インタビュー
【BFG 2013】「PsychoBreak」プロデューサー木村雅人氏インタビュー
次世代機への対応を開始! PS4/Xbox One版は1080pで提供
(2013/5/28 23:00)
4月19日に衝撃のデビューを遂げた“Project Zwei”こと「PsychoBreak」。サバイバルホラーで一時代を築き上げたゲームクリエイター三上真司氏によるファン待望の新作サバイバルホラーとなる。
今回のイベントでは、2014年発売予定のタイトルということで試遊は行なわれず、プレゼンテーションとインタビューのみだった。また、ディレクターの三上真司氏は多忙のため出席せず、代わりにプロデューサーの木村雅人氏が参加し、デモやインタビューを行なった。
デモは、4月15日に日本でメディア向けに行なわれたものと同じ内容だった。違いはビルドが新しくなってグラフィックスがDirectX 11対応になり、PC版はもちろんのこと、いわゆる次世代機への対応を完了したバージョンが公開されたことだ。木村氏によればどこが違うと具体的に説明するのは難しいがシェーダーがリッチになり、ライティングや雨の表現などが進化し、それに伴い、必要とするハードウェアのスペックも上がっているという。今回はデモの後に実施された合同インタビューの模様をお届けしたい。
三上氏のこだわりが感じられるゲーム性をさらに深く掘り下げる!
――海外メディアの反応はどうだったか?
木村雅人氏:かなりポジティブ。海外ではサバイバルホラーは弱まっているジャンルだと考えられているので、この作品は楽しみだと言ってくれるメディアが多かった。
――デモシーンの途中で、ベッドの下やロッカーにアイコンが表示されたがあれは中に入れるという意味か?
木村氏:そのとおり。ロッカーの中に入る、ベッドの下に潜るという「隠れる」要素がある。ちなみにデモのシーンではベッドの下に潜ってもあまり意味がない(笑)。もちろん、潜るということに意味があるポイントも一杯ある。たとえばザコ敵に追いかけられているシーンで、弾薬があまり無いときにベッドに隠れてやり過ごすことで、弾薬を節約できるみたいな。
――4月から現在までの1カ月間にどのような進化を遂げたのか?
木村氏:大きい変化はない。というのも、これらのデモはE3版として作ったものだから。ただ、内容は大きく変わってないが、NextGenのテクノロジーを使ったものになっている、並べなければわからないがビジュアル的に進化している。それともちろん、ゲーム本編の開発はいろいろ進捗がある。それはまた別の機会にお見せしたい。
――id Tech 5は標準でDirectX 11に対応したということだが、何を持ってNextGen対応としているのか?
木村氏:メモリなどのハードウェアのスペックが違うのがひとつ。それからシェーダーがリッチになっている。
――id Tech 5を採用した理由は?
木村氏:ひとつはグループ内のスタジオが持っているエンジンで、性能が凄く良いから。もうひとつは三上の作り方に関係してくる話だが、三上の作り方はライブ感溢れるというか、随時作り替えながら良いものを模索していくので、プランナーがトライアンドエラーができるツールが揃っているエンジンが良かった。id Tech 5はレベルデザイン用のツールがしっかりしていてそこが魅力的だった。もともとFPS用なのでTPSには適さない部分もあったが、そこは改造を加えて使った。
――id Tech 5をカスタマイズした部分というのはアニメーションの部分か?
木村氏:そう。あとは我々が作っているのはサバイバルホラーなので、明るい部分、暗い部分をよりディープに表現したかったので、シェーダーにカスタマイズを加えた。
――海外のメディアの質問に、敵のAIがスクリプトベースなのかというものがあったが、AAAタイトルにおけるストーリードリブンのAI制御がキーワードになっている。敵との罠の仕掛けあいはどういうものか、そのベースとなるAIはどのようなものかといったことが知りたい。
木村氏:先ほどの海外メディアからの質問は、ゲームの流れの中で、1本道のスクリプト的な展開なのか、自由に動き回れるのかという質問だったが、その答えは両方ある、が答え。ここはこういう感情を起こさせたいからスクリプト的な処理にするのか、あるいはここは探索であったり、トラップを使って突破してほしいところはAI制御になっている。敵のAI制御はかなり力を入れていて、ゲームを進めていく上で、そのゲーム体験は変わっていくようになっている。たとえば、これまでやってこなかった連携を取ってきたり、トラップを使ったり、こちらが設置したトラップを解除したりするようになっている。
――それはたとえばノーミスでプレイし続けていると、敵が強くなるような動的な難易度調整はしてるか?
木村氏:難易度の調整についてはまだ確定していないが、そういうのは入れて行きたいという話はしている。
――デモで敵を倒してマッチで火を付けるシーンがうまくいかなかったが、あれはなぜうまくいかなかったのか?
木村氏:前回はうまくいったが、今回は敵がアクティブな状態かどうかを距離や角度や音で見極めていて、その最終調整がまだ終わっておらず、敵がなかなかスキを見せず、アクティブなままだったのでうまくいかなかった。
――それでも結構、銃撃はヒットしていたような気がするが。半月板の一部分にしかダメージポイントがないとか?
木村氏:そんなことはないが、撃った場所にもよるが彼は元気だった(笑)。
――それと関連して部位破損によるゲーム性の変化についてだが、「Dead Space」シリーズのように敵の足を撃って足止めするといった戦術は「PsychoBreak」で可能なのか?
木村氏:ウチの作り方として、何か制限を設けて、その中で作って行こうというものではなく、まずは突き抜けたものを作ってしまおうという考え方があるので、部位欠損などによる影響はあまり考えずに作っている。部位欠損が入ることによって、マイナスがあってしまうのは本意では無いので、のちにおさえていくような形になるかもしれない。
――部位欠損という表現の問題はわかったが、破損によるゲーム性の変化について聞きたい。
木村氏:欠損かどうかにかかわらず、そういう要素はある。その表現として欠損させるかどうかはまずは作りきってみようという考え方。いま可能な表現で1番わかりやすいものを採ってみようという考え方。今だと頭ふっとんでいるが、これは最終的にどうなるかはわからない。
――それでは冒頭のチェーンソーを持つ男の演出も変わる可能性はある?
木村氏:ある。それは我々というよりも上の判断になるかもしれないが、そのシーンだけあえて見せないとか、表現の仕方は色々な方法があるので。実際、いまでも斬られている瞬間は見えないようになっている。
――モンスターの名前は何と呼べばいいのか?
木村氏:特にない。あえて言えばクリーチャー。何かわかってしまうようなことはしたくない。
――画面は映画のような横長表示になっているがあれは意図的なものか?
木村氏:三上のこだわり。あの見せ方によってゲームとしてのメリット、ホラーとしてのメリットがあると考えている。画面が締まる。隠れたりなどのスニーク要素でのぞき込みやすいとか、色んな理由がある。
――効果音はどのように作っているのか?
木村氏:音は直感的なものなので、音によって「今こうなっている!」というのがわかるように作っている。作り方は単純に斬ったり何したりというのを物理的にやって録っているところもあるし、音の素材集から採ってきて改造して使っているものもある。
――ホラーゲームはヒロインがシャワールームで脱いでなんぼという風に理解している(笑)。女っ気が足りないのではないか?
木村氏:今回プレーヤーチェンジはない。同僚のジョセフと、女性の部下のキッド、ジュリー・キッドマンはプレーヤーとして操作することはないが、様々に主人公と絡んでくる、助けてもらうこともあるし、反目しあうこともあるなど、コアに関わってくる。