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スクエニ、「トゥームレイダー」ファーストインプレッション
過酷な運命の中、立ち上がり覚醒していくララの冒険を体験!
(2013/3/8 15:00)
スクウェア・エニックスは4月25日発売のプレイステーション 3/Xbox 360/Windows用サバイバルアクション「トゥームレイダー」の体験会と開発者インタビューを開催した。本稿では本作のゲームディレクターを務める。CRYSTAL DYNAMICSのダニエル・ビッソン氏によるゲームの説明を紹介し、本作をプレイした体験を語っていきたい。
ビッソン氏はとてもパワフルな人物で、いかに自分たちが「トゥームレイダー」を力を込めて作ったかを語ってくれた。今回はゲーム冒頭から1時間以上「トゥームレイダー」をプレイすることができた。様々なトラップやパズルをクリアし、狼やスカベンジャーと戦うアクションも体験でき、もがき、苦しみながらも冒険者として素質を開花させていくララへ共感するという体験ができた。そして謎めいたストーリーにもグッと引き込まれた。
PS3/Xbox 360/Windows「トゥームレイダー」は4月25日の発売を予定。価格はPS3版とXbox 360版が7,980円、PC版がオープンプライスとなる。なお、Windows版はSQUARE ENIX E-Store専売商品となっている。
新旧スタッフのせめぎ合いから“再生”したララの最初の冒険
プレイを始める前にビッソン氏は、「トゥームレイダー」の概要について説明してくれた。ビッソン氏自身はこれまでUbisoft Montrealで「Rainbow Six」シリーズや、「Assassin's Creed」1作目を担当し、その後「トゥームレイダー」に参加したという。現在は、CRYSTAL DYNAMICSで「トゥームレイダー」のディレクターを務め、主にゲームプレイの部分を担当している。
「トゥームレイダー」の開発チームには、他にも「Gears of War」シリーズや、「DEAD SPACE」シリーズ、「レッド・デッド・リデンプション」などを手がけた開発者が参加している。もちろん以前のCRYSTAL DYNAMICSで「トゥームレイダー」シリーズを手がけたスタッフも多く、もう1人のゲームディレクターのノア・ヒューズ氏とスタジオヘッドを務めるダリル・ギャラガー氏は旧作スタッフの中心だ。
「トゥームレイダー」は、新しさと以前のシリーズとの“融合”によって生まれたとのことだ。ノア氏は主にシネマティックな部分や、ララの表情、演出などを担当し、これまでのシリーズの要素を強調し、ビッソン氏は新しい作品として様々な要素を盛り込んでいった。革新要素を盛り込もうとするビッソン氏と、旧作の“トゥームレイダーらしさ”をできるだけ守ろうとするノア氏とでリブート作品となる新たな「トゥームレイダー」は生まれた。
今作はシリーズ最新作だが、ビッソン氏を始めとした開発スタッフは新しいIPを1から作り上げるような情熱を込めて取り組んだという。「トゥームレイダー」そのものには深い愛とリスペクトを持って、新たな「トゥームレイダー」を生み出すために力を注いだ。やりたいことを全部詰め込んだ。ビッソン氏自身もこの1年は家にも帰らない日が多かったという。
今作では「ララの最初の冒険」が描かれる。なぜこのような描き方をしたのかといえば、これまでスーパーヒーローとして描かれていたララをもっと身近な存在にしたかったからだという。これまでのシリーズでララはどんな状況でも動じず、2丁拳銃を易々と使いこなすパワフルなキャラクターだった。しかし今作のララは自らの状況を嘆き、悲鳴を上げ、うろたえるなどの弱さが前面に出されている。その感情はプレーヤーに共感をもたらす。プレイすることでララと同時にプレーヤーも冒険家として成長していける作品だという。
今作のララは大学を卒業したばかりの21歳。「邪馬台国」の女王・卑弥呼がどこにいたかを探すために、初めての航海に旅立つ。ララの父親の友人であったロス船長など探検隊を組織し、日本の東南にある「ドラゴントライアングル」という海域を目指すが突然の嵐に船は転覆、ララ達は島に漂着するも、その島は「スカベンジャー」という先に漂着した人々が支配しており、ララ達に牙をむく。混乱の中で、ララはその秘められた冒険家の資質を目覚めさせていく。
今作のララはこれまでのようにおしりや胸が過度に強調されたグラマーな体型ではなく、リアルな女性の姿となっている。また、冒険の最初、ララは傷だらけ、泥だらけで追い回される弱さが強調されているが、中盤では粗末ながらも武器を持ち、傷も癒え前向きさを見せる。そして終盤には様々なツールを身につけ、雄々しくたつララとなる。ビッソン氏は変化していくララの姿に注目して欲しいという。
本作を開発するにあたりチームが大事にしたものが「戦闘」、「探索」、「操作性」の3つで、特に操作性はプレーヤーとララの一体感を強めるために力を込めているという。例えばジャンプでは飛んでいるときも、プレーヤーがスティックを操作すればある程度の姿勢制御ができる。
自然の情景そのままの、複雑な地形でも変に引っかかることなくなめらかに移動できるというところも苦労したという。様々な場所を自由に移動できるというところも意識した部分だ。「自然に見える情景をなめらかに移動できるのは、実はどれだけ大変か、プレーヤーの皆さんは気がつかないかもしれないけど、ここは本当に苦労した。ぜひ気づいて欲しい(笑)」とビッソン氏は語った。
次に「探索」要素だが、パズル的な楽しさを強調するのではなく、プレーヤーの工夫で“気がつく”仕掛けを随所に入れている。火と水の関係性や、重さなどの物理での関係性を意識し、トライアンドエラーで理解していくことで前に進めるもので“現実性”を大事にしたものにしている。プレーヤー自身が発見する楽しさを意識しているという。
「コンバット」はこれまでの「トゥームレイダー」シリーズのものから一新し、再構築を行なっている。これまでは敵をオートエイミングしていたが、今回は自分で狙う必要がある。敵のAIはララの行動に合わせた思考をする。こちらの行動に合わせて回り込んでみたり、急に襲われたときは逃げたりする。複数で攻撃してるときは取り囲むようにも動く。
敵は聴覚や視覚といった方法で情報を共有する。敵同士で会話して情報交換したり、ララの姿を見かけたときその場所に来て確かめようとする。こういった要素は様々なタイトルでの制作の経験から生まれた要素だという。そして今作で最も苦労したのが、複雑な地形での自然な敵の挙動だ。障害物をスムーズに避け、ララを追跡してくるというAIには、完成直前まで作り込んだとのことだ。