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【魂レビュー】「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」レビュー。飛行ポーズの美しさ、これまで以上の武装と、シリーズ集大成のアクションフィギュア
2018年11月13日 12:00
【ライター:勝田哲也】
超合金と洋ゲーを愛するライター。「レッドデッドリデンプション 2」、「ヒットマン2」、「Fallout 76」そして「ジャストコーズ 4」が立て続けに発売され、今年はこれまで以上に大変な年です。「マーベル」シリーズでは初代「ウォーマシン」を買えなかったのをいまだに後悔してます。武器むき出しの無骨さが好きです(絵:橘 梓乃)
「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」は、映画「アベンジャーズ」に登場したアイアンマンのアクションフィギュアだ。「アイアンマン」はパワードスーツをまとったヒーローであり、ロボットのような外見、厳めしい装甲に、様々なギミックを搭載しており、装甲の隙間から様々な武器が登場する、「歩く武器庫」のような雰囲気が楽しい。
BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の「S.H.Figuarts アイアンマン」はキャラクター性の魅力から様々なアーマーが発売されている。その中で本商品は「アベンジャーズ」での多彩な武器を再現、これまでのシリーズ以上にギミックたっぷりの商品となった。商品の魅力を語っていこう。
進化の集大成、関節設計技術が生む飛行ポーズのカッコ良さ
マーベルコミックスのキャラクター・アイアンマンは、2008年の映画第1作「アイアンマン」が封切りになるまで、日本ではマイナーなヒーローであったと言えるだろう。日本のマーベルコミックスのキャラクター人気はやはりスパイダーマン、次いでX-MENのウルヴァリンというところで、赤と黄色のアーマーを着るこのヒーローはカプコンの「マーベル VS. カプコン」には登場していたものの、知名度としては今1つだった。
しかし、映画のアイアンマンはとてもカッコ良かったのである。ロバート・ダウニー・Jrが演じるアイアンマン=トニー・スタークは、大富豪で変人、不遜な天才という強烈なキャラクターで、強い印象を与えた。自ら生み出した兵器が世界中で戦争に利用されていることを知り、アーマーを自主開発、ヒーロー・アイアンマンとしてその正体を公言し、ヒーロー活動を行なっていく。
映画「アイアンマン」はヒットし、その後様々なヒーローが同一世界観で活躍する「マーベル・シネマティック・ユニバース」が現在まで続く大きな流れとなっている。その中心人物であるアイアンマンは多くのファンを獲得している。
まるで目の前にヒーローがいるかのような詳細な造形描写と、可動範囲の広い関節による豊かなポーズ付けが楽しめるS.H.Figuartsシリーズはアイアンマンにぴったりといえる。仮面ライダーにも強化服モチーフのものがあり、コンバットスーツをまとう宇宙刑事シリーズなども発売されているS.H.Figuartsは、ノウハウを活かしてこれまでもアイアンマンをモチーフとした商品を発売してきた。
アイアンマンは映画ごとに複数のアーマーが登場するのが特徴のヒーローなのである。天才であるトニーは、アイアンマンのスーツを常に改良し続けている。それは実は彼の「心の弱さ」の現われでもある。「アベンジャーズ」で宇宙からの侵略の恐怖にとりつかれた彼はマーク42までのアーマーを作ってしまったりする。そんな多数のアーマーが様々なメーカーからフィギュアとして発売されている。映画で出たアーマーが、どんな商品になるか、そこもファンの楽しみと言える。
「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」は、2012年に公開された「アベンジャーズ」に登場したアーマーだ。2018年現在に商品化された経緯は不明だが商品としてはこれまで省略されていた武装を盛り込んだ、言わば「マーク7の決定版フィギュア」として購入を決定した。マーク7は映画の後半で大活躍するアーマーであり、マーク6までのアーマーの“完成形”といえる点で、筆者自身最も気に入っているアーマーだからだ。
ここからより商品にフォーカスしていこう。まず甲全体の細かいディテールが楽しい。装甲の分割線や、関節部分の表現など、細かい所をじっくりチェックしたくなる。アーマーのディテール表現という意味ではマーク42の方が細かいのだが、並べると初期アーマーらしい無骨さと、堅牢さが感じられる。
可動は優秀で、手足には引き出せるギミックが搭載されており、足を大きく開いたり、腕を前に出したりできる。腰部分も装甲が分割し、内部関節が引き出せるので、片膝をつき、拳を地面に当てるいわゆる「ヒーロー着地」のポーズが楽しめる。足(足首より先の部分)が金属になっており、ほどよい重さが生まれているのと、自立させやすいところも気に入っている。
シリーズおなじみのエフェクトパーツは本商品にももちろん同梱されている。手のひらと足に装備されたエネルギーを放出することで推進力を生み出す装備「リパルサー」のエフェクトパーツを手と足に装着可能で、アイアンマンならではの足だけではなく、手のひらも使った飛行ポーズをとらせることが可能だ。エフェクトパーツは両手に装着できる長いものも付属しており、これにより、リパルサーから「リパルサーレイ」を発射し、敵を攻撃する姿も再現できる。
飛行ポーズで重要になるのが首の可動である。首は2重関節になっており、さらに首と頭を繋ぐ軸が長いため頭だけが上を向くのではなく、首をグッとそらした上で頭が上を向くようになっている。その上で肩の基部の軸、腰をそらすことでこれまでのシリーズ以上に迫力のある飛行ポーズが可能となっているのが確認できた。手に持ってずっと眺めたくなるカッコ良さである。
レーザー、ミサイル、フラップ……これまで省略されてきたギミックたっぷり
そして今回、「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」で追加された要素に触れていこう。「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」では、これまで映画の中で登場していた要素を再現したギミックがある。それらはこれまでのシリーズでは省略されていた部分である。
まずはフラップ。アイアンマンの背中には展開する翼が仕込まれており、飛行の安定や、エアブレーキなどに使用している。「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」ではこのフラップの展開を差し替えなしで実現、人体を模したデザインのアーマーから翼が生えるという映画同様の驚きをもたらしてくれる。フラップの裏側にもモールドが入っているのが楽しい。
腕は差し替えで手の甲からレーザーを発射する武装が再現できるこのレーザーは相手を切断可能で非常に強力な武器だ。マーク6ではエネルギーはカートリッジ式で、1度使用するとカートリッジを排出し再使用できなかったが、マーク7では連続使用が可能となっている。もう1つが前腕後部に内蔵されたミサイル。こちらはマーク3から使われている武装だ。こちらも差し替えで再現できる。……しかし商品ではどうもミサイルが下向きになりすぎているように見える。この角度だと手にミサイルが当たってしまいそうな印象も受けた。
そして、肩と腿につけられたマイクロミサイルである。「アベンジャーズ」では飛行しながらミサイルを発射するシーンが強く印象に残った。これまでのアイアンマン以上の重装備といえる。「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」はこのミサイル発射態勢を再現できるのだ。本商品最大の目玉とも言えるギミックである。
差し替えのミサイルは装備すると迫力が増す。映画では装甲が展開してミサイルが出現する。差し替えパーツはちゃんとカバーとなっていた装甲もモールドで再現しており、展開シーンを想起できる。可能なら飛行ポーズでずっと保持できる専用の台座用接続パーツが欲しかったところだ。
今回ちょっと難点として感じたのは、肩のパーツが外れにくく、カッターの刃を差し込まないと開かなかったため、塗装がはげてしまったことと、肘のパーツが外れやすくなってしまったところがある。小さな部品であり、精度としては仕方がない部分もあると思うが、特に肩のパーツはもう少し外しやすくても良かったと思う。
「S.H.Figuarts アイアンマン マーク7」は筆者にとって高い満足感をもたらす商品となった。やはりアメコミヒーローらしい堂々とした立ちポーズそのものがかっこいい。全身を覆うアーマーは、アクションフィギュアという表現にとても合っているし、関節表現もアーマーのシルエットを崩さない。そして引き出し関節は複雑なデザインを崩さずに幅広いポーズを可能にしている。
そしてこれまで実装されなかった数々のギミックだ。サイズとコスト、造形技術を考えると、省略されても仕方ないかな、と思っていた各種ギミックが再現されている。想像の中で保管されていた各種武装がきちんとパーツで表現されているのがうれしい。今後のシリーズにも期待がふくらむ商品である。
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