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TGS2013バンダイナムコイベントレポート
「YAPPARI!『テイルズ オブ』スペシャルステージ@TGS2013」
馬場プロデューサーのミニインタビューも!
(2013/9/23 00:57)
TGS2013のバンダイナムコゲームスブースのゲームイベントのラストはやっぱり「テイルズ オブ」ステージ。
まず、バンダイナムコスタジオの馬場英雄プロデューサーが登壇し、10月10日に発売日が迫ったプレイステーション 3「テイルズ オブ シンフォニア ユニゾナントパック」のゲーム紹介や最新映像の公開が行なわれた。
そしてゲストとして。ロイド・アーヴィング役の小西克幸さん、ゼロス・ワイルダー役の小野坂昌也さん、藤林しいな役の岡村明美さんが登場。、スペシャルトーク&スキットが行なわれた。
さらに「テイルズ オブ」シリーズのスマートフォン向けアプリ情報の公開も改めて行なわれた。事前登録受付中の「テイルズ オブ リンク」、そして秋に配信予定のiOS「テイルズ オブ ビブリオテカ」(シリーズのストーリーを追体験できる)、そしてiOSでPSP版をベースにしたプレイが無料(一部アイテム課金)で可能となったiOS「テイルズ オブ ファンタジア」(秋配信予定)、そしてそれにあわせてOVA「テイルズ オブ ファンタジア THE ANIMATION」が本日より無料配信される。
というわけで、あっという間に楽しい45分が終了。最後に「あ゛~!」と転んで時間がなくなったことを告げる小野坂さんのお約束(×2)から、「やっぱり!」、「テイルズ オブ!」の掛け声でイベントは終了となった。
馬場プロデューサーに聞く「テイルズ オブ シンフォニア ユニゾナントパック」
イベント終了後、まさに東京ゲームショウ2013の終わり際に、馬場プロデューサーに「テイルズ オブ シンフォニア ユニゾナントパック」に関して、少々お話を伺った。
――よろしくお願いいたします。まず、「ユニゾナントパック」の企画コンセプトを教えてください。
馬場氏:今回、10年前の「TOS」を現行のハードウェアでもう1度甦らせる、というか、遊んでいただくというところで、10周年という1つのキーポイントだったので、「やろうか」と。僕達のコンセプトとして、10年前のできる限りの「ありのままの姿を現行機できれいに再現する」というやり方を採ったので、なつかしさを感じつつ、PS3で見ていただいて楽しんでもらえるような見栄え、という点で若干手を入れながら開発してきました。
――「TOS」、「ラタトスク」と、オリジナルのリリース時期が違っていて、その時点でキャラクターモデルをはじめグラフィックスも違うレベルになっていますよね。ゲーム内の時間が経過している部分は問題ない、という部分もありつつ、プレイステーション 2版を挟んでいるとはいえ「TOS」をPS3で見せるにあたって、手を入れた部分というのはどのあたりでしょうか? ポリゴンゲームの場合、作り直そうとしたら意外と大工事になってしまいますよね?
馬場氏:今回、基本的な考えは「リメイク」では一切なく、あくまでも昔のものをできる限りそのまま再現するということです。ただ、お話があったとおり、テクスチャーの部分はオリジナルのままでは解像度が厳しいので、イベントなどでアップになる顔などは描き換えたりだとか、背景の部分ですとか、手を入れていますね。モデルなどはほぼいじっていないです。PS3である程度、「これなら当時のものが再現されているよね」というレベルのものにするために調整はしています。
――2つの作品が1タイトルになっているというのは「テイルズ オブ」シリーズでは珍しいですよね。
馬場氏:初めてですね。「テイルズ オブ デスティニー」も「2」とは一緒にしていないので。
――2本を1本に納めよう、というのは、企画の段階ですぐに決まったものなんですか?
馬場氏:1番初めのきっかけが、「TOS」が10周年だから、なにかやりたいね、というところだったんですよ。ただ、他のタイトルも10周年を迎えているものはいっぱいありますし。「TOS」が特別扱いになってしまうのはよくないね、ということもありました。
ただ、「テイルズ オブ ファンタジア」は1番移植された数が多くて、「TOS」はOVAをはじめとした派生商品が1番多いんですよ。そういった意味では、「TOS」はドット絵からポリゴンになって、新しい表現……物語、キャラクターの表現に新しいことができるようになった分岐のところで生まれたタイトルで、この印象が皆さんの中でも大きいタイトルだと思っているんです。だったら、10周年という枠組みの中で、皆さんが大事にしてくれたタイトルをもう1度、温故知新ではないですけれども、昔を知ってもらうとか、もう1回思い出してもらうとか、そういった形でやろうかと。
その中で、「TOS」だけではなくて、「ラタトスク」とセットで「TOS」の世界という部分もあるので、そういった意味では2in1という形で遊んでもらいたいね、と考えました。もう1つは、「ラタトスク」はWiiでリリースしていたので、当時「遊びたいけど遊べなかった」という方も多かった。そういった意味でも1つのパッケージに収めることには意味があるかなと思います。
ただ、制作はすんなりはいかなかったですね。PS3に持っていってすぐに動くというものではないので……ちょっとしんどかったですね。当時の作り方がプログラムソースをきれいに作るだけではないやり方をしていたので。それを見直して、もう1回整え直すという作業もかなりありましたので。実際にPS3で初めて遊べるようになったとき、戦闘のエフェクトの座標がずれちゃたりといったことがあったので……。
――当時はまだハードを直接叩いている時期でもあったんですよね。
馬場氏:そうですね。でも、PS3はあの当時のハードよりはメモリも大きくなっているので、メモリのやりくりは今の方が楽といえば楽ですよね。
――「当時のものを再現性を高くしたものを遊んでもらう」にあたってテクスチャの解像度のお話をうかがいましたが、他にも例えばボイスのクオリティだとか、手を入れようと思えばいくらでも……という気がしますが、他に調整された部分はありますか?
馬場氏:ボイスに関しては、新録音ではなくて、オリジナルのデータをそのまま使う……ただやっぱり、圧縮率の違いだとかもありましたので、調整はしてあります。収録データはそのまま残っていますので。ただ、べらぼうに変わるということはありませんけどね。昔収録したデータなので、収録したスタジオや機材も古いので。でもなるべく音声もいいものに、という形でやってはいます。
――「TOS」がお客さんにとっても分岐点ということでしたが、制作側にとっても同じことが言えますよね?
馬場氏:そうなんですよ。「テイルズ オブ」って、RPGシリーズとしては後発で、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」はもう6本ぐらい出ていて……。僕らは常に全力で走り続けているという状況で、とにかく突き進んでいかないと、周りのRPGに負けてしまうというところがあって、追いかける側なので途切れないようにやっていく、というスタンスで。
そうしてやってきて、いつのまにかタイトル数はかなり多くなりましたが、このぐらいの時期から「シンフォニアチーム」、「デスティニーチーム」といった形に分かれていったんですよね。ただ、キャラクターデザインが「シンフォニアチーム」が藤島(康介)先生、「デスティニーチーム」がいのまた(むつみ)先生というのは、たまたまだったんですよね。偶然そういう順になっていただけで、それぞれのチームにその先生、という話ではなかったんです。
――「ユニゾナントパック」にもシリーズ作の衣装が入っていたりとか、「テイルズ オブ」シリーズのそういった施策は、いつもどういう発想で行なわれているんですか?
馬場氏:「プラスアルファの遊び心」というものをお客さんに提供したい、という考えなんですよ。ただ、PS3やXbox 360ではちょっとした仕様を追加すると、それなりのコストがかかってしまうので、できる限りコストを掛けない範囲で、お客さんが喜んでいるものはなんだろう? ということを考えた時に、例えば「秘奥義カットインはあったほうがいいよね」ということで新規に描き起こしたり、衣装も最近定番ですが、あった方が喜んでもらえるものですし。皆さんに喜んでもらえる、僕らのやれる範囲内の中でのもの、というのが出発点ですね。限られた開発費、期間の中でいろいろやりくりしながら何ができるのか、ということを常に考えています。
今回、「ラタトスク」の「ヘッドチェンジ」は欧州版の仕様を逆輸入する形なので、あれはもともと入っていたものなので……日本の皆さんは遊んでいらっしゃらないので、入れてみようと。
――あれはうれしいんじゃないかなと。さて今日、TGSも終わりましたし、10月10日の発売まで残りわずかですが、ファンの方々に「ユニゾナントパック」のどのあたりを見ていただきたいかを最後に教えていただけますか?
馬場氏:「TOS」、「ラタトスク」を遊んでいただいた方は、もう1度あの感動をPS3の表現の中で遊んでいただきたいと。そしてもう1度思い出しながら、「ロイドたち、エミルやマルタとこんな冒険したよね」とか……、1回読んだ本を持ち出してきて、もう1回読み直すような気持ちで遊んでもらいたいな、と思いますね。遊んだことのない方々には、やっぱり「テイルズ オブ」シリーズの中でも「TOS」は1つの分岐点というか、「テイルズ オブ」シリーズの進むべき新しい表現方法、形を作り上げた第2のステップのタイトルだと思うんです。「TOP」で出来上がった形をさらに進化させたタイトルだと思いますので、そういった歴史を踏まえたうえで遊んでもらえると「テイルズ オブ」シリーズってこんなテーマ、こんなタイトルになっているんだ、ということを知って楽しんでもらえればと思いますね。
――戦闘システムや料理の部分は、「TOS」の時点でそれまでのものと、それからのものがちょうどいい具合にない交ぜになっているような気がします。懐かしい人には懐かしいし、最近のシリーズタイトルしかプレイしていない人には逆に新鮮に見えるかなと思います。
馬場氏:そうですね。昔は材料を集めてから料理でしたから……。そういった部分は、他のRPGでなかった部分ではありますし。良い悪い部分を含めて、1度遊んでいただいて、「僕(私)に合うね」と思えれば、そこからシリーズ作に触れていただきたいですし。
――ありがとうございました。
(C)藤島康介
(C)2013 NAMCO BANDAI Games Inc.