レビュー

「逆転裁判456 王泥喜セレクション」レビュー

オドロキくんがHDになって帰ってきた! 新規プレーヤーも楽しめる、オドロキくんの成長物語

【逆転裁判456 王泥喜セレクション】

2024年1月25日 発売予定

価格:
パッケージ版 6,589円
ダウンロード版 5,990円

 2024年1月25日に発売予定の「逆転裁判456 王泥喜セレクション」(以下、「逆転裁判456」)。本作は法廷を舞台にした推理ADV「逆転裁判」シリーズのうちの「逆転裁判4」、「逆転裁判5」、「逆転裁判6」の3タイトルを1本にまとめたタイトルとなっている。

 主人公を成歩堂 龍一(なるほどう りゅういち)から王泥喜 法介(おどろき ほうすけ)へと変え、新たな物語を紡ぐことになる「逆転裁判4」を始め、ナルホドくんの復活となる「逆転裁判5」、ナルホドくんとオドロキくんのW主人公となる「逆転裁判6」が収録されているのが、本作だ。

 本稿ではこの3本がセットになった「逆転裁判456 王泥喜セレクション」の見どころを紹介していこう。

【『逆転裁判456 王泥喜セレクション』プロモーション映像2】

HD化で美しい画面にリファイン!

 本作は、「逆転裁判456」の好きな作品の好きな章から開始できる。いきなり「逆転裁判6」のチャプター3からプレイしたい、なんていうことも可能なのだ。セーブデータはタイトルごとに分かれているのも、嬉しいポイントである。

ゲームを選んだら、はじめからプレイするか、好きな章だけプレイするかを選ぶことができる

 ちなみに「逆転裁判」シリーズは、1作ごとにある程度独立した物語とはなっているが、シリーズを通してプレイしたほうが、より楽しめる内容になっている。筆者の個人的見解では、やはり「逆転裁判4」の冒頭から順番にプレイしていったほうが楽しめるのは、間違いないだろう。もしも今回が初見という人は、何も考えずに「逆転裁判4」からプレイしてみてほしい。

 そして本作のもうひとつの特徴は、なんと言ってもHD化された画面だ。オドロキくんの特徴的な髪型はもちろんのこと、だらだらと汗を流す姿もHD画質になって、微細な点まで表現されている。

オドロキくんがHDになって帰ってきた。感涙である
もちろん、ナルホドくんも綺麗になって(?)新登場。無精ひげも、くっきり
ニンテンドーDS「逆転裁判4」でのスクリーンショット。くっきり具合がよりわかりやすいかと思う

 他にも、オートで読み進める機能もある。オートには二種類あり、選択肢などは自分できちんと選ぶモードと、証拠品の提示から何から何まで全てがオートになった「ストーリーモード」が搭載されている。ストーリーモードはオプションからいつでも設定可能なので、謎解きにどうしても詰まってしまった場合などに一瞬だけストーリーモードでプレイする、というようなことも可能だ。ただし、例え一瞬だけでもストーリーモードにしてしまうと、取得できない勲章(実績解除要素)がある点には、注意してほしい。

オプションではテキストの自動送り時間の設定も、0.5秒~2.0秒までで設定できる。自分の読む速度にあわせてページ送り時間を変えられるのは、とても親切
オプションの「奥の手」欄にあるのが、ストーリーモード。謎解きを含めて全てを自動で進めてくれる

 また、本作は原作が発売になった時に販売されたDLCコンテンツも収録している。「逆転裁判5」や「逆転裁判6」では、DLCコンテンツだったコスチュームも選択可能になっているのが嬉しい。

ナルホドくん
オドロキくん
希月 心音(きづき ここね)ちゃん

 更には「ミュージアム」にてBGMを聴いたり、歴代のビジュアルアートや設定画などを見ることができたり、様々なキャラクターの立ち絵、ボイスなどを楽しむことができる。なので、「逆転裁判456」を新規で楽しむ人はもちろんのこと、歴代シリーズのファンにとっても最高に嬉しいご褒美だらけの本作なのだ。

BGM視聴。オーケストラコンサートなどの、貴重な音源も収録されている
各アートなどを見られる、アートライブラリ。ムービーも収録
アートライブラリの絵は拡大して見ることも可能
各キャラクターの立ち絵、ポーズ、ボイスを楽しむことができるコーナーも

「逆転裁判4」の見どころを紹介

 さて、ここからは2007年にDSで発売された「逆転裁判4」の見どころを紹介しよう。

 前述の通り、「逆転裁判4」では「新章開廷」をコンセプトに、これまでの主人公ナルホドくんから世代交代して、主人公はオドロキくんとなっている。

 第1話は、オドロキくんの弁護士としての初舞台を描く。被告人は、元弁護士で、現在はピアニストの成歩堂 龍一。ロシア料理店「ボルハチ」の地下で、殺人事件が発生。その犯人として捕まったのが、ナルホドくんだったのだ。

被告人は、なんとナルホドくん。オドロキくんは、ナルホドくんの弁護をすることになる
ナルホドくんとポーカーの勝負中だったという被害者だが……

 裁判の証拠になる「法廷記録」と、裁判中のどのように使うかは、オドロキくんの師匠である牙琉霧人(がりゅうきりと)弁護士が教えてくれるので、しっかり聞いておこう。

牙琉弁護士
法廷記録

 基本的な遊び方は、証言台に立っている証人に対して法廷記録と矛盾する発言を探し出し、その矛盾を突きつけて新たな証言や証拠を引き出していく、という繰り返しなのだが、どのストーリーもしっかりとストーリーが練られており、謎解きにマンネリ感がなく、もっともっと続きを読みたいという気持ちにさせられる内容となっている。

尋問では、矛盾を見つける以外にも「ゆさぶる」で新たな証言などを引き出すこともできる。すぐに矛盾がわからないときは「ゆさぶる」も試してみよう
矛盾を見つけたら、その時は大きな声で「異議あり!」と叫ぶ

 ナルホドくんが真犯人のわけがない、と信じているオドロキくん。裁判で証人から証言を引き出して、ナルホドくんの無実を証明してみせよう。

証人は意図的に嘘をついている場合もあれば、思い込みで結果的に矛盾を生み出していることもある。嘘をついているから犯人、とは限らない

 「逆転裁判4」から新登場となったシステムで特徴的なのは、特定の尋問で使える「みぬく」。特定の証言で、証人が嘘をついているとき、証人が何かしら体の仕草に癖を表すので、その癖を「みぬく」で指摘して、証拠品をつきつけるのだ。

「みぬく」ではオドロキくんの腕輪の能力を使って、証人の嘘を見破る

 法廷でのシステムにも慣れてきた、第2話。オドロキくんは殺人事件の容疑者である北木滝太(きたきたきた)の弁護を任される。

 第2話からは探偵パートが登場するので、オドロキくんはナルホドくんの娘である新ヒロイン・みぬきちゃんと共に、殺人事件の調査を始めることとなる。

ナルホドくんの娘の、成歩堂みぬき。15歳にして、マジシャンとして活躍している
探偵パートでは事件にまつわる場所を訪れ、証言や証拠品を得る
「蘇る逆転」で登場したカガク捜査が本作にも登場。証拠品の指紋を取って、関係者の指紋と照合したり、現場に残された足跡を取ったりすることができる

 この殺人事件の裏で、ナルホドくんがひき逃げをされたり、みぬきちゃんのパンツが盗まれたり、ラーメン屋の屋台が盗まれたりと、様々な事件が起こっていた。果たしてこれらの事件は、殺人事件にどう関わっているのだろうか。探偵パートと法廷パートのふたつから、事件の真相に迫っていくこととなる。

オドロキくんのライバルとなる検事は、人気ロックバンド・ガリューウェーブのボーカリスト、牙琉響也(がりゅうきょうや)。オドロキくんの師匠である牙琉弁護士の弟だ

 「逆転裁判4」は登場人物もこれまでからほぼ一新、「逆転裁判123」を未プレイでも楽しめるような作品だ。とは言え、前作の主人公であるナルホドくんも「法曹界から追放された」という設定で登場する。

 また、「逆転裁判4」は「逆転裁判3」から7年後の世界が舞台となっているので、未プレイの人は「逆転裁判4」で興味がわいたら「逆転裁判123」をプレイしてみる、という流れでも良いだろう。