素晴らしきかな魂アイテム

【魂レビュー】実写をそのままに圧倒的再限度で立体化! 「S.H.Figuarts スター・ロード(アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー)」

題字:浅野雅世
【第10回魂アイテム】
映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の公開に合わせて、4月21日に発売された「S.H.Figuarts スター・ロード(アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー)」。価格は6,264円(税込)。宇宙のはずれ者集団「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を束ねるリーダー、「スター・ロード」。女にだらしなく、お調子者というMARVELヒーローらしからぬキャラクター性が魅力

【ライター:遠藤浩之】

 格ゲーするやつは大体友達。ゲーム・アニメ・特撮で365日を回しているフリーライター。特撮ヒーローやロボット系のフィギュアが好物。魂ウェブ限定商品に「METAL ROBOT魂 ヒュッケバイン」なんてものがあったのを最近知り、もっと早く気づいていればと絶賛嘆き中。再販希望です!(絵:橘 梓乃)

 「アイアンマン」や「スパイダーマン」などのMARVEL作品がこれまで数多く実写映画化され、どれも好調な興行成績を記録している。筆者も、1999年に日本で放映された「ブレイド」をきっかけにMARVEL映画の大ファンである。「マイティ・ソー」や「ドクター・ストレンジ」などどの作品も独自の世界観があり魅力的なのだ。

 そんなMARVEL映画の中で近年最もハマった作品が2014年に公開された「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」だ。コメディタッチな作風ながら、MARVEL作品らしい熱い展開や痛快な戦闘シーンなどが詰め込まれた意欲作。難しいこと抜きで楽しめる、とにかく面白い作品なのだ。筆者の身近な人で観ていない人には「頼むから観てくれ!」と布教して回るほどだ。

 そして今回、魂レビューでどうしても紹介したいもの、それは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の主人公「スター・ロード」のアクションフィギュア、「S.H.Figuarts スター・ロード(アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー)」だ。スター・ロードというキャラクターについても交えながら、このフィギュアの魅力を語っていきたいと思う。


劇中を忠実に再現したフォルム、圧倒的完成度。銀河の賞金稼ぎがS.H.Figuartsで登場!

 筆者が「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」という作品に惹かれた理由は、登場人物の個性的なキャラクター性と世界観だ。タイトルにもなっている、落ちこぼれのヒーローチーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のメンバーには、高性能パワードスーツや人知を超えた能力を持つようなMARVELヒーローの王道的キャラクターは一切存在せず、勢いとノリだけで宇宙の危機を救ってしまうような荒唐無稽なやつらなのだ。

 口の悪い喋るアライグマや、凶悪なスーパーヴィランの娘、二足歩行をする大木など一癖も二癖もあるやつらばかり。そんな愛すべきはみ出し者たちの中で筆者が最も好きなキャラクターが、チームのリーダーであるピーター・クイルこと、(自称)伝説のアウトローの「スター・ロード」だ。地球生まれのクイルは幼い頃、母を亡くしたその日に宇宙盗賊ラヴェジャーズに拉致された。そこで盗賊としての技術を叩き込まれ、トレジャーハンターとして成長する。

 拉致にあってから26年の月日が流れ、クイルはスター・ロードと名乗り、宇宙盗賊ラヴェジャーズの一員として活動をしていた。廃墟惑星モラグに保管されている「オーブ」と呼ばれる宝の回収任務中にオーブを持ったままラヴェジャーズを裏切る。金のために盗んだオーブだったが、オーブには惑星や文明を滅ぼすほどの力を秘めており、その力を手中に収めようとする者たちから狙われるスター・ロード。オーブを巡る大きな戦いに巻き込まれてしまう。

 設定だけ見ると主人公らしい主人公といえるスター・ロードなのだが、こいつがかなりの女好きで軟派な男というキャラクター性。どんな惑星の女性でも見境無く次から次へと口説き落とし、そのため女性絡みのトラブルから刺されて殺されかけたことも幾度となくあるという駄目男っぷり。王道のヒーロー路線を崩した設定が、等身大の人間味があって逆に良い。

 スター・ロードの魅力は人間臭さだけではもちろんない。仲間のピンチや、ここぞというときにはいつもの軽ノリとは打って変わりヒーロー的な真面目な一面を見せる。“決めるときは決める”という姿は普段の三枚目キャラとのギャップも相まってたまらなくカッコイイのだ。

盗みと射撃の腕前は一流。持ち前の度胸と根拠のない自信で数々の困難を乗り越えてきた

 以前は「ROBOT魂」や「S.H.Figuarts」をよく買い集めていたが、最近は購入の頻度が減っていた。しかし今回スター・ロードがラインナップされ、その完成度の高さを一目見た瞬間、久々に“こいつは絶対に手元に置いておきたい”という衝動に駆られた。

 本製品のスターロードは、映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」に登場したバージョンで、過去にプレミアムバンダイ限定で発売された「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」のバージョンとは服装やカラーの一部が異なっている。

 パッケージの表にはスター・ロードのメインビジュアル大きくプリントされている。パッケージから中身も見えるデザインになっており、そこから覗かせるスターロードの造形が大げさではなく実写そのまま。スター・ロードを演じる、俳優のクリス・プラットの特徴を捉えたリアルな作りなのである。実写もののフィギュアはどうにも顔の造形が“ニセモノ感”が強いという印象を持っていたが、その考えを一変させる程の高いクオリティを誇っている。

パッケージから中身が見える仕様になっている。パッケージデザインもカッコ良いので、このまま飾っても絵になる
付属のパーツは、宇宙空間での戦闘用マスクと付け替え用の手首。そして両手用にブラスターが2丁。すっきりとした内容となっている

 再現が難しい実写のキャラクターを、なぜここまで忠実に“本物感”を再現できたのかというと、そこにはバンダイの造形技術の結晶である「魂のデジタル彩色技術」が使われていた。

 この技術は実写の写真を取り込んだ3Dデータをもとに、輪郭や目元、口元のヒゲまで、その人物の細かな特徴をデジタル造形によって表現されている。完成したデジタル造形データを3Dプリンターで立体出力し、それを原型師の手で微調整や仕上げが施される。研究を重ねたデジタル技術と原型師が持つ匠の技術があって初めて、このリアルな造形が実現しているのだ。

最新技術によって実写のキャラクターもここまでリアルに再現可能。フィギュアのさらなる可能性を感じさせた


遊び応えバツグン! 圧倒的稼動域でどんなポーズも自由自在!!

 MARVEL作品の特徴は、全ての作品が繋がっている。ハルクやキャプテン・アメリカなど、それぞれ作品は違えど世界観を共有しているのだ。強大な敵が現われたときは各作品のヒーローたちが集結し、力を合わせて戦う――それが「アベンジャーズ」という作品なのだ。

 これまでは単体映画でしか活躍の場がなかったスター・ロードだが、「アベンジャーズ」シリーズ第3弾のインフィニティ・ウォーより待望のアベンジャーズの仲間入りを果たした。アイアンマンやスパイダーマンと肩を並べて戦うというファンにはたまらない展開が実現した。すでに映画を観た人ならご存知だろうが、最強のヴィラン「サノス」との戦いでは良くも悪くも大きな見せ場があった。まだ観ていない人はブルーレイがリリースされたばかりなのでチェックしていただきたい。

 そんな「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」バージョンの本製品の全体のディテールを見ていこう。素面の造形については先に述べた通りだが、差し替えパーツのマスク装着状態の頭部も映画で観たままの無骨なデザインがとてもカッコイイ。劇中では戦闘シーンで装着する場面が多く、筆者個人的にはマスク装着状態の方が印象深く、こちらの姿の方が好みである。メタリックな塗装によりマスクは金属の質感がよく出ていて、ゴーグルの目は、中心部が白く塗られており、発光状態をイメージした作りになっている。

少し不気味感のあるマスク姿。メタリックな質感と発光状態を塗装技術で見事に表現している。マスク装着状態はやはり絵になる

 スター・ロードを象徴するブラウンレッドのレザージャケットはラバー素材となっている。レザー生地のリアルな質感の表現、そして触ったときに感じた高級感、これには筆者も「すげえな」と素直に感動してしまった。

 ジャケットの造形も一切妥協のない作りになっている。胸元に付いているバッジにベルト、ボタンやジッパーに到るまで省略することなく細かく作り込まれている。服のシワや、胸元の生地がひるがえっている表現も筆者のツボなポイントだ。

ジャケットが風でなびいている感じを演出しているのがカッコイイ

 独特なデザインをしているスター・ロード愛用のブラスターも、マスク同様にメタリック塗装により重厚感のある見栄えである。握り手のグリップ部分は結構な大きさで、しっかり握れるのか? と疑念が一瞬よぎりながらブラスターを持ち手に付けてみる。グリップを手の中に収めるのに多少力を込める必要があるが、1度ハマればキツかった分グラつきもなくガッシリと装備させることができ、簡単に外れたり手から落ちる心配もなさそうだ。

ブラスターはSF感バリバリのデザイン。両手に構えた立ち姿も実にカッコイイ

 稼動箇所は腕と膝、肩に腿に足首、さらに腰も曲げることができるので、前屈みや仰け反りポージングも可能だ。腰周りはレザージャケット同様のラバー素材になっており、腿を上げた際に邪魔にならない設計になっているのはさすがの一言。腕や膝などの関節を動かした感触は、手応えのある固さがあり、ヘタリを感じさせない安心があった。

関節部分が目立たない工夫も素晴らしい。肩の関節も服でうまく隠れるようになっている
腰にも関節があるので腰の入ったポーズも決まる。腰がラバー素材なお陰で腿の窮屈さを感じさせないのも良い

 ポーズを決めて観賞用に飾るのはもちろんだが、やはりアクションフィギュアはグリグリ動かし、劇中のシーンを想像しながら好きなポーズをとらせて遊んでナンボである。

 作品の舞台が宇宙ということもあり、スター・ロードは地上戦よりも空中で戦っている場面の方が多く見られる。空中戦闘でのポーズを決めるため、アベンジャーズシリーズの「S.H.Figuarts」に合わせて発売された台座、「魂STAGE MARVEL Ver.」を使っていく。

アベンジャーズ用に発売された「魂STAGE」。台座には「MARVEL」の文字が大きくプリント。カラーもMARVELを象徴する力強い赤。アメコミ風のパッケージデザインもグッとくる
「魂STAGE」があれば空中戦をイメージしたポーズも自由自在に再現できる。遊びの幅もグーンと広がる

 アクションフィギュアの中でも、特にアクションに重きを置いている「S.H.Figuarts」シリーズだけあり、触ってみると稼動箇所と稼動域の広さから自由度の高いポージングができる。どこまでも思い通りのポーズが作れて、いつまでも触っていられる楽しさがある。

 今回久々に「S.H.Figuarts」シリーズに触れて、アクションフィギュアの遊びの面白さを改めて再確認できた。それと同時に、技術の大きな進化にも驚かされた。飽くまで追求された“本物感”も製作サイドの本気を肌で感じた。まさに、“日本よ、これがアクションフィギュアだ”と言いたくなる出来である。

 ここまで紹介してきた「S.H.Figuarts スター・ロード(アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー)」だが、この小ささで高級感と満足感が得られるとても良いアイテムだった。スター・ロードを触ったことで筆者の中のフィギュア熱が再熱し、魂ウェブ限定の「S.H.Figuarts ロケット・ラクーン(アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー)」を即予約してしまった。発売日である11月の楽しみがまた1つ増えて嬉しい限りである。