インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

ログイン制限の顛末と対策を聞く。1ワールド8,000人、同接50万人体制を構築して怒濤のパッチ2.1へ

8月27日発売

価格:
3,300円(PS3通常版)
10,290円(PS3コレクターズエディション)
オープンプライス(Windows PC版)
利用料金:1,344円(エントリー、30日)

1,554円(スタンダード、30日)
4,347円(スタンダード、90日)

 先月、満を持して正式サービスがスタートした「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」は、既報のように、スクウェア・エニックスの予想を遙かに上回る人気で、正式サービス直後から断続的にログイン制限が行なわれ、クライアントの販売も中止するという緊急事態となった。とりわけ8月27日から2週間ほどは、多くのユーザーが満足に遊ぶことができず、新規キャラクターの作成すら行なえない有様となり、プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏が謝罪し、無料期間を1週間延長するという補填措置まで行なう事態となった。

 “ログイン合戦”華やかなりし頃は、ワールドからログアウトすると、次回いつログインできるかわからないため、ログインしたまま実生活を送るという笑い話のようなエピソードも生まれたが、こうした状況は9月12日のメンテナンスに前後してほぼ解消されることとなった。“火事と喧嘩は江戸の華”ではないが、“サービス開始直後のログイン合戦とRMTシャウトはMMORPGの華”であり、それらは人気MMORPGでは必ず発生することであり、もし今後同様の事態が発生しても、余裕を持って対処したいところだ。

 今回は東京ゲームショウ2013に合わせて実施されたインタビューをお届けする。当初の予定では、先日の「SCEJA Press Conference 2013」で2014年2月2日よりβテストが開始されることが明らかになったプレイステーション 4版と、同時平行して開発されているDirectX 11ベースのPC版、そして年内に実装が予定されている初の大規模アップデート「パッチ2.1」について深掘りする予定だったが、急遽、ログイン制限の顛末とその抜本的な対策について多くの時間を費やした。

 インタビュー前編では、このログイン制限の顛末と対策に関する話題を中心にお届けし、後編ではもともとの本題であるPS4版、DirectX 11版、そしてパッチ2.1についてお届けしたい。なお、インタビュー後編は、東京ゲームショウ期間中に予定されているプロデューサーレターLIVEの影響で、掲載は9月21日となる。あらかじめご了承いただきたい。

ログイン制限の顛末と対策について。9月12日のメンテで同接50万人体制を構築

「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏
何十万人の人が直面した通称「1017」の画面。いきなりこの画面もあれば、キューに積まれた後でこれというパターンもあり、多くのMMOファンの前に立ちはだかる強敵となった

吉田氏: まずはお忙しい中ありがとうございます。この3年間、「旧FFXIV」のハードなローンチがあり、その後新体制がスタートしてから「FF」ファンの皆さんと、「FFXIV」プレーヤーの皆さんと、そしてメディアの皆さんに公平なジャッジをしていただいて、ここまで来られたと思っています。まずはその御礼をさせてください。ようやく8月27日に無事ローンチを迎えることになりましたが、ここまで約2週間は本当に想定外の集客状況になってしまって誠に申し訳ありません。

 現状をお知らせしますと、すでにNAとEUのデータセンターに関しては、ほぼ100%で全員が制限なく遊べている状態です。NA/EUについてはタイムゾーンがバラけるため同接(同時接続者数)が15万張り付きでずっと24時間回っているような状態です。日本に関しては午後9時から午前0時までが完全にピーク状態で、そこでまだ一部の過密なワールドに関してはログイン制限がかかりやすくなっている状態です。9月12日のメンテナンス明けに5ワールドを追加して、コンテンツファインダー(CF)のグループをJPで3分割、NA/EUで3分割しました。これで安定してワールドが随時足せる状態になりました。コンテンツ専用のワールドもかなり足したので、メンバーは揃っているのにコンテンツが空かなくて待ち状態になる、というのも解消されると思います。

 おそらく、9月12日のメンテナンスで日本はまた同接が5万くらい上げられると思います。あとは各ワールドのログイン上限も引き上がるので、超過密ワールド以外はほぼログイン制限はかからないと思います。ちょうど今週が3連休なので、金土日の状態を見せていただいて、早ければ火曜からダウンロード販売を再開、おそらく翌週には出荷も再開、おそらくその週末にはパッケージの出荷も再開できると思っています。ですので、パッケージが買えないという方にもお待たせしましたという状況が、やっと作れると思っています。

――今回のメンテナンスで、同時接続者数がさらに増えるということですが、これまでの最大の同接数はどれくらいだったのですか?

吉田氏: 公表している32万5,000人がキャパシティMAXで、あれ以上になると破綻するので、潜在的には40万人近いところまでアクセスが来ていたと思いますが、全体がパンクすることを避ける判断をしました。

――ピークタイムをそれぞれ足したマックスのポテンシャルはどのくらいでしたか?

吉田氏: 正式サービス開始2週間内は、たぶん60万人くらいですね。

――今回のサーバーアップデートによって全ワールドのキャパシティはどれぐらいになるのですか?

吉田氏: 限界までやればたぶん約50万人くらいまではさばけるのではないかと思います。

――50万人! 今回のメンテナンスで、そこまで設備を拡張したのですか?

吉田氏: そうですね。バックエンドのキャパシティは大丈夫で、あとはコンテンツワールドのメモリ効率の様子を見ます。ただ、前述した同接32万5,000人という数字は、あとで入れないかもしれないから入っておこう」という心理が働いての数字なので、もう少し落ち着いてくるはずです。9月4日の前回のメンテナンスでNAとEUに関してはかなり安定したおかげで、NA/EUについては、出勤前にログインしっぱなしにしてから会社に行こう、といったことが収まって綺麗に回り出しているのです。

 その事象が今度は日本でも発生すると思います。常に入りっぱなしにしておこう、という心理が少しずつ減っていって、自分の遊びたい時間に遊べるから、別に無理してずっとログインしている必要はない、ということを体験していただければ、同接が少しずつ下がって、ログインしたい時に、ログインが可能な状態になります。ある意味適正な同接になって、全体としては下がるけれど、入れていなかった人たちが入れるようになるので、ちょうどいい同接になるのではないかと思います。

――今回のメンテで、1ワールドのキャパシティはどのくらいまで拡張したのですか?

吉田氏: 前回9月4日のタイミングで、実はCarbuncleだけを8,000人まであげたのですが、ここが限界だなという感触ではあったので、8,000人です。

――なぜ8,000人が限界なのですか?

吉田氏: ゾーンの限界に当たるからです。現在1ワールドが30くらいのゾーンで構成されています。ほとんどのゾーンは問題にはならないのですが、都市に隣接しているゾーンが収容数限界になります。モンスターと初期プレーヤーと、これから移動しようとしているレベルの高い人がカチあってしまう傾向があって、1ゾーンで800人を超え出すと、かなりラグが発生しやすくなるので、快適さのために限界を定めています。

――9月12日のメンテナンス前までは、ログイン制限がかかっている状態では、ログイン待ちのキューにすら入れず、完全にはじかれてしまうことが断続的に発生していましたが、あれはなぜですか?

吉田氏: 今日、実はまさにそこについての説明をフォーラムにポストしたのですが、キューが積まれている時は、僕らがそのワールドにログイン制限をしていない時なのです。ログインサーバーは、プレーヤーの皆さんが、どのワールドにログインするかというコネクションをつなぐ役目をしているわけですが、そこに凄まじい人数が同時にログインしようとして、同時に処理をしている。当然ログアウト処理も同時にやっているので、そこがすべて同一タイミングできたものを一気に処理しようとすると、処理能力を超えてしまいます。順番にリクエストを積んで、8人とか10人とかを順番にさばいていくというのがキューの考え方です。

 キューが積まれた場合は、ログインサーバーでセッションをずっと貼り続けています。さすがに毎秒更新していると、尋常じゃない負荷になってしまうので、1分とか30秒とかに1回、たとえば「中村さんの状態が更新されました」とか、「ログインできました」という風に順次更新しています。ログイン制限をかけているワールドは、制限がいつ解除できるか僕らも予想できないわけです。ログインしているプレーヤーの皆さん次第になってしまうので。1分後に入れるかもしれないし、6時間続くかもしれない。

――なるほど、ワールドが満員なので、誰かがログアウトしてくれないことには、キューにすら積めないわけですね。

吉田氏: キューを積むことは物理的に可能なのですが、ログインから下手をすると何万人という人のセッションを貼り続けていなければいけなくなります。それが1ワールドだけならいいのですが、全ワールドで発生すると、待機列10万人とかになってしまって、そうなるとログインサーバーがその人たちから常時アタックを受けている状態になり、ログインサーバーがダウンしてしまうようなことになる。すると全員のプレーヤーが入れなくなるし、キューもリセットされてしまう。待ったあげくに全員が解散という状態になってしまいます。ですのでログイン制限がかかった場合は、キューは積めないという仕様になっています。

――今夜(9月12日)のメンテナンス開けからそういったこともすべて解消されると考えていいわけですか?

吉田氏: 超混雑ワールドは物理限界があるので、もしかするとまだ制限が掛かることがあるかもしれません。

――レガシーサーバーよりも、新規サーバーのほうが混雑している印象がありますが、あれはなぜですか?

吉田氏: それは単純に新規のプレーヤーの皆さんが、新規ワールドでプレイされているからだと思います(笑)。ですが、想像以上にRidillやDurandalにも新規の方がキャラクターを作って遊んでくださっているので、それほど差はないですよ。レガシーの皆さんが、お友達を呼んでくださったのかなと、思っています。今現在は、突出してCarbuncleに人が多く、全サーバーでナンバー1です。

――それはなぜですか? 有力なコミュニティが存在したのですか?

吉田氏: たぶんワールド名かなと。

――それとは別に、テレポが片道切符になっていて、テレポなどでエリア移動しようとすると強制ログアウトしてしまうということがありましたが、あれも直りますか?

吉田氏: あれは単純にゾーンの時にバグがあったので、バグを引いてしまうと切断されてしまうという現象でした。申し訳ありませんでした、こちら修正が完了しています。

――これはログイン制限によるサーバー負荷と関係がある話ですか?

吉田氏: いいえ、直接的な関係はありません。前回のメンテナンスで1回パッチが入って、かなり報告も減っています。9月12日のメンテナンスでもまたもう1つ修正されたので、これでほぼなくなると思います。

――ちなみにCFを2つのグループ、そして今回さらに3つのグループに分けましたけれど、これは吉田さんとしては苦渋の決断だったのではないですか?

吉田氏: 日本のオンラインゲームを知っていれば知っているほど、今回の同時接続者数やログイン率というのはまったくの予測できなかったことで、サーバーの地域ごとに想定内であれば、コンテンツファインダーグループを分けるか分けないか、ギリギリの判断でした。全ワールドのキャパシティがこういう状態になり、リクエストが単位時間あたりにひたすら集中するとは思っていなかったということです。

 元々の想定だと、グループ1、グループ2に分けた上で、あとで負荷が少ないときにはグループ1とグループ2同士でもマッチングするという機構を入れようという話をしていたのです。ところが、サーバーのキャパシティよりも先に、25ワールドで1グループの方が問題になってしまったので、全体を2つのグループに分けました。そして今回3グループに分けましたということです。

 ですから、正直に言うと、僕の想定通りではあるのです。「World of Warcraft」がそもそもそうなっているので。以前から“クラスター”という単語は何度か出したと思うのですが、僕が考えていたのはそのクラスターの中のワールドレス。全体設計はどのワールドでも仕様的にはワールドレスなので、このグループ組み替えは正直リストをどうするかだけの話になります。サーバーが空いてきたら複数のグループでマッチングすることもできるし、それがワールドレスな設計という意味です。

――なるほどなるほど。

吉田氏: 本当の意味のワールドレスは「ドラゴンクエストX」の仕様です。「新生FFXIV」はホームワールドという概念でスタートしていますが、同じくワールドレス設計ですので柔軟性はあると思います。

――現状は仮に人が少なくなる時間帯でも、複数のグループでマッチングされることはないのですね?

吉田氏: はい。今回の9月12日の対応でそこまではやっていません。性格的に、3つのことをいっぺんにやろうとして、何かトラブルが出たときに対応が遅れるのがイヤなのです。問題が発生したとき、AがバグっているのかBがバグっているのかCがバグっているのか、調査に時間が掛かってしまいます。「旧FFXIV」の改修も同じ思想。今回インフラに手を入れていて、プレーヤーの皆さんのユーザーデータも扱っている以上、何でもかんでもいれてヨーイドン、というのは避けたいのです。まずグループでちゃんとマッチングが回ること、3グループに分けてもまったく問題はないことを確認してからですね。

(中村聖司)