インタビュー

日本eスポーツ界のレジェンド“KINTA”こと長縄実氏インタビュー

日本のeスポーツの未来について。eスポーツを通じて「彼らに何を悟らせるか」

――そろそろまとめに入らせて貰いますが、KINTAさんは20年以上eスポーツに関わってきて、日本のeスポーツの現状についてどのように考えてますか。一度KINTAさんと真面目に話をしてみたかったんです。

長縄氏: 日本のeスポーツは、まだ黎明期。ただ、黎明期と言われながら20年経っているじゃないですか。ではいつ黎明期から脱出するのか。行政側もそうですし、我々プレーヤー側、運営側もそうですが、否定から入ることが多い。もちろん、否定することで新しい発見が生まれることもあるのですが、肯定することを大いに声を出してもらいたいんです。

 肯定は声に出さない、否定したことだけを声に出すという人たちが多すぎるので批判的な意見が目立ちやすいと思うんです。是非、プレーヤーや我々イベンターもそうですが、肯定することを、大きな声を出していただきたいんです。それでなければ、日本のeスポーツは多分潰れます。プレーヤーからのアプローチをもっと大事にして、もっとそこから広げていきたいと、私の力の中で何かをやっていきたいと常日から頃思っています。

――私自身もそういう意味ではポジティブですね。たとえば、20年前のeスポーツは全てが手弁当で、みんなが少しずつ持ち出してやっと何かができるという時代がありました。これは誰がどう考えてもまわるわけがないんですが、今は少なくともそういう部分からは卒業できている。これはステップアップですよね。

長縄氏: そうですね。成を立ち上げてからそれは維持していますけれども。一番最初に会社を興した時には、がむしゃらでやっていて相当自分のポケットマネーも出していましたね。

――私もそうですよ。「ゲームの大会なんて、何のために取材に行くの?」って上司から言われていた時代ですから。私はWCGをはじめ、国内外のeスポーツの大会に行きましたけど、そもそもeスポーツって言葉もない時代だから、取材対応も確立されていなくて、取材が大変な割に、人びとの関心は薄いから読まれないわけです。よく会社はソウルやサンフランシスコ行きを許してくれましたよね(笑)。

長縄氏: 割にあわないと(笑)。

――全然あわない。ものすごい経費を使って赤字を垂れ流しながら海外まで行って、たとえば「CS」で4DN(4DimensioN)がまた負けた。別の個人種目では誰それ選手は我々が到着する前に予選ラウンドで負けたと。また勝てなかった、どうして勝てなかったか、それは環境が違うからだ、選手も全然食えてないし続けられない、みたいなレポートばっかりやっていて、全然建設的ではないんです。こんな状態で日本のeスポーツなんか立ち上がるわけがないと思ってました。

 そんなこんなで十数年が経過したわけです(笑)。いろいろな方に申し上げていますけれども、日本のeスポーツはこの20年、幾度となく“元年”を繰り返し、上がったり、下がったりをずっと繰り返しているわけです。だから、下がったときは、我々メディアもeスポーツの取材が減っていました。しかし、上がっても下がってもKINTAさんはずっと観ていた。そういう方の意見はとても貴重だと思うんです。

長縄氏: そうなんでしょうか。

――そうですよ。そうした中で、日本のeスポーツというのはちゃんと正しく成長しているといえるのか、このあたりの率直な意見を是非うかがいたいなと思うんです。

長縄氏: 2017年、2018年は、私の中でも急激に成長したな、というのは実感しました。成長し続けることができるのではないかという手応えが掴めたのは、去年と今年を含めて、あらゆる企業の方々がここに視察にみえたんです。その方々は、全然我々からは想像も付かないような企業さんが多くおられました。そういう方たちがいま水面下でどこかで動いておられると思うんです。これがどのように動いているか、もしかしたら辞めてしまわれているかもしれませんが、これだけの方々が集まってきてここを見にこられているということは、何かしら日本を含めたムーブメントになると言う風に確信はしています。

――なるほど。日本におけるeスポーツの問題点の1つは、中間層が全然いないことだと思っています。ゲームファンがいて、プロゲーマーがいて、それを繋ぐ長い階段があるはずなのに、その部分がぼっこり抜けていて、ファンゲームの領域を抜けてeスポーツを意識したゲーマーは、あたかも全員がプロを目指さなければいけないような感じになってしまっている。

 スポーツもそうですけど、各競技ごとに肥沃な中間層があって、その遙か先に一握りのプロがいるというピラミッドになっていると思うのですが、日本のeスポーツにはその中間の部分がないといういびつな構造になっていると感じています。私自身はその中間層の代表格だと自認しています。eスポーツが好きで、プレイもするし、観戦も好きだけど、下手くそなのでプロなんて冗談でしょうという。でもこの層の拡充が必要ではないかと。

 KINTAさんは「BIGLAN」を生み出した方なのでよくご存じだと思うのですが、LANパーティはまさにその縮図ですよね。ゲームが本当に好きでたまらないけれども、プロを目指すにはちょっと手前、だいぶ手前の人達がたくさん参加していて、私みたいに知識だけはあるから「あの人は昔、有名な選手だったんだよ」と教えてあげたりして、その人と挨拶して仲良しになって、みんなで一緒になってゲームを楽しむという、そういう風景がとても大事だと思うんです。

長縄氏: そうですね。全然いないことはないと思うのですが、表に出てこないですよね。表に出る場がないということもあると思いますけれど。野球に例えると、草野球の試合は家族ぐらいしか見ないじゃないですか。公園でキャッチボールしている人や、練習をしている人を誰も見ないじゃないですか、プロにならない限り見る人がほとんどいない。絶対に我々の知り得ない水面下では多く、皆さん遊んでるんですよね。そこは、いないんじゃなくて見えないだけという気がします。

――なるほど、そうかもしれませんね。では、KINTAさんの見立てでは、すでにきれいな三角形のピラミッドができていて、その存在が見えてないだけじゃないかと?

長縄氏: そういう意味では、鋭角な二等辺三角形のような形ができていると思います。もっと下、底辺にいるのはモバイルゲームを遊ぶような人たちも私は入っていると思います。そういう中で、頂点に立つ人が少なすぎるので、まだ開拓して上にいける余地はあると思っています。これからもゲームタイトルは増えていくでしょうし、遊んでいるような人たち、プロ側も含めて人数は多いですから。そういう意味では、山のような形になっているような気がしますね。山の絵の中で一番大きな面積を持つ、eスポーツを知らなくてゲームをやっているような人達にどうやってアプローチをしていくのか、というところは今後の開拓の余地がある場所だと思っています。

――そうですね。それから、尾崎さんもおっしゃっていたのですが、何を持ってeスポーツとするのかがいまだに決まっていないと。私も本当にそう思うんですよね。今はJeSUが認定したタイトルだけが、あたかも日本におけるeスポーツ競技のような扱いになってますが、実際はグローバルの視点でみれば、Tier1タイトルが1つも公認タイトルに入ってなくて、「これは一体何のリストなのか?」という状態です。そもそも何をもってeスポーツとしているのか不明確ですよね。

【eスポーツゲーム Tierリスト 2018】
SMARTCASTが2018年6月に公開したTierリスト

【JeSUライセンス認定タイトル】
JeSUの2018年12月20日時点でのプロライセンス認定タイトル

長縄氏: 中村さんは、“何をもって”というのはどう思いますか?

――これについてはたくさん議論があると思いますが、ひとつは開発側によるルール変更、バランス調整が入るだけで、極端に言えばゲームが、つまり競技が1つ終わることがある。結局eスポーツとはいえ、商業コンテンツなので、そこは野球とは違いますよね。そこにずっと昔から脆弱さを感じています。

 その点でいうと忘れられないのは、犬飼さんです。2005年ぐらいに日本でeスポーツが何度目かの盛り上がりを見せたときに、日本にもeスポーツの時代が来るかもしれないからよしやるかってことで、GAME Watchでeスポーツの連載をやっていただいたんです(参考記事)。それでネタが尽きてくると、編集部に来ていただいて、よく2人で深夜まで喧々諤々の議論をしてたんです。

【犬飼博士氏】
黎明期のeスポーツプロデューサー犬飼博士氏(参考記事)。すでにeスポーツからは足を洗っているが、黎明期のeスポーツを牽引する存在だった

 ホワイトボードに「eスポーツとはなんぞや」とか書いてですね。ある日犬飼さんが、いかに今のeスポーツはダメかということを滔々と語るわけです。たとえば、「CS」が何故ダメなのかというと、Valveが勝手にバランスを変える、銃の強さを変えると、こんな事をやっているのはeスポーツだけだと。スポーツではそんなことはありえないと。もちろんスポーツでも、競技団体で協議してルールが変わることはあるわけですが、ゲームの場合はデベロッパーさんの一存で変わる、極端に言えばディレクター1人の恣意的な判断でどうとでも変えられる。「こんなものがスポーツであるはずがない」というわけです。

 犬飼さんが凄いと思うのはここからなんですけど、「だから、僕たちは僕たちでプレーンなeスポーツタイトルを作るべきだ」と言い出したんです。「『CS』に変わるeスポーツ専用のチームベースFPSを我々が作るべきだ」と。私はこの人は何を言い出すんだろうと思ったわけですが(笑)、犬飼さんはご存じのようにもうeスポーツからは手を引いてますが、“自身でスポーツを生み出す”ということを未だにずっとやっていますよね。この初志貫徹ぶりは凄いことだと思います。

【新たなスポーツの発明を続ける犬飼氏】
夏休み特別企画「ルールメーカーズ」開催のご案内より。犬飼氏は新たなスポーツを生み出すための活動を続けている

 話を戻すと、犬飼さんが言うことは一理あるなと思うんです。スポーツがスポーツたり得ている根幹である“ルール”の存在について、ここをどう考えるべきか。そこを解決していかないとeスポーツは真の意味でスポーツたり得ないのではないか、親御さんが安心してその競技に子供を託せないのではないかと思う部分もありますね。

長縄氏: リアルスポーツとか、今までのスポーツをベースにしてeスポーツを考えるとそういう風に見えてしまう感じがするんですね。でもやはりeスポーツという造語は、今までの概念は必要ないと思っているんです。タイトルが変わることがeスポーツなんだと理解できれば良いと思っているんです。eスポーツをするからといって他のスポーツを真似る必要はないし、こうしていかなければいけないというルールはないと思っているんです。タイトルが変わろうが何しようが、それがeスポーツだということを理解していただくことが大事なんじゃないかなと。

――そうですね、わかります。ただ、その考えで行くと、KINTAさんが望むeスポーツの世界ではプロは一切成立しないと思うんです。

長縄氏: 無理ですね。

――だって野球をずっとやってきた人は基本的に野球しかできないですから。「CS」やってる人に、もう終わるから、「パワプロ」行ってくれといわれても無理ですよね?

長縄氏: そうですね。野球からテニスに変わってくれといっても無理ですから。

――「それはみんなが望むeスポーツの姿なのか?」ということは考えなければならないと思うんです。それからその話と関連して、先ほど日本のeスポーツは上がったり下がったりを繰り返していると言いましたけれども、下がったときに私はeスポーツに対して毎回絶望を感じていました。あれだけもてはやされていたトップアスリートが、そのゲームが下火になった、スポンサーが引き上げて大会がなくなった、あるいは少し勝てなかったというだけで簡単に首を切られる。

 そのアスリートが、ではそのあと他のタイトルをいちからやるのか、あるいは岸大河さんみたいにセカンドキャリアとしてMCや実況解説を目指すのかというと、ほとんどの人達はそうではなくて、郷里に帰って普通の仕事に就くんですよね。「中村さん、僕就職しますよ」、「中村さん、僕もう辞めますよ」、「中村さん、短い間でしたけどお世話になりました」ってそれはそれはもう寂しいものです。

 それが本人の実力、覚悟の無さなら仕方がないと思うんですが、eスポーツは本人にはどうにもできない不可抗力で引退を余儀なくされるケースが多すぎると思っています。そういう風景をメディアの立場でこれまでずっと見てきて「これは一体なんなんだろう」と。大人達はeスポーツ、eスポーツといっているけれど、可能性のある若い人達の夢を摘んでいるだけではないか、自分もその片棒を担いでやしないかと自問自答を繰り返しながら、この20年を過ごしています。

 そうしているうちに、また別の新たなプロモーターが現われて、「ついにeスポーツ元年ですね」と、「今度は違いますよ」と言われてもう1回信じてみたら、また裏切られる、というようなことを私は20年の間に4、5回繰り返しています。2017年にも大きな絶望を味わったばかりで、そのキズはまだ癒えてないというのが正直な所です。

 2018年から来ている大きなうねりは、真の意味で「ちゃんとやろうよ」と考えている人たちが多くて、私自身もある意味最後のご奉公みたいな感覚で向き合っていますが、本当はその不安は今でも抱えています。「本当に私は正しいeスポーツ報道をできてるんだろうか」、「若い選手達の夢を摘むようなことをしていないだろうか」ということをいつも思っています。

長縄氏: うーーん、何ていったらいいんでしょうね……。「BIGLAN」ができた頃に、引きこもりだった子供が「BIGLAN」に来て、大人たちと一緒にゲームをやっていて、こんなにおもしろいことがあるなんて、最高だと喜んでくれて、その彼が8年ぐらい経ってから会った時に「KINTAさん、あの時ありがとうございました」と言って「私今外資系ゲーム会社にいます」と。

――それはとても良い話ですね。

長縄氏: そういう連絡がきました。もともと引きこもりだったことを「BIGLAN」で解決させて、その時に親御さんからありがとうと言われたんです。彼は、独学で英語と中国語を学んで、外資系の会社に勤めたんです。「こうなれたのもKINTAさんが『BIGLAN』を開いてくれたおかげです」という風に言われたことがあって。私らが、彼らに対して何を与えられるかというのは、職業を与えることや、食いぶちを繋ぐとかということではなくて、彼らに何を悟らせるかというような気がするんです。

 そういう意味ではeスポーツというのも、大会を通じて、選手がずっとやり続けることで、やれたことはたくさんあるはずなんですよ。その積み上げた物を、どういう風に見返して、価値として感じてくれるかということだと思うんです。それは「先がないからどうしよう」ということではなくて、そこまで積んだ経験で、どれだけのものを積み上げられたのかというのは、みんなが自問自答してほしいとは思いますね。

 ただ、我々としてどこまでそれを表現させて、伝えさせていくのかという大事な所があると思うのです。eスポーツ大会に来てください、こんなに将来世界に繋がる大きなことがあります、何かを担保しますという話ではないと思うんです。でも、ボールを投げていた人も、俺昔野球をやっていたんだよと言えちゃうじゃないですか。ある程度タイトルが変わったとしてもeスポーツという言葉が、繁栄し続ければ、eスポーツやってたんだよ、といえるような、そう言っても恥ずかしくないようなことを我々はしないといけないのかなと思います。

――なるほど、そのとおりですね。去年、岡山共生高校に取材に行ったんですね。エースで主将の赤バフ選手もそれまで不登校で、eスポーツとの出会いで人生が変わったということを聞きました。こういう話は、表には出ていないだけでいっぱいあると思うんです。

長縄氏: いっぱいあるでしょうね。孤独なゲーマーなんて全国に無数にいると思いますよ(笑)。

――本当にそうです。eスポーツを通じて、多くの仲間ができたといってもらえる社会にしなければならないですよね。そういう気付きを与えるというのも、eスポーツの大事な役目のひとつかもしれませんね。

長縄氏: はい、eスポーツの良いところだと思いますよ。

――そういうわけで、私は絶望と再生を繰り返しながらeスポーツをずっと見続けてきたんです。

長縄氏: それはツラい(笑)。

――でもKINTAさんは絶望をせずにずっとここまで来られていますよね。それは何が違うんでしょうか。なんで今までやってこられたんでしょうね。

長縄氏: 人が好きなんです。本当に人が好きで。多分中村さんにお話したときは相当落ちていた時で。でも普段どんな時でもいつも笑っているんです。笑い続けて、自分が笑っていることで人を幸せにできるなら、自分も幸せになるし。みんな幸せになりたいから生きているわけじゃないですか。だから、私の笑顔を見て幸せになってくれるのであれば、私はずっと笑い続けるしかないんです。

――KINTAさん、ネアカですもんね、いつも笑っていて。

長縄氏: いえいえ、ただのバカかもしれないですが(笑)。

――今日は、KINTAさんと魂のレベルで話ができて本当に良かったです。KINTAさんは今後もE5 esportsWorksの代表として活動されていくわけですが、会社を、業界をこうしていきたいというものがあれば教えていただけますか。

長縄氏: お金儲けも当然大切なことではあると思うのですが、会社としては、会社とともに人材が成長していくということをコンセプトに、というのが私の中にありますので、そこに5年、10年、15年と積み上げていくうえで、部下の人達もeスポーツを通じて人間として成長していくということを進めていきたいと思っています。

――元eスポーツアスリートとして、これからアスリートを目指す人達に是非メッセージをいただけますか。ある意味、日本eスポーツ界の1期生ですもんね。

長縄氏: 1期生じゃないですが(笑)、なんでしょうね「とにかくやりきろうぜ!」かな。

――やりきるですか、もう少しかみ砕いていただけますか?

長縄氏: ここでダメだと思って諦めてしまうと、その先があるのに気づけないかもしれない。挫折とか断念、あきらめという、そういう道に入りやすいのであれば、まわりの意見をいろいろ聞いてみて、それを1回でもいいから咀嚼してほしいです。咀嚼しないで判断しないでほしい。「どうせ俺なんか」と諦めるのではなくて、1回やってみて、やりきってみて、それでどうかというのを何パターンも持っていてほしいです。

――日本でのLANパーティの生みの親として「BIGLAN」復活に対して、ひとこと聞かせていただけますか。

長縄氏: みんながやってくれているから、それで十分です(笑)。

――そんな後ろ向きの回答は認められません。私はやってほしいと思っています(笑)。

長縄氏: そうやってみんな言うんですよ。だけど、違う。私は本当に時代遅れな人間なので。

――そうかもしれませんが、でも本当に時代遅れかどうかはやってみないとわからないじゃないですか!

長縄氏: 確かにね(爆笑)。まあ、やってみたいとは思うのですが、まずはE5をもっと成長させていかなくてはいけないというのもありますし、「LFS池袋」もありますし、いろんなeスポーツを広げていくべき立場の人間なので、LANパーティのような、ややお遊びの部分には十分な時間が割けないというのは正直な所ありますね。心の中ではやってみたいですし「C4 LAN」には行って、プレイには参加したいという気持ちもありますけどね(笑)。

――では最後に、ゲームファン、LFSファン、GALLERIAファン、そしてeスポーツファンに向けてメッセージをお願いします。

長縄氏: LFS池袋は“eスポーツをする場所”です。来るお客様も、ただゲームをしているのではなくて、eスポーツをやっているんですよね。それはこういう場の雰囲気、環境がもたらしているものだと思っています。まずはここに来ていただいて「eスポーツを体感していく」ということが、eスポーツを語れる第1歩なのかなと思うので、まず「LFS池袋」にお越しください。

 eスポーツを本当にまじめに考えているのであれば、LFS池袋に来るとわかります。それぐらい自信を持って作ったので、是非来て「ああ、そういうものなんだ、ここまでして、拘束されてゲームをするんだ」という雰囲気があるからこそ、自由に思い切ってeスポーツを楽しむことができる場になっています。ルール、制約があるからeスポーツです。そこを守って行かないと、いつまでたっても“ゲーム=悪”という図式から抜けられないと思います。

 ゲーマーの人達は、もちろん家でゲームをやるのもいいと思います。ただ、自由すぎて不自由さを感じるのであればやはりLFSに遊びに来て下さい。「不自由の中に自由を見つけよう」と、私はよく言っています。野原にポーンとおかれて、自由だー、といっても「どうやって生きていったらいいんだろう」ってなりますよね。それであれば、規則正しい生き方をしながらその中で、自由を見つけていく方が人間として理性を持って、秩序を保った人間として生きていけるんじゃないかと思うんです。自由を求めすぎない方が良いと思います。

――ありがとうございました。