素晴らしきかな魂アイテム

【魂レビュー】決めポーズをとらせるのがたまらなく楽しい! 「METAL BUILD エールストライクガンダム」

題字:浅野雅世
【第6回魂アイテム】
「METAL BUILD エールストライクガンダム」、8月11日発売、価格は25,920円(税8%込)。アニメ「機動戦士ガンダム SEED」の前半の主役機をMETAL BUILDならではのアレンジで立体化。エッジの効いたデザイン、金属パーツを多用し、動かしポーズをとらせ、眺めると高い満足度がこみ上げてくる

【ライター:勝田哲也】

 「洋ゲーと超合金がメインの仕事」というホビー/ゲームライター。この連載をきっかけに様々な企画を実現すべく、担当ライター達と頭をひねっている。コレクターズ事業部の原点となる「超合金魂マジンガーZ」は思い出の商品。発売された1997年当時、6,090円(税込)の高額の玩具を買った興奮は今も覚えている(絵:橘 梓乃)

 連載企画「素晴らしきかな魂アイテム」6回目の今回は、“【魂インタビュー】「METAL BUILD エールストライクガンダム」が提示する幅広い遊びと広がる未来!”でも取り上げた「METAL BUILD エールストライクガンダム」のレビューを行なっていく。

 インタビューだとどうしても開発者のこだわり、作り手の込めた想い、そしてそこから広がる将来の展望に興味がいき、目の前の商品をたっぷりさわり、その魅力を実感するというところが弱くなってしまう。試作品を触るのはやはり壊してしまいそうで怖い。

 そこで今回は筆者が購入した商品をたっぷりさわり、動かし、遊んでみた実感を語りたいと思う。「METAL BUILD エールストライクガンダム」は手にした人達の満足感を刺激する、非常にカッコよく、楽しい商品である。


金属の質感、マーキング、関節構造……チェックする度に気分が高揚するクオリティ

 まず、インタビューではあまり触れなかった、「ストライクガンダム」という“キャラクター”を紹介したい。ストライクガンダムが登場するアニメ「機動戦士ガンダム SEED」は、「機動戦士ガンダム」の宇宙世紀と異なる、コズミック・イラ (C.E.)という紀元を持つ世界の物語である。

 ストライクガンダムこと、GAT-X105 ストライクは、劇中、地球連合により作られたMS(モビルスーツ)だ。MSは遺伝子操作により生まれたコーディネーターという人々によるコロニー国家プラントの武装組織ザフトによって開発され、その高性能な兵器に地球連合は劣勢に追い込まれていた。

 ストライクはザフトに対抗するため作られた5機の試作MSのうちの1機であり、主人公・キラ ヤマトによって起動し、奪われた他の4機のMSと戦いを繰り広げていく。ちなみに、本作での「ガンダム」という名前は起動時のOSの頭文字であり、キラが機体につけた愛称である。

航空機を思わせる大きな翼を持ったエールストライカーを装備することで、高機動戦闘が可能に。重力下では完全な飛行ができないが、滑空して短時間の空中戦闘ができる

 試作機5機はそれぞれ様々な機能を持っていた。最後発のストライクは「ストライカーパックシステム」という装備換装システムを持ち、様々な戦場に装備の交換で対応できる機体となっている。この時代のMSはバッテリーで駆動しており、ストライクはパックを交換することでバッテリーを交換し、稼動時間の延長も可能となっている。ストライカーパックを装備し、空中換装を可能にする支援戦闘機「スカイグラスパー」も登場し、物語においても装備の換装を前面に出した演出が為された。

 「METAL BUILD エールストライクガンダム」は、ストライク本体と高機動戦闘に対応するストライカーパック「エールストライカー」のセットとなる。エールストライカーはビームライフル、シールド、ビームサーベルという武装の最も“ガンダムらしい”装備といえる。

ストライカーパックを装備していない状態のストライク。フレームの金属感が強調されており、金属パーツを多用しているのがよくわかる

 まずはストライク本体から見ていこう。ストライカーパックを装備していない状態のストライクは武器としては頭のバルカンと、腰に収められた2本のナイフ「アーマーシュナイダー」のみである。最初に起動したシーンや、バッテリーが切れたシーンなどでナイフで戦う姿が印象的だ。また、水中での敵と戦うため、ストライカーパックをつけずにバズーカとシールドのみを持って戦うシーンもあった。

 「METAL BUILD エールストライクガンダム」のストライクの状態は、遠目ではシンプルで、華奢に見える。しかし目を近づけるとその緻密な情報密度に圧倒される。シルエットは全体的に鋭角的で、随所に金属むき出しのパーツが配置されてるので、機械的な雰囲気が強調されている。

 そして肩や腰アーマーなど目立つところに様々なマーキングがある。右肩のO.M.N.Iは地球連合を、右肩のSTRIKEの文字の上のCINQUEはイタリア語の5を意味する。腰アーマーには01XAは、母艦である「アークエンジェル」所属であることを示すマーキングだ。こういった意味を1つ1つ調べるのもとても楽しい。

圧倒的な情報量が確認できるアップ。左肩は地球連合の所属を示すO.M.N.Iの文字。右肩のCINQUEはイタリア語の5を意味する
金属パーツが多用されているのがよくわかる脚部。膝を曲げるとアーマーが連動して動くなど、メカニカルな雰囲気が楽しい
上半身の可動も優秀だ。この可動範囲があるからこそ、肩を上げ力を込めたポーズもしっかり決まるのだ

 足も腕も頑丈な金属パーツで、手に持つとずっしりと重く、ポーズをつけるときの重さも心地良い。金属製の関節を持ち、みっしりと中身が詰まったアクションフィギュアを動かす感触は、他のアクションフィギュアと異なる、合金玩具である「超合金」の重さにワクワクしていた子供の頃の記憶と、精密なディテールや、フレームが連動して動く機構などを楽しむマニアックな感覚がない交ぜになって、とても楽しい。

 「ガンダムSEED」のMSは、アニメで非常に印象的に描かれている。兵器としてのこだわり、リアリティを持ちながら、見得を切ったり、カメラに向かって武器を構えたり、ヒロイックな演出が強められている。パースを効かせ、エッジと陰影を強めにしたその構図は独特の魅力がある。メカ作監を務めた重田智氏の人気が高いのも納得できる。

 アーマーシュナイダーを構えてポーズをとるストライクは非常にカッコイイ。手をクロスさせてみたり、ヒーローもののような決めポーズをとらせるのが楽しい。ストライク本体で筆者が気に入っているのは、背部スラスターだ。バーニアそのものは小さいが、腰の後ろのスラスターを併用することで単体でも宇宙空間での移動や、地上でのジャンプはできそうだ。実際、ランチャーストライクや、ソードストライクでは、このスラスターがメインとなる。

腰に収められた2本のナイフ「アーマーシュナイダー」。腰にきちんと収められ、手に持てる。この武器で戦うストライクのポーズ付けも楽しい
背中のスラスター。小型だが、ジャンプや、宇宙空間での移動は可能な感じだ


遊びの幅が大きく広がるエールストライカー。もっともっと換装したい!

 エールストライカーもじっくり触ってみることで色々な発見があった。スラスターユニットとの接続部、本体と接続するコネクター部分など随所に金属パーツが使われている。上部のスラスターとウイングは上下に可動、下部の2つのスラスターは、基部がフレキシブルに可動するので、様々な表情付けが可能だ。

 上部のウィングは垂直に立て手から折り曲げることで駐機状態をイメージした形にできるところから、水平まで角度が変えられ、様々な方向でしっかりと角度を保持できる。滑空するときは翼を水平にするかも? といった解釈も楽しい。下部ユニットのウィングは大きく開閉する。広く開けることで機動性を増し、閉じることで一方向へ推力を集中させる、といった自分なりの解釈で動かしてみるのが楽しい。

 「METAL BUILD エールストライクガンダム」には、エールストライカー単体を飾っておけるスタンドも付属している。今後ストライカーパックが発売されていく中で、ストライカーパック単体で飾っておけるようになっているのだ。このスタンドはストライク本体をディスプレイできるスタンドとの合体も可能で様々なシチュエーションを表現できる。

閉じた状態から、開いた状態へ。大きくイメージが変わる

 エールストライカー装備の標準的な武装であるビーム・ライフルとシールドの作りも凝っている。ライフルはつや消し塗装が施されており、塗装も非常に細かい。スコープ部分の青い塗装が印象的だ。

 シールドは基部がちょうつがいフレキシブル状に展開し、ボールジョイントも仕込まれているので腕に固定したままでも自由に動き様々なポーズに対応する上、グリップがついているので演出上もしっかりと保持している雰囲気が出せる。この大きな盾は「ガンダム」の記号としてもとても重要である。盾の先端に取り付けられている金色の打突攻撃を行なう部分もかなり強力そうだ。

ビーム・ライフルとシールド。シールドは基部のジョイントや、レールで可動するグリップなど多機能なのがわかる
エンジン内部まで細かく造形、色分けされている
翼端やスラスターユニットのアップ。ディテール表現は見ていて飽きない

 そして、エールストライカーを装備したストライクはがらりと雰囲気を変える。大きな翼とバーニアがストライクに高機動戦闘を可能にさせる。スタンドで空中や宇宙空間をイメージしたポーズをとらせるのが楽しい。飛翔するイメージで前傾姿勢を取らせたり、空中に静止してビーム・ライフルを両手で構えてポーズをとらせたり、動きのあるディスプレイがイメージをふくらませてくれる。

 エールストライクはアニメのオープニングでの決めポーズを代表するように大きく足を広げ、手足を伸ばしたポーズが似合う。ビーム・ライフルを構える場合は肩を入れて、首を引いて上目遣いに照準を合わせるような力の入ったポーズがいい。武器を構えるポーズにエッジの効いた「METAL BUILD エールストライクガンダム」のアレンジはぴったりだ。「カッコいいなあ」とつぶやきながらポーズをとらせ、色々な角度から直し、ちょっとだけ調整を加えてるうちに、ドンドン時間が経ってしまう。ずっと眺めていたくなるアイテムである。

 ポーズをとらせる場合に、奥が深いと思ったのがお腹と胸の関節だ。特に腹部分の左右の傾きが難しい。ここを動かしてから決めポーズをとらせるとほんの少しの傾きで手足を大きく変えなくてはバランスがとれなくなってしまったり、印象が変わる。色々なところを動かしてその感触を楽しむのもありだが、やはり決めポーズでディスプレイをしたい。各関節のポテンシャルをもっと研究したいと感じた。

武器とエールストライカーでポーズの幅が大きく広がる。武器をどう構えるか、どういった姿勢で移動するのか、アニメで多用した蹴りポーズはどう決めるのか、考えながら動かすのは楽しい

 関節に感じては、「METAL BUILD エールストライクガンダム」は、他のMETAL BUILDや、METAL ROBOT魂と比べて太もものロール幅が狭く感じた。このため足を開いたときのポーズの調整が少し難しく感じた。もう少し動くことでよりダイナミックなポーズがとれるかもと感じた。

 もう1つ、これはもう無い物ねだりなのだが、やはり他のストライカーパックが欲しい。今すぐ換装遊びがしたい。特に劇中で活用された「ソードストライカー」、「ランチャーストライカー」はやはりストライクに装備させて姿を変えてみたい。「METAL BUILD エールストライクガンダム」で遊んだからこそ、大きな剣を、大きな銃を構えるストライクを一層見たくなった。

ストライカーパック第1弾は、「METAL BUILD ガンバレルストライクガンダム」。プレミアムバンダイにて8月10日より受注を開始している。価格は10,000円(税別)
筆者が持っている「METAL BUILD デスティニーガンダム(ハイネ機)」と並べてみる。派手なデスティニーに対し、エールストライクは落ち着いた魅力がある

 インタビューで取り上げたとおり、ストライカーパック第1弾は12月発売の「ガンバレルストライカー」であり、こちらもとてもとても楽しみなのだが、もっと早く換装遊びをしたいと強く思った。「METAL BUILD エールストライクガンダム」のクオリティが高く、様々な換装が可能というポテンシャルを秘めているからこそ、期待が強くなってしまった。

 「METAL BUILD エールストライクガンダム」は単体でもとても楽しく、遊び甲斐のある商品だ。そして今後換装によって遊びの幅が大きく広がっていく。現在すでに入手困難になっている状況だが、今後のストライカーパック販売を視野に入れて、供給が追加されてほしい。高い満足度と、今後の期待が高まる商品である。

【プレミアムバンダイで購入】