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【GDC 2014】進化はホンモノ!「Oculus RIFT」DevKit2試遊レポート

伊達じゃない6DOF&ラグ無し残像無しの好レスポンス。VR内でAR?な体験も!

3月17日〜3月21日開催(現地時間)

会場:San Francisco Moscone Convention Center

大人気ブースとなったOculus VR

 2013年のGDCデビューで一躍全世界のゲーム開発者から熱い注目を浴びるデバイスとなった「Oculus RIFT」。今回のGDCでは大幅改良版となる「Development Kit 2(以下DK2)」がアナウンスされ、さっそく公式サイトにて開発者向けの予約受付が始まっている。

 もちろん、エキスポでも大変な注目を集めていた。前回のGDCでは2時間待ちの行列に発展した反省からか、今回のOculus VRブースでは16台もの試遊用DK2を用意。それでも平均20〜30分待ちという行列ができるほどだったが、筆者は2日間をかけ、2種類のデモゲームを試すことができた。

 はたしてOculus VRが主張する改良点(セッションレポート:http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20140320_640585.html)は本当なのか? それは的を射た改良なのか?DK1を持っていてもDK2を注文する価値はあるのか? そこのところをご報告しよう。

やや重量増も装着性は良好。6DOFで臨場感も上がり、遅延のなさは驚くべきレベル

「EVE: Valkyrie」を対戦プレイ
DK2を装着する来場者
平行移動トラッキング用のカメラ。プレーヤーの斜め前に配置されていた

 Oculus VRのブースでは16台のDK2を用意。それぞれ8台づつがCCP Gamesによる「EVE: Valkyrie」とEPIC Gamesによる実験作「Couch Knights」のデモに割り振られており、それぞれ5分程度の試遊をすることができた。

 まずはDK2そのものの感触からまとめてみよう。2013年の春から出荷された前バージョン(Development Kit 1: DK1)からの大きな違いは、フルHD化、トラッキングの6DOF(6軸自由度)への対応、大幅な遅延の低減の3点になる。トラッキング装置の追加等により重量はやや増しているものの、大型化したクッションのおかげか、装着感は良好。なお、少々無理をすればメガネの上からでも装着できなくもない。

 フルHD化により画質は明らかに向上した。DK1だと画素が大きく小さな文字などが完全に潰れてしまっていたが、DK2ではある程度細かい文字や記号も見える。ピクセル感がなくなったわけではないが、例えるなら50〜60インチのフルHD化大画面を目の前に置いて遊んでいる感じで、画面全体の情報量が上がっているためそれほど気にならない。たとえば「EVE: Valkyrie」では、コックピット内の内装がくっきり視認でき、パイロットなりきり感がさらにアップしているのがいい。

 なりきり感の向上にさらに大きく貢献しているのが6DOF対応だ。従来のDK1では3DOF(頭のXYZ方向の傾き)だけだったが、DK2ではHMDの外殻に埋め込まれたたくさんの赤外線LEDを付属のカメラがトラッキングすることで(VRゲームファンの間では定番のTrackIRと似た方式だ)、プレーヤーの左右、上下、前後の平行移動を検出。3軸の自由度が追加されて6DOFとなっている。

 頭部の移動をトラッキングしてくれるおかげで、コックピット内の臨場感が凄い。サイドの敵を視認するため翼側に頭を傾けたり、屈んで前方下部の計器類に顔を近づけてみたり。現実世界では、例えば自動車の運転中は広い視界を得るために無意識に頭を動かすことがあるが、VR空間内でも全く同じことができるのだ。これはスペック以上に本質的な進化と言っていい。

 ただ、平行移動が正しく認識されるためにはトラッキング用のカメラの視界範囲内にいる必要がある。部屋中を歩きまわるなどの大きな動きはできないと考えていいだろう。基本的に、将来の製品版も含めて「Oculus RIFT」はデスクやソファーに座ってプレイすることを念頭に開発されている。この特性を逆手に取ったのがEpic Gamesの実験作「Couch Knight」だ。

 本作はソファに座って遊ぶ。プレーヤーはVR空間内でもソファに座っていて動けない。その代わり、卓上に現れる小さな仮想キャラクターを操作して遊ぶのだ。VR空間内でAR(Augmented Reality:強化現実)ゲームをやるわけである。“ARゲームを遊ぶ人に100%なりきれるVR”、など、何を言っているのかわからないが、面白いアイディアだと思う。

EPIC Gamesによる実験作「Couch Knight」。VR空間内でARゲームを遊ぶ。コントローラーでキャラクターを操作して対戦。操作感は一般的な見下ろし型アクションゲームと同じだが、ジャンプして対戦相手本体の頭に飛び乗ったり背後に回ったりすると、相手をリアルに混乱させることができて面白い。

「Couch Knight」のプレイ模様。完全主観視点で、前に見えている人は対戦相手
リビング内に小さなキャラが出現!VR空間でARゲームを遊ぶ
敵戦闘機を追う(多分)。ラグ・残像の少なさのおかげで悪酔いもない
レンズは多少大型化されたような?

 話を戻そう。DK2装着の瞬間から感動を覚えるのがラグ&残像のなさ加減である。DK1でもそれなりに低遅延が実現されていたが、DK2ではどの程度の遅延があるのか、集中して頭を動かしまくってもちょっとわからないレベル。この低遅延ぶりによるVR空間とリアルの視界移動のリンクぶりは「Project Morpheus」を超えるレベルかもしれない。

 さらに、OLEDディスプレイ採用&リフレッシュレート75Hz&黒挿入による効果で残像が劇的に低減していて、DK1にあった液晶残像による気持ち悪さがほぼ解消されている。短時間の試遊のため検証はできなかったが、長時間使用時のVR酔いもかなりの程度回避できると思う。

 ただし、この低残像モードでは通常よりも画面が暗く見えるという副作用がある。おおむね輝度が3割減くらいになる印象だ。漆黒の宇宙を舞台とする「EVE: Valkyrie」では問題は感じられなかったが、他のコンテンツではまた別の違和感を生じる原因になるかもしれない。

 これらの改良点を踏まえて、DK1所有者がDK2に乗り換える価値はあるだろうか?大有りだ。完全に別物である。DK2を試遊したあと、他のブースでいろいろとデモされているDK1使用のコンテンツを遊んでみたが、もうなにか映像はガタガタ、ラグも余計に強く感じられ、前時代的に感じられてしまった。これはもう戻れない。

 このように進化したDK2は、最終製品版にかなりの程度近づいていることは間違いない。あとはさらなる軽量化、装着性の向上などが主要なブラッシュアップのテーマだろう。個人的にはさらなる視野角の拡大、「Project Morpheus」でフィチャーされているようなソーシャルスクリーンのサポートなどを期待している。その他、予想を超える改良が待っているかもしれないが、製品版の登場はそう遠くないはずだ。コンテンツ面の充実ぶりも合わせて注視しつつ、その日を待ちたい。

(佐藤カフジ)