!」と驚嘆の声があがる。リィンが戦うシーンでは「服装(ここでは私服)がいつもと違うところに注目してください」という近藤社長。兄弟でのリンクでは「わりとこれは燃えますよ! エリゼが殴られると腹が立つんですよ。この野郎! みたいな」とすかさずコメントを足し、お客さんの笑いを誘う。このほかにも、「閃の軌跡」で謎とされていたリィンの力である裏疾風、アリサとミリアムの新Sクラフトを披露。Sクラフトでは「だいたい2作目になるとインフレを起こす」という近藤社長のコメントに、会場は大爆笑。その時々でスタッフが全力を尽くすため、次の作品でさらに凄い演出を作らなければならないという図式から生じる“ユーザーにとっては嬉しいインフレ”といえそうだ。

 さらに近藤社長は「ゼロアオ」と「閃の軌跡(同II)」の関連性を説明すべく「今日のイベント用に、おとといスタッフと整理してまとめた」という年表資料を提示。「ゼロアオ」と「閃の軌跡(同II)」は密接に話が進んでいくといい、近藤社長は「来週『碧の軌跡Evolution』をお買い求めいただき、それをやりつつ『閃の軌跡II』をお待ちいただけるとストーリーを120%楽しんでいただけるのではないか」とアピールした。

初期制作資料や初公開となる「閃II」ゲーム映像の上映など、中身の濃いイベントとなった

PS Vita「碧の軌跡 Evolution」6月12日発売! ~夏に向けてさらに加速する「英雄伝説」とjdk BAND!~

岡島さんが思わず「(面白すぎて、それに続けて)やりにくいわ!」と叫んだ神藤さんのビデオコメント

 前回も会場を爆笑の渦に巻き込んだ神藤さんのビデオコメント上映後、トークセッション後半がスタート。「碧の軌跡」をプレイして「凄く“軌跡”、近藤社長の作品の空気を凄く感じた」という岡島さん。特にストーリー展開やキャラクターとの絆に言及されると、近藤社長は「(シリーズの)伝統ですよね。『白き魔女』の最終決戦間近に、皆きてくれるじゃないですか。あれは軌跡スタッフのなかでも凄く強く残っていて『どうする?』となる。でも『毎回やってるじゃん! もうやめようよ!』、『でもやらないとしまらない』」とコメント。

 岡島さんを通じて行なわれた「碧の軌跡」に関する質問では、マニアックなコメントが続出。「レインズ記者とR&Aリサーチの関係。リベール人? クロスベルの人間?」では「ズバリは言いにくいが、前述のとおり『碧の軌跡』と『閃の軌跡II』は話がシンクロしている。『閃の軌跡II』が初出となるクロスベルの情報も、もしかしたらあるかもしれない。クロスベルの住人だった人たち、既出のキャラクターに関する新情報もぜひ注目して欲しい」と回答。

 「碧の軌跡」から追加されたキャラクターのプレイアブル化、その昇格理由についてきかれると「リーシャは元々なる予定。ノエルは悩んだ。『零の軌跡』後、『碧の軌跡』を考えるとなったとき最終決定。ユーザー人気もあるし、『零の軌跡』での役割を振り返ったとき、実際に形にしていく段階で『やっぱりこうなったほうがいい』というアイデアも新たに出てくる。そのなかでノエルは1回支援課に入ってもらおう」となったという。クロスベル編をどの程度の規模で描くか、『零の軌跡』の開発終了直前までずっと悩んでいたという近藤社長。ただ、始めてみると支援課のメンバーが「ぼくらになじんだ」と説明。

 「空の軌跡」では「エステルが好き」、「ヨシュアがすき」などキャラクター個々に対するユーザーの声が、「零の軌跡」では「支援課(あの4人)が好き」といった声が圧倒的で「ここまで気に入っていただいたからには、このメンバーが最後に果たす仕事はゼムリア大陸に関わることじゃないとダメだろう」という話から「碧の軌跡」のストーリーが急ピッチに形作られていったと説明。「キーヤをそこまでのものにすると決めたから『碧の軌跡』というタイトルになった」という。

 近藤社長は、タイトル決定について「題字を決めるということは、ゲームを決めるということ。ユーザーさんにゲームの内容を伝えるのが1番だが、ぼくらにとってはそれ以前に“スタッフ”に伝える役目を持つ」と語気を強める。これはファルコム創業者であり近藤社長の師匠でもある加藤会長からの「タイトルを早く決めろ。(あとで)変わってもいいから決めろ。タイトルを決めないとゲーム(の内容)が決まらないぞ」という教えに基づいたもの。語感からくる説得力も大切で、特にファルコム社内では「深みがあり、ちょっとひねっていないとダメ」といわれるほど。ゲーム業界で、ここまでタイトルに重きを置く会社は恐らく他にないだろう。

 「クロスベルの土地のモチーフはあるか?」という質問には、「色々なところがまじっている。『零の軌跡』でイメージしていたのは、色々な共和圏の文化がまざりつつ、混沌とした経済の勢いがありつつ、ダークな部分もある。スタッフがまず名前をあげたのは香港あたり」といい、それを土台にオリジナルの世界観を作り上げていったと説明する。ちなみに、先週「世界で最初に『閃の軌跡II』をクリアした」という近藤社長。既に中身は一通り揃っており、あとは基本的にデバッグ段階とコメント。開発は順調に進んでいるようだ。

 イベントの最後には、さまざまな告知が行なわれた。まずは現在製作中という「KISEKI jdk ACOUSTICS Mizuki Mizutani VS Kanako Kotera」。業界初をうたうハイレゾ録り下ろしのアコースティック作品で「普段のロックなjdk BANDというよりは、今日お届けしたようなアコースティック。少ない楽器編成だからこそ聞き取れる息遣い、ヴァイオリンの弓のすれる感じが凄くよく伝わってくる音源になっている(小寺さん)」とコメント。関連事項では、7月26日に香港で近藤社長と小寺さんのトークショウを開催。9月の台湾公演では、「碧き願い」と「閃の軌跡II」主題歌が全世界初披露されるとしている。

 6月12日発売の「碧の軌跡 Evolution」は、総計3,000名以上に豪華景品が当たる『碧の軌跡 Evolution&閃の軌跡II スペシャル合同抽選会』を、6月28日と29日に東京および大阪にて開催。詳細は告知ページにて。

 今夏の予定では「コミックマーケット86」にブース出展が決定。「碧の軌跡Evolution」サントラ先行発売など、詳細は後日ホームページに掲載。また、前述の近藤社長と小寺さんが香港にいる“真裏”の7月26日には、新宿ロフトで岡島さん出演のイベントが決定。「内容はおいおい考える(岡島さん)」といい、こちらもファンは要注目といえそうだ。

近藤社長いわく「ゼロアオ」と「閃」のストーリーは密接な関係にあるという
明日(6月9日)が誕生日という岡島さんのサプライズバースデー!

jdk BANDは業界初をうたうハイレゾ収録によるアコースティック音源を制作中(上画像最上段・左上)。また、6月12日発売のPS Vita「碧の軌跡Evolution」は「キャラアニ.com」から限定特典つきの各パッケージが発売される。一部すでに販売終了のアイテムもあるが、気になる人はぜひチェックしていただきたい
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(豊臣孝和)