素晴らしきかな魂アイテム
【魂インタビュー】悪の黒い巨人「ウルトラマンジードダークネス」の禍々しい魅力
ニュージェネレーションヒーローズ「S.H.Figuarts ウルトラマン」へのこだわり
2019年10月13日 00:00
「ウルトラマンジードダークネス」と「ウルトラマンエックスダークネス&ダークネスゴモラアーマー」は、9月29日よりYouTubeにて配信スタートした特撮作品「ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ」に登場する“悪のウルトラマン”だ。
彼らに立ちはだかるのはウルトラマンの“ニュージェネレーションヒーローズ”。「ウルトラマンギンガ」からの新しいウルトラマン達だ。古くは「ウルトラ兄弟」から、ウルトラマン達が一堂に会するシーンにワクワクさせられるのは、今も昔も変わらないだろう。
今回、「S.H.Figuarts ウルトラマン」シリーズや、「S.H.MonsterArts」などを手がける光岡祐希氏に、ニュージェネレーションのウルトラマンフィギュアをずらりと並べて話を聞いた。ウルトラマン達が並び立つその姿は非常に壮観で、楽しかった。ニュージェネレーションヒーローズの魅力にも迫っていきたい。
S.H.Figuarts ニュージェネレーションヒーローズが勢揃い!
今回の取材でなんと言っても楽しかったのは、ニュージェネレーションヒーローズの「S.H.Figuarts ウルトラマン」シリーズがずらりと並んだ瞬間だ。「ウルトラマンギンガ」、「ウルトラマンビクトリー」、「ウルトラマンエックス」、「ウルトラマンオーブ」、「ウルトラマンジード」、そして兄弟ウルトラマンである「ウルトラマンロッソ」、「ウルトラマンブル」。7体のウルトラマンに加え、2体の悪のウルトラマンが勢揃いした構図は圧巻だ。「S.H.Figuarts ウルトラマン」シリーズは15歳以上のフィギュアだが、子供だったら間違いなくはしゃがずにはいられない光景だし、大人でもグッとくるものがある。
ニュージェネレーションの特徴として光岡氏は“マスクの形状の複雑さ”を挙げる。それぞれのウルトラマンの頭部が複雑で面の取り方や曲線の表現が難しいという。これらウルトラマンはスーツの3Dデータを円谷プロの造形部LSS(Light SculptureStudio)から共有された上で製作しているが、実物大のスーツと、手の中に収まるフィギュアでは見え方が異なる。そのためフィギュアならではの“正解”を探らねばならないのだ。
「デザインとして見せたい面が、サイズが小さくなると見えなくなってしまう。フィギュアのサイズにしたときに、ウルトラマンの印象を変えないためにはただ縮小してはダメなんです。それは監修側と話し合い、原型に手を入れながらそれぞれのポイントを目立たせたり、強調したり、といった細かいバランスの調整を行なっています」と光岡氏は語った。
「ウルトラマンギンガ」はクリアパーツを全身にまとい、他のウルトラマンとは質感の異なるところが面白いし、「ウルトラマンビクトリー」はシリーズで初めて“肘交換ギミック”を搭載し、キャラクターの大きな特徴である「EXレッドキングナックル」を装備した姿を再現した。「ウルトラマンエックス」のアーマーは後で詳しく語るが、アーマーをまとった時のバランスを調整するのが一番大変だったという。
「ウルトラマンオーブ」、「ウルトラマンロッソ」、「ウルトラマンブル」もそれぞれ光岡氏は思い入れが深いが、中でも特に「ウルトラマンジード」に関しては、当初は従来のウルトラマンに近いイメージでポーズの幅など仕様を決めていたものの、悪のウルトラマンである「ウルトラマンベリアル」の息子という斬新な設定が採用され、ポーズなども従来のイメージを大きく覆すものとなったため、関節可動や、手首パーツの仕様を大きく変更するという調整が入ったりしたので印象深いとのことだ。
改めてウルトラマンのフィギュア達の写真を撮っていると、ウルトラマンが持つ超然とした印象、神秘的な雰囲気に魅了させられる。ウルトラマンは他のヒーローと比べても独特な存在感がある。怪獣と絡ませたりするのも楽しいが、ただ立っているだけの姿であってもずっと眺めていたくなる、引き込まれるような魅力を感じる。今回ずらりとウルトラマンを並べ、写真を撮っていて、筆者自身も改めて「ウルトラマンは良いなあ」と実感させられた。
オリジナルと大きく異なる配色で雰囲気が変わる「悪のウルトラマン」
そして、今回はなんといっても注目は“悪のウルトラマン”としての「ウルトラマンジードダークネス」と「ウルトラマンエックスダークネス&ダークネスゴモラアーマーセット」である。造形的にはオリジナルのウルトラマンと同じだが、色が変わることで印象が全く異なる。黒に赤の配色は、ウルトラマンベリアルとの関係性も思わず想像してしまう。
ウルトラマンベリアルは体型が大きく他のウルトラマンとは異なっていたが、こちらはスマートだ。特に「ウルトラマンジード」は、腰を深く落とした独特のポーズをとることが多いが、「ウルトラマンジードダークネス」は今回のポーズのように、スマートにすらりと立っているのが印象的だ。不気味な強さを感じさせる姿である。
「ウルトラマンエックスダークネス&ダークネスゴモラアーマー」は、オリジナルが持つゴツさがそのまま恐ろしさに変わっているのが面白い。どちらのダークネスにも元のウルトラマンにはない意匠として、薄紫のラインが入っている。特に顔には隈取りかタトゥーの様なラインが入っていて、不気味さを際立たせている。
特に気になるのが“赤”のラインがオリジナルのウルトラマンの赤と違う暗い赤で表現されており、「悪のウルトラマン」をわかりやすく、そして強く印象づける色になっている点だ。実際近くで見るとその赤の印象は強烈だ。今回の彩色はまだ試作段階で、彩色原型はこの後とのことだが、現段階で既に色の面白さを感じさせられる。光岡氏は配色パターンが変わることで生まれる印象の違いも楽しんで欲しいと語った。
また、フィギュアならではの楽しさとして、「S.H.Figuarts ウルトラマンエックスダークネス & ダークネスゴモラアーマーセット」は、オリジナルである「S.H.Figuarts ウルトラマンエックス & ゴモラアーマーセット」とアーマーの互換性がある。後述する「S.H.Figuarts モンスアーマー オプションパーツセット」と合わせて、雰囲気が大きく変わるダークアーマーを装備させるのも楽しいと思う。
驚異の換装システム! 「オプションパーツセット」で広がるプレイバリュー
そして現在受注中の「S.H.Figuarts モンスアーマー オプションパーツセット」。ウルトラマンエックスは“モンスアーマー”というアーマーをまとう。普段の姿とアーマーをまとった姿、そのどちらでもプロポーションのバランスを取らせなければいけないという非常に難しい課題をクリアした商品だが、「オプションパーツセット」では、「エレキングアーマー」、「ベムスターアーマー」、「ゼットンアーマー」がセットになっている。本体のエックスは付属しない。
実はこの“換装遊び”ができるのは、S.H.Figuartsのみだという。ソフビでは各アーマーをまとった姿とノーマル形態が別商品であるし、他にも組み替えができる商品はまだ出ていない。それだけ難しい課題に挑戦し、実現した商品なのだと光岡氏は語った。
アーマーでは大きな特徴である胸のX(エックス)の質感が難しく修正を重ねたという。各アーマーのモチーフとなっているのはメジャーなウルトラ怪獣だが、「サイバー怪獣」としてアレンジされているのがポイント。アーマーの姿でも元の怪獣の意匠と、メカニカルな雰囲気がミックスされているところが面白いし、取り外したときとアーマーをまとったときのバランスや、アーマーの時のケレン味も遊んでいて楽しい。
光岡氏の一押しはアーマーが揃ったときのハイブリッド感である。胸をエレキングに、左手をゼットンにといった形で、様々なパーツをまとわせることができる。実際番組の最終話でも、「ハイブリッドアーマー」という形態になっている。商品でこれを再現可能なのはもちろん、さらにはオリジナル形態も楽しめる。
それ以外にも本商品には、「S.H.Figuarts ウルトラマンエックス & ゴモラアーマーセット」では入れられなかった手首パーツやエフェクトパーツも付属しており、こちらを揃える事で遊びの幅はさらに広がる。「ファンの皆様に満足してもらえる豪華なセットとなっているので、ぜひこちらも揃えて欲しいです」と、光岡氏は語った。
今回、光岡氏に「ウルトラシリーズの魅力」を語ってもらった。光岡氏は「毎回、劇中でのウルトラマンというヒーローの見せ方に感動している」と答えてくれた。等身大ではない、神秘的な雰囲気と、数十メートルの巨大さを持ったその存在を描くウルトラマンシリーズは、やはりカメラによる見せ方に加えて、これまでの技術蓄積と、それをなおも越えようというところに毎回ワクワクしているとのこと。
最後に光岡氏はファンの皆様へのメッセージとして「『S.H.Figuarts ウルトラマン』は本当にお客様の声に支えられています。Twitterなどのご意見も担当者や、部内にも届いております。応援して下さっている皆様に満足していただけるよう、これからもがんばりますので、よろしくお願いします」と語った。
今回のインタビューで改めてウルトラマンの面白さ、独特さを実感できたように思う。光の巨人というイメージで、神秘的な雰囲気を持つウルトラマンは、今や多彩なキャラクターを生み出し、ウルトラマン自身が世代を超えるという非常にユニークな現代の神話を生み出している。アクションフィギュアのアプローチも他のヒーローとは違うと感じさせられる。今後の展開も注目したい。
(C)円谷プロ
※写真はフラッシュで撮影を行なっているため、各部の彩色などが実際の商品と異なります。