レビュー

「EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER」レビュー

エヴァ初号機仕様アケコンは操作性バツグン! 本格的手触りを「スト6」ベータ版でも試してみた

【EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER】

6月1日発売予定

価格:32,780円 (税込)

 数年に一度の超ビッグタイトル「ストリートファイター6(以下、スト6)」の発売が6月に迫り、往年の格闘ゲームファンはもちろん、これまで格闘ゲームに触れてこなかったユーザーの間でも最高潮の盛り上がりを見せている。

 この流れを受けて、近年では様々なメーカーから格ゲーデバイスがリリースされているが、その中でひと際目を引くのがアンサーから6月1日に発売される「EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER」だ。写真を見てもらえれば説明不要かと思うが、「エヴァンゲリオン」仕様のアーケードスティックとなっている。

 「エヴァンゲリオン」の世界観やデザインをゲーミングデバイスやPC周辺機器に取り入れたeスポーツブランド「EVANGELION e:PROJECT」のアイテムで、筆者も存在を知ったときは「エヴァのアケコン!?」と正直驚いた。

 エヴァのファンならば惹かれるであろうアーケードスティックを本稿で触っていきたいと思う。デザインや機能面、そして肝心な操作の感触などの気になるポイントを紹介していくので最後までぜひ読んでもらいたい。

■アンサーストア「EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER」のページ

「EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER」パッケージ

ファンのハートに刺さるエヴァ感全開のデザイン! 操作性はゲームセンター同様の本格仕様!!

 「EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER」はPC/PS4/PS3/Switchと様々なハードに対応しているのが特徴。いろいろな環境で格闘ゲームをプレイするマルチ格ゲーマーに有り難い仕様となっている。

 本体は紫と緑を基調としたエヴァ初号機をイメージしたカラーリング。天板にはエヴァ初号機のイラストとEVANGELION e:PROJECTロゴ、さらにプロゲーミングチーム「エヴァ:e」のロゴがプリントされており、エヴァの公式感を前面に押し出したデザインとなっている。

一目でエヴァ初号機と分かるカラーリング
咆哮をあげる初号機のイラストが描かれている
天板の端にはエヴァ:eのロゴがプリント
本体側面にもエヴァ仕様の印刷がされている
本体の様々な部分に「エヴァ」を感じられる
様々なハードに対応しているがPS4だけは接続方法が特殊で、アーケードスティック本体にDUALSHOCK 4を接続する必要がある

 天板は広い形状で重さは約3.3kg。本体裏面には滑り止めのマットが一面に敷かれており、膝上、机の上のどちらでもプレイしていてズレることのない安定性がある。

 高い安定性は本体を設置した際の話だけではない。大きな天板のおかげで手前側のスペースが広く、レバーやボタンに添える手をゆったりと置くことができる。連戦で長時間プレイするのが当たり前の格ゲーマーにとって、手を休められる安らぎスペースの存在は大きい。

本体の底はほぼ全面に滑り止めが敷いているので、どんな場所でも安定して固定できる
天板の縦幅が広く、手を置くスペースが確保されており、長時間プレイでも手が疲れにくい仕様となっている

 ボタンの配置は、近年の新しいアーケード筐体では主流のビュウリックス配置。レバーやボタンもアーケード筐体で幅広く使われている三和電子製のものを採用しているので、ゲームセンターと同じ感覚で遊ぶことができる。

 三和レバーは、傾けたときの硬さが柔らかめで、素早い入力と斜めなどの入力抜けが起こらない入力精度の高さが売り。柔らかいもののフニャフニャ過ぎず入力の手応えをしっかりと感じられるのが特徴だ。動かした際の「カチカチ」と鳴る操作音もとても小気味良い。

お馴染みの三和製なので、ゲームセンターで格ゲーをプレイしている人なら手にしっかり馴染むはず

 ボタンは8ボタン式でレバーと同じく三和製。こちらも格闘ゲームとの相性はバツグンだ。ボタンの厚みがあるのでストロークが短か過ぎず、入力感をしっかり味わうことができる。少し指が触れる程度ではボタンを押し込まれることもないので誤入力も防げる。

 ボタンを押した際の反発性や引っかかりなどもなく、ストレスのないゲームプレイを実現している。「タンッ」と響く打鍵音も気持ち良く、無駄にボタンを押したくなる中毒性がある。

ボタンの縦一列が下がっているのが特徴のビュウリックス配置
ボタンの押し心地は軽快で、スピーディーな入力が可能

 メインの8ボタンはクリア仕様のものとなっており、ゲームハードやPCに接続するとボタンがLED発光するという、アーケードスティックでは珍しいギミックを搭載。これぞゲーミングといった輝きはプレイしていてテンションが上がる。発光しなくていいという人もいると思うが、天板のスイッチでオン・オフの切り替えもできるので安心してもらいたい。

暗がりで光らせるとこの通り。やはりLED発光はゲーマーのロマンである

配慮されたボタン配置、メンテナンスしやすさにも注目

 次は本機に備わっているサブのボタンやスイッチを見ていこう。天面には左から「ホームボタン」、「十字キー・スティック切り替えスイッチ」、「LEDボタン」、「連射設定ボタン」が備わっている。レバーやボタンから離れているのでゲームプレイ時に誤って押してしまうことはまずない。

 さらに天板の上部には「OPTIONSボタン」と「SHAREボタン」がある。両方とも対戦中に押してしまうと大事故が起こってしまうボタンなので他のボタンよりもさらに離した位置に取り付けられている。プレーヤーの気持ちを汲み取った、痒いところに手が届いた設計である。

どんなに激しくプレイしていても事故で押してしまうことはまず無い
OPTIONSボタンとSHAREボタンは大きめなので、押したいときは手探りで簡単にボタンを見つけられる

 昔のアーケードスティックとは違い、近年ではメンテナンスが容易にできる構造のものが増えている。本機も例に漏れず、本体前面にあるボタンを押すだけで天板を開くことができ簡単に内部アクセスが可能。内部には予備のボタン2個とメンテナンス用のドライバー、本機とハードウェアを接続するためのUSBケーブルが備え付けられている。

本体手前のEVANGELION e:PROJECTロゴのボタンを押すと天板が開く
ボタンやケーブル、工具までも内部に入れられる収納性の高さ

 三和の新規格ボタン「A-OBSC-30」を採用しており、このボタンはワンタッチコネクター端子となっているのでケーブルの取り外しが楽でボタン交換も簡単に行うことができる。オフライン大会中などで急にボタンの調子が悪くなるといった不測の事態でもスピーディーに対応できるのだ。

ワンタッチコネクター端子なので、ケーブルの抜き差しが驚くほど簡単にできる

 ケーブル着脱式なのも個人的にはポイントが高く、本体とケーブルが一体型のものだと万が一ケーブルが断線してしまった場合にはメーカー修理に出さなければならないが、本製品の仕様ならUSBケーブルを新しく調達するだけで復活できる。

 メンテナンス性能が非常に高く、ちょっとした不調くらいならば修理に出さずとも自分の手で直せるコストパフォーマンスの良いアーケードスティックだ。

USBケーブルは本体上部に接続できる

パッドでは難しい「ストリートファイター6」のクラシックタイプも超快適!

 ここからは「EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER」で格ゲータイトルを実際にプレイしていく。タイトルは「スト6」のデモ版と、タイミングよく行われた同作のオープンベータテストで試してみた。

 「スト6」では、パッド操作に特化した操作モード「モダンタイプ」が新たに実装され、アーケードスティックが無くても問題なくプレイできるようになっている。しかし、シリーズ従来の操作モードである「クラシックタイプ」は、やはりアーケードスティックが遊びやすさとしては最適である。

「スト6」のビッグウェーブに乗るなら、アーケードスティックを1つは持っておきたい

 パッドと比べてアーケードスティックはどのようなメリットがあるのか。まず1つは“精密な操作ができる”という点だ。

 メインキャラクターのリュウで例を挙げると、9強P→2強P→623Pという、これはジャンプ強パンチ、しゃがみ強パンチの後に必殺技の昇龍拳を繰り出すという簡単なコンボなのだが、昇龍拳の最後の3入力(斜め下)で正確に止めるのがパッドだと結構難しく、力が入って6(前)が少しでも入ってしまうと真空波動拳という別の必殺技に化けてしまうのだ。重要な局面で思った技が出ないというのは対人戦では致命的だ。

昇龍拳のコマンドミスをして、温存したいゲージを真空波動拳で使ってしまうというのはパッドあるある

 パッドでは意識していても誤入力を避けるのは難しいのだが、レバーならば相当雑に入力しない限りは別の必殺技が暴発するなんてことはほぼ起こらない。実際に何度も試してみたが、最後の斜めを意識して入力すれば高い精度でアッパーからの昇龍拳が決まり、とても気持ちが良い。

思い通りに技が出せることで、ストレスフリーなプレイが楽しめる

 2つ目は“ボタンの同時押しがしやすい”というポイント。「スト6」には「オーバードライブ」、「ドライブパリィ」、「ドライブインパクト」、「ドライブリバーサル」など、ボタン同時押しのシステムが数多く存在しており、同時押しがかなり重要になってくる。

 パッドの場合は複数のボタンを親指1つで押すことになるので、結構な割合で押すタイミングがズレて入力ミスが起こるのだ。

 中でも必殺技の強化版のオーバードライブはボタンの同時押しが甘いと通常の必殺技に化けるので、ミスをするとコンボが途中で途切れてしまったりとかなりの痛手を負うことになってしまう。

今作から実装されたドライブシステム。クラシックタイプではいろいろな組み合わせのボタン同時押しを要求される

 アーケードスティックなら2ボタン同時押しするのに2本の指を使えるのでミスは激減。オーバードライブを絡めたコンボの正確さはもちろん、瞬時に出さなければならないドライブパリィやドライブインパクトも素早く繰り出すことができ、プレイしていてとても楽しい。

迅速かつ正確にドライブインパクトを返すこともでき、爽快感バツグンである

 最後は“全てのボタンをフルで使える”という点。スティック押し込みを除けばパッドもアーケードスティックも使えるボタンは8個だが、パッドで全部のボタンをフルで使うのはなかなかに困難。厳密に言えばパッドでも全ボタンを使いこなせる人もいるが、大概の人はL系統のボタンは“死にボタン”になっていると思う。

 右手では基本となる4ボタンと、R1の強パンチ、R2の強キックを押していくが、右手はボタンを押すことだけに集中しているので特に問題はない。しかし左手側に配置されているL1とL2ボタンは、左の親指でコマンド入力に意識を割きつつ同じ手でボタンも押さなければいけないのだ。その操作はもはや脳トレといっても過言ではなく、全ボタンを使うのは正直言って容易ではない。ちなみに筆者はパッドでのプレイもたまにするのだが、L1・L2ボタンは一切使っていない。

 パッドでは持て余してしまうL1・L2ボタンは本機では一番右端に配置されているが、指は余裕で届く位置なので快適に8ボタンを使ってプレイができる。自由に使える2つのボタンに、どのショートカットを割り当てるか迷えるのはかなり贅沢な悩みである。

パッドよりも簡単にL1・L2ボタンが使えるのは、対戦において大きなアドバンテージになる

 筆者が普段使っている私物のアーケードスティックのレバーとボタンは別メーカーのものだが、使い比べてみるとやはり三和製の方が圧倒的にコマンド精度が高く、何よりレバーとボタンの触り心地が軽快でガチャガチャ動かしているだけで楽しい。

 オープンベータテストが行われた3日間は「EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER」でみっちり対人戦に勤しんだのだが、複雑な操作が要求されるクラシックであってもコマンドミスもなく安定した理想のプレイが実現した。

 自分が意図しない必殺技が暴発して試合に負けた日には、夜中であろうが思わず声を上げてしまうのだが、今回はそんな(迷惑な)ことは起こらず爽快かつ心穏やかな時間を楽しめた。

勝てたときは爽快。負けた試合でも今回ばかりは敗因が自分にしかないので渋々(?)納得ができた

 本機はPS5には非対応となっているが、PS4のソフトをプレイするならばPS5に接続して使用することが可能。PCやPS4をメインで遊んでいるユーザーなら非の打ち所がないアイテムだ。

 デバイス1つの差でプレイ感や戦績が大きく変わるので、本気でプレイするならアーケードスティックを使わない手はない。

 アンサー公式ストアでは「EVANGELION e:PROJECT ARCADE CONTROLLER」の先行予約を受け付けており、先着購入特典として「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の初号機の覚醒をイメージした赤いレバーボールとボタンが付いてくる。エヴァファンかつ、良質なアーケードスティックを探している人は検討してみてはいかがだろうか。