【特別企画】

4,999円チェアで業界を震撼させたイケアの最新ゲーミング家具がもの凄かった

スタンディングまでいける電動ゲーミングデスク、背もたれの高さ調整が嬉しいゲーミングチェア

【UPPSPEL/ウップスペル ゲーミングデスク】

2021年10月発売予定

価格:79,990円より

【GRUPPSPEL/グルッスペル ゲーミングチェア】

2022年1月発売予定

価格:未定

 2021年4月に突如、ゲーミング家具の分野に参入し、ゲーミングチェアをいきなり4,999円で販売し、文字通り業界関係者を震撼させたイケア。そのイケアが満を持して東京ゲームショウに初出展し、ゲーミング家具第2弾をお披露目した。さっそく体験してきたのでインプレッションをお届けする。

【イケアブース】
常に多くの人で賑わっていたイケアブース
取材に協力していただいたイケア・ジャパンのプセノクルスラン氏(左)と、志村紗理氏(右)
ゲーミングチェア界に価格破壊を巻き起こしたゲーミングチェア「HUVUDSPELARE/フーヴドスペラレ」(4,999円)も展示されていた。ちなみに現在品切れ中で買えない

 今回イケアは、ゲーミング家具のビジョンを示す、“ゲーム部屋”を2セット展示していた。1つは、コアゲーマーの部屋をイメージしたダークかつクールなゲーミングルーム。もうひとつはホワイトで統一された、女性ゲーマーの部屋とでも言えそうな明るいゲーミングルーム。これらの展示は、イケアがターゲットとしているユーザーが、ゲーミングギアを買いそろえるようなコアゲーマーばかりではなく、ゲームに興味のある女性やライトゲーマーまで幅広い層までをカバーしたい考えであることがわかる。

【イケアのゲーミング家具】

 その数20種類以上で、いずれもASUSのゲーミングブランド「ROG」とのコラボにより誕生したものだ。チェアやデスクといったポピュラーなゲーミング家具だけでなく、キャスター付き引き出しユニットから、キャビネット、リングライト、フロアプロテクター、有孔ボード、リングライトに到るまで、家具屋の領域を若干はみ出しているアイテムも含まれ、「こんなものも取り扱っているのか」というぐらい守備範囲が広い。ブースフォトに写っているアイテムは、フィギュアやマウスといった一部を除いて実はほぼすべてイケアが取り扱っているゲーミング家具なのだ。「いつのまにこんなに出していたのか」というのが正直な感想で、イケアは我々ゲーマーにひたひたと忍び寄っている。

 そんなイケアが今回発表したのは、ゲーミングチェアとゲーミングデスクの新モデルだ。ベーシックなアイテムはすでに4月の時点でそれぞれ発売しているため、今回はその上位モデルと言える高機能モデルとなっている。

ゲーミングデスク「UPPSPEL/ウップスペル」と、ゲーミングチェア「GRUPPSPEL/グルッスペル」

 リリース順に紹介していこう。まず2021年10月発売予定の「UPPSPEL/ウップスペル」は、ゲーミングデスクの付加価値としてもはや欠かせない「高さ調節機能」を備えたゲーミングデスク。ゲーミングデスクというと、国内大手のバウヒュッテをはじめ、GTRACING、ハーマンミラーなど、各社が新製品を投入している激戦区だ。最近は、用途や使い手、気分に合わせて高さを調整できるゲーミングデスクも増えているが、比較的安いものは手動で、デスクの上を綺麗に片付けてから操作するという一手間が必要で、デスクにアイテムを置いたままだと、そもそも重く、故障の可能性があるなど、使い勝手が良いとは言いがたい。一方で、電動モデルは、ハーマンミラーのオーグメントレシオゲーミングデスクのように目が飛び出るほど高い(223,390円)かの2択で、実は導入へのハードルが高いゲーミング家具のひとつだ。

 「UPPSPEL/ウップスペル」は79,990円と、8万を切る絶妙な価格設定で、電動昇降機能を備えている。素材はデスク部分が硬質なファイバーボード、土台はスチール製で、何より嬉しいのは横幅がたっぷりあることだ。140cm、180cmの2サイズ構成で、奥行きは80cm。デスクの横幅は実に多種多様だが、100cm~120cmはゲーム用途としては狭い。必須アイテムであるモニターが24インチで約60cm、最近増えている32インチで70cmを超える。これにゲーム機やPC、スピーカーを左右に広げていくことを考えるともう少しゆとりが欲しいところだ。

【UPPSPEL/ウップスペル】
ウルトラワイドモニターを置いてもまだ余裕がある横幅180cmの横長デスク
こちらがコントローラー。上下ボタンで操作。1~4の数字ボタンは72、84.8、100、120cmがあらかじめプリセットされている
床からデスク背面を見たところ。電動昇降ユニットは背面に格納されている
ゲーミングデスクらしく、ケーブルをバインドできる仕組みも取り入れられている

 イケアブースに展示されていた「UPPSPEL/ウップスペル」は180cmモデルで、横幅たっぷりで、しっかりとした剛性があり、右袖のコンソールのボタンを押すことでワンタッチで72cmから120cmまで高さを変えられる。耐荷重は70kgと、ゲーミングPCにゲーミングモニター、ゲーム機数台、ゲーミングデバイス一揃いを全部足していってもまだ余裕があり、たっぷり置くことができる。

 日頃はゲーミングチェアとともに72cmの高さで使いつつ、腰が痛くなったらデスクに載せたゲーミングギアはそのままに120cmに高さを変えて、スタンディングで使う。スタンディングに疲れたらまたワンボタンで戻す、というゲーマーにとってはまさに夢と言える使い方ができる。ちなみに180cmモデルで価格は84,990円。「これは欲しいなあ」と思わせてくれた電動ゲーミングデスクだ。

【電動昇降機能】
72cm
84.8cm
100cm
120cm

 そしてゲーミングチェア「GRUPPSPEL/グルッスペル」もかなり良かった。ゲーミングチェアというと、クルマのバケットシートを彷彿とさせる奇抜なカラー、牛皮シートが代名詞で、プロゲーマーに憧れるコアゲーマーならともかく、女性やライトゲーマーには少々敷居の高い存在だ。こうしたイメージを近年ハーマンミラーが粉々に打ち破ってくれたが、20万円を超える価格設定になっており、ゲーミングデスク同様、ほいほい手を出せる代物ではない。

 「GRUPPSPEL/グルッスペル」が優れているのは、コスパ以前の問題として通常の家具と綺麗に溶け込んでいることだ。ぱっと見では、デザイン性に優れたお洒落なオフィスチェアにしか見えない。基本カラーはグレー/レッド、ホワイト/ブラウン、ブラックの3色で、ファブリックはちょっと堅めのソファのようなポリエステル100%で、クッション性が高く座り心地が良い。ブラックのみファブリックに銀面牛革が使われており、上位モデルという位置づけになっている。

【GRUPPSPEL/グルッスペル】
グレー/レッド
ホワイト/ブラウン
ブラック。これのみファブリックが異なる
イケアのゲーミングチェアたち

 商品としてはポリエステル製の座面、背もたれ、リストレスト、樹脂製のヘッドレストという構成で、座面こそ、基本的な高さ調節機能のみだが、他の箇所は機能豊富だ。背もたれはリクライニングに加えて、“高さ”を変えられる。背もたれはボディラインにフィットするように緩やかな流線型を成しているが、この高さを変えることによって、背の低い子どもや、逆に背の高い方でも、最適なフィット感を得られる位置に背もたれを調整できる。

【背もたれ&ヘッドレストの高さが変えられる!】

 これは地味に非常にレアな機能で、背もたれに両手を回して、高さを調整できる感覚が新鮮で良かった。ヘッドレストも高さと奥行きの調節が可能で、こちらも座高や好みに合わせて細かくヘッドレストの位置を調節できる。リストレストは、高さ、奥行きに加えて、角度を変えることができ、リストレストに手を預けたい人にはとてもありがたい機能といえる。イケアのゲーミングチェアの中ではもっとも機能豊富で、イケアのオフィスチェア全体でもここまで豊富な調整機能を備えたチェアは少ないという。

 気になる価格は、2022年1月の発売時に公開としている。筆者が何度か食い下がったところ、担当者がこっそり耳打ちしてくれたが、4,999円チェアのイケアらしい攻めた価格設定で、4,999円チェアと同様に品切れ続出になるのは間違いなさそうだと感じた。

【その他の調整機能】
リストレストの奥行きの調整
リストレストの高さの調整
リストレストの向きの調整
ヘッドレストの奥行きの調整

 若干褒めすぎた気もするので最後に補足しておくと、イケアのゲーミング家具の安さは、キチンとした理由がある。それは自身で組み立てる必要があることだ。ゲーミングチェアも、ゲーミングデスクもすべて自身で同梱の六角レンチを使って組み立てる必要がある。ゲーミングデスクの場合は、ドライバーや電動ドリルがあった方が良いということで、チェアよりさらに複雑な組み立てが必要となる。購入を検討する場合は、くれぐれも全部自分で組み立てる必要があるということを頭に入れておきたい。

 イケアとしては今後もROGと協業しながら、ゲーミング家具のラインナップの拡充に力を入れていくという。これらゲーミング家具は、近日中に店舗での展示も始まるということで、ぜひご自身でトライしてその良さを確かめて見て欲しい。ゲーミング家具メーカーのイケアには今後も引き続き注目していきたい。