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【特別企画】「Oculus RIFT DK2」で覗きこむVRゲーミングの現状と将来

消費者は妥協を許さない。CV1に求められる仕様とは?

消費者は妥協を許さない。CV1に求められる仕様とは?

設定アプリ。レンズ距離の調整、個人毎の身長体型によるトラッキング調整、両目の距離に置いじた視差設定など、重要ノウハウの塊である

 ここまで、ハード面、ソフト面の両方からDK2の使い心地をご紹介してきた。全体的に言うと、DK2ではDK1よりもクリアで遅延や残像感の少ない映像、ポジショナルトラッキング搭載による肉体感覚との適合などの改良により、VR酔いが発生しにくくなっている。この点はCV1に向けて充分な準備が進められているように思う。

 また、VRヘッドセットの映像リフレッシュレートとゲーム映像が同期していることはVR酔いを抑える上で非常に重要だ。上記ではご紹介しなかったが、いくつかの美麗なUnreal Engine使用デモ(公式デベロッパーフォーラムのこのポストから多数アクセスできる)は少なくとも筆者環境ではフレームレートが不安定で、映像が飛び飛びになる瞬間があった。そのたびに感覚が狂わされ、それが積み重なって悪性のVR酔いに発展。長時間の使用は無理だった。

 ただ、この問題は非常に重要だ。CV1は解像度とリフレッシュレートのさらなる向上が確実視されているが、その際、ホストコンピューターの能力がついてこれなければ“VRゲーミング=吐き気”という印象が市場に定着してしまいかねない。

 このため、パネル解像度が高められてもなお、非力なコンピューターでも充分なフレームレートを出せる仕組みは必要だろう。前述したが、エッジ補完に優れた超解像チップの搭載がその筆頭候補だ。これさえあれば、スマホレベルの処理系でも現実的なVRゲーミングが視野に入る。

 ゲーム側としても、75fps(もしくはCV1の90fps)を確保するためにユーザーにいろいろ微調整させるようなものは消費者向けではないので、ターゲットフレームレートを基準として自動的に品質調整を行なう機能は必須になるはずだ。これは共通仕様化するならゲームエンジン側の対応が必要となるが、すでにOculus VRはゲームエンジン各社と緊密に連携してソフトウェアの開発を進めている。ここはあまり心配しなくても大丈夫だろう。

 また、前述した網目感、解像感の不足、色収差の補正、本体重量のバランスなど、コンシューマーVRの実現に向けてさらに品質を上げるべきポイントは数多い。だが、理想のVRを目指すOculus VRの開発メンバーなら、きっと筆者のような素人が考えるよりもずっと先を見据え、ひとつの妥協もないVRヘッドセットの開発を進めてくれているはずである。

 CV1が理想型に近いものとなれば、あとはゲーム開発者の仕事だ。少なくとも酔いにくい設計(自キャラの基準点が常に視界内にある、むやみにカメラを揺さぶらない等々)は必須として、その先、VRゲームならではの面白さというものをどんどん掘り進めていくことだろう。その鉱脈は有望だ。課題も多いが、VRゲーミングの未来は明るい。ゲームファンである筆者は、その未来をワクワクして待つばかりだ。

(佐藤カフジ)