レビュー

ARグラス「RayNeo GT Max」/AIグラス「RayNeo iO」レビュー

ゲームと相性抜群のGT Max、日常生活をサポートするiO。異なる2つのスマートグラスを試す

【RayNeo GT/GT Max/iO】
9月4日16時より販売開始
価格  RayNeo GT:52,980円
RayNeo GT Max:67,980円
RayNeo iO:89,000円

 RayNeoは、ARグラス「RayNeo GT」シリーズおよびAIグラス「RayNeo iO」を9月4日16時より販売する。価格は「RayNeo GT」シリーズが52,980円〜、「RayNeo iO」が89,000円。

 様々なメガネ型デバイス(スマートグラス)を手がける中国・TCLグループ傘下のRayNeo。2025年以降、AndroidベースのOSを搭載したAI+ARグラス「RayNeo X3 Pro」、カメラ内蔵のAIグラス「RayNeo V4」、HDR10に対応したARグラス「RayNeo Air 4 Pro」などを立て続けにリリースしているが、今回も新機軸の製品を一気に3モデル投入する。

 それが3DoFに対応した「RayNeo GT/GT Max」と、AIアシスタント機能を融合した「RayNeo iO」だ。今回は、発売前に試用する機会を頂いたので、本稿では上位モデルのARグラス「RayNeo GT Max」とAIグラス「RayNeo iO」のレビューをお届けしていく。

【RayNeo GT Max】広視野角なフラットプリズム採用! 専用チップで単体3DoFも

 まずはARグラス「RayNeo GT Max」の外観やスペックを確認していこう。本製品は、いわゆる“サングラス型ディスプレイ”であり、スマートフォンやPC、ゲーム機などと接続して、映画館のような大画面で映像を楽しめるデバイスだ。外観はサングラスというにはゴツい印象だが、曲線を基調とした近未来的なデザインとなっている。

 重量は78gでメガネと比較すると重いが、重量バランスは良好だ。ヒンジの可動域は広く、適度な側圧もあり、長時間装着していても疲れにくい。なお、メガネユーザーの方は別途インサートレンズを購入することで、裸眼に近いストレスフリーな体験を楽しめる。

【「RayNeo GT Max」の外観】
こちらが「RayNeo GT Max」
曲線を基調とした近未来的なデザイン
サングラスというにはゴツいものの、迫力のある映像を楽しめる
目とレンズのクリアランスも十分あり、まつ毛や眉間と接触しにくい
メガネユーザーは別途インサートレンズが必要となる(画像は付属のデモレンズ)
インサートレンズがあれば裸眼と同じような体験を楽しめる
映像入力はUSB Type-C
付属品は説明書類とケース、メガネ拭き、USB Type-Cケーブル、滑り止めシールと豊富
ノーズパッドはS・M・Lの3種類から調整できる

 ディスプレイは、第5.5世代の「デュアルレイヤーMicro OLEDパネル」を搭載しており、解像度は1,920×1,080ドット(フルHD)、リフレッシュレートは最大120Hzに対応。この辺りは同時発売の通常モデル「RayNeo GT」や先代の「RayNeo Air 4 Pro」と同一だ。

 だが「RayNeo GT/GT Max」は、ストリーミングボックス「RayNeo Pocket TV Pro」との接続時に、HDR規格の一つである「Dolby Vision」対応コンテンツを視聴できる。PCやゲーム機からの「Dolby Vision」入力には対応していないため、活用範囲は限定されるが、映画などのコンテンツ視聴で力を発揮しそうだ。

 なお「RayNeo GT Max」を購入すると「RayNeo Pocket TV Pro」がプレゼントされるキャンペーンも開催中。単体での販売は遅れる見込みとなっているため、既存のRayNeoユーザーの方で「RayNeo Pocket TV Pro」の購入を検討している方は最新情報を確認してほしい。

【Dolby Vision】
「RayNeo Pocket TV Pro」と組み合わせると、対応コンテンツで「Dolby Vision」出力が可能となる

 そして今回の「RayNeo GT Max」は光学設計を刷新しており、新たに「Peacock Optical Engine 3.0 Max」を採用。他社のARグラスでも上位モデルに採用例が多い「フラットプリズム」がベースで、レンズ部分は薄型化しつつ視野角を拡大させている。結果として、ARグラスではかなり広い視野角59度を実現した。

 一方でフラットプリズムがベースの光学設計は、両目の間の距離(瞳孔間距離/IPD)がシビアとなるため、本製品は購入時にIPD64mm未満の「Sサイズ」、IPD64mm以上67mm以下の「Mサイズ」、IPD67mm超の「Lサイズ」を選択する必要がある。自身のIPDはメガネの購入履歴に書かれていることが多いほか、眼科やメガネ店でも測定可能だ。

【光学設計】
光学設計は「Peacock Optical Engine 3.0 Max」へ刷新
フラットプリズムをベースにしており、薄型化と広視野角を両立している
IPDにシビアなフラットプリズム。購入時にS/M/Lサイズから選択する必要がある(今回はMサイズを試用)

 そして「RayNeo GT」シリーズは、新たに空間コンピューティングチップ「Zone 360」を搭載し、RayNeoで初めてARグラス単体での「3DoF」に対応。これまでの「RayNeo Air」シリーズは、どの方向を向いても目の前に映像が固定される「0DoF」に留まっていたが、いよいよ「3DoF」を実装してきた形だ。

 「RayNeo GT/GT Max」では空間上に画面を配置できる「ピン留めモード(3DoF)」、頭を動かした時のブレを吸収する「ステディモード」、これまで通り目の前に映像が固定される「フォローモード(0DoF)」を利用できる。特に電車や飛行機での移動中は「ステディモード」によって、画面を見ていても酔いにくくなるのでオススメだ。

【3DoFのモード】
ピン留めモードのイメージ。3DoFらしく空間上に画面を配置できる
ステディモードのイメージ。ブレを吸収することで、移動中に使用しても酔いにくくなる
フォローモード。いわゆる0DoFで、これまでと同じように映像が目の前に固定される
【「RayNeo」現行モデルの比較】
RayNeo GT Max(本製品)RayNeo GTRayNeo Air 4 Pro
パネル第5.5世代デュアルレイヤーMicro OLED第5.5世代デュアルレイヤーMicro OLED第5.5世代デュアルレイヤーMicro OLED(SeeYa製0.6インチ)
光学設計Peacock Optical Engine 3.0 Max(フラットプリズム)Peacock Optical Engine 3.0(バードバス)Peacock Optical Engine 2.0(バードバス)
解像度1,920×1,080ドット(フルHD)1,920×1,080ドット(フルHD)1,920×1,080ドット(フルHD)
リフレッシュレート最大120Hz最大120Hz最大120Hz
最大輝度1,200ニト1,200ニト1,200ニト
FOV(視野角)59度46度46度
画面サイズ(参考)6m先に227/267/307インチ相当(3段階)6m先に136/201/231インチ相当(3段階)6m先に201インチ相当
映像処理チップVision 4000Vision 4000Vision 4000
HDR表示Dolby Vision(「RayNeo Pocket TV Pro」接続時のみ)Dolby Vision(「RayNeo Pocket TV Pro」接続時のみ)HDR10
SDR→HDR変換機能対応対応対応
3D変換機能非対応非対応対応
空間コンピューティングチップZone 360Zone 360非搭載
3DoF対応対応非対応
サウンドAudio by Bang & Olufsen(4スピーカー)Audio by Bang & Olufsen(4スピーカー)Audio by Bang & Olufsen(4スピーカー)
重量78g68g76g

【RayNeo GT Max】広視野角はゲームに合う! 別売りドックでSwitch2も対応

 ここからは実際に「RayNeo GT Max」を使っていく。今回は、USB Type-Cの映像出力に対応したスマートフォンとゲーミングPC、そしてモバイルドック「RayNeo JoyDock」経由のNintendo Switch 2で、いくつかゲームをプレイしてみた。

 まず筆者が感じたのは体感上の画面の大きさ。視野角59度というのはARグラスの中でもトップクラスで、今回の「RayNeo GT Max」は最大で6m先に307インチ相当を謳っており、確かに目の前に大きな画面があるような感覚を楽しめる。視野角が広いほど、画面が大きく感じられ、映像への没入度も向上するのだ。

 特にスマートフォンやゲーミングPCはケーブル一本で接続することができ、動画やソーシャルゲームを気軽に大画面で体験できる。家族がテレビを使っていてゲームができない時、移動中に大画面でアニメを見たい時など、気軽に持ち歩けて、面倒な設定もいらないというのは非常に便利だ。

【USB Type-Cで簡単に接続!】
USB Type-Cの映像出力に対応したデバイスであれば、ケーブル一本で接続できる
【レンズ越しの画像】
レンズ越しに撮影すると周囲が歪んだり、色が変わってしまうことがあるので、あくまでイメージとしてみてほしい
こちらはPC版「Forza Horizon 6」の様子。色はとても鮮やかで、大画面のレースを気軽に体験できる
こちらはモバイル版「Minecraft」。Micro OLEDらしく暗部をしっかりと再現するほか、文字も問題なく読める

 また、別売りのモバイルドック「JoyDock」を使用すれば、Nintendo Switch 2やNintendo Switchからの映像入力にも対応。バッテリーを内蔵しているため、電源を用意できない場所でも、数時間はTVモードと同じように大画面でゲームを楽しめる。

 加えて、テンプル部分にはデンマークのオーディオメーカー「Bang & Olufsen(B&O)」監修のスピーカーを内蔵しており、広がりのあるサウンドを楽しめる。もちろん音漏れはあるため、外出先ではイヤホンやヘッドホンを併用する必要があるが、家の中であれば十分なサウンドとなっている。

【JoyDock】
RayNeo純正のモバイルドックである「JoyDock」
3つのUSB Type-C端子があり、画像左から映像入力(Switchなど接続用)、映像出力(ARグラス接続用)、充電用となっている
Switch2とのマウントキット(別売り)も用意
ドックが介入する分、接続は少し複雑だが、基本的に全てプラグインで使用可能だ
バッテリーを内蔵しており、外出先でも数時間はTVモードと同じようにゲームを楽しめる
今回は「スプラトゥーン レイダース」を重点的にプレイしたのだが、携帯モードでは味わえない迫力を味わえた
【内蔵スピーカー】
「Bang & Olufsen」監修のスピーカーを内蔵
低音は豊かで広がりもあり、ヘッドホンなしでも十分なサウンドを楽しめる

 今回使っていて気になった点は、外側の遮光レンズ(サングラス部分)の調整が効かないこと。「RayNeo GT Max」には調光機能がないのだが、遮光レンズは暗めのため、外の景色を見るにはグラスを外す必要がある。一方で真っ暗というわけでもないため、うっすらと奥が透けて見えるのも難点だ。

 調光機能があれば、映像視聴時は暗くすることで没入感を高め、咄嗟に前を見たい時はレンズを透けさせることができる。あるいは遮光レンズは比較的明るめにして、別途「遮光フード」を付属させることで没入感を高める方法でもよかっただろう。「RayNeo GT Max」の遮光フードは別売りとなっているため、没入感を重視する方は同時購入をオススメしたい。

【遮光レンズ】
「RayNeo GT Max」の遮光レンズは調整が効かない。没入感を重視する方は「遮光フード(別売り)」の同時購入をオススメする

【RayNeo iO】ほぼメガネ! 日常生活に便利なAIグラスも登場

 続いてはAIグラス「RayNeo iO」を紹介したい。こちらは「RayNeo GT Max」とは全く異なり、スマートフォンとペアリングして通知を確認したり、AIアシスタントに頼み事をしたり、録音や文字起こしができるデバイスだ。

 スマートフォンと連携しつつ機能を絞り込むことで、大幅なスリム化を実現しており、ぱっと見は“ほぼメガネ”のような外観となっている。実際、筆者がVRヘッドセットやARグラスをつけて家族の前に現れると「(またなんか付けてるよ……)」という視線を感じるのだが、本製品をつけて現れた時は「メガネ変えた?」と言われた。まじまじと見ない限り、ほとんどの人がAIグラスだとは気づかないだろう。

 重量は37gで一般的なメガネよりも少し重い程度。バッテリーは240mAhで、通常使用で48時間、高負荷使用で24時間、待機時間は96時間となっている。充電コネクターが付属しているが、バッテリーを内蔵した「充電ケース」も別売りで用意されており、より簡単に充電することも可能だ。

【「RayNeo iO」の外観】
こちらが「RayNeo iO」
スマホ連携&機能の絞り込みで大幅にスリム化。ぱっと見はほぼメガネとなっている
細部まで見ない限り、ほとんどの人がAIグラスとは気づかないだろう
付属品はケース、充電コネクター、モダン部分に装着するシリコンカバー、ノーズパッド、ドライバー、メガネ拭き、説明書類などが同梱されている
【充電コネクター/充電ケース】
充電コネクター(USB Type-Cケーブルが別途必要)をブリッジ部分に装着することで充電可能
別売りでバッテリー内蔵の「充電ケース」もラインナップされる
定期的に収納することでバッテリー残量を気にする回数が減るほか、より簡単に充電できる
付属ケースよりも一回り大きくなるが、日常使いを予定している方は必須のアイテムだ

 先述のようにほぼメガネな外観だが、両側にグリーンの単色ディスプレイを内蔵しており、解像度は540×220ドット、視野角は23.5度となっている。あくまでスマホの通知やメガネのステータス、AIの回答結果を見るためのもので、画像や動画を見たり、マップを表示させたりなどはできない。

 ちなみに「RayNeo iO」と相対しても、正面からは映像が見えず、覗き込むようにすると緑色の光が少し見えるだけだ。なお「RayNeo iO」も度付きレンズに対応しており、申し込み方法や価格については後日発表予定となっている。

 このほかに4マイクアレイが搭載されているが、カメラやスピーカーは非搭載となっている。特にAIグラスにおけるカメラは、プライバシーや盗撮といった懸念があるため、各国で議論の対象となっているが、カメラレスの「RayNeo iO」であればその心配もない。ちなみにマイク稼働時も、モダン部分に内蔵されたステータスランプが光る仕様となっている。

【ディスプレイ&光学設計】
両側の蝶番にMicro LEDディスプレイを搭載。そのため、蝶番部分が少し大きい
「回折光導波路(ウェーブガイド)」という光学設計を採用。反射が違う箇所(四角い部分)が表示エリアだ
イメージとしては視界の斜め上にグリーンカラーで情報が表示される。近未来的な雰囲気でカッコいい
4マイクアレイとステータスランプを内蔵。カメラやスピーカーは搭載されていない

 スマートフォンに「RayNeo AI」アプリをダウンロードして、Bluetoothでペアリングすると使用可能となる。アプリからは、ディスプレイの明るさ調整や本体アップデートなど、グラス本体の各種設定が可能となっている。

 また、生成AIの会話モデルも変更でき、無料プランでは「RayNeo V1」と「Gemini 3.1 Flash Lite」を利用可能。有料プランに加入すると、追加で「ChatGPT 5.5」や「Claude Sonnet 5」、「Gemini 3.1 Pro」などを利用可能だ。なお、各生成AIの有料プランは利用できず、アプリの「Pro VIP」プランに加入する必要があるため注意が必要だ。

【「RayNeo AI」アプリ】
スマートフォンの「RayNeo AI」アプリで各種設定、本体アップデートなどが可能
生成AIの会話モデルも変更でき、専用の有料プランに加入すると高度な会話モデルも利用できる

【RayNeo iO】思いついた時にすぐ伝えられる! メガネ型のメリット

 アプリは発売前のベータ版であったが、今回は会話モデルを「Gemini 3.1 Pro」に変更して、1週間ほど「RayNeo iO」を装着して生活してみた。筆者の使い方としては、AIへの頼み事がほとんどであったが、「Hey RayNeo」と呼びかけるだけで起動して、筆者が頼むことをスムーズにやってくれる。

 例えば「1時間後に〜〜さんに連絡する」とお願いするとリマインダーを作成してくれたり、「Nintendo Switch 2っていつ発売されたっけ?」と聞くと調べてくれる。これらはスマートフォンやPCでも可能だが、わざわざデバイスを手に取ることなく、思いついた時にすぐ伝えられるので非常に便利だった。

 また、グラス本体の「スマートクラウン」でAIを呼び出したり、録音やプロンプター機能といったミニアプリを切り替えられる。会話をリアルタイムで文字起こしする「ライブ字幕」という機能もあり、マイクを使った機能は非常に充実している。なお、リリース時点では自作アプリなどの導入はできない。

【「RayNeo iO」の機能】
思いついた時にすぐ伝えられるのがAIグラスのメリット。Switch2について調べてもらったが、正しい情報を伝えてくれた
録音やライブ字幕など、マイクを使った機能も充実している

 気になった点は表示領域の狭さで、AIに調べてもらったことは全てディスプレイに表示されるのだが、長文になると5行ほどで画面が埋まってしまう。スマートクラウンで巻き戻してみることもできるのだが、「もう少し表示領域が広ければな」と感じた。

 加えて、スピーカーが搭載されていないため、AIからの返答は必ずディスプレイを見る必要がある。これも音声によるフィードバックがあれば、作業をしながら頼み事ができるので、多少音質が悪くてもスピーカーを搭載してほしかったところだ。

 だが、これらは“ほぼメガネ”な外観を実現するにはトレードオフなポイントでもあり、何気なくAIアシスタントを使えるのが「RayNeo iO」の最大の特徴だ。

【「RayNeo iO」の気になったところ】
「ゼンレスゾーンゼロ」に登場するレミエールについて聞いたところ。もう少し表示領域が広ければいいなと感じた
スピーカー非搭載も気になったポイント。音声フィードバックがあればより便利だろう
これらは“ほぼメガネ”を実現するにはトレードオフでもある。何気なくAIに頼れるのが「RayNeo iO」の特徴だ

【まとめ】近未来を体験できる2つのスマートグラス。どちらも実用性を備えたデバイスに

 ここまで「RayNeo GT Max」と「RayNeo iO」のレビューをお届けしてきた。外観から用途まで全く異なる両者だが、一見尖ったガジェットのように見えても、数多くのスマートグラスを手掛けてきたRayNeoだけあって、どちらも実用性を備えたデバイスに仕上がっている。

 3DoF対応を果たしたARグラス「RayNeo GT」シリーズ、日常生活をサポートするAIグラス「RayNeo iO」。近未来を体験できる2つのスマートグラスをぜひ皆さんも体験してみてほしい。