インタビュー
【特別企画】「S.H.MonsterArts ゴジラ(1964)出現Ver.」、原型師・酒井ゆうじ氏インタビュー
「ゴジラは全部好きだけど、モスゴジは何より、格好いいですよ」
2015年7月16日 16:00
- S.H.MonsterArts ゴジラ(1964) 出現Ver.
- 10月発売予定
- 価格:7,344円(税込)
- S.H.MonsterArts キングギドラ
- Special Color Ver.
- 12月発売予定
- 価格:13,800円(税抜)
怪獣やモンスターをアクションフィギュア化する「S.H.MonsterArts」の最新製品となる「S.H.MonsterArts ゴジラ(1964) 出現Ver.」。この製品は、魂ウェブ商店で2013年7月に販売された「S.H.MonsterArts ゴジラ(1964)」のリペイントバージョンとも呼べる製品で、1964年放映の劇場映画「モスラ対ゴジラ」で、土中から現われ、背中に砂埃を被った印象的なゴジラを表現している。
本作を含め、「S.H.MonsterArts」のゴジラシリーズの造形・彩色・監修を手掛けているのは、ゴジラ造形の第一人者、酒井ゆうじ氏だ。これまで海洋堂や自らが主宰する「酒井ゆうじ造形工房で、数々のゴジラ造形(フィギュア)を生み出してきた酒井氏に、今回、ゴジラに対するこだわりや、この「S.H.MonsterArts ゴジラ(1964) 出現Ver.」、そして次回作である「S.H.MonsterArts キングギドラ Special Color Ver.」についてインタビューした。
また、酒井氏が手掛けた原型をスキャンして作られたCGの怪獣たちが登場する、7月16日発売のプレイステーション 4用超破壊特撮 VSアクション「ゴジラ-GODZILLA-VS」の酒井氏の感想も聞いてみた。合わせて紹介したい。
フィギュア映えするように、頭を実物よりわずかに小さく造形した「ゴジラ」
酒井氏がゴジラにはまるきっかけとなったのは、小学生の頃に見た1964年公開の「三大怪獣 地球最大の決戦」だったという。映画公開前に友人の家で見せてもらった絵本に載っていたゴジラやモスラの存在に衝撃を受け、映画館の前に貼ってあるポスターをスケッチブックに模写する子供時代を過ごしたそうである。
やがて大学卒業後にガレージキットの存在を知り、自分のイメージ通りのシーンを立体で再現するために、広告代理店に勤めながら趣味でゴジラの造形やゴジラヘッドなどを作り始めたのが、現在の造形師になるきっかけだったという。
今回発売される「S.H.MonsterArts ゴジラ(1964) 出現Ver.」は、酒井氏がゴジラの中でも特別に思い入れがあるという、「モスラ対ゴジラ」に登場した通称「モスゴジ」と呼ばれるタイプだ。作品ごとにタイプが異なるゴジラの中でも、均整が取れたプロポーションで、猫科の動物のような顔と、まゆ毛のようにも見える目の上のふくらみが特徴だ。
このモスゴジは酒井氏自身も数多く立体化してきた、1番好きなゴジラだという。「ゴジラは全部好きだけど、モスゴジは何より、格好いいですよ」と酒井氏は笑顔でコメントした。
「S.H.MonsterArts ゴジラ(1964) 出現Ver.」の原型制作時に意識したのは、まずそのシルエットだと酒井氏は語った。モスゴジの着ぐるみの実物は頭が大きく、そのままフィギュアのサイズに縮小すると見栄えがよくないので、実物よりも少し頭を小さくして、フィギュア映えするようにデフォルメしているのだという。また普段は口を開けているイメージが強いゴジラだが、劇中でわずかに見せた「口を閉じたときのシャープな顔つきも見てほしい」と、酒井氏はアクションフィギュアならではの魅力も挙げた。
酒井氏がこの「S.H.MonsterArts」を手掛けるときは、ガレージキットと同様に固定の立ちポーズで原型を制作し、それをもとにバンダイ側でアクションフィギュアとして可動させるための設計を行なっていく。
このときに可動域を加えたことで原型のシルエットが崩れないよう、酒井氏は監修していく。この時、お互いが納得するところまでやりとりが続けられることとなる。「私が口を出すとコストが上がる」と笑って話していた酒井氏だったが、バンダイ側としてはコストは価格に直結するため、お互い容易に譲るわけにはいかず、ときには言い合いになることもあるという。
もちろんこれは両者がいいものを作ろうという意気込みの表われで、決して悪い雰囲気ではなく、こうしたやりとりも含めて「バンダイさんとの仕事は楽しい」と酒井氏は語った。
2013年に発売した「S.H.MonsterArts ゴジラ(1964)」は、「モスラ対ゴジラ」のゴジラ出現シーンのスチールを参考にして原型を作ったという。今回の「出現Ver.」の塗装はまさに「出現シーン」を再現したものであり、よりコンセプトに近づいた商品となっている。実際のシーンでは、出現直後はもっと砂埃が多く、その後体を震わせて砂埃を払い落としたところをイメージしている。この砂埃を表現した塗装についても、酒井氏自らがサンプルに塗装したものをそのまま量産する形で製品化される予定だ。
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