レビュー

「グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-」レビュー

「グラブル」ファン・格ゲーファンも楽しめる! 開発の愛を感じる対戦格闘ゲーム

【グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-】

発売元:Cygames

開発元:アークシステムワークス

発売日:12月14日

プラットフォーム:PS5/PS4/PC(Steam)

ジャンル:対戦アクション&パーティー

価格:
無料(フリーエディション)
6,600円(スタンダードエディション)
9,680円(デラックスエディション)

 「グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-(GBVSR)」のオープンβテストから早1ヵ月。12月14日についに製品版が発売される。

 本作は、2014年に配信開始されてなお人気の高いソーシャルゲーム「グランブルーファンタジー」を題材にした対戦型2D格闘ゲーム。「グラブル」に登場するキャラクターたちを動かして対戦が楽しめる。また、ストーリーモードや大人数で遊べるパーティーゲームなども収録されており、格闘ゲーム以外にも楽しめる要素が含まれている。

 今回は、βテスト存分にプレイした筆者が本作の製品版をレビュー。本作がどういった対戦格闘ゲームなのかを説明したうえで、収録されている各モードと、それについての所感を紹介する。なお、詳細なゲームシステムについては前回のオープンβテストから極端に大きな変更点はないので、そちらの記事を参考にしていただきたい。

【『Granblue Fantasy Versus: Rising』 #13 ストーリートレーラー】
ゲーム中は、ときおりデフォルメされたSDルリアが登場。プレイヤーの心をなごませてくれる
ゲームに関するアドバイスから何気ない日常会話まで、とにかくしゃべりまくるSDルリアが可愛すぎる

新規参入でも今日から戦える! 初心者にも上級者にも配慮したバランスが絶妙

 格闘ゲームのタイプは、極論すると2種類に大別できる。1つは、間合いの調整と牽制の差し合いが重要なファクターとなる硬派なタイプ。もう1つは、画面内を縦横無尽に動き回ってダイナミックな戦い方ができる自由度の高いタイプだ。

 それぞれに異なる楽しさがあり、どちらが良いということはないのだが、本作は後者に該当。ほとんどのキャラクターは機動力が高く、画面を広く使えるので、爽快感がある。必殺技には派手なビジュアルのものが多く、本作をまったく知らない人でも見ていて面白い。

必殺技もさることながら、奥義や解放奥義(どちらも超必殺技のようなもの)の演出はダイナミック

 自由度が高い格闘ゲームにはシステムが複雑な作品もままあるが、本作はそれもケアされている。操作性はいたってシンプル。ジャンプにダッシュに必殺技と、最低限のアクションのみで戦えるように仕上がっている。

 唯一、避けと回り込みだけはガードボタン+←or→という特殊な操作法だ。使いこなせれば立ち回りに幅が出るが、初心者のうちはどちらも無理に使う必要はない。実際、上級者同士の対戦でも避けや回り込みを使う場面は限られている。

ガードボタンがあるものの、方向キーを後ろに入れてもカードになるので、2D対戦格闘に慣れた人なら違和感なくプレイできる
避けや回り込みはアクセント的な位置づけ

 また、「アビリティボタン」が用意されており、必殺技や奥義・解放奥義を方向キーとボタンの組み合わせだけで繰り出せるのもポイント。複雑なコマンド入力が必要ないので、初心者でも出したいときに出したい必殺技を簡単に出せるというわけだ。

 本作は多種多様な必殺技を駆使して、自分なりの攻めを展開するのが醍醐味。そんな本作で必殺技を自在に出せなければ、大きなストレスになることは明白である。開発者の、初心者への配慮がうかがえる仕様だ。

必殺技を単発で出す際は、コマンド入力したかどうかで威力が変化する。こちらは→+アビリティボタンで出した場合
正規のコマンドを入力して出した場合、相手に与えるダメージが10%ほど上昇している

 さらに、初見では何が起きているのかわかりにくい攻撃も少ないのも、初心者の参戦ハードルを大きく引き下げている。まだゲームに慣れていないのに何も分からないうちに負けてしまった……ということがほとんどない。

ガード不能のレイジングストライクは使用回数に制限がある。しかも食らった側にも回避行動が用意されている
しゃがみガードできない技は発生が遅い(=ガードしやすい)か、攻撃後のスキが大きい(=コンボの起点にできない)ものがほとんど

 投げの回避行動についても同様だ。投げ操作だけでなく、攻撃ボタンでも投げ抜けできるため、ガードしながらもスキの小さい弱攻撃ボタンを押しているだけで、ローリスクで投げ抜け可能。初心者にとっては、ただ投げられるだけの一方的な戦いになるのを防ぐ措置であり、上級者にとっては、相手の投げ抜け行動をどう逆手にとってダメージを与えるかの駆け引きが生じる措置でもある。

攻撃ボタンで投げ抜けすると、わずかにダメージを受けるほか、その後の状況も不利になる
投げ操作で投げ抜けしたときは、ダメージを一切受けないうえ、完全に五分な状況で仕切り直しに

 全体的に初心者が参戦しやすいように配慮を重ねつつも、同時に上級者が楽しめるように考慮もされているゲームシステムとなっている。初心者から上級者まで、どんなプレイヤーでも楽しめる、絶妙のバランスに仕上がった作品と言えよう。

初心者から上級者まで幅広く楽しめる! 難易度を6段階から選べるシングルモード

 シングルモードは、CPUが操作するキャラクターを倒していき、最後のステージで待ち受けているボス敵に勝てばクリアとなる1人用モードだ。本作のストーリーは後述する「ストーリー」モードに収録されているため、シングルモードには物語性こそないものの、試合前にはキャラクター同士の掛け合いが発生。どの掛け合いもキャラクターの個性を非常によく表現しており、これを見ているだけでも楽しい。

最初の対戦相手は、ベルゼバブとアバタール・ベリアルを除く26人からプレイヤーが自由に選べる
掛け合いは各キャラクターごとに用意されているので、28×28の784通りもある

 難易度は全部で6段階あり、「BEGINNER」がもっとも易しく「HELL」がもっとも難しい。「BEGINNER」や「NORMAL」は、対戦格闘ゲームをプレイしたことがない人や本シリーズ未プレイの人にオススメ。CPUキャラクターにほどよくスキがあるので連係や連続技の練習になる。また、ほどよく攻撃してくるのでガードの重要性も学べる。

難易度は「BEGINNER」から「HELL」までの6段階。最初のうちは、自分の腕前に合わせて選ぼう
「BEGINNER」や「NORMAL」のCPUキャラクターはスキも多く、連続技もほとんど使ってこない

 逆に「HELL」は、CPUキャラクターがかなり強い。対戦格闘ゲームに慣れている筆者も、全試合ストレート勝利かつノーコンティニューでクリアするのに4~5回かかった。

 また、決して理不尽ではなく納得のいく強さに調整されている点にも注目したい。たとえば、人間には反応が難しい牽制の弱攻撃にCPUが超反応で反撃してきたら、どう感じるだろうか。それは強い弱いの前に、無理ゲーなのでは? と思ってしまうプレイヤーも少なくないはずだ(それはそれで攻略のし甲斐があるのだが、ここでは置いておく)。

 しかし、本作の「HELL」に登場するCPUキャラクターは強いながらも、どこかしら人間味がある。プレイしていて感じたのだが、立ちガードでもしゃがみガードでも防げる攻撃はガード率が高い反面、足払い系などの下段攻撃は刺さりやすい印象を受けた。あくまで体感的なもので実際にそういったアルゴリズムが組まれているのかまでは分からないが、この点からも「とにかく難易度“だけ”上げました」という対戦格闘ゲームとは一線を画している。初心者か上級者かを問わず、どんな層でも楽しくプレイでき、かつ真剣に学べるように作られているのだ。

「EXTREME」や「HELL」は牽制が的確なうえ、連続技も強力。ただし、人間には不可能な連係や連続技は使わない
実戦で有効な攻撃ほどヒットさせやすい傾向にあるので、対人戦の練習としても活用できる

さまざまなレギュレーション設定ができる! CPUキャラクターとも戦えるVSモード

 VSモードは、対戦格闘ゲームならば、必ず用意されているシンプルな対戦モード。オフラインでの対人戦のほか、CPUが操作するキャラクターとも戦える。おもに自宅などで友人と対戦するときに便利なモードだ。

 VSモードにはレギュレーション設定が用意されており、通常2ラウンド先取となっている勝利条件を1ラウンド先取や3ラウンド先取に変更可能。また、試合数を決めての勝負(いわゆる3先や5先など)ができる設定もある。

事前にルールを設定できる。連戦するときは、ラウンド勝利演出スキップを「早い」にするといい

 そのほか、ハンディキャップマッチも行なえ、キャラクター選択時に★の数でHPの調整が可能。初心者は★の数を増やし、上級者は★の数を減らして戦えば、初心者でも勝つチャンスが生まれてくる。

★の数が多いほど体力が増えて倒されにくくなる。なお、攻撃力は変化しないようだ
1P側は★1つ、2P側は★5つ。同じ攻撃でも残りHPに大きな違いが出る(攻撃力は変化しないので、単純に比較すればOK)

 ちなみに、CPUキャラクターの難易度はかなり低めで固定されている。シングルモードの「BEGINNER」でも難しいと感じる場合は、VSモードで自分の★を最大&対戦相手の★を最低にして戦ってみよう。逆に、歯応えのある相手と戦いたい人はシングルモードのほうがいい。

対戦格闘ゲームに慣れていない人は、まずはVSモードでゲームの感覚を掴むのも有効だ

上達に役立つ機能が満載のトレーニングモード

 本作のトレーニングモードは、至れり尽くせりの機能が満載。1P側・2P側ともに奥義ゲージの自動回復やブレイブリーポイントの無限化はもちろんのこと、ダメージ情報やフレーム情報も表示される。とくにフレーム情報は攻撃判定の発生や全体の動作時間、相手に当てたときの有利・不利までもがはっきりと分かるので、連係や連続技などの研究・開発に役立つ。

攻撃後に有利な(こちらが先に動ける)ときはキャラクターが青、不利な(相手が先に動ける)ときは赤になる
たとえば有利が「+8」なら、攻撃発生が8フレーム以下の攻撃が連続ヒットする

 相手キャラクターも、立ち・しゃがみ・ジャンプといった基本操作に加え、ガードしたり投げ抜けしたりするかどうかを細かく設定可能。そのほか、プレイヤーが取ってほしい行動を記憶させ再生することもできる。こちらも連続技の練習や確定反撃の発見に効果的だ。

HPが満タンでも解放奥義が使えるようになる設定もあるので、HPをわざわざ減らす必要はない

 ……と、ここまでは比較的よくある機能だが、本作の充実ぶりはそれだけではない。そのキャラクターがどういったタイプなのか、どの技を使えばいいかなどを記載したキャラクター説明書を収録。「相手との距離が近いとき」、「相手との距離が遠いとき」、「相手に攻め込まれているとき」の3つの場面における、オススメの行動を確認できる。

はじめてのキャラクターを使うときは、まずはキャラクター説明書を見て性能を把握するといい
近距離・遠距離・攻められているときに使っていくべき技も紹介されているので、参考にしよう

 さらに全キャラクター分の連続技も掲載。それも、単なる基本技→必殺技といったベーシックなものから下段始動の連続技、画面端やカウンターヒット時の限定コンボに奥義を組み込んだ高火力コンボまで網羅している。これには、ほとほと恐れ入った。

キャラクターにもよるが、1人につき約10程度の連続技が紹介されている
連続技の再現映像も閲覧できるので、タイミングが分からないときは見てみよう

 まずは掲載されている連続技を完全にマスターするのも良し。それらをベースに新たな連係や戦略を考案するも良し。あるいは、より以上のダメージが見込める連続技の発展形を模索するも良し。これまた、初心者から上級者まで利用できる見事な仕様となっている。

原作を彷彿とさせる大ボリューム! 本作独自の物語を体験できるストーリー

 全3部で構成されたオリジナルストーリーが展開するストーリーモード。3部構成と聞くと少なく感じるかもしれないが、これが原作に負けず劣らずの大ボリュームとなっている。1部のなかには複数の物語(話)があり、それぞれで独自のバトルを楽しむことが可能(物語によってはバトルパートがなくイベントパートのみでストーリーが進行するケースもある)。各バトルにはクリア条件が設定されており、達成すれば次の物語をプレイできるようになるのだ。

とにかくCGがめちゃくちゃきれいなうえ、主要なキャラクターはボイスも付いており、アニメファンにもオススメできる
イベント中は□ボタンで用語の確認が可能。ストーリーが面白いのも、この重厚なバックボーンがあってこそだ

 ストーリーモードでのバトルは、本作のチュートリアルも兼ねているのが特徴。たとえば、第一部の序章-1では移動や攻撃、通常技のみのコンボ(ダブルアタック、トリプルアタック)といった基本操作を学ぶことができる。ストーリーを楽しみつつ、自然と本作の基礎が身につくというわけだ。

バトルはアクション要素が強く、対戦格闘ゲームとは一味違った楽しさがある。ときには本モード専用の敵が現れることも

 しかし、単なるチュートリアルなら1回プレイしただけで終わりになってしまう。操作方法を完全にマスターしているのに、くり返し何度も学ぶ必要はないからだ。事実、過去の対戦格闘ゲームにおいて「チュートリアルバトルを何度も戦った」という人は少ないのではないだろうか。

 ところが本作のバトルは何度でもプレイしたくなる工夫がされている。それは、クリア後にリザルト画面が表示されること。「なんだ、そんなことか」と思われるかもしれないが、これは意外に効果が高い。

 一例をあげると、リザルト画面ではそのバトルで敵に与えたダメージの合計量が表示される。となれば、できるだけ多くのダメージを与えてクリアしたくなるのが人情というもの。また、敵に連続で攻撃を当てるとチェイン(コンボボーナスのようなもの)が成立するが、当然こちらも最大チェインを狙いたくなるだろう。単なるチュートリアルにとどまらず、何度も遊びたくなる工夫を凝らしているのは素晴らしいと思う。

 ただ、あえて欠点を言えば、それらの記録が保持されないこと。総ダメージ量も最大チェイン数もバトルクリア時に表示されるだけで、あとから再確認することはできない。これでは、いかにも画竜点睛を欠いている。この点に関してはアップデートによる改善を期待したい。

その他も充実! 好きな場面を作成できるデジタルフィギュアモードなど

 さて、ここまで対戦格闘ゲームやアクション要素、ストーリーの部分をメインに解説してきたが、本作の魅力はそれだけではない。対戦相手を研究したり、本作の世界をより深く理解できるモードも搭載されている。以降はそれらのモードを見ていこう。

リプレイ

 過去に行われた対戦のリプレイを視聴できるモード。対戦格闘ゲームをプレイしてきた人であれば、誰しも一度や二度は見たことのない連係や連続技を目の当たりにして驚いた経験があるだろう。

 しかし、インターネットを利用したオンライン対戦の世界は、まさに一期一会。もう一度見たいと思っても、同じ相手と対戦できる可能性は低い。また、対戦できたとしても相手が同じ連係・連続技を使ってくるとは限らない。

 そんなときに便利なのが、このリプレイ。任意の対戦を保存しておけば、いつでも好きなときに視聴できる。また、ライバルの動きを研究して攻略法を考える際にも有効だ。

オンライン対戦だけでなく、VSモードの対人戦もリプレイで保存することができる

 さらに、リプレイが溜まってきてもソート機能が充実しているため、目当ての試合を探すのに手間取ることもない。新たな連係・連続技を知り有効なテクニックを身につけるために一役も二役も買うであろう本システム、うまく使いこなして対戦を十分に楽しもう。

さまざまな条件でソートができるため、見たい対戦を簡単に探し出せる

ルリアノート

 本作に関するイラストやゲーム中で使われているBGMを収録しているモード。最初からすべてのイラストやBGMを視聴できるわけではなく、シングルモードをクリアしたりストーリーを進めたりすることで少しずつ解放されていく。そのほか、キャラクターや武器の紹介、用語集の解説なども閲覧可能だ。

イラストは280点以上、BGMは50曲以上も収録されている。これらを少しずつ解放していくのも楽しみの1つ
プレイアブルキャラクターだけでなく、さまざまなキャラクターの紹介を見ることができる
充実した用語集のおかげで、原作をプレイしたことがなくてもストーリーを把握しやすい

デジタルフィギュア

 デジタルフィギュアはなんと、キャラクターと背景を組み合わせてオリジナルのシーンを作れてしまうというモード。これも本作のキャラクターが魅力的なればこそ可能なモードと言えよう。

 背景は使う場所を自由に選択でき、そのうえで好きなキャラクターのフィギュアを設置可能。しかも、このフィギュア、普通では考えられないほど細やかな設定ができるのだ。

デジタルフィギュアは特殊なモードのためか、マニュアルの手厚さは他のモード以上
同じ背景でも場所を変えれば雰囲気も変わる。いろいろな場所にフィギュアを置いてみよう

 カラーリングの変更や回転・反転は言うに及ばず、ポーズに表情、視線までもを自由に選べる。さらに高度な設定として、色味の強さや鮮やかさを調整する「彩度」やキャラクターに光を当てて影をつける「ライティング」、全体的な色味の変更する「ライトカラー」などまで用意されているのだ。

ポーズや表情といった特定の要素は、コンテンツショップで購入することで種類が増えていく
キャラクターのフィギュア以外に、椅子や木箱などのオブジェクト、土煙や爆発などのエフェクトも配置できる

 やれることが多すぎて思い通りのシーンを作るには慣れが必要だが、試行錯誤をくり返していれば徐々に作り方が分かってくるはず。また、サンプルとして開発者が作成したシーンが収録されているので、それを参考にするのもいい。最初のうちはサンプルをそっくりそのまま真似して同じものを作るだけでも、本モードへの理解が深まるだろう。

 対戦格闘ゲームとは異なる楽しさを味わえるデジタルフィギュア。メーカーによると、本モードを活用したフォトコンテストなどの開催も予定しているとのこと。対戦の息抜きにもなるので、一度は遊んでみてほしい。

「グラブル」ファン・格闘ゲームファンが楽しめる、開発の愛が詰まった1本!

 総評として、とにかく遊びの幅が広いという印象を受けた。シングルモードは難易度が6段階もあり、さらにキャラクターが魅力的なため、1人で遊んでいても十分に楽しい。クリアするとルリアノートのイラストが解放されるのも、やり甲斐があって◎。

 対人戦がメインであろうVSモードも、より便利に、より快適に遊べるような工夫が施されている。キャラクターの特徴や実戦的な連続技まで網羅したトレーニングモードは初心者に優しく、対戦格闘ゲームにしてRPG並みのボリュームを誇るストーリーは「グラブル」ファンにはたまらないだろう。

 そのほか、膨大なイラストやBGMを視聴できるルリアノートにせよ、好きなキャラクターを眺めるのにいいデジタルフィギュアにせよ、いずれのモードも細部までこだわって作られている。まるで、格闘ゲームファンのみならず、「グラブル」ファンを含めたすべての人を楽しませようとする開発者の心意気が伝わってくるようだ。

 また、オンライン用のモードとしてオンラインロビーや「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」が用意されている。前者はオープンワールドのマップで、ほかのプレーヤーに挑んだりミニゲームのサッカーを遊んだりすることが可能。オープンワールドRPGのようなワクワク感があるため、対戦の息抜きとしてウロウロしてみるのも面白い。

オンラインロビーは、本作の舞台であるポート・ブリーズ群島ががモチーフになっている
アーケードでは現実のゲームセンターと同じように、ほかのプレイヤーに挑戦することが可能
奥にあるクレーンゲームに注目。ここで獲得した賞品は、デジタルフィギュアで使用できるのだ

 一方、後者の「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」は大人数でプレイできるパーティーバトルロイヤルゲーム。最大で30人での同時プレイが可能で、陣地戦やサバイバル、障害物競争などの多種多様なゲームが用意されている。ゲームの種類が多いうえ、そのときのログイン状況によって参加メンバーも参加人数も変動するため、毎回新鮮な気持ちでゲームを楽しめるのだ。

ルールはゲームによって異なる。これは、ベルゼバブの爆弾で足場が崩壊していく「キング・オブ・タフネス」
ときにはチームを組んで戦うことも。ヒヒイロカネをより多く集めたチームが勝利となる「ヒヒイロカネパーティー」
「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」で操作するアバターは、プレイヤーが自由にカスタマイズできる

 原作ファンや対戦格闘ゲームファンはもちろんのこと、対戦よりも1人でやり込むのが好きな層も、これを機に対戦格闘ゲームに触れてみたい層も、すべての人が楽しめるように作られた1本。有料のスタンダードエディションやデラックスエディションの発売に併せて無料のフリーエディションもリリースされるため、購入するかどうか迷っている人は、まずはそちらをプレイしてみてほしい。本作のキャラクターたちが織りなす魅力に、きっと気づいていただけるに違いない。そして、いつの日かインターネットを通して一緒に対戦できることを心から願う次第である。